安置・ご遺体のケア 死亡直後の対応

犬が亡くなったら|安置・保冷から30日以内の死亡届・火葬の選び方まで

長いあいだ家族として過ごしてきた愛犬が旅立ったあと、「まず何をすればいいのか」「役所への届出はいるのか」「火葬はどう選べばいいのか」と、悲しみのなかで次々に考えなければならないことが押し寄せてきて、頭が真っ白になっていらっしゃるかもしれません。急いで決めなければと焦る必要はありませんが、いくつかは順番にしておくと安心できることがあります。

この記事では、犬が亡くなった直後の安置・保冷のしかたから、狂犬病予防法にもとづく死亡届(登録の抹消)、火葬の形式の選び方、そして気持ちの整理までを、時系列に沿って静かに整理しました。獣医療や自治体、ペット葬儀各社の公開情報をもとに、当メディア編集部がまとめています。どうか、ご無理のない範囲でお読みください。

飼い主さん
さっき愛犬を看取ったばかりで、何から手をつければいいのか分かりません。役所に届けも必要だと聞いて、余計に混乱してしまって……。
編集部
おつらいなか、よくここまでいらっしゃいましたね。まずは安置と保冷をしてあげれば大丈夫です。死亡届は亡くなってから30日以内が期限なので、今すぐでなくても間に合います。順番に整理していきますので、一つずつで大丈夫ですよ。

一言でいうと、犬が亡くなったら「①安置・保冷 → ②死亡届(30日以内に市区町村へ) → ③火葬の選び方 → ④供養・気持ちの整理」の順で進めれば大丈夫です。まずは硬直が進む前に姿勢を整えて保冷し、届出や火葬はそのあと落ち着いてからで間に合います。

犬が亡くなった直後にすること|安置の手順

亡くなった直後は、何も手につかなくて当然です。それでも、いくつかの手当ては死後硬直が始まる前のほうがしてあげやすいため、できる範囲で少しずつ進めていきましょう。ここで整えてあげておくと、このあと火葬やお別れの日まで、安らかな姿のまま一緒に過ごせます。

まず、全体の流れを図にまとめました。最初の数日でしておきたいことの目安です。

犬が亡くなったあと最初の数日でする4つのこと(安置・保冷、30日以内の死亡届、火葬の選び方、供養)を順番に示した図
犬が亡くなったあとの流れ(当メディア編集部作成)

手当てを始める前に、手元にあると安心なものを挙げておきます。すべてをそろえる必要はなく、ご家庭にあるもので大丈夫です。慌てて買いに走らなくても、まずはできることから始めてください。

用意するもの 使い方
清潔なタオル・ガーゼ 体をやさしく拭く。目や口の周りにも
保冷剤(またはドライアイス) 布で包み、首元・お腹・背中を冷やす
箱や棺、ペットシート 体を寝かせる。体液の漏れにも備える
ブラシ・くし 毛並みをそっと整えてあげる

準備ができたら、次の手順で安置してあげます。硬直が進む前がしやすいですが、すでに硬くなっている場合は無理をせず、そのままで構いません。

1目と口をそっと閉じる

まぶたや口が開いていたら、指の腹でやさしく閉じてあげます。硬直が進むと動かしにくくなるため、気づいたときに整えてあげると、安らかな表情のままお見送りしやすくなります。

2体をやさしく拭いて清める

ぬるま湯で湿らせて固く絞ったタオルで、体をやさしく拭いてあげます。口や鼻、お尻から体液が出ることがありますが、自然なことですので、そっと拭き取ってあげてください。

3硬直の前に姿勢を整える

手足を胸側へ軽く曲げ、眠っているような自然な姿勢に整えます。硬直が進んでからでは姿勢を変えにくく、棺に納めるのも難しくなります。ただし無理な力はかけず、すでに硬くなっている場合はそのままで構いません。

4保冷して涼しい場所へ安置する

箱や棺にペットシートとタオルを敷いて寝かせ、保冷剤やドライアイスで冷やします。保冷剤は結露で体がぬれないよう必ずタオルなどで包み、首元・お腹・背中に沿わせるように当てます。直射日光を避け、できるだけ涼しい部屋(目安として18℃以下)に安置してあげてください。

毛並みが乱れていたら、ブラシでそっと整えてあげると、より安らかな表情になります。生前に好きだった場所やおもちゃ、お花をそばに置いてあげるのもよいでしょう。ここまでの手当ては、あくまで「できる範囲で」で構いません。ご自分の心と体を休めることも、同じくらい大切にしてください。

死後硬直が始まる時間の目安や、硬直が進んだあとの姿勢の整え方をもう少し丁寧に知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

犬が亡くなったら30日以内に|死亡届(登録の抹消)

犬の場合、猫やそのほかの動物と違って、飼い主には法律にもとづく手続きがあります。狂犬病予防法では、登録している犬が亡くなったときは、亡くなった日から30日以内に、お住まいの市区町村へ死亡の届出(登録の抹消)をすることが定められています(横浜市・大阪市・札幌市など各自治体が同様に案内しています)。悲しみのさなかに事務手続きは気が重いものですが、期限内であればあわてる必要はありません。安置と保冷をすませ、少し落ち着いてからで間に合います。

そっと手を添えられた犬の前足のクローズアップ
写真はイメージです

どこに・何を届け出るのか

届出先や必要なものは自治体によって細部が異なりますが、共通する基本は次のとおりです。窓口は保健所・生活衛生課・動物愛護センター・環境衛生課など自治体により呼び名が異なるため、事前に「(お住まいの市区町村名) 犬 死亡届」で調べておくと確実です。多くの自治体では、窓口のほか郵送やオンラインでの届出に対応しています。

項目 内容
届出の期限 亡くなった日から30日以内(狂犬病予防法)
届出先 お住まいの市区町村(保健所・生活衛生課・動物愛護センター等)
返納するもの 鑑札・狂犬病予防注射済票(手元にある場合)
方法 窓口・郵送・オンラインなど(自治体により異なる)

鑑札や注射済票が見当たらないときは、その旨を窓口に伝えれば手続きを進めてもらえることが多いので、無理に探し回らなくても大丈夫です。手数料は原則かかりません。

マイクロチップの死亡届も忘れずに

マイクロチップを装着し、環境省の指定登録機関に登録している場合は、市区町村への死亡届とは別に、環境省の登録情報についても死亡の届出が必要です。オンラインで手続きでき、登録時に発行された情報が必要になります。こちらも忘れやすいので、あわせてすませておくと安心です。詳細は環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」サイトでご確認ください。

犬の火葬・供養への進み方|形式の選び方

お体を安置し、届出のめどが立ってきたら、火葬や供養についても考えていくことになります。無理に急ぐ必要はありません。夏場で1〜2日、冬場で2〜3日ほどが安置の目安とされますが、しっかり保冷すればもう少し猶予がある場合もあります。まずは、火葬の形式を知っておくと、選ぶときの助けになります。

お別れの花がそっと供えられた静かな情景
写真はイメージです

火葬の主な形式と費用の目安

犬の火葬には、主に次のような形式があります。ご家族の考え方やご予算に合わせて選べます。料金は火葬形式や体重によって幅があり、下記はあくまで一般的な目安です(執筆時点・2026年7月)。実際の金額は依頼先や地域、犬の体格により変わるため、事前の見積もり確認をおすすめします。

形式 特徴 お骨の返却
合同火葬 ほかのペットと一緒に火葬する。費用を抑えやすい 基本的に返骨なし(合同供養)
個別火葬(一任) 1頭ずつ火葬。立ち会いはせず火葬社に任せる 返骨あり
立会火葬 人の葬儀のように立ち会い、お骨上げまで行う 返骨あり

火葬には、火葬炉を備えた斎場へ連れて行く「持ち込み」と、火葬車が自宅近くまで来てくれる「訪問火葬」があります。犬は体格が大きい子も多いため、移動の負担や立ち会いのしやすさも考えて選ぶとよいでしょう。どちらにも良さがありますので、ご家族が付き添いやすい方法を選んでください。

依頼先を選ぶときに確認したいこと

どの形式を選ぶ場合でも、依頼先を決めるときは立ち会いや返骨ができるか、料金が事前に明確かを必ず確認してください。ごく一部ですが、移動火葬をめぐる高額請求や、不適切な取り扱いのトラブルが報じられることもあります。次のような点を事前にチェックしておくと、落ち着いてお別れの時間を過ごせます。

確認したいこと なぜ大切か
固定の斎場や事業所があるか 実在・営業実態を確認でき、あとから相談しやすい
立ち会い・お骨上げができるか 最後までそばで見送れるかどうか
返骨(お骨の返却)の有無 合同火葬では返骨されないことがある
料金が事前に明確か 当日の追加請求などのトラブルを防ぐ

実在・営業実態や口コミを確認できる依頼先を選ぶと安心です。「どこに頼めばいいのか分からない」「まず費用の目安だけでも知りたい」というときは、全国対応の相談窓口を利用する方法もあります。深夜や早朝でも受け付けているサービスがあり、電話で流れや費用を確認してから決められます。

\ 詳細・ご相談は公式サイトから /

ペット葬儀110番 公式サイトはこちら

火葬の形式や費用の目安、対応エリアは公式サイトでご確認いただけます。急ぎの相談にも対応しています。

安置から火葬・お別れ、そのあとの手続きまでの流れ全体は、こちらの記事で順を追ってまとめています。あわてず進めたいときの道しるべにしてください。

お別れのあとの気持ちの整理・ペットロス

お体の手当てや届出、火葬の手配を進めるあいだも、心はずっと追いつかないままかもしれません。深い喪失感や、涙が止まらない日々、あるいは「もっと早く気づいてあげられたら」という後悔——それらはすべて、家族を大切に思ってきたことの証です。

窓辺で静かに悲しみと向き合う人のうしろ姿
写真はイメージです

悲しみの深さや続く長さには個人差があり、正解はありません。無理に前を向こうとせず、泣きたいときは泣いて、そばにいてくれた日々を思い出しながら、少しずつ時間をかけていってください。散歩をした道や、いつも待っていてくれた玄関に、ふと涙がこみ上げることもあると思います。それも、確かに愛されて生きた証です。どうか、ご自分を責めすぎないでください。

同じようにペットを見送った人の言葉に触れたり、思い出を書き留めたり、写真を飾って手を合わせる場所を作ったりすることが、少しずつ心を落ち着けてくれることもあります。気持ちがつらい状態が長く続くときや、眠れない・食べられないなど日常生活に支障が出るときは、一人で抱え込まず、周囲の方やペットロスに理解のある専門の相談窓口に頼ることも考えてみてください。頼ることは、決して弱さではありません。

よくある質問

Q犬の死亡届を出さないとどうなりますか?

A登録が残ったままになり、狂犬病予防注射のお知らせが届き続けることがあります。狂犬病予防法では亡くなってから30日以内の届出が定められていますので、期限内にお住まいの市区町村へ届け出て、登録を抹消してもらってください。手数料は原則かかりません。

Q火葬まではどのくらい安置できますか?

Aしっかり保冷したうえで、夏場で1〜2日、冬場で2〜3日ほどが目安とされます。季節や室温によって変わるため、できるだけ涼しい環境を保ち、状態を見ながら早めに火葬の相談をしておくと安心です。犬は体格が大きいと変化が早く進むこともあるため、こまめに保冷剤を替えてあげてください。

Q庭に埋葬してもよいのでしょうか?

A自分の所有する私有地であれば、深く掘って埋葬することは可能とされますが、公園や河川敷などの公共の場所への埋葬はできません。近隣への配慮や衛生面から、火葬を選ぶ方が多くなっています。集合住宅や借地の場合は難しいため、火葬・霊園などの方法を検討してください。

Q保冷剤とドライアイスは、どちらを使えばよいですか?

A1日程度であれば保冷剤でも対応できますが、2日以上安置する場合や夏場はドライアイスの使用がすすめられます。いずれもタオルなどで包み、直接体に当てないようにしてください。ドライアイスは取り扱いに注意が必要で、密閉した部屋での長時間の使用は避けてください。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状や状態は動物病院にご相談ください。届出の詳細はお住まいの市区町村の案内をご確認ください。

※本記事の料金は執筆時点(2026年7月)の一般的な目安です。最新の費用は各火葬社の公式サイトや見積もりでご確認ください。

まとめ

犬が亡くなったら、まず硬直が進む前に目や口を閉じ、姿勢を整えて保冷し、涼しい場所へ安置してあげてください。そのうえで、狂犬病予防法にもとづく死亡届(登録の抹消)を30日以内に市区町村へ提出し、マイクロチップを登録している場合は環境省への届出も忘れずに。火葬は合同・個別・立会から、立ち会いや返骨、固定施設の有無を確認しながら選びます。急な出来事のなかでも、できることを一つずつで大丈夫です。

長いあいだ寄り添ってくれた小さな家族との、最後の時間です。そのお体に触れ、名前を呼び、そばにいられる時間を、どうか大切に過ごしてください。旅立った愛犬が、あたたかな光に包まれて、安らかでありますように。

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