大切な家族であるペットが亡くなったとき、悲しみのなかで「これから何をすればいいのだろう」と、頭が真っ白になってしまう方は少なくありません。突然のお別れに、心がついていかないのは当然のことです。
この記事では、ペットが亡くなった直後にすることを、①ご遺体の安置 → ②お別れの時間 → ③火葬・葬儀 → ④必要な手続き、という流れにそってやさしく解説します。まずは深呼吸をして、できることから一つずつ整えていきましょう。焦らなくても大丈夫です。


【まず落ち着いて】亡くなった直後にすることの全体像
ペットが亡くなった直後は、すぐに何かを決めなければいけないわけではありません。多くの場合、火葬まで数日はご自宅でお別れの時間を過ごせます。まずはご遺体をきれいに整えて安置し、心が少し落ち着いてから、お見送りの方法をゆっくり考えても遅くはありません。
直後にすることの全体像は、大きく次の4つのステップに分けられます。上から順に進めていけば大丈夫です。

| ステップ | すること | 目安の時間 |
|---|---|---|
| ①安置する | 体を冷やし、箱に寝かせて整える | できるだけ早めに |
| ②お別れの時間 | 家族でそばに寄り添う | 夏1〜2日/冬2〜3日が目安 |
| ③火葬・葬儀を決める | 訪問火葬・固定斎場・自治体から選ぶ | 安置している間に検討 |
| ④必要な手続き | 犬は死亡届の提出など(猫・その他は原則不要) | 火葬後・30日以内が目安 |
それぞれのステップについて、次の項目から具体的に見ていきます。
①ご遺体を安置する
まず大切なのが、ご遺体をやさしく整えて安置することです。ご遺体は時間とともに変化が進むため、早めに体を冷やしてあげることが、きれいな姿でお別れするための第一歩になります。特別な道具がなくても、ご家庭にあるもので行えますので、落ち着いて進めましょう。

1やさしく姿勢を整える
死後しばらくすると手足がかたくなる「死後硬直」が始まります。硬直が進む前に、手足をそっと折りたたんで、眠っているような自然な姿勢に整えてあげましょう。目や口が開いている場合は、やさしく閉じてあげると穏やかな表情になります。無理に動かす必要はありません。
2体をきれいにする
口や鼻、お尻などから体液が出ることがあります。ガーゼやタオルでそっと拭き、必要に応じて脱脂綿を軽く当てておくと安心です。ブラッシングで毛並みを整えてあげると、いつもの姿に近づけてあげられます。
3箱や布に寝かせる
体が入る大きさの箱やかご、ペットが好きだった毛布などを用意し、ペットシーツやタオルを敷いた上に寝かせてあげます。生前に好きだったおもちゃやおやつを添えてあげるのもよいでしょう。ただし火葬を考える場合、燃えにくいものや金属・プラスチックは棺に入れられないことが多いため、火葬前に取り出す想定にしておくと安心です。
4保冷剤やドライアイスで冷やす
傷みを遅らせるため、体、特にお腹や頭のまわりを冷やします。保冷剤をタオルで包んで当てるほか、より長く安置したい場合はドライアイスが効果的です。保冷剤はこまめに交換し、直射日光の当たらない涼しい部屋(エアコンで室温を低めに)に安置してあげてください。
ここまで整えてあげられれば、あとはそばで見守りながら、お別れの時間を過ごせます。
②お別れの時間をとる
火葬を急ぐ必要はありません。安置がきちんとできていれば、しばらくの間はご自宅でゆっくりとお別れの時間を過ごせます。ご遺体をきれいに保てる期間の目安は、夏場で1〜2日、冬場で2〜3日ほどとされますが、これはあくまで一般的な目安です。
実際に置ける日数は、体格や季節、室温、冷却の状態によって大きく変わります。ご遺体の状態を見ながら、無理のない範囲でお別れの時間を決めてあげてください。においや体の変化が気になり始めたら、火葬のタイミングを考えるサインと考えるとよいでしょう。

この時間は、ご家族が気持ちを整理し、「ありがとう」を伝えるための大切なひとときです。写真を飾ったり、好きだった花を添えたり、思い出を語りかけたり。過ごし方に決まりはありません。後悔のないよう、心ゆくまでそばにいてあげてください。
③火葬・葬儀の方法を決める
お別れの心の準備が少しずつできてきたら、火葬・葬儀の方法を考えていきます。ペットの火葬・葬儀には、大きく分けて「訪問火葬」「固定斎場(ペット霊園)」「自治体への依頼」の3つの選択肢があります。それぞれ費用や供養のかたちが異なるため、ご家族の希望に合うものを選びましょう。

| 方法 | 特徴 | お骨の返却 | 費用の傾向 |
|---|---|---|---|
| 訪問火葬 | 火葬車が自宅近くまで来てくれる。立ち会いや自宅そばでのお別れがしやすい | 個別なら返骨可 | 合同〜個別で幅がある |
| 固定斎場(ペット霊園) | 施設に出向いてお見送り。納骨堂・供養塔などその後の供養先を選びやすい | 個別なら返骨可 | 比較的しっかりめ |
| 自治体への依頼 | お住まいの市区町村に依頼。費用を抑えやすい | 返骨不可の場合が多い | 低め〜無料の場合も |
「立ち会って最期を見送りたい」「お骨を手元に残したい」場合は、個別火葬(訪問または固定斎場)が向いています。一方、費用を抑えたい場合は自治体への依頼という方法もありますが、多くの自治体では他のペットと一緒の合同火葬となり、お骨は返ってこないのが一般的です。事前にお住まいの自治体の対応を確認しておきましょう。
火葬の形式(合同/個別一任/個別立会)や体重別の料金相場については、こちらの記事で詳しくまとめています。
また、業者選びで大切なのは、実在が確認でき、料金を事前に明示してくれる依頼先を選ぶことです。ペット火葬の業界では、後から高額な追加料金を請求されるといったトラブルも報告されています。固定の施設があるか、立ち会いや返骨の可否、総額がはっきりしているかを確認したうえで依頼すると安心です。地域ごとの業者の比較は、次の記事も参考になります。
④必要な手続き
お見送りが済んだら、ペットの種類によっては行政上の手続きが必要になります。特に犬を飼っていた場合は、死亡の届け出が法律で義務づけられています。忘れずに行いましょう。猫やその他の動物は、原則として手続きは不要です。

1【犬の場合】死亡届を提出する
犬は狂犬病予防法により登録が義務づけられているため、亡くなったら死亡の届け出が必要です。多くの自治体で、死亡後おおむね30日以内の届け出が目安とされています。お住まいの市区町村の窓口(保健所・生活衛生課など)やオンラインで手続きできる場合もあるため、確認してみてください。
2【犬の場合】鑑札・注射済票を返納する
死亡届とあわせて、登録時に交付された「鑑札」と、狂犬病予防注射の「注射済票」を返納します。手元に見当たらない場合の対応も自治体によって異なるため、窓口で相談すると安心です。
3【猫・その他】原則として手続きは不要
猫やうさぎ、ハムスターなどの小動物は、行政への死亡届は原則不要です。ただし、ペット保険に加入している場合は解約や手続きが必要になることがあります。マイクロチップを登録している場合は、環境省のデータベースで登録情報の変更・抹消の手続きができます。
手続きの細かなルールや必要書類、期限は自治体によって異なります。正確な内容は、必ずお住まいの市区町村の窓口で確認してください。悲しみのなかで急ぐ必要はありませんので、落ち着いてから進めて大丈夫です。
よくある質問
まとめ
ペットが亡くなったら、①ご遺体を安置する → ②お別れの時間をとる → ③火葬・葬儀の方法を決める → ④必要な手続きをする、という流れで、一つずつ整えていけば大丈夫です。急いで決めなければならないことは、思っているより多くありません。
まずは体を冷やしてやさしく整え、心ゆくまでそばで過ごす時間を大切にしてください。火葬や手続きは、気持ちが少し落ち着いてからでも間に合います。何よりも、これまで共に過ごしてくれた日々への「ありがとう」を、静かに伝える時間になりますように。
これまで一緒に過ごしてくれた、あなたの大切な家族が、どうか安らかでありますように。