長い年月をともに過ごした愛犬を、住み慣れた庭でそっと眠らせてあげたい——そう考える飼い主さんは少なくありません。犬の土葬は、条件を満たせば法律上も認められている見送り方です。ただ、犬は体が大きいぶん、穴の深さや掘る労力、土に還るまでの年月など、猫や小動物とは違う難しさがあります。特に大型犬では、想像以上の負担がかかることも少なくありません。
この記事では、犬を土葬してよい条件と埋め方の手順、大型犬ならではの注意点、そして火葬という選択肢との違いを、編集部が公的なルールや各社の公開情報を調べて静かに整理しました。どうか焦らず、住まいの条件とご自身の体力に合った方法を、ゆっくり選んでいただければと思います。


一言でいうと、犬の土葬は「自分の私有地」であれば可能ですが、大型犬ほど深さ1〜2mの穴が必要で労力も大きく、土に還るまで十数年以上かかります。住まいや体力の条件が合わないときは、火葬も穏やかな選択肢のひとつです。
犬を土葬してもいい?まず確認したい私有地の条件
犬をはじめとするペットの遺体は、法律上「廃棄物」として扱われます。そのため、埋葬してよい場所は「自分が所有する私有地」に限られます。自宅の庭など、ご自身の土地であれば土葬は認められています(ペット葬儀110番ほか各社の解説による)。
一方で、公園や河川敷などの公有地、他人の土地、賃貸物件の庭に埋めることはできません。これらは廃棄物処理法や軽犯罪法に触れるおそれがあり、たとえ愛犬が好きだった散歩コースであっても避ける必要があります。マンションや借家にお住まいの場合も、土地は自分のものではないため土葬は選べません。

また、私有地であっても、将来その土地を手放す予定があるなら土葬は慎重に考えたいところです。犬、特に大型犬は土に還るまで長い年月がかかり、土地を売却したり家を建て替えたりする際に掘り返してしまう可能性があります。いま住んでいて、これからも住み続ける自分の土地かどうかが、最初の判断のわかれ目になります。
土葬を選ぶ前に確認したいこと
次のような点にあてはまるか、静かに確認してみてください。すべて満たせない場合は、後半で紹介する火葬も含めて考えると選択肢が広がります。
- 埋める場所が自分名義の私有地である(賃貸・公有地は不可)
- 将来にわたって手放す予定がなく、掘り返す心配が少ない
- 大型犬でも掘れる広さ・深さのスペースがある
- 近隣の住宅や水源から十分に離れている
ペットの火葬にかかる費用の全体像は、形式・体重別にまとめた記事もあわせてご覧ください。
犬の土葬の深さと埋め方|大型犬は穴のサイズが大きな負担に
犬の土葬でもっとも大切なのが「穴の深さ」です。浅いと雨で土が流れたり、においや小動物による掘り返しの原因になったりします。犬は体が大きいため、猫や小動物よりもしっかり深く掘る必要があります。

埋め方のおおまかな流れは次のとおりです。手順どおりに進めても、大型犬では作業そのものがかなりの重労働になる点を、あらかじめ知っておいてください。
1十分な深さの穴を掘る
最低でも1m、大型犬は1〜2mを目安に掘ります。犬の体格が大きいほど、掘る土の量も置き場所も大きくなり、一人での作業は難しいことが多いです。
2自然素材で包んで納める
木綿や絹など自然に還りやすい素材のタオルや布で包みます。プラスチックやビニール、金属を含むものは分解されないため入れません。
3石灰をまく
遺体のまわりに石灰をまくと、分解を助け、においを抑える働きが期待できます。ホームセンターなどで入手できます。
4土を高く盛って埋め戻す
分解が進むと土は沈むため、地面より30cm以上高く盛り上げて埋め戻します。雨で流れることも見込んで、少し多めに盛るのが目安です。
大型犬の土葬が特に大変な理由
体重の重い大型犬(おおむね15kg以上)では、土葬の負担が一段と大きくなります。深さ1〜2mの穴となると、掘り出す土の量は数百リットルにおよび、掘った土を仮置きする場所も必要です。地面が固かったり石が多かったりすると、家庭用のスコップだけでは一日仕事になることもあります。
さらに、体が大きいほど土に還るまで長い年月がかかり、気候によってはミイラ化して数十年残ることもあると各社は説明しています。「深く掘りきれない」「一人では埋め戻せない」と感じたら、無理をせず火葬も含めて考え直すことをおすすめします。ご遺体を丁寧に見送るためにも、体力的に難しい作業を抱え込まないことが大切です。
犬の土葬で後悔しないための注意点
手順どおりに埋葬しても、あとから思わぬ問題が出てくることがあります。静かに見送るために、次の点を心に留めておいてください。

特に、においや水質をめぐるトラブルは近隣との関係に関わります。住宅が密集した地域や、井戸・水源が近い場所では、私有地であっても土葬は避けたほうが安心です。愛犬を静かに眠らせるつもりが、思わぬ心配ごとを残さないよう、環境をよく見極めてください。
土葬より火葬が向いている方
大型犬でスペースや体力に不安がある方、将来引っ越しの可能性がある方、集合住宅や賃貸にお住まいの方は、火葬を選ぶほうが心穏やかに見送れることが多いです。
土葬と火葬の違い|犬の体格別に見る費用のめやす
土葬が難しいときは、火葬という選び方があります。火葬なら住まいの条件を問わず見送ることができ、お骨を手元やお墓で供養することもできます。掘り返しや悪臭の心配がない点も、犬の見送りでは大きな安心につながります。
犬の火葬費用は、火葬の形式(合同/個別/立会)と体重によって変わります。以下は各社の公開情報から編集部がまとめた、執筆時点でのおおよその目安です。体重区分は業者ごとに異なるため、実際の金額は見積もりでご確認ください。

| 犬の体格(体重の目安) | 合同火葬 | 一任個別火葬 | 立会個別火葬 | お骨の返却 |
|---|---|---|---|---|
| 小型犬(〜5kg) | 18,000円前後〜 | 22,000円前後〜 | 26,000円前後〜 | 合同は不可/個別は可 |
| 中型犬(5〜15kg) | 19,000円〜25,000円 | 23,000円〜30,000円 | 28,000円〜38,000円 | 合同は不可/個別は可 |
| 大型犬(15kg〜) | 30,000円前後〜 | 40,000円前後〜 | 50,000円前後〜 | 合同は不可/個別は可 |
| 特大犬(40kg超) | 対応炉が限られ、70,000円以上のことも | 同上 | 同上 | 個別は可 |
※金額は各社公式サイトに税込/税抜の明記がない場合があり、目安です。正確な金額は各業者の見積もりでご確認ください。
合同火葬は他のペットと一緒に火葬する形式で費用を抑えやすい反面、お骨は戻りません。個別火葬はお骨を返してもらえ、立会個別火葬では火葬に立ち会えます。ただ、無理に立ち会うことでかえってつらさが残る場合もあるため、ご自身の気持ちに合った形を選んでください。猫の火葬の流れについては別記事でも詳しくまとめています。
土葬と火葬のどちらを選ぶか迷ったときは、住まいの条件・体力・その後の供養の希望をあわせて考えると整理しやすくなります。同じテーマの関連記事もご用意しています。
火葬を選ぶときの相談先・業者選びの注意点
火葬を選ぶ場合、業者選びは慎重に行いたいところです。ペット火葬の業界には、残念ながら移動火葬車による不法投棄や、当初の説明にない高額請求といったトラブルが実際に報告されています。大切な愛犬を託す相手だからこそ、次の点を必ず確認してください。

- 固定の火葬施設・所在地があり、会社の実在が確認できるか
- 立ち会いの可否、返骨の有無が事前にはっきりしているか
- 体重区分ごとの料金が明確で、追加費用の条件が説明されているか
- 電話や見積もりの対応が丁寧で、急かされないか
特に大型犬は対応できる火葬炉が限られることがあるため、体重を伝えたうえで対応可否と料金を先に確認しておくと安心です。どこに相談してよいか分からないときは、複数の業者を比較・紹介してくれる相談窓口を使うのもひとつの方法です。
相談窓口を使う場合も、最終的には固定施設の有無・立会や返骨の条件・料金の内訳をご自身の目で確かめてから決めてください。焦って即決せず、納得できる業者を選ぶことが、後悔のない見送りにつながります。
よくある質問
※本記事の料金は執筆時点(2026年7月)の各社公式サイト情報をもとにした目安です。最新の金額・対応可否は各公式サイトや見積もりでご確認ください。
まとめ|住まいと体力の条件を確かめて、静かに見送るために
犬の土葬は、自分の私有地であれば選べる見送り方ですが、大型犬ほど深い穴と大きな労力が必要になり、土に還るまでにも長い年月がかかります。将来手放す土地や、賃貸・集合住宅では選べない点にも注意が必要です。もし土葬が難しいと感じたら、住まいを問わず見送れる火葬という選択肢があります。どちらを選ぶにしても、大切なのはご自身が無理なく、納得して見送れることです。長い時間をともにしてくれた愛犬が、安らかに眠れますように。