水槽の中で、あるいは日当たりのいい床の上で、長いあいだ静かにそばにいてくれた亀。動かなくなったその子を前にして、「亀も火葬してもらえるのだろうか」「甲羅はどうなるのだろう」と、検索の手が止まらない方もいらっしゃると思います。犬や猫と違って周りに経験者が少なく、相談できる相手が見つかりにくいことも、この戸惑いを深くしているのかもしれません。
亀は、犬や猫よりもずっと長く生きる子が多い生きものです。ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)やクサガメでも飼育下で20〜30年、リクガメではさらに長く暮らす種もいると紹介されています。子どもの頃に迎えた小さな亀と、そのまま人生の大きな区切りをいくつも一緒に越えてきた——そんな方にとって、この別れは「長年の同居人を見送る」ことに近いのだと思います。悲しみが大きいのは、当然のことです。
この記事では、編集部がペット火葬業者の公式サイトや環境省・自治体の案内を調べ、亀の火葬を受け付けている業者の探し方、甲羅とお骨の残り方、費用と時間の目安、庭に埋葬する場合の注意点を静かに整理しました。急いで決めなくて大丈夫です。落ち着いて読み進めていただければと思います。


一言でいうと、亀も犬や猫と同じように火葬でき、甲羅も含めたお骨を手元に残すことができます。ただし爬虫類の火葬に慣れた業者かどうかで対応が変わるため、申し込みの前に「亀の火葬実績があるか」を確認しておくと安心です。
亀が亡くなったあと、まず落ち着いてしたいこと

亀は動きがゆっくりで、冬眠や低温時の代謝低下によって、ほとんど動かない状態になることもあります。そのため「本当に亡くなったのか判断がつかない」と迷われる方は少なくありません。手足や首がだらりと伸びきったまま反応がない、においが出てきているなど、気になる点があるときは、まずかかりつけの動物病院や爬虫類を診てくれる病院に相談してみてください。判断に迷う段階で無理に決めてしまわなくて大丈夫です。
お別れが確かなものになったら、火葬や埋葬までの間、体をできるだけ穏やかな状態で保ってあげます。一般的なペットの安置と同じで、直射日光と暖かい場所を避け、涼しい部屋で保冷剤や氷を当てて休ませてあげる方法が案内されています。体の下にペットシーツやタオルを敷き、箱に寝かせてあげると、そのまま火葬にお連れしやすくなります。
亀の場合、甲羅があることで体の内側の状態が外から分かりにくく、季節によっては傷みが進みやすいこともあります。夏場であれば早めに、涼しい時期でも数日以内には見送りの日を決められるよう、業者に連絡を取っておくと落ち着いて進められます。ただ、「今日中に決めなければ」と急ぐ必要はありません。ご家族の気持ちが整うまでの時間も、大切な時間です。
亀の火葬は受け付けてもらえる?対応業者の探し方

結論からお伝えすると、亀の火葬に対応している業者は全国にあります。カメ専用のページを設けて火葬プランを案内している業者もあり、ミドリガメ・クサガメ・イシガメ・リクガメなど複数の種類を受け付けていると明記しているところもあります(執筆時点の各社公式サイトより)。
一方で、東京のペット葬儀社が自社ブログで「ペット火葬業者のなかには、犬や猫しかできないところもあるかもしれません」と説明しているように、爬虫類の火葬経験がない業者では断られることがあるのも事実です。断られたからといって、その子が見送ってもらえないわけではありません。爬虫類の対応実績がある別の業者を探せば、きちんと引き受けてもらえます。
探し方としては、次のような方法があります。
- 「亀 火葬 + お住まいの市区町村名」で検索し、爬虫類・小動物の対応が明記された業者を探す
- ペット火葬の紹介サービスに、亀であることを伝えて対応可能な業者を紹介してもらう
- お住まいの自治体の窓口で、動物の遺体の引き取り・火葬の取り扱いを確認する(自治体によって扱いは大きく異なります)
- 爬虫類を診てくれる動物病院に、提携している火葬業者がないか相談する
問い合わせの際は、最初に「亀です」「甲長は約◯cm、体重は約◯kgです」と伝えると話が早く進みます。爬虫類の火葬は体格による炉の使い分けが必要になることがあり、業者側も先に分かっていたほうが正確な案内ができます。
火葬で甲羅とお骨はどう残るのか

「亀 火葬 甲羅」「亀 火葬 骨」と調べる方がとても多いのは、あの甲羅を失いたくないという気持ちの表れなのだと思います。
亀の甲羅は、外側の殻ではなく、肋骨や背骨が板状に変化して融合した骨格の一部です。そのため、火葬したあとも甲羅の部分はお骨として残ることが多いと、複数のペット火葬業者が説明しています。「亀は火葬をしてもお骨もしっかりと残る」と案内している業者もあります(執筆時点の各社公式サイト・ブログより)。
ただし、ここは正直にお伝えしておきたいところですが、生前と同じドーム状の形をそのまま保って戻ってくるとは限りません。ある業者は「一番印象的な甲羅は、その形のままではなく、模様と同じようにバラバラにわかれてしまいます」と説明しています。高温にさらされることで、甲羅を構成する骨のつなぎ目に沿って細かく割れる、ひび割れが入るといった変化が起こるためです。また、別の霊園では「甲羅は残るが遺骨は少量になる」という趣旨の案内もされており、体格や火葬の条件によって残り方には幅があります。
できるだけきれいに残してあげたい場合は、次の点を業者に確認しておくとよいでしょう。
- 亀(爬虫類)の火葬実績があるか、甲羅の残り方について説明してもらえるか
- 火葬中の風圧でお骨が飛ばないよう、網や受け皿などの工夫をしているか
- 返骨のある形式(個別火葬)かどうか、骨壷が料金に含まれるか
- 骨上げに立ち会いたい場合、立会個別火葬に対応しているか
なお、火葬前に甲羅だけを取り外して標本のように残すことを希望される方もいらっしゃいますが、甲羅は体と一体の骨格であり、そうした加工に対応している業者は多くありません。まずは「火葬したあとのお骨として、甲羅の部分も一緒に手元に置く」という形を基本に考えていただくのが現実的です。
亀の火葬にかかる費用と時間の目安

亀の火葬費用は、犬や猫と同じく「合同火葬」「個別一任火葬」「立会個別火葬」のどれを選ぶかで大きく変わります。多くの業者は体重(または体格)別の料金表を用意しており、亀は小型〜中型の枠に入ることがほとんどです。
| 火葬の形式 | 費用相場の目安(税込) | お骨の返却 | こんな方に |
|---|---|---|---|
| 合同火葬 | 5,000円台〜9,000円前後 | 返骨なし(霊園の合同墓で供養) | 費用を抑えたい/霊園で供養してもらいたい |
| 個別一任火葬 | 13,000円台〜16,000円前後 | 返骨あり(骨壷に納めて返却) | お骨と甲羅を手元に残したい |
| 立会個別火葬 | 16,000円台〜18,000円前後 | 返骨あり(骨上げに立ち会える) | 最後までそばで見送りたい |
実際の金額の例として、亀の火葬に対応するある業者では合同火葬5,500円(税込)〜、個別火葬13,200円(税込)〜、上位プラン16,500円(税込)〜と案内されています。また全国対応の紹介サービスでは、お引取りの霊園供養プラン8,500円(税込)〜、個別火葬一任プラン15,400円(税込)〜、個別火葬家族立会プラン17,600円(税込)〜という料金が示されています(いずれも執筆時点の公式サイト情報)。地域や体格、出張の有無で変わりますので、必ず申し込み前にご自身のケースの総額を確認してください。
火葬にかかる時間は、亀のような小さな体であれば短めです。ある霊園では亀の火葬時間を約40分程度と案内しています。立会個別火葬を選んだ場合は、お別れの時間・火葬・冷却・骨上げを合わせて、全体で1〜2時間ほどを見ておくと落ち着いて過ごせます。
庭に埋葬するという選択肢と、その前に確かめたいこと

「長く一緒にいた庭で眠らせてあげたい」——そう考えるのは、とても自然なお気持ちだと思います。火葬せずにそのまま土に還す方法(土葬)も、条件を満たせば選べます。ただ、亀の場合はいくつか知っておいていただきたい点があります。
まず場所です。動物の遺体を埋葬してよいのはご自身が所有する土地の中だけで、公園・河川敷・山林・他人の敷地に埋めることはできません。賃貸住宅の庭も所有地ではないため避けてください。埋める際は、他の動物に掘り返されないよう深さ1m前後を目安に掘り、土をしっかり戻すことが一般的に案内されています。
もうひとつが、時間です。亀は硬い甲羅に覆われているため、土に還るまでに何年、何十年とかかると考えておいたほうがよいと説明する業者もあります。数年後に庭の造作を変えたい、家を建て替える、引っ越すといった可能性がある場合、掘り返してしまうことになりかねません。土葬を選ぶなら「この土地に長く住み続けるか」を一度考えてみてください。
アカミミガメ(ミドリガメ)を飼っていた方へ
ミドリガメとして親しまれてきたミシシッピアカミミガメは、2023年6月1日から外来生物法の「条件付特定外来生物」に指定されています。環境省の案内では、池や川などの野外に放したり逃がしたりすることが法律で禁止されており、販売・頒布・購入・輸入も規制の対象です(環境省「条件付特定外来生物アカミミガメ・アメリカザリガニの規制について」)。
この規制が対象としているのは、生きている個体を野外に放つ行為です。すでに亡くなった子を、ご自身の敷地内に埋葬したり、火葬してお骨を手元に置いたりすることは、この「野外への放出」にはあたらないと考えられます。亡くなった子をきちんと見送ることまでが禁じられているわけではありませんので、その点はどうかご安心ください。
ただし、動物の遺体の扱いは自治体ごとに定めが異なり、埋葬場所についても地域の条例が関わる場合があります。判断に迷うときは、お住まいの市区町村の窓口に確認していただくのが確実です。なお、飼えなくなった生きた個体については、環境省が新しい飼い主を探すなど最後まで責任を持った対応を呼びかけています。
火葬業者を選ぶときに確認したいこと

ペット火葬の業界には、残念ながら高額な追加請求や、火葬されたのかどうか分からないといったトラブルの報告があります。悲しみのなかで冷静な判断をするのは難しいものですが、次の5点を先に確かめておくだけで、多くの不安は避けられます。
1亀(爬虫類)の火葬実績があるかを確かめる
最初に「亀ですが対応できますか」と伝え、実績や甲羅の残り方について説明してもらえるかを確認します。曖昧な返答しか返ってこない業者は、無理に選ばなくて大丈夫です。
2固定の火葬施設や事務所の所在地を確認する
自社の火葬炉や霊園を持っているか、会社の所在地が公式サイトに明記されているかを見ます。訪問火葬(移動火葬車)を利用する場合も、拠点の住所と運営会社名が確認できるところを選んでください。
3立ち会いができるか、返骨があるかを確認する
立ち会いや骨上げができるか、返骨があるか、骨壷が料金に含まれるかは、業者やプランによって異なります。お骨を残したい場合は、申し込みの時点で必ず伝えておきます。
4総額を事前に書面やメールで確定させる
「亀◯cm・◯kg、個別火葬、骨壷あり、出張あり」と条件を伝えたうえで、追加料金の有無を含めた総額を確認します。当日になって高額な追加費用を求められた、という相談が実際に寄せられています。
5連絡の取りやすさと、説明の丁寧さを見る
電話やメールでの受け答えが丁寧か、こちらの気持ちを急かさないか。最後のお別れを託す相手ですから、ご自身が安心できると感じるかどうかを大切にしてください。
お住まいの地域で亀に対応できる業者が見つからないときは、全国のペット火葬業者を紹介してくれるサービスに相談する方法もあります。動物種と体格を伝えれば、対応可能な業者を案内してもらえます。急いで申し込む必要はありませんので、まずは対応の可否と総額を聞いてみる、という使い方で十分です。
火葬のあと、お骨をどうするか

返骨のある形式を選んだ場合、火葬のあとにお骨をどうするかを決めることになります。ここも急ぐ必要はありません。骨壷のまま自宅に置いておく期間に決まりはなく、気持ちが落ち着いてから考えて構いません。
- 手元供養:骨壷を自宅に置き、写真やお花と一緒に小さな供養スペースをつくる
- ペット霊園への納骨:個別墓・合同墓に納める(お参りの場所が持てる/管理費がかかる場合あり)
- 庭やプランターへの埋骨:火葬後のお骨を自宅の敷地に納める(土葬と違い場所を取らず、土にも還りやすい)
- 樹木葬・自然葬:樹木の下に納めるかたちで供養する(対応している霊園を選ぶ)
甲羅の部分のお骨は、他の骨より大きく特徴的な形で残ることがあります。そのかけらを小さな容器に分けて手元に置き、残りを霊園に納めるという分骨の形をとる方もいらっしゃいます。分骨を希望する場合は、火葬を依頼する段階で相談しておくとスムーズです。
亀と暮らした年月は、多くの場合とても長いものです。日々の水換えや温度管理、甲羅を洗ってあげた時間まで含めて、生活そのものにその子がいました。空いた水槽を片づけられない日が続いても、それは弱さではなく、一緒に過ごした時間の長さの証だと思います。どうか、ご自身のペースで。
よくある質問
※本記事の料金は執筆時点(2026年7月)の各社公式サイト情報です。最新は各公式サイトでご確認ください。
まとめ
亀も、犬や猫と同じように火葬で見送ることができます。甲羅は骨格の一部なので、返骨のある個別火葬を選べば、甲羅を含めたお骨を手元に残すことができます。形そのままではなく細かく割れて戻ることが多い点だけ、心づもりをしておいていただければと思います。費用は形式によって5,000円台から18,000円前後までが目安で、爬虫類の火葬実績があるか・立ち会いと返骨ができるか・総額が事前に確定するかを確かめておけば、安心して託せます。庭への埋葬を選ぶ場合は、ご自身の所有地であること、土に還るまでに長い年月がかかることを踏まえて決めてください。
長い年月をともに過ごした小さな家族が、静かなところで安らかに眠れますように。