「いつか自分がこの世を去るとき、あの子と同じお墓で眠れたらいい」——そう考えたことのある方は、決して少なくありません。家族として過ごした時間が長いほど、自然に浮かんでくる願いだと思います。
ただ、いざ調べ始めると「人のお墓にペットを入れてよいのか」「お寺に相談したら断られるのでは」「自分に子どもがいないので、お墓を継ぐ人がいない」と、確かめたいことが次々に出てきます。特に承継者のことは、答えが出ないまま気持ちだけが重くなりやすい部分です。
この記事では、承継者がいなくても霊園や寺院が管理と供養を続けてくれる永代供養という形式に絞って、ペットと一緒に眠るという選択肢を整理しました。法律上どう位置づけられているのか、実際にどんな受け入れ方があるのか、費用はどこを見ればよいのか、家族とはどう話せばよいのか。当メディア編集部が法令の条文と霊園・寺院の公開情報を調べ、静かにまとめています。急いで決める必要はありません。少しずつ読み進めていただければ幸いです。


一言でいうと、ペットと一緒の永代供養は法律で禁じられているわけではなく、受け入れるかどうかは霊園・寺院それぞれの規約で決まる、というのが実情です。だからこそ「一緒に入れます」という言葉が、どこまでの「一緒」を指しているのかを、申し込み前に確認しておくことが大切になります。
ペットと一緒の永代供養はできるのか|法律と規約の関係

まず前提として、日本のお墓の決まりを定めているのは「墓地、埋葬等に関する法律」(いわゆる墓地埋葬法)です。同法第2条は「埋葬」を、死体を土中に葬ることと定義しており、ここでいう死体は人のものを指しています。つまりこの法律は、人の埋葬・火葬と墓地等の管理について定めたものであり、犬や猫などの愛玩動物の遺骨は同法の対象に含まれていない、と一般に整理されています。
そのため、「人のお墓にペットの遺骨を納めてはいけない」と明文で禁じる規定は置かれていません。一方で、法律が触れていないということは、判断が各墓地の管理者に委ねられているということでもあります。実際、公益財団法人大阪府都市整備推進センターが運営する大阪北摂霊園の解説でも、制度上ペットと人が同じお墓に入ること自体は可能としつつ、実際には霊園の規約と親族の同意が必要になると説明されています。
「永代供養」とはどういう形式か
永代供養とは、お墓を継ぐ人がいない場合でも、霊園や寺院が管理と供養を続けてくれる形式のことをいいます。「永代」という言葉から永遠を思い浮かべやすいのですが、実際には個別に安置する期間を13年・33年などと定め、その後は合祀(ごうし)に移るという設計になっている区画が多くあります。年間管理料が不要な代わりに、契約時に永代供養料をまとめて納める形が一般的です。
ペットと一緒に眠りたいという願いと永代供養が結びつきやすいのは、この「継ぐ人がいなくてもよい」という性質があるためです。子どもがいない、遠方に住んでいて墓守を頼めない、といった事情のある方にとって、放置されたお墓にペットを残す心配をしなくてよいという安心につながります。
受け入れが民間霊園に多い理由
受け入れ先が民間霊園や宗旨宗派を問わない霊園に多いのは、宗教的な考え方の違いによるところが大きいとされています。人と動物を同じ墓所に納めることについては、慎重な立場をとる寺院もあれば、家族の一員として受け入れる寺院もあり、統一された見解があるわけではありません。どちらが正しいという話ではなく、その墓地の考え方に沿えるかどうかという問題として受け止めていただくのがよいと思います。
なお、自治体が運営する公営霊園では、ペットとの共葬を認めていない場合が多いと案内されています。お住まいの地域の公営霊園を検討している場合は、募集要項でペットの扱いに触れられているかを確かめてみてください。
ペットと一緒に入れる永代供養の形式

ひとくちに「ペットと一緒に入れる永代供養」といっても、お墓の形はいくつかに分かれます。見学に行く前に、どの形が自分たちの希望に近いかをおおまかに掴んでおくと、比較しやすくなります。
樹木葬型
樹木や草花を墓標とする形式で、ペットとの共葬を受け入れる区画がもっとも見つかりやすいのがこのタイプです。個別の区画に納める型と、あらかじめ決められた共同の樹の下に納める集合型があります。自然に還るイメージを大切にしたい方や、和型の墓石にこだわらない方に選ばれています。区画によっては、一定年数のあと合祀に移る設計になっています。
納骨堂型
屋内の施設にお骨を安置する形式です。ロッカー式・仏壇式・自動搬送式などがあり、天候に左右されずお参りできること、駅から近い立地が多いことが特徴として挙げられます。ペットと一緒に納められる区画を設けている納骨堂もあり、年齢を重ねてからもお参りを続けやすい点を理由に選ぶ方がいます。
永代供養墓(合祀墓・集合墓)型
最初から他の方と同じ場所に納める合祀型と、一定期間は個別に安置してから合祀に移る集合型があります。費用を抑えやすい一方、合祀後はお骨を取り出せなくなるのが通例です。またペットについては、人の合祀墓ではなくペット専用の合同慰霊碑に合祀する運用にしている霊園もあり、この点は事前の確認が欠かせません。
一般墓+永代供養の付いた区画
墓石を建てるタイプでありながら、承継者がいなくなった時点で霊園が引き継いで永代供養に移す、という設計の区画です。「墓石を建てたいけれど、その後を託せる人がいない」という希望に応える形で、ペット共葬を認めている霊園もあります。初期費用は高くなりやすい形式です。
費用の考え方と内訳の見方

費用は霊園ごとの差が非常に大きく、全国一律の相場を示すことにはあまり意味がありません。それよりも、提示された金額に何が含まれていて、何が別途かかるのかを分解して読むほうが、比較の役に立ちます。永代供養の区画でよく登場する費用項目を整理しました。
| 費用項目 | 内容 | 確認しておきたいこと |
|---|---|---|
| 永代使用料 | 区画やスペースを使う権利にあたる費用 | ペットの分が別料金か、人数分に含まれるか |
| 永代供養料 | 霊園・寺院が管理と供養を続けるための費用 | 個別安置の年数と、その後の扱い |
| 彫刻料・銘板料 | 墓誌やプレートに名前を刻む費用 | ペットの名前も刻めるか、1名ごとの単価 |
| 納骨手数料 | 納骨のたびに発生する作業費用 | 2回目以降の納骨にもかかるか |
| 年間管理料 | 共用部の維持管理にあてる年額費用 | 永代供養料に含まれ不要となる区画も多い |
| その他の一時金 | 環境保全費・施設維持費などの名目 | 契約時のみか、更新があるか |
公式に確認できた費用の一例
実際の金額感をつかむ手がかりとして、公式の案内に価格が明示されている霊園を一つ挙げます。東京都青梅市の奥多摩霊園にある家族永代供養の樹木葬「さくら Withペット」は、公式案内によると樹木葬タイプが780,000円(税込)、ロッカータイプが735,000円〜835,000円(税込)、墓石付きタイプが1,320,000円〜(税込)と案内されています(執筆時点)。永代供養のため年間管理料は不要で、申し込み時に環境保全費110,000円(税込)を一度だけ納める形とされています。人・ペットともに埋蔵数の上限は設けられていない一方、ペットのみの埋蔵はできない旨も明記されています。
この一例からも分かるように、同じ霊園の中でもタイプによって金額は倍近く変わります。ペットと一緒に入れるかどうかだけでなく、どのタイプを選ぶかで総額が動くという点を、最初に押さえておくと検討が進めやすくなります。金額はいずれも各霊園の公式サイト・募集要項でご確認ください。
申し込み前に確認しておきたいこと

「ペットと一緒に入れます」という案内の意味は、霊園によって少しずつ違います。同じ納骨室に納める霊園もあれば、人の区画のそばにペット専用の墓域を用意している霊園もあります。後から気づいて悔やまないために、次の点は資料請求や見学のときに言葉にして確かめておくことをおすすめします。
1合祀に移ったあとも一緒のままかを確かめる
個別安置の期間が終わったあと、人は人の合祀墓へ、ペットはペット専用の合同慰霊碑へと分かれる運用にしている霊園もあります。「最後まで一緒に」を望むのであれば、この点が最も大切な確認事項になります。
2納められる頭数と骨壷の大きさを確かめる
多頭飼育のご家庭では、頭数の上限が設けられていないかを確認しておきましょう。骨壷のサイズに制限がある区画もあり、大型犬の場合は特に事前確認が必要です。粉骨して容量を小さくすれば納められる、という案内をする霊園もあります。
3あとから追加で納骨できるかを確かめる
先にお迎えする子がいる場合、契約後に納骨を重ねられるか、そのつど手数料がかかるかを確認します。将来ご自身が納骨されるときの手続きを、誰が行うことになるのかも聞いておくと安心です。
4宗旨宗派と法要の扱いを確かめる
宗旨宗派を問わない霊園でも、法要は特定の作法で営まれることがあります。ご自身やご家族の考え方と無理なく合うかどうか、儀礼の内容と参列の自由度を聞いておくとよいでしょう。
5経営主体と管理の継続性を確かめる
永代供養は、その霊園が続くことを前提にした約束です。経営主体(宗教法人・公益法人など)と、供養が続けられる仕組みについての説明を受けておきましょう。現地見学で墓域の手入れの状態を見ることも、判断の材料になります。
火葬がこれからの場合は、返骨の可否から確かめる
お墓に納めるには、当然ながらお骨が手元に戻っていることが前提になります。ペットの火葬は、他の子と一緒に火葬してそのまま業者が供養する合同火葬では、原則としてお骨は返却されません。ペットと一緒の永代供養を考えているのであれば、返骨のある個別火葬・立会火葬を選ぶ必要があります。
また、ペット火葬の分野では、移動火葬車による不適切な取り扱いや、当日になって高額な追加費用を求められたといった事例が報じられてきました。依頼先を決めるときは、①立ち会いができるか、②お骨を返してもらえるか、③固定した火葬施設と所在地が公表されているか、④総額が事前に書面で示されるか、の4点を必ず確かめてください。どこに頼めばよいか見当がつかないときは、複数社を扱う相談窓口に希望を伝えて紹介を受ける方法もあります。
\ 詳細・ご相談は公式サイトから /
立ち会い・返骨の可否や費用の目安について、24時間受付の窓口で相談できます。無理に決めず、条件だけ聞いてみる使い方でも構いません。
家族・親族と話しておきたいこと

ペットと一緒の永代供養で、霊園の規約と並んで大きな要素になるのが、ご家族・ご親族の受け止め方です。制度上は可能でも、実際にはここでつまずくことが少なくありません。
特に、先祖代々のお墓に後からペットの遺骨を納めたいという場合は注意が必要です。そのお墓の使用権を持つのは名義人である墓地使用者一人であっても、実際にお参りをするのは親族全体です。相談のないまま納めてしまうと、気持ちのすれ違いが長く残ってしまうことがあります。まずは霊園・寺院に規約を確かめ、そのうえで親族に事情を話す、という順序が穏やかです。
新しく永代供養の区画を契約する場合でも、次のような点は共有しておくと後々の負担が軽くなります。
- どの霊園のどの区画を契約したか(所在地・連絡先・契約書の保管場所)
- 個別安置の期間と、その後の扱い
- 納骨を依頼する相手(親族・友人・専門の事業者など)
- 手元に残しているお骨や遺品をどうしてほしいか
言い出しにくいと感じる場合は、「あの子と一緒がいい」という気持ちだけを先に伝え、具体的な手続きの話は後日に分けても構いません。一度で結論を出そうとしないことが、かえって話を進めやすくします。
探し始めてから納骨までの進め方

最後に、検討を始めてから納骨に至るまでの流れを整理します。急ぐ必要はありませんが、順序を知っておくと「次に何をすればよいか」で立ち止まらずに済みます。
1いまのお骨の置き場所を決める
すぐに納骨しなければならない決まりはありません。心の整理がつくまで自宅で手元供養を続け、落ち着いてから霊園を探す方も多くいらっしゃいます。まずは骨壷を湿気の少ない場所に安置し、時間をかけて考えて構いません。
2希望条件を三つだけ書き出す
立地(通える距離か)、形式(樹木葬・納骨堂など)、承継の有無の三つを先に決めると、候補が絞りやすくなります。予算は、この三つが決まってから当てはめるほうが迷いません。
3資料請求してペットの記載を確かめる
募集要項に「ペットと一緒に納骨できます」と書かれていても、条件の詳細は別紙に書かれていることがあります。頭数・骨壷サイズ・合祀後の扱いの記載を探してください。
4現地を見学し、費用の総額を確認する
墓域の手入れの状態、駐車場やバリアフリーの様子、お参りの動線を見ておきます。見積書は前述の内訳ごとに分けて出してもらい、追加費用の有無を確認しましょう。
5家族に共有し、契約・納骨へ
契約内容と保管場所を家族に伝えます。納骨の日取りは、命日や誕生日に合わせる方もいれば、気持ちが落ち着いた日を選ぶ方もいます。決まった作法はありませんので、ご自身の納得できる日で構いません。
よくある質問
※本記事の料金は執筆時点(2026年8月)の各霊園公式サイトの公開情報です。最新の価格・募集状況は各公式サイトでご確認ください。また、ペットとの共葬の可否は霊園・寺院ごとの規約により異なります。
まとめ
ペットと一緒の永代供養は、法律で禁じられているものではなく、受け入れるかどうかは霊園・寺院それぞれの規約に委ねられています。だからこそ、「一緒に入れます」という案内が同じ納骨室を指すのか、同じ霊園の隣り合う場所を指すのか、そして個別安置の期間が終わったあとも一緒のままなのかを、申し込み前に一つずつ確かめることが何よりも確実です。
費用は全国一律ではありません。永代使用料・永代供養料・彫刻料・納骨手数料といった内訳に分けて読み、総額で比べてください。そして、規約と同じくらい大切なのが、ご家族・ご親族との話し合いです。時間をかけて構いません。
いまはまだ、何も決められない時期かもしれません。それでも「一緒にいたい」という気持ちは、これから先の供養のかたちを選ぶときの、いちばん確かな道しるべになります。どうか、あなたとあの子の穏やかな時間が、これからも静かに続いていきますように。