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犬の呼吸が早い|正常な呼吸数と数え方・受診の目安をやさしく解説

眠っている愛犬の胸を見ていたら、いつもより呼吸が速い気がする——そんなとき、胸がざわつくものです。呼吸は、犬が言葉にできない体調をそっと教えてくれるサインでもあります。とくに安静にしているのにお腹をせわしなく動かして息をしていたり、ふだんと様子が違ったりすると、「このまま様子を見ていいのか、すぐ病院に連れて行くべきか」と迷ってしまいますよね。

この記事では、犬の呼吸が早いときにまず知っておきたい「正常な呼吸数の目安」と、その数え方、呼吸が速くなる主な原因、そして見逃したくない危険なサインと受診の目安を、静かに整理してお伝えします。医療的な診断はできませんが、あなたが落ち着いて次の一歩を選ぶための手がかりになればと思います。

飼い主さん
寝ている愛犬の呼吸が、なんだか速い気がして心配で……。これって、すぐ病院に行ったほうがいいのでしょうか。
編集部
不安ですよね。まずは安静時の呼吸数を数えて、目安と比べてみましょう。そのうえで、涼しい場所で安静にしているのに口を開けて苦しそう・歯ぐきの色が悪いといった危険なサインがあれば、迷わず動物病院へご連絡ください。判断の手がかりを一緒に見ていきましょう。

一言でいうと、犬の安静時の呼吸数は1分間におよそ15〜30回が目安とされ、この状態が続けて40回を超えるときや、涼しい場所で安静にしているのに口を開けて苦しそうにするときは、動物病院への相談が望ましいとされています。まずは落ち着いて呼吸数を数え、危険なサインの有無を確かめることが、次の一歩を選ぶ助けになります。

犬の呼吸が早いとき、まず知りたい「正常な呼吸数」

犬の呼吸が速いと感じたら、最初にすることは「実際の呼吸数を数えて、正常の目安と比べる」ことです。感覚だけで判断せず、数字にしてみると、落ち着いて状況を見つめられます。

室内でくつろぎながら眠る犬
写真はイメージです

米国の動物病院グループVCA Animal Hospitalsは、犬・猫に共通する安静時・睡眠時の正常な呼吸数を「1分間に15〜30回」とし、これを継続的に超える場合は異常と考えられると案内しています。日本の獣医療情報でも、成犬以上の安静時はおおむね1分間に15〜30回ほどが目安とされ、睡眠時は18〜25回ほどに落ち着くことも多いと説明されています(PetVoice/笠松動物病院などの獣医師監修情報より)。子犬や体の小さい犬はやや多めになる傾向があるといわれます。

「速い」と感じたら、まず数えて比べる

呼吸が速く見えても、直前に散歩や運動をしていた・暑い・興奮しているといった一時的な理由で上がっていることもあります。運動や興奮のあとは自然に呼吸が速くなるため、犬が落ち着いて眠っているときの数値で比べるのが基本とされています。ふだんから安静時の呼吸数を知っておくと、「いつもと違う」に早く気づけます。

数値はあくまで目安。犬種差もある

呼吸数には個体差・犬種差があり、小型犬は基礎代謝が高いためやや速め、大型犬は肺活量が大きいためゆっくり深い呼吸になる傾向があるといわれます。大切なのは一度きりの数字より、その子ふだんの数値からの変化です。数値が目安の範囲でも、様子がおかしいと感じるときは獣医師に相談してよいとされています。

安静時呼吸数の数え方【3ステップ】

安静時呼吸数は、特別な道具がなくても自宅で数えられます。眠っている、または落ち着いているときの犬の胸やお腹の動きを、静かに見つめるだけです。手順を図にまとめました。

犬の安静時呼吸数の数え方を3ステップで示した図
安静時呼吸数の数え方(当メディア編集部作成)

1眠っている・落ち着いているときを選ぶ

散歩や運動の直後、ハアハアと荒い呼吸をしているとき、暑い場所にいるときは数値が上がりやすいため避けます。涼しい室内で静かに眠っているタイミングが理想です。

2胸(またはお腹)の上下を1回と数える

胸がふくらんで、しぼんで、で1回とカウントします。VCA Animal Hospitalsも「胸が一度だけ吸って吐いたら1回」と数える方法を案内しています。お腹の動きで数えてもかまいません。

315秒間数えて4倍する

15秒間の回数を4倍すると、1分あたりの呼吸数の目安になります。落ち着いて数えたいときは30秒×2、または60秒そのまま数えても構いません。数えた日付と数値を記録しておくと、変化に気づきやすくなります。

安静時の目安である15〜30回を大きく超え、40回以上の状態が続くようなら注意が必要とされ、これは心不全や重い呼吸器の不調が隠れているサインの可能性があると案内している動物病院もあります。ただし、これらは一般的な目安であり、最終的な判断は診察を通じて獣医師が行います。

犬の呼吸が早くなる主な原因

呼吸が速くなる背景には、一時的なものから、注意して見守りたいものまで幅があります。原因を自己判断で特定することはできませんが、どんな可能性があるかを知っておくと、獣医師に状況を伝えるときに役立ちます。獣医療情報では、主に次のような要因が挙げられています。

動物病院で犬を診察する獣医師
写真はイメージです
要因のタイプ 具体例(一般的に挙げられるもの) 見られやすい様子
一時的なもの 運動・興奮・暑さ・緊張やストレス 落ち着けば自然に戻ることが多い
呼吸器の不調 気管虚脱、肺炎、胸に水がたまる状態など 咳・呼吸が浅く速い・苦しそう
心臓の不調 僧帽弁閉鎖不全症などが知られる 安静時でも呼吸が速い・咳・元気がない
痛み・発熱 けが、炎症、感染症など 触られるのを嫌がる・じっとする
全身の不調 貧血、熱中症などが挙げられる ぐったり・食欲や様子の変化を伴うことも

このように、呼吸の速さは体のさまざまな部分からのサインになり得ます。とくに涼しい場所で安静にしているのに呼吸が速い状態が続く場合は、一時的な興奮や暑さとは考えにくいため、原因を確かめる意味でも受診が望ましいとされています。原因の特定と治療の判断は、必ず動物病院で行ってください。

ふつうのパンティングと、心配な呼吸の見分け方

犬は人のように全身で汗をかけないため、口を開けて舌を出し「ハアハア」と速く呼吸するパンティングで体温を調節します。運動のあとや暑いとき、興奮したときのパンティングは、犬にとって自然な行動です。問題は、そのパンティングが「体温調節のため」なのか「苦しさのサイン」なのかを見分けることにあります。

飼い主の手にそっと前足を乗せる犬
写真はイメージです

目安として、涼しい室内で安静にしているのにハアハアが止まらない、運動していないのに息が荒い、休んでも呼吸が落ち着かないときは、ふだんのパンティングとは違うサインとして気に留めたいとされています。とくにパグ・フレンチブルドッグ・シーズーなどの短頭種は、生まれつき鼻や喉の構造から呼吸がしにくく、パンティングでの体温調節が苦手で熱中症のリスクも高いといわれます。短頭種の子は、ふだんから呼吸の様子に気を配ってあげると安心です。

すぐ動物病院へ|見逃したくない危険なサイン

呼吸数が目安より多いかどうかにかかわらず、次のようなサインが見られるときは、緊急性が高いと考えられています。ひとつでも当てはまるようなら、「もう少し様子を見よう」と待つより先に、夜間でもかかりつけや救急の動物病院へ連絡することがすすめられています。

犬の呼吸に関する危険なサインを4つ示した図
すぐ受診を考えたい呼吸の危険サイン(当メディア編集部作成)

とくに緊急性が高いとされるサイン

  • 涼しい場所で安静にしているのに、口を開けて苦しそうに呼吸している…暑さや運動と無関係な口呼吸は、強い苦しさのサインといわれます
  • 歯ぐきや舌が白っぽい・紫っぽい(チアノーゼ)…酸素が十分に行き渡っていない危険な状態とされます
  • 肩やお腹を大きく使って、苦しそうに呼吸している/横になれず座ったまま呼吸する
  • 呼吸が浅く速い状態が続いている、または激しい咳が止まらない
  • ぐったりして反応が鈍い、ふらつく、倒れる、食欲がない

犬は不調を隠すこともあり、飼い主さんが気づいたときにはすでにつらさを我慢していることもあります。だからこそ、上のようなサインは「大げさかな」と迷わず、早めに専門家へ相談してよいものとされています。

受診の目安と、慌てないための備え

いざというときに落ち着いて動けるよう、受診の目安と日ごろの備えを整理しておきましょう。判断に迷ったときは、自己判断で抱え込まず、まず電話で相談するのが安心とされています。

窓辺の穏やかな光の中で過ごす様子
写真はイメージです

こんなときは早めに相談を

動物病院に相談したい目安


・安静時の呼吸数が40回を超える状態が続く
・涼しい場所で安静にしているのに口を開けて苦しそう、歯ぐきや舌の色が悪い
・咳やゼーゼーした音、苦しそうな様子がある
・元気・食欲がない状態を伴う
・数値が目安の範囲でも「いつもと違う」と感じる

日ごろからできる備え

ふだんの安静時呼吸数を知っておくこと、そしてかかりつけの動物病院と、夜間・救急に対応する病院の連絡先を控えておくことが、いざというときの大きな助けになります。呼吸の様子を短い動画で撮っておくと、受診時に獣医師へ伝わりやすいといわれます。慌てて連れて行くときも、なるべく興奮させず、涼しく静かに過ごさせながら向かってあげてください。

シニア期の犬の呼吸の変化と、向き合い方

年齢を重ねると、心臓や呼吸器の働きが少しずつ変化し、若いころより呼吸に気を配りたい時期に入っていきます。シニア期の犬では、僧帽弁閉鎖不全症など心臓の不調がゆっくり進むこともあり、その初期のサインが「安静時・睡眠時の呼吸数の増加」として表れることがあるとされています。日々の呼吸数の記録や定期的な健康診断が、体調の変化に早く気づく手がかりになるといわれます。

穏やかな時間を過ごすシニア期の犬の様子
写真はイメージです

もし持病が見つかっても、それは終わりではありません。獣医師と相談しながら、その子が穏やかに過ごせる時間を大切にしていくことができます。呼吸の変化に気づいたときは、不安をひとりで抱えず、専門家と共有していきましょう。

お別れが近づいてきたと感じたら

高齢や病気とともに歩むなかで、呼吸の変化を通して「その時」が少しずつ近づいていると感じる瞬間があるかもしれません。呼吸がゆっくりになったり、間隔が空いたりする変化を前に、胸が締めつけられる思いをされる方も多いと思います。

穏やかな灯りとお花のそばで静かに過ごす様子
写真はイメージです

できることは、そばで静かに寄り添い、あたたかい場所で安心させてあげること。そして、つらいときは獣医師に、緩和や看取りについて相談することもひとつの選択です。あなたがそばにいてくれること自体が、その子にとって何よりの支えになります。

もしものときに慌てないよう、お別れのあとの流れを事前に少し知っておくと、いざというとき心に余裕が生まれます。悲しみとの向き合い方についても、無理のない範囲で知っておけると心強いものです。

よくある質問

Q寝ているときに呼吸が速いのは大丈夫ですか?

A眠っているときはむしろ呼吸が落ち着くのが一般的とされ、安静時・睡眠時に呼吸が速い状態が続くのは注意したいサインといわれます。夢を見て手足をピクピクさせながら一時的に速くなることはありますが、目を覚ましても速いまま・お腹を大きく使っているなどの様子があれば、呼吸数を数えたうえで動物病院に相談してください。

Q運動していないのにハアハアしています。心配ですか?

A涼しい場所で安静にしているのに口を開けたパンティングが止まらない、休んでも息が落ち着かないといった様子は、体温調節のためのふつうのパンティングとは違うサインとされ、注意したい状態の一つです。ふだんの呼吸と明らかに違うと感じたら、早めに受診を検討してください。

Q呼吸が速いだけで、元気も食欲もあります。それでも病院に行くべき?

A元気があっても、安静時の呼吸数が目安を継続的に超えている場合は、一度相談する価値があるとされています。まずは呼吸数を数え、記録して、電話で状況を伝えて指示を仰ぐと安心です。自己判断で「大丈夫」と決めてしまわないことが大切です。

Q呼吸が速いとき、家でできることはありますか?

A興奮させないよう静かな環境を整え、涼しく過ごさせてあげることは助けになります。ただし、これは受診までの間に落ち着かせるための対応であり、治療ではありません。危険なサインがあるときは、家で様子を見ずに動物病院へ連絡してください。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。呼吸数の目安や症状の説明は執筆時点で確認できた獣医療情報に基づく一般的な内容です。気になる症状があるときは、自己判断せず動物病院にご相談ください。

まとめ

犬の呼吸が早いと感じたら、まずは安静時の呼吸数を数え、1分間に15〜30回ほどという目安と比べてみることが第一歩です。40回を超える状態が続くとき、涼しい場所で安静にしているのに口を開けて苦しそうにするとき、歯ぐきの色が悪いときなどは、迷わず動物病院に相談することがすすめられています。呼吸は、その子が言葉にできない体調をそっと伝えてくれるサインです。

不安なときこそ、ひとりで抱え込まず、専門家の力を借りてください。あなたのその気づきと寄り添いが、その子の穏やかな毎日を支えていきます。今日もあの子が、安らかに息をして過ごせますように。

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