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猫の腎不全(慢性腎臓病)|症状・ステージ・食事療法と自宅ケアをやさしく解説

健康診断で「腎臓の数値が少し高いですね」と言われたり、いつもより水を飲む量が増えて、ごはんを残す日がぽつぽつと出てきたり——。猫の慢性腎臓病(腎不全)は、シニア期の猫にとても多い病気だと言われています。だからこそ「うちの子もそうなのかもしれない」と、胸がざわつく方も多いのではないでしょうか。

この記事では、猫の腎臓病がどんな病気なのか、あらわれやすい症状やステージの考え方、食事療法や自宅でできるケア、そして治療の選択肢や終末期の向き合い方までを、動物病院や獣医師が監修する情報をもとに静かにまとめました。診断や治療そのものはかならず獣医師が行うものですが、飼い主さんが落ち着いて寄り添うための手がかりになればと願っています。今そばにいてくれるこの子との時間を、少しでも穏やかに過ごせますように。

飼い主さん
健康診断で腎臓の数値が高いと言われました。まだ元気そうに見えるのですが、これからどうなっていくのか不安で……。何を知っておけばいいでしょうか。
編集部
お気持ち、とてもよく分かります。猫の腎臓病は進み方がゆっくりなことが多く、早めに気づいてケアを始めるほど、おだやかな時間を長く保ちやすいと言われています。まずは病気の全体像と、ご家庭でできることを一緒に整理していきましょう。

一言でいうと、猫の腎臓病(慢性腎臓病)はシニア期にとても多く、完全に治すのは難しい一方で、食事療法や水分ケアで進行をゆるやかにできる病気だとされています。数値の判断や治療方針はかならず動物病院で相談しながら進めていきましょう。

猫の腎臓病(慢性腎臓病)とはどんな病気?

猫の慢性腎臓病(CKD/慢性腎不全とも呼ばれます)は、腎臓の働きが少しずつ低下していく病気です。腎臓は血液から老廃物をこし取って尿として排出し、水分やミネラルのバランスを保つ大切な臓器ですが、そのはたらきが弱まると老廃物が体にたまりやすくなると言われています。

この病気の特徴は、ゆっくりと進行し、初期にはほとんど症状が出ないことが多い点だとされています。猫の腎臓病はシニア期にとても多く、アニコム損害保険グループの動物病院の解説によれば、15歳以上の猫の30%以上が罹患しているとの報告もあるとされています(出典:アニコム先進医療研究所「猫の慢性腎臓病」)。年齢を重ねた猫にとっては、けっして珍しい病気ではないのです。

窓辺で静かに過ごすシニア猫
写真はイメージです

「腎不全」という言葉には重い響きがありますが、近年は早期に見つけて対策を始めれば、進行をゆるやかにしながら年単位で付き合っていける子も少なくないと言われています。まずは正しく知ることが、落ち着いて見守る第一歩になります。

猫の腎臓病であらわれやすい症状・初期のサイン

猫の腎臓病でよく見られる初期のサインは、水を飲む量と尿の量が増える「多飲多尿」だとされています。次郎丸動物病院の獣医師による解説でも、多飲多尿や消化器症状が代表的な症状として挙げられています(出典:次郎丸動物病院「猫の慢性腎臓病の症状と原因、治療について」)。ただし初期は無症状のことも多く、健康診断の血液検査ではじめて気づくケースも少なくないと言われています。

気づきのきっかけになりやすい変化には、次のようなものがあるとされています。あくまで一般的な傾向であり、あてはまるからといって腎臓病と決まるわけではありません。

気づきやすい変化 どんな様子か
水をよく飲む・尿が増える 水飲み場に行く回数、トイレの砂が固まる量が増える
食欲が落ちる ごはんを残す、においを嗅いで食べない日が増える
体重が少しずつ減る 抱いたときに軽く感じる、背骨が触れやすくなる
吐き気・嘔吐 食後や空腹時に吐くことが増える
元気・毛づやの低下 寝ている時間が増える、毛並みがぱさつく
動物病院で診察を受ける猫
写真はイメージです

これらは加齢による自然な変化とも重なりやすく、見分けがつきにくいものです。「年のせいかな」と思う変化が続くときこそ、一度動物病院で血液検査や尿検査を受けておくと安心だと言われています。気になる症状があれば、早めにご相談ください。

猫の腎臓病のステージ(IRIS分類)と進み方

猫の腎臓病は、血液や尿の数値をもとに「ステージ1〜4」の4段階に分けて考えるのが一般的です。これはIRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)が提唱する分類で、血液中のクレアチニンやSDMA、尿の状態、血圧などを参考にステージを判断し、それぞれに合った治療方針を決めていくとされています(出典:ふく動物病院「猫の腎不全(IRIS分類について)」)。

なお近年は、筋肉量の影響を受けにくいSDMAという指標が使われるようになり、従来のクレアチニンより早い段階で腎機能の低下に気づきやすくなったとも言われています。ステージの考え方を、図で整理してみましょう。

猫の腎臓病のステージ1から4までの進み方を示した早見図
猫の腎臓病ステージ(IRIS分類)の早見表(当メディア編集部作成)

ステージが上がるほど、体調の波や症状が出やすくなる傾向があるとされています。ただし進み方には個体差が大きく、同じステージでも過ごし方はさまざまです。数値だけで一喜一憂せず、その子の食欲や様子とあわせて、獣医師と相談しながら見ていくことが大切だと言われています。

猫の腎臓病の余命・末期はどう考える?

「あとどのくらい一緒にいられるのか」は、飼い主さんにとって何よりつらい問いだと思います。ただ、猫の腎臓病の経過はステージや発見の早さ、その子の体質によって大きく異なり、一律の余命を示すことはできないとされています。同じステージでも、食事療法やケアがうまく続けられる子は、年単位でおだやかに過ごせることも少なくないと言われています。

末期(ステージ4)になると、老廃物がたまって「尿毒症」と呼ばれる状態になり、強い食欲不振や嘔吐、ぐったりするといった症状が出やすくなるとされています。この段階では、病気を治すことよりもつらさを和らげて穏やかに過ごすための緩和ケアが中心になっていくと考えられています。数値や症状をどう受け止め、どんなケアを選ぶかは、その子の生活の質(QOL)を第一に、獣医師とていねいに相談していきましょう。

猫にそっと寄り添う飼い主の手
写真はイメージです

お別れの時期が視野に入ってきたときの、安置やお見送りの流れについては、こちらの記事にやさしくまとめています。今すぐでなくても、心の準備の一助になれば幸いです。

猫の腎臓病の食事療法(療法食・リン・水分)

猫の腎臓病のケアで、多くの動物病院が最優先に挙げるのが食事療法だとされています。とくに大切だと言われているのが「リン」というミネラルの調整です。リンをとりすぎると腎臓への負担が大きくなるため、リンを控えめにした腎臓病用の療法食がすすめられることが多いとされています(出典:池田動物病院「猫の食事|慢性腎臓病(CKD)療法食の選び方」)。

タンパク質については、不足すると筋肉が落ちてしまう一方、多すぎると老廃物の処理が追いつかないため、その子の段階に合わせた調整が必要だとされています。ただし、リン制限が必要かどうかや療法食を始めるタイミングは進行段階によって異なり、初期には制限が不要なこともあるため、自己判断ではなくかならず獣医師と相談して決めることが大切です。市販フードから療法食への切り替えは、少しずつ混ぜながら進めるのが一般的です。

あわせて、水分をしっかりとれる工夫も欠かせません。水飲み場を複数に増やす、ぬるま湯や少量のふやかしを取り入れるなど、無理なく飲めるくふうを試してみましょう。療法食を食べてくれないときは、温めて香りを立てる、ウェットタイプを併用するなどの方法もあるとされていますが、食欲の低下自体が体調のサインのこともあるため、早めに動物病院にご相談ください。

やわらかな光が差し込む静かな室内
写真はイメージです

猫の腎臓病の治療と、自宅でできるケア

猫の腎臓病は完全に治すことは難しいものの、進行をゆるやかにし、つらさを和らげる治療やケアの選択肢が広がってきていると言われています。ここでは、代表的なものを整理します。いずれも実施の可否や方法は獣医師の判断によりますので、あくまで全体像の参考としてお読みください。

1食事療法を続ける

リンを控えめにした療法食を、その子の段階に合わせて続けます。多くの獣医師が最優先のケアと位置づけているとされています。

2水分補給・皮下点滴で脱水を防ぐ

腎臓病では脱水になりやすいため、水分補給がとても大切です。進行に応じて、皮膚の下に水分を入れる「皮下点滴(皮下補液)」を取り入れることがあり、獣医師の指導のもとで自宅で行える場合もあるとされています(出典:ノア動物病院「猫の皮下点滴」)。

3症状に応じたお薬

進行を抑える目的で使われる猫用の内服薬(ベラプロストナトリウム=商品名ラプロスなど)があり、IRISステージ2〜3の猫を対象に承認されているとされています。高血圧や吐き気など、症状に合わせた薬が併用されることもあります。

4環境を整え、定期的に検査する

あたたかく静かな寝床を用意し、段差やトイレの位置を見直して負担を減らします。血液・尿・血圧などを定期的に確認し、変化に早く気づくことが穏やかな毎日につながるとされています。

自宅でできるケアを、あらためて図で整理してみました。どれも「治すため」ではなく、その子の毎日を少しでも楽にするための工夫です。

腎臓病の猫と穏やかに過ごすための自宅ケア4つを示した図
腎臓病の猫と過ごすための4つのケア(当メディア編集部作成)

皮下点滴やお薬は、飼い主さんだけで判断せず、かならず獣医師の指導のもとで行ってください。「これで合っているのかな」と迷うことがあれば、遠慮なくかかりつけの動物病院に相談することが、いちばんの安心につながります。

お別れが近づいてきたときに、そっとできること

ケアを尽くしても、腎臓病がゆっくりと進み、お別れの時期が近づいてくることもあります。食欲がほとんどなくなったり、一日の多くを眠って過ごすようになったりする姿に、胸が締めつけられる方も多いと思います。それでも、そばにいて名前を呼び、体をさすってあげること自体が、その子にとって何よりの支えになると言われています。

この時期は、無理に食べさせようと焦るよりも、その子が少しでも楽に、安心して過ごせることを大切にしてあげたい時間です。痛みやつらさを和らげる緩和ケアについては、動物病院と相談しながら、その子に合った方法を選んでいきましょう。どんな選択にも正解・不正解はありません。

花とキャンドルを供えたペットのメモリアルスペース
写真はイメージです

看取りや供養、そしてその後に訪れる深い喪失感との向き合い方については、次の記事もそっと寄り添う気持ちでまとめています。

よくある質問

Q猫の腎臓病は治りますか?

A慢性腎臓病は、いちど低下した腎機能が元どおりに回復することは難しいとされています。ただし、食事療法や水分ケア、症状に応じた治療によって進行をゆるやかにし、おだやかな時間を保つことは十分に期待できると言われています。まずは早めに気づき、獣医師と一緒にケアを始めることが大切です。

Q水をたくさん飲むのは腎臓病のサインですか?

A多飲多尿は猫の腎臓病でよく見られるサインの一つとされていますが、糖尿病や甲状腺の病気など、ほかの原因で起こることもあります。飲水量が増えたと感じたら、自己判断せず動物病院で検査を受けると安心です。

Q療法食を食べてくれません。どうすればいいですか?

A温めて香りを立てる、ウェットタイプを併用する、市販フードから少しずつ切り替えるなどの方法があるとされています。ただし食欲の低下そのものが体調のサインのこともあるため、うまくいかないときは早めに獣医師に相談してください。

Q自宅で点滴(皮下点滴)はできますか?

A猫の状態や飼い主さんの状況によっては、獣医師の指導のもとで自宅での皮下点滴が可能な場合もあるとされています。ただし針の扱いや量の管理には注意が必要なため、かならずかかりつけの動物病院の指示に従って行ってください。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。症状の判断や治療方針は状態によって異なります。気になる症状があるときは、かならずかかりつけの動物病院にご相談ください。

まとめ

猫の慢性腎臓病(腎不全)は、シニア期にとても多い病気ですが、早めに気づいて食事療法や水分ケアを続けることで、進行をゆるやかにしながらおだやかな時間を保ちやすいとされています。多飲多尿や食欲の変化など、小さなサインに気づいたら、一度動物病院で検査を受けてみてください。そして数値だけにとらわれず、その子の食欲や表情、寄り添える時間そのものを大切にしていただけたらと思います。

今日もそばにいてくれるこの子と過ごす一日一日が、あたたかく穏やかなものでありますように。

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