「ロブスターには寿命がない」「不老不死らしい」——そんな話を耳にして、実際のところどうなのだろうと気になった方も多いのではないでしょうか。海の生きものとしてだけでなく、水槽で暮らすザリガニの仲間として、その長い一生に心を寄せる方もいらっしゃいます。
この記事では、ロブスターの平均寿命や最高齢の記録、なぜ長寿といわれるのか、そして観賞用として身近なザリガニをペットとして迎えたときに知っておきたいことまで、公的機関や専門メディアの情報をもとに、静かに整理してお伝えします。数字はできるだけ出典を添えました。小さな同居人の時間を、そっと見つめ直すきっかけになればと思います。


一言でいうと、ロブスターの寿命は種類によって数十年から、まれに100年を超える個体もいるほど長寿です。ただし「不老不死」ではなく、脱皮の消耗や感染症などでいつか最期を迎えます。
ロブスターの平均寿命は何歳?
ロブスターの寿命は種類によって大きく異なりますが、多くの資料ではおよそ30〜50年前後とされることが多く、長生きな部類の生きものです。イギリスの自然史博物館(Natural History Museum)の解説では、ヨーロッパロブスターの平均寿命はオスで約31年、メスで約54年と紹介されています。海の甲殻類としては、かなりの長寿だといえます。

飼育環境や種類による差
ひとくちにロブスターといっても、冷たい海に生きるアメリカンロブスター(オマール)やヨーロッパロブスターと、暖かい海のイセエビ系(スパイニーロブスター)とでは生態が異なり、寿命の傾向も変わります。一般に、水温が低くゆっくり成長する種ほど長寿になりやすいと考えられています。飼育下では水質・水温・餌といった環境が寿命を大きく左右するため、「何年生きる」と一律には言い切れないのが実際のところです。
最高齢の記録
ロブスターの長寿を象徴するのが、最高齢とされる個体の記録です。2008年にカナダ・ニューファンドランド沖で捕獲された大型のロブスターは、推定年齢がおよそ140歳と伝えられました(A-Z Animals ほか)。体重は9kg前後にもなっていたとされます。年齢はあくまで体の大きさなどからの推定で、正確な確認は難しいものの、100年を大きく超える個体が存在しうることを示すエピソードとして知られています。

「不老不死」はなぜ広まった?寿命の本当のしくみ
ロブスターが「不老不死」と語られるのには、いくつかの理由があります。まず、ロブスターは脱皮のたびに殻だけでなく体の多くの組織を新しくし、生涯にわたって成長し続けます。さらに、細胞の老化に関わる「テロメア」を修復する酵素(テロメラーゼ)を活発に働かせる能力を持つため、加齢による衰えがゆっくりだとされています。この「歳をとりにくい」性質が、いつしか「死なない」という話に膨らんだと考えられています。
けれども、これはあくまで老化がゆっくりというだけで、寿命がないわけではありません。体が大きくなるほど脱皮に必要なエネルギーは増え、やがて脱皮の途中で力尽きたり、脱皮の失敗や細菌感染で命を落とすことが多くなるといわれます。高齢の個体が感染症で亡くなるのは、人が歳を重ねると病気にかかりやすくなるのと似ている、と説明されることもあります。「不老不死」は、生きものへのやさしい願いも込もった、誤解まじりの言い伝えといえるでしょう。

ペットとして飼えるザリガニの寿命
ロブスターと同じ仲間で、私たちにとって身近な存在がザリガニです。観賞用として水槽で楽しむ方も多く、その寿命はロブスターほど長くはありません。アメリカザリガニを飼育した場合の寿命は、3〜5年ほどが目安とされています(ザリガニ専門メディア・ペット関連情報より)。野生下では平均6〜7年ほど、環境によっては8年ほど生きる個体もいるといわれます。
飼育下でかえって寿命が短くなりやすいのは、越冬と水質管理の難しさが理由とされます。本来は水温が下がると冬眠に近い状態に入る生きものですが、暖かい水の中で休まず活動し続けると、体力を消耗して寿命が縮みやすいと説明されています。小さな体で私たちのそばにいてくれる時間は、決して長くはありません。

飼う前に知っておきたい法律のこと
ザリガニをペットとして迎える前に、ぜひ知っておいていただきたいのが法律の話です。環境省によると、アメリカザリガニは2023年6月1日から「条件付特定外来生物」に指定されました。一般家庭でペットとして飼うことはこれまで通り可能で、飼育に申請や許可は必要ありません。ただし、野外へ放すこと、販売・頒布を目的として飼うこと、売ったり有償で譲ったりすることは原則として禁止されています(環境省「日本の外来種対策」)。
さらに、アメリカザリガニ以外の外来ザリガニ(ミステリークレイフィッシュなど)は、2020年11月から「特定外来生物」に指定されており、ペットとして新しく飼うことはできません。すでにお迎えしている場合を含め、正しい情報を確認したうえで、迎えた子を最後まで責任を持って育てることが、飼い主の大切な約束になります。
ザリガニに長生きしてもらうためにできること
限られた時間だからこそ、日々の環境を整えて、できるだけ元気に過ごしてもらいたいものです。ここでは、飼育下のザリガニに長く元気でいてもらうために心がけたいことを整理しました。

1水質と水温をこまめに保つ
水は汚れやすいため、こまめな水換えで清潔さを保ちます。暖かすぎる水で休まず活動し続けると消耗しやすいとされるため、季節に応じた水温管理を意識します。
2広く深めの容器を選ぶ
大きめで深さのある水槽を用意すると、脱皮の失敗やストレスを減らしやすくなります。狭い環境は体への負担になりやすいと考えられています。
3栄養と隠れ家を用意する
専用フードを中心に、野菜などもバランスよく与えます。土管や石などで隠れ家を作ると、落ち着いて過ごせる場所になります。
4小さな変化を見逃さない
食欲や動きの低下は、不調のサインであることがあります。無理をさせず、静かに様子を見守ることも大切です。気になる様子が続くときは、水生生物を診てもらえる動物病院に相談するのも一つの方法です。
シニア期の変化とお別れが近づいたら
脱皮の回数がゆっくりになり、動きが穏やかになってきたら、その子なりに歳を重ねているのかもしれません。食欲が落ちたり、じっとしている時間が増えたりする変化は、生きものが最期に向かうときに見られることがあります。特別なことをするよりも、静かな環境を保ち、そっとそばにいてあげることが、いちばんの寄り添い方になることもあります。

そして、お別れのときが訪れたら。小さな体であっても、確かに一緒に過ごした家族です。ザリガニなどの水生生物も、火葬やプランター葬など、飼い主の気持ちに合った方法で見送ることができます。庭やプランターに土葬する場合は、外来生物を野外に流出させないよう、遺骸の扱いにも配慮が必要です。どんな形であっても、感謝の気持ちを込めてお別れができれば、それがその子にとっていちばんの供養になるはずです。
もしものときに慌てないよう、お別れから供養までの流れをあらかじめ知っておくと、心の準備にもなります。
また、小さな命であっても、失ったときの寂しさは決して小さくありません。心が沈む日が続くときは、無理をせず、ご自身の気持ちにもそっと目を向けてあげてください。
よくある質問
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。生きものの体調で気になる様子が続くときは、水生生物を診てもらえる動物病院にご相談ください。法律に関する情報は執筆時点(2026年7月)のものです。最新の情報は環境省などの公式サイトでご確認ください。
まとめ
ロブスターは種類によって数十年から、まれに100年を超えて生きることもある、とても長寿な生きものです。脱皮によって若さを保ち老化がゆっくりであることは事実ですが、「不老不死」ではなく、いつかは静かに最期を迎えます。身近なザリガニをペットとして迎えた場合の寿命は3〜5年ほどとされ、水質や環境を整えることが、元気に過ごしてもらう助けになります。
小さな体で私たちのそばにいてくれる時間は、決して長くはありません。だからこそ、一日一日を大切に、その存在をそっと見つめてあげたいものです。今日もあなたの小さな家族が、穏やかな水のなかで安らかに過ごせていますように。