手のひらにすっぽり収まる小さな体で、夜になるとカサカサと動きまわっていたハリネズミ。その子が丸くなったまま動かなくなったとき、「まだ眠っているだけかもしれない」と、しばらくケージの前から離れられなかった方も多いと思います。犬や猫のように周りに経験者が少なく、どこに相談すればいいのかも分かりにくい——その心細さが、悲しみをいっそう深くしているのかもしれません。
ハリネズミは、体が小さいぶん「火葬してもらえるのだろうか」「あの針はどうなるのだろう」「お骨は残るのだろうか」と、犬や猫とは違う不安が次々に浮かびます。実際、ペット霊園の料金表を見ても、ハリネズミという言葉が載っている業者と、載っていない業者があります。迷って当然です。
この記事では、編集部がペット霊園・ペット火葬業者の公式料金表、動物病院の解説、自治体の案内を調べ、ハリネズミの火葬を受け付けている業者の見分け方、針とお骨の残り方、費用の目安、依頼までの進め方を静かに整理しました。急いで決めなくて大丈夫です。落ち着いて読み進めていただければと思います。


一言でいうと、ハリネズミも犬や猫と同じように火葬でき、個別火葬を選べばお骨を手元に残せます。ただし針は火葬で燃えて残らないため、残したい方は火葬の前に数本そっと抜いて保管しておく方法が業者から案内されています。
その子は本当に旅立ったのか、まず静かに確かめる

ハリネズミの場合、火葬の話をする前に確かめておきたいことがあります。それは、動かなくなった状態が「低体温による冬眠のような状態」ではないか、という点です。
日本の家庭で飼われているハリネズミのほとんどは、アフリカ原産のヨツユビハリネズミです。にれのき動物病院(東京都小平市)の解説では、国内で飼育されているヨツユビハリネズミは本来は冬眠せず、飼育の最適温度は26〜30℃とされています。またアロハオハナ動物病院(愛知県豊田市)は、24〜27℃を保つことを勧めたうえで、20℃以下になると冬眠に入り、暖房のない日本の冬では命に関わると説明しています。
つまり、ハリネズミが冬眠したように動かなくなっている状態は、低体温のサインである可能性があります。同院はよくある質問のなかで、その場合は保温したうえで、反応がなければ早急に動物病院を受診するよう案内しています。ここは自己判断のむずかしいところですので、少しでも迷いがあるときは、火葬の手配より先にかかりつけの動物病院へご連絡ください。
反対に、動物病院で旅立ちを確認していただいたあとであれば、気持ちの整理をつけながら、次のお別れの形を考えていくことになります。
ハリネズミの火葬は、受け入れが業者で分かれる

ハリネズミの火葬でまず戸惑うのが、「そもそも受け付けてもらえるのか」という点です。犬・猫であればどの霊園でも料金表に載っていますが、小動物やエキゾチックアニマルの扱いは業者によってはっきり分かれます。
たとえば大森ペット霊堂(東京都大田区)の公式料金表には「兎・フェレット・モルモット・ハリネズミ・小型トカゲ・小型カメ等」という区分があり、ハリネズミが明記されています。北白川ペット霊園(京都市左京区)も「特小型Ⅱ モルモット・ハリネズミ他」という区分を設けています。一方で、最小区分が「ハムスター・リス・文鳥・セキセイインコ等」までしか書かれていない霊園もあり、その場合はハリネズミがどの区分に入るのかを申し込み前に確かめる必要があります。
ですから、電話やフォームで問い合わせるときは、次の3つを最初に伝えると話が早く進みます。
- 動物の種類(ハリネズミ/ヨツユビハリネズミ)
- 体の大きさ・おおよその体重(多くの子は数百g程度)
- お骨を返してほしいかどうか
群馬サファリパークの解説によると、ヨツユビハリネズミは体長14〜21cm、体重200〜300gほどの小さな生きものです(家庭で暮らす子はもう少し体格が大きくなることもあります)。犬猫の火葬しか扱っていない設備では、この小ささが理由でお骨がほとんど残らないこともあるため、小動物の火葬実績があるかどうかを先に確認しておくと安心です。
針とお骨はどうなるのか

ハリネズミを見送る方がもっとも気にされるのが、背中の針です。群馬サファリパークの解説では、ヨツユビハリネズミの針は約5,000本あるとされています。あの手ざわりを、記憶だけでなく形にも残しておきたいと思うのは自然なことです。
結論からお伝えすると、針は火葬では残りません。ペット葬儀サービスのペトリィ(シェアリングテクノロジー株式会社)は、ハリネズミの針は体毛が一本一本集まって硬化したものであるため火葬で残すことはできず、残したい場合は火葬前に数本取っておくとよい、と案内しています。大森ペット霊堂も同様に、針は焼けて残らないため、保存を希望する場合は火葬の前にやさしく抜いて保管する方法を紹介しています。
一方で、お骨のほうは残せます。ペトリィは、小動物専用の火葬炉を所有している業者であれば遺骨をきれいに残すことが可能だと説明しています。大森ペット霊堂も、個別火葬を依頼すれば遺骨は残ると案内しています。
ただし、体重が数百gという最小クラスの体格ですから、火葬の温度や炉内の風圧の管理によってお骨の残り方は変わります。合同火葬ではほかの子と一緒に火葬されるため、そもそもお骨は返ってきません。お骨を手元に残したいときは、必ず「個別」と名の付くプランを選びます。
なお、針を数本残す方法をとる場合も、無理に何本も抜こうとする必要はありません。抜くこと自体がつらいと感じるなら、写真や足あとを残すという選び方もあります。どちらが正しいということはありません。
ハリネズミの火葬・葬儀にかかる費用の目安

費用は火葬の形式(合同/個別一任/立会個別)と体の大きさで決まります。まず、形式ごとの違いを整理します。
| 形式・項目 | 費用の目安(税込) | お骨の返却 | こんな方に |
|---|---|---|---|
| 合同火葬 | 11,000円〜13,200円 | 返骨なし(霊園の合同墓で供養) | 費用を抑え、霊園で供養してもらいたい方 |
| 個別一任火葬 | 13,200円〜19,800円 | 返骨あり(立ち会いはしない) | お骨は残したいが、火葬の場に立ち会うのがつらい方 |
| 立会個別火葬 | 18,700円〜38,500円 | 返骨あり(ご家族で骨上げ) | 最後までそばで見送り、自分の手で骨上げをしたい方 |
| 自治体への引き取り依頼 | 1,300円〜2,700円(尼崎市の例) | 返骨なし | 費用の負担をできるだけ小さくしたい方 |
民間の金額は、ハリネズミを料金表に明記している2つの霊園の公式価格をもとにした幅です。北白川ペット霊園の「特小型Ⅱ(モルモット・ハリネズミ他)」は合同火葬11,000円・おまかせ個別火葬13,200円・立会個別火葬18,700円(いずれも税込)。大森ペット霊堂の「兎・フェレット・モルモット・ハリネズミ・小型トカゲ・小型カメ等」は合同火葬13,200円・個別一任火葬19,800円・お立会火葬38,500円(いずれも税込)です。いずれも執筆時点の公式サイト情報です。
ここに、送迎やオプションの費用が加わることがあります。北白川ペット霊園ではお迎えサービスが立会個別火葬で5,500円(税込)、おまかせ個別火葬で2,200円(税込)からと案内されています。大森ペット霊堂では小動物サイズのバスケット棺が6,600円(税込)、お花が3,300円(税込)からなどのオプションが用意されています。総額は「火葬料金+送迎+骨壷やオプション」で考えておくと、当日の想定外が少なくなります。
また、自治体に引き取りを依頼する方法もあります。たとえば尼崎市は亡くなったペットを1体2,700円で引き取り、クリーンセンターへ直接持ち込む場合は1,300円と公表しています。ただし同市は、市の清掃施設で焼却するため遺骨や遺灰の返却はできず、動物専用炉での火葬や返骨を希望する場合は民間の動物霊園等へ依頼するよう案内しています。費用は最も抑えられますが、お骨は戻らないことを理解したうえで選ぶ方法です。取り扱いは自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村の案内をご覧ください。
依頼先の選び方と、当日までの進め方

ペット火葬の業界では、料金トラブルや、移動火葬車をめぐる不適切な取り扱いが報じられたことがあります。悲しみのなかで冷静な判断をするのは簡単ではありませんが、次の順番で確かめていけば、大きな行き違いは避けやすくなります。
1事業者の所在地と施設を確かめる
公式サイトに会社名・所在地・固定電話が明記されているか、火葬を行う斎場や霊園が実在するかを確認します。訪問火葬を専門とする事業者の場合も、拠点の住所と運営会社が分かることが最低条件です。
2ハリネズミなど小動物の火葬実績を確かめる
料金表にハリネズミが明記されているか、明記がない場合はどの区分に該当するかを聞きます。あわせて「小動物専用の炉があるか」「お骨が残る形で火葬してもらえるか」を尋ねておくと安心です。
3立ち会いの可否と返骨の有無を先に決める
立ち会いたいのか、お任せしたいのか。お骨を持ち帰りたいのか、霊園で供養してもらいたいのか。ここが決まると、選ぶプランは自然に絞られます。迷うときは、返骨のある個別火葬を選んでおくと、後から供養の形を選び直せます。
4総額の見積もりを申し込み前に出してもらう
火葬料金だけでなく、送迎費・骨壷代・オプションを含めた総額を、申し込みの前に提示してもらいます。当日に追加費用の話が出る形は避けたいところです。金額と内訳をメモに残しておくと安心です。
5日程を決め、それまでは涼しい場所で安置する
火葬までは、体を清潔にし、保冷剤などで冷やしながら涼しい場所に安置します。小さな体は乾燥や温度の影響を受けやすいため、直射日光や暖房の風が当たらない場所を選びます。安置方法は依頼先にも確認しておくと確実です。
小動物の火葬をどこに頼めばよいか見当がつかないときは、全国対応の相談窓口に電話で聞いてみるのもひとつの方法です。対応エリアや受け入れ可能な種類をその場で教えてもらえます。
\ 詳細・ご相談は公式サイトから /
東証上場のシェアリングテクノロジー株式会社が運営する、24時間365日受付の相談窓口です。霊園供養プラン8,500円〜(税込)、個別火葬一任プラン15,400円〜(税込)、個別火葬家族立会プラン17,600円〜(税込)で、いずれも骨壷が料金に含まれると案内されています。ハリネズミの受け入れ可否や対応エリアは、お住まいの地域の加盟店により異なりますので、お電話でご確認ください。
火葬のあと、供養の形をゆっくり選ぶ

個別火葬でお骨が戻ってきたあとの供養に、決まった正解はありません。宗教や宗派の考え方もさまざまですので、ご家族が納得できる形を、時間をかけて選んでいただければと思います。よく選ばれているのは、次のような形です。
- 手元供養:小さな骨壷やメモリアルグッズに納め、家のなかで一緒に過ごす
- 霊園への納骨:火葬を依頼した霊園の合同墓や個別墓に納める
- 自宅の庭への埋葬:自分の敷地内であれば可能。深く掘る、雨で流れない場所を選ぶなどの配慮が必要
- 四十九日などの区切りで納骨:しばらく手元に置き、気持ちが落ち着いてから納める
庭に埋葬する場合は、自分の所有地であることが前提です。公園や河川敷、他人の土地に埋めることはできません。また、浅く埋めると雨で土が流れたり、ほかの動物に掘り返されたりすることがあるため、十分な深さを確保します。マンションやアパートにお住まいの場合は、この方法は選べないことがほとんどです。
ハリネズミは犬や猫にくらべて一緒に過ごせる時間が長いとはいえません。にれのき動物病院は、寿命は6〜10年といわれるものの、実際には3歳ごろから腫瘍の発生が増え、4歳前後で寿命を迎える子が多いと解説しています。短く感じられる時間だったとしても、あの子にとっては、あなたのそばがすべてでした。
よくある質問
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状は動物病院にご相談ください。
※本記事の料金は執筆時点(2026年7月)の各社公式サイト情報です。最新は各公式サイトでご確認ください。
まとめ
ハリネズミも、犬や猫と同じように火葬で見送ることができます。針は火葬では残りませんが、お骨は個別火葬を選ぶことで手元に残せると案内されています。大切なのは、ハリネズミの受け入れ実績があるか、立ち会いと返骨はどうするか、総額はいくらになるかを、申し込みの前に落ち着いて確かめておくことです。
費用は民間の霊園でおよそ11,000円台から、立ち会いを選ぶと38,500円ほどまで幅があります(税込・執筆時点の公式例)。自治体に依頼する方法は費用を抑えられますが、お骨は戻りません。どの形を選んだとしても、それはあなたがあの子のために考え抜いた選択です。
丸くなって眠っていたあの小さな重みが、これからもあなたのそばで、静かなあたたかさとして残りますように。