ペットロスの乗り越え方 ペットロス・心のケア

愛犬が亡くなって辛いとき|眠れない・食欲がないときの過ごし方と相談先

愛犬が亡くなって辛い——その辛さが、いつのまにか体のほうに出てきていませんか。夜になっても眠れない。食事を前にしても喉を通らない。ふとした瞬間に涙が止まらなくなる。胸のあたりが重く苦しくて、仕事も家事も手につかない。そんな自分を「情けない」「いつまで引きずっているんだろう」と責めてしまう方も少なくありません。

けれど、大切な存在を亡くしたあとに心だけでなく体にも変化があらわれることは、公的機関の資料でもごく一般的な反応として説明されています。あなたの体が壊れてしまったわけでも、気持ちが弱いわけでもありません。

この記事では、愛犬が亡くなって辛いときに起こりうる体の反応を公的な情報をもとに整理し、そのうえで「今日をなんとかまわす」ための最低限のことを、静かにお伝えします。急かしたり、立ち直りを求めたりはしません。読めるところだけ、読んでください。

飼い主さん
愛犬を見送ってから、眠れないし食べられません。涙も勝手に出てきて、胸が苦しくて。私はどこかおかしくなってしまったのでしょうか。
編集部
おかしくなってなどいません。眠れない・食欲がない・涙が止まらない・体がだるい——こうした反応は、大切な存在を亡くしたあとに起こりうるものとして、自治体や公的機関の資料にも挙げられています。まずは「そういうことが起こるのだ」と知っていただくところから、ご一緒しますね。

一言でいうと、愛犬が亡くなって辛いときに眠れない・食べられない・涙が止まらないといった体の反応が出るのは、悲嘆(グリーフ)の反応として広く知られていることです。ただし、生活に支障が出るほど長く続くときは、我慢せず相談してよい場所があります。

愛犬が亡くなって辛いのは、あなたが弱いからではありません

窓辺で静かにうつむき、愛犬を思い出している人
写真はイメージです

身近な存在や大切な存在を失ったときに生じる反応は「グリーフ(悲嘆)」と呼ばれます。神奈川県の「身近な人、大切な人を亡くした方へ」では、グリーフが生じることは心のバランスを取り戻す過程における一般的な反応であり、その表れ方は一人ひとり異なると説明されています。

ペットとの別れについても同じことが言われています。東京都動物愛護相談センターの「ペットロスを考える」(ワンニャンとうきょう)では、ペットを亡くしたあとに「泣く、眠れない、食欲がなくなる、頭痛、腹痛、喉がつまる」といった反応や、「悲しい、落ち込む、怒りがわく、自分を責める、無気力になる」といった気持ちが起こりうると紹介されています。同ページでは「こんなに悲しいなんて私はおかしいんじゃないか」と悩んでしまう方がいることにも触れられています。

つまり、あなたが今感じている辛さは、あなただけに起きている異常な出来事ではありません。福島県の飼い主向けページでも、ペットロスは「決して珍しいことではない」と書かれています。深く愛したぶん、その不在は体にまで届きます。それだけのことです。

「たかが犬で」と誰かに言われたとしても、あるいは自分でそう言い聞かせようとしていても、あなたにとってあの子は家族でした。悲しみの大きさを、他人の物差しで測る必要はありません。

眠れない・食欲がない|愛犬が亡くなった辛さが体に出るとき

悲嘆の反応としてあらわれる体のサイン(眠れない・食欲がない・涙が止まらない・胸が苦しい・だるい)
辛さは体にもあらわれることがあります(当メディア編集部作成)

大切な存在を亡くしたあとの体の変化として、公的機関の資料には次のようなものが挙げられています。

眠れない・朝起きられない

神奈川県の資料では、生理的・身体的な反応として「睡眠障害」が挙げられています。豊中市保健所の「大切な人を亡くしたとき -グリーフ(悲嘆)って何だろう?-」でも「眠れない」「だるい」「疲れやすい」が挙げられ、東京都立多摩総合精神保健福祉センターの資料には「眠れない」「朝、寝床を出るのがおっくうである」といった状態が並びます。

夜になると静けさが際立って、あの子の寝息や爪の音がないことに気づいてしまう。そんな時間に眠れなくなるのは、無理のないことだと言われています。

食欲がない・味がしない

「食欲不振」も神奈川県・豊中市の両資料に共通して挙げられている反応です。反対に、食べることでしか気持ちを紛らわせられず食べすぎてしまう方もいます。どちらも「よくあること」の範囲として語られています。

涙が止まらない

東京都動物愛護相談センターの資料でも、ペットを亡くしたあとの反応の筆頭に「泣く」が挙げられています。人前で急に涙があふれてしまい、自分でも制御できない——そうした状態を「みっともない」と感じる必要はありません。

胸が苦しい・息苦しい・めまいがする

神奈川県の資料には「頭痛、めまい、疲労、息切れ、震え」が、東京都立多摩総合精神保健福祉センターの資料には「めまいがする」「息苦しくなる」「からだに力が入らない」が挙げられています。東京都動物愛護相談センターの資料では「喉がつまる」感覚にも触れられています。

持病が出やすくなる・記憶があいまいになる

豊中市保健所の資料には「持病が悪化する」という項目があり、神奈川県の資料では「記憶力の低下」や飲酒・喫煙が増えることにも言及されています。もの忘れが増えたり、日付の感覚があいまいになったりするのも、あなたの怠慢ではありません。

「病気なのでは」と不安になったとき

診察室で獣医師に相談する飼い主
写真はイメージです

体に変化が続くと、「何か悪い病気なのではないか」と不安になることがあります。ここで大切なのは、次の二つを切り離さないことです。

  • 悲しみのあとに眠れない・食べられないといった変化が出ること自体は、一般的な反応として説明されています(=すぐに病気と決まるわけではありません)
  • だからといって「受診してはいけない」わけでもありません。心配なら、診てもらってよいのです

本記事は診断や治療の代わりになるものではありませんので、症状の原因を断定することはできません。ただ、相談の目安として公的な資料が示している線引きは参考になります。

豊中市保健所は、「気持ちの落ち込みが続く、イライラする、眠れない、食欲がない等、生活に支障が出てきた時」に、一人で抱え込まず保健所へ相談できると案内しています。

また福島県のページでは、飼い主向けの案内のなかで、「毎日の生活に充実感がない」「これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった」「以前は楽にできていたことが今ではおっくうに感じられる」といった状態が2項目以上、2週間以上続く場合にはうつ病の可能性も考えられるとして、専門医や「こころの健康相談窓口」等への相談をすすめています。

数字はあくまで相談を考えるきっかけの目安であり、これに満たなければ相談してはいけない、という意味ではありません。息苦しさや胸の痛み、めまいなど体の症状が強いときや、持病がある方は、まずかかりつけの医療機関に相談されるのが安心です。

仕事も家事も手につかない日の、最低限のまわし方

朝の光が差し込む静かな部屋の窓辺
写真はイメージです

辛さの渦中では、いつもどおりに暮らすことのほうが難しくなります。豊中市保健所の資料は、こうしたときに自分でできることとして「十分な休息や睡眠」「栄養のある食事」「癒しの本や音楽」「気の許せる人との関わり」を挙げています。福島県のページでも「悲しい気持ちを人に聞いてもらったり、十分な休養をとったりするなど、一人で抱え込まず、無理をせずに」と案内されています。

それを、今日を越えるための具体的な形に落とすと、こんなふうになります。完璧を目指す必要はありません。できたものだけで十分です。

1「食べる」のハードルを下げる

きちんとした食事が作れなくてもかまいません。ゼリー飲料、スープ、バナナ、おにぎり——喉を通るものを、一日のどこかで少しだけ。食べられない日が続くときは、水分だけでも意識して取ってみてください。

2眠れなくても、横になる

眠ろうと力むほど眠れなくなることがあります。眠れない夜は「体を休ませる時間」と割り切って、暗いところで横になっているだけでも構いません。日中に短く眠ってしまっても、今は自分を責めないでください。

3やらないことを決める

今日やらなくても誰も困らないことを、思い切って手放します。掃除、来客、返信の遅れ。優先するのは「あなたが今日を越えること」です。リードや食器を片づけられなくても、そのままで大丈夫です。

4頼れる相手に、状況だけ伝えておく

理由を細かく説明しなくても「今つらくて、少しペースを落としたい」と一言伝えておくだけで、周囲の期待値は変わります。職場なら、体調不良として休みを取ることも選択肢です。

5気持ちを書き出す・写真を整理する(できそうな日だけ)

言葉にならない気持ちを紙に書き出したり、写真を少しずつ見返したりすることが助けになる方もいます。ただし、まだ写真を見られない時期もあります。無理に向き合わなくて構いません。

火葬や納骨などの手続きがまだ残っている場合は、そちらも頭の片隅で気になってしまうかもしれません。段取りだけ先に眺めておくと、当日の負担が少し軽くなります。

悲しみに期限はありません|「まだ立ち直れない自分」を責めているあなたへ

悲しみが行きつ戻りつしながら進んでいくことを示した波の図
悲しみは行きつ戻りつしながら進みます(当メディア編集部作成)

豊中市保健所の資料には、「心の痛みがやわらぐために必要な時間は人それぞれです」と明記されています。東京都立多摩総合精神保健福祉センターの資料も、心身の変化は「遺された方によって一人ひとり違います」としています。

ですから、「一か月経ったのにまだ泣いている」「もう半年なのに散歩の時間になると胸が苦しくなる」ことは、遅れでも失敗でもありません。豊中市の資料では、思い出の日が近づくと気持ちが落ち込むことにも触れられています。落ち着いていた人が、命日や誕生日、いつもの散歩の時間に強い波を受けるのは、めずらしいことではないのです。

周囲から「そろそろ元気を出して」「新しい子を迎えたら」と言われて、余計に苦しくなった方もいるかもしれません。そうした言葉は、多くの場合あなたを思ってのものですが、受け取るタイミングを決めるのはあなたです。今は聞き流してかまいません。

自分を責めそうになったら

  • 「もっと早く気づいてあげられたら」——後悔が湧くのは、それだけ真剣に向き合ってきた証です
  • 「まだ泣いている自分は弱い」——悲しみの長さは、愛情の深さや性格の強さで決まるものではありません
  • 「普通に笑えた日があった」——笑ったことは、忘れたことではありません

ひとりで抱えなくていい|話せる場所・相談できる場所

花を手に静かに手を合わせる人
写真はイメージです

気持ちを言葉にできる相手がいることは、支えになると言われています。東京都立多摩総合精神保健福祉センターの資料でも、亡くされた方が集い「安心して素直に気持ちや思いをわかち合える場」があることが紹介されています。

身近な人に話しづらいときのために、公的な窓口も用意されています。

相談先 どんなときに 備考
こころの健康相談統一ダイヤル(厚生労働省) 気持ちの落ち込みや不眠が続き、誰かに話を聞いてほしいとき 0570-064-556。全国共通の番号から、お住まいの都道府県・政令指定都市の相談窓口につながります(受付日時は自治体により異なります)
お住まいの保健所・精神保健福祉センター 眠れない・食欲がないなど、生活に支障が出てきたとき 豊中市保健所は「生活に支障が出てきた時」に一人で抱え込まず相談を、と案内しています
心療内科・精神科などの医療機関 症状が長く続く、日常生活が立ち行かないと感じるとき 福島県のページでは、専門医や「こころの健康相談窓口」等への相談がすすめられています
かかりつけの動物病院 最期の判断や治療について後悔が消えないとき 当時の経過を知る立場から、話を聞いてもらえることがあります
同じ経験をした人が集まる場 気持ちをわかち合える相手がほしいとき 自治体や民間団体によるわかち合いの会・オンラインの場などがあります

相談することは、弱さの証明ではありません。眠れない・食べられない状態が続けば、体そのものが消耗します。あなたの体を守るために、頼れる場所を使ってください。

よくある質問

Q愛犬が亡くなって辛い状態は、いつまで続きますか。

A期間に決まりはありません。豊中市保健所の資料でも「心の痛みがやわらぐために必要な時間は人それぞれです」とされています。何か月、何年という基準で自分を採点する必要はありません。ただし、生活に支障が出るほどの状態が続くときは、相談先を頼っていただければと思います。

Q眠れない日が続いています。市販の睡眠薬を飲んでもよいでしょうか。

A薬の可否については、本記事では判断できません。持病や服用中の薬との関係もありますので、薬剤師や医師に相談してから決めてください。眠れない状態が続いていること自体を、医療機関で相談してみるのもひとつの方法です。

Q仕事を休むほどではない気がして、誰にも言えません。

A「休むほどではない」かどうかを、あなた一人で判定しなくて大丈夫です。眠れない・食べられないという事実だけでも、相談する理由になります。まずは匿名で使える電話相談から試してみる方もいます。

Q周りに「たかがペットで」と言われて、余計に辛くなりました。

A東京都動物愛護相談センターの資料でも、悲しみを認めづらく悩んでしまう場合があることに触れられています。理解されにくい場面があるのは事実ですが、それはあなたの悲しみが小さいという意味ではありません。わかってくれる相手や場を選んで話すことを、どうか自分に許してください。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状が続くときは医療機関にご相談ください。掲載している相談窓口の情報は執筆時点(2026年8月)のものです。最新の情報は各窓口の公式サイトでご確認ください。

まとめ

そっと重ねられた人の手と犬の前足
写真はイメージです

愛犬が亡くなって辛いとき、眠れない・食欲がない・涙が止まらない・胸が苦しいといった変化が体にあらわれることは、悲嘆(グリーフ)の反応として公的機関の資料にも挙げられています。それは病気と決まったわけではなく、あなたが弱いからでもありません。

今日は、食べられるものを少しだけ口にして、眠れなくても横になって、やらなくていいことを手放してください。そして、生活に支障が出るほどの状態が続くときは、保健所や医療機関、相談ダイヤルを遠慮なく頼ってください。悲しみに期限はありません。急がなくて大丈夫です。

あの子と過ごした日々の温かさが、辛さの底にいるあなたを、いつかそっと支えてくれますように。

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