大切な家族が息を引き取ったばかりのとき、頭のなかは真っ白で、何をどの順番で進めればいいのか、まったく思い浮かばないかもしれません。「このままそばにいてもいいのだろうか」「体を冷やしたほうがいいと聞いたけれど、どうすれば」「役所に届けが必要なのだろうか」——静かにお別れをしたいのに、考えなければならないことばかりが押し寄せてくる。そんな時間のなかで、この記事にたどり着いてくださったのだと思います。
この記事では、ペットが亡くなったあとにすることを、当日から数日の時間の流れに沿って整理しました。その場でしてあげたいこと、ご遺体の安置と保冷、火葬・葬儀の手配と費用の目安、役所の手続き、供養の選び方、そして気持ちの整理まで。犬・猫・小動物のいずれにも共通する部分をまとめています。急いで全部を読む必要はありません。いま必要なところだけ、目を通していただければ十分です。


一言でいうと、まずはそばで過ごし、体を整えて保冷し、それから火葬の手配と役所の手続きへ進む、という順番です。あわてて業者に連絡する必要はなく、犬の場合だけ亡くなってから30日以内に市区町村への死亡届が必要になります。
ペットが亡くなった時の流れ|当日から数日ですること
亡くなった直後は、判断力が落ちて当然の状態です。だからこそ、やることを一度「順番」に並べておくと、迷いが減ります。全体像は次のとおりです。

1そばで過ごす時間をとる
連絡も準備も、少しあとで大丈夫です。名前を呼んで、なでて、静かに過ごす時間をとってください。深夜や早朝であれば、なおさら急ぐ必要はありません。
2体が硬くなる前に、姿勢を整える
犬や猫では亡くなってからおよそ2〜3時間で、あごや手足の先から硬直が始まるといわれます。その前に、目や口が開いていればそっと閉じ、手足を胸のほうへ軽く丸めてあげると、棺に納めやすくなります。
3体を拭いて、保冷して安置する
ぬるま湯で湿らせたタオルで体をやさしく拭き、箱にタオルを敷いて寝かせます。タオルで包んだ保冷剤をお腹・首元・背中に添え、直射日光の当たらない涼しい部屋に置きます。
4火葬・葬儀の方法を決めて手配する
合同火葬・個別火葬(一任)・立ち会い火葬のどれにするか、お骨を手元に残したいかどうかで選びます。落ち着いてから、複数社の料金と対応エリアを見比べて構いません。
5役所などの手続きをする
犬は亡くなってから30日以内に、登録している市区町村への死亡届が必要です。猫やうさぎ、ハムスターなどは法律上の届出は不要です。マイクロチップを登録している犬・猫は、別途、指定登録機関への届出があります。
この5つが済めば、あとは供養の形をゆっくり決めていく段階に入ります。全体の流れをもう少し詳しく確認したいときは、次の記事もあわせてどうぞ。
まず、その場でしてあげたいこと
何かをしてあげなければ、と気持ちが急いてしまうかもしれません。けれど最初にすることは、実はとても静かなことです。

そっとしておく時間をとって構いません
ペットの火葬は、法律で「何時間以内に」と決められているものではありません。だから、まずはそばにいる時間をとってください。ご家族が仕事や学校から帰るのを待って、みんなでお別れをする——そのために半日ほど待つことも、体を保冷しておけば十分に可能です。あわてて連絡を入れる必要はありません。
目と口をそっと閉じ、体をやさしく拭く
目や口が開いたままのことがあります。硬直が進む前であれば、指の腹でまぶたをゆっくり押さえたり、あごを支えたりすることで、閉じた状態に整えられることが多いといわれます。無理に力を入れる必要はありません。閉じにくいときは、丸めたタオルであごの下を支えると自然に見えます。
体は、ぬるま湯で湿らせたタオルやガーゼでやさしく拭いてあげます。口や鼻、お尻から体液が出ることがありますが、これは自然な変化です。ガーゼやペットシーツで受け止め、驚かずに拭き取ってあげてください。
手足を、眠るときの姿勢に
手足がまっすぐ伸びたまま硬くなると、棺に納めにくくなることがあります。硬直が始まる前に、手足を胸のほうへ軽く丸め、いつも眠っていたときの姿勢に近づけてあげると、そのままの姿で送り出しやすくなります。すでに硬くなり始めている場合は、無理に曲げようとせず、そのままにしてください。ご遺体を傷める可能性があります。
硬直がいつ始まり、いつ解けるのかを詳しく知りたい方は、こちらの記事で時間の目安をまとめています。
ご遺体の安置と保冷|自宅で整えてあげる方法
火葬までのあいだ、ご遺体をできるだけよい状態で保つために大切なのが「冷やすこと」です。特別な道具は必要なく、家にあるもので始められます。

用意するもの
体がすっぽり入る大きさの箱(段ボール箱で構いません)、ペットシーツ、タオルやバスタオル、保冷剤または氷のうを数個。棺として市販のペット用の箱を使うこともできますが、まずは手元にあるもので大丈夫です。箱の底にペットシーツを敷き、その上にタオルを重ねると、体液が染み出しても安心です。
保冷剤を当てる位置
保冷剤は、タオルや布で包んでからお腹・首元・背中に添えます。ペット葬儀各社の案内では、内臓のあるお腹まわりがもっとも変化が進みやすいとされ、ここを厚めに冷やすことがすすめられています。頭のまわりに添える場合は、お顔に直接あたらないようにしてください。保冷剤を直接肌に当てると結露で体が濡れてしまうため、必ず布を1枚はさみます。
保冷剤は溶けたら交換します。氷は数時間、保冷剤は半日ほどで効きが落ちるのが一般的な目安とされていますので、様子を見ながら入れ替えてください。ドライアイスを使う場合は、素手で触らない、密閉した容器に入れない、換気をするなど、取り扱いに注意が必要です。
置き場所は、涼しく直射日光の当たらないところへ
安置する場所は、少し肌寒く感じるくらいの室温で、直射日光の当たらない部屋が向いています。夏場に冷房を使う場合は、風が箱に直接あたらないようにしてください。床に直接置くより、少し高さのある場所のほうが落ち着いて見えることもあります。お花や、いつも使っていたおもちゃ、お水などをそっと添えてあげる方も多くいらっしゃいます。
どのくらい安置できるのか
自宅で安置できる期間は、ペット葬儀各社の案内では夏場でおよそ1〜2日、冬場で2〜3日が目安とされることが多くなっています。ただしこれは室温・体格・動物種によって大きく変わるもので、確実な日数を決めることはできません。においや体の変化が気になり始めたら、それが火葬に進むひとつの目安になります。数日以上待ちたい事情がある場合は、ドライアイスの使用や、葬儀社の安置サービスの利用を相談してみてください。
火葬・葬儀の手配|3つの形式と費用の目安
ペットの火葬は、大きく分けて「合同火葬」「個別火葬(一任)」「立ち会い火葬」の3つです。違いは、他の子と一緒に火葬するかどうかと、お骨が手元に返ってくるかどうかにあります。

形式ごとの違いと費用の目安
| 形式 | 費用の目安(税込) | お骨の返却 | こんな方に |
|---|---|---|---|
| 合同火葬 | 8,500円〜 | 返骨なし(提携霊園で合同供養) | 費用を抑えたい方・お骨の管理が難しい方 |
| 個別火葬(一任) | 15,400円〜 | あり(骨壷に納めて返却) | 立ち会いは難しいが、お骨は手元に残したい方 |
| 個別火葬(家族立ち会い) | 17,600円〜 | あり(お骨上げも家族で) | 最後まで見送り、家族でお骨を拾いたい方 |
| 自治体への依頼 | 自治体により異なる | 原則なし(自治体による) | お住まいの地域の方式を確認したい方 |
※費用の目安は「ペット葬儀110番」公式サイトに掲載されている各プランの最低料金(税込・執筆時点)です。体重や地域によって金額は変わります。自治体に依頼する場合の費用と扱いは市区町村ごとに大きく異なるため、お住まいの窓口でご確認ください。
迷ったときの決め方
迷ったときは、「お骨を手元に置きたいかどうか」から考えると決めやすくなります。お骨を残したいなら個別火葬、最後の瞬間まで一緒にいたいなら立ち会い火葬、費用を抑えて霊園で供養してもらいたいなら合同火葬、という整理です。合同火葬は費用が抑えられる一方、あとから「やっぱりお骨がほしかった」と思っても取り戻せません。ここだけは、少し時間をかけて考えてみてください。
依頼先を選ぶときに確認したいこと
ペットの火葬をめぐっては、料金トラブルや不適切な取り扱いが報道されたこともあります。悲しみのなかで比較するのは負担が大きいため、料金が事前に確定し、立ち会いや返骨の条件が明記されている依頼先を選ぶことが、結果として後悔を減らします。
全国対応の相談窓口という選択肢
どこに連絡すればいいか分からないときは、全国の提携業者から手配してくれる窓口を使う方法もあります。「ペット葬儀110番」は24時間365日の受付で、霊園供養(合同火葬)8,500円〜、個別火葬一任プラン15,400円〜、個別火葬家族立会プラン17,600円〜(いずれも税込・執筆時点の公式サイト情報)と、プランごとの最低料金が公開されています。実際の金額は体重や地域で変わるため、見積もりで確認してください。
役所の手続き|犬は死亡届が必要です
ペットが亡くなったあとの手続きは、動物の種類によって必要かどうかが分かれます。ここは制度で決まっている部分なので、はっきりお伝えします。

犬|30日以内に市区町村へ死亡届
登録している犬が亡くなったときは、亡くなった日から30日以内に、登録している市区町村へ死亡届を出す必要があります。これは狂犬病予防法にもとづく飼い主の義務で、届出をしないままだと、翌年以降も狂犬病予防注射の案内が届き続けることになります。
届出先は、自治体によって保健所・生活衛生課・環境衛生担当・動物愛護センターなど名称が異なります。たとえば東京都羽村市は、公式サイトで「死亡した日から30日以内に届出しなくてはなりません」と案内し、窓口のほか電話・ファクス・電子メール・郵送でも受け付けています。届出の際は犬の鑑札と狂犬病予防注射済票を返却するのが基本で、なくしてしまった場合はその旨を伝えれば手続きできる自治体が多くなっています。オンライン申請に対応している自治体もありますので、まずは「お住まいの市区町村名+犬 死亡届」で公式ページを確認してみてください。
猫・うさぎ・ハムスター・小鳥|法律上の届出は不要
犬以外の動物については、亡くなったことを役所へ届け出る法律上の義務はありません。狂犬病予防法が登録と届出を義務づけているのは犬だけだからです。何もしなくても問題はありませんので、この点は安心してください。
マイクロチップを登録している犬・猫
マイクロチップを装着し、環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」に登録している場合は、亡くなったときに指定登録機関(公益社団法人日本獣医師会)へ死亡の届出をする必要があります。環境省のQ&Aによれば、この手続きはオンラインまたは紙で行うことができ、手数料はかかりません。手続きには登録証明書が必要になります。
そのほか、忘れやすい手続き
- ペット保険に加入している場合は、保険会社へ連絡して解約や精算の手続きをする
- 療法食やサプリメント、フードの定期便を止める
- ペットホテル・トリミング・動物病院の予約が入っていれば連絡する
どれも急ぐものではありません。落ち着いたときに、ひとつずつで大丈夫です。
供養の選択肢|お骨をどうするか
火葬が終わったあと、返骨を選んだ方には「このお骨をどうするか」という時間が訪れます。ここに正解はなく、期限もありません。手元に置いたままの方も、何年もかけて決める方もいらっしゃいます。

主な供養のかたち
- 手元供養:骨壷を自宅に置き、写真やお花とともに祀る。ペット用の仏壇やメモリアルステージを使う方も
- 納骨(ペット霊園・納骨堂):合祀墓や個別墓に納める。年間管理費がかかる場合がある
- 樹木葬・自然葬:樹木の下に納骨する。運営する霊園によって形式はさまざま
- 散骨:海や山へ。私有地や管理者の許可が必要な場所もあるため、事前確認を
- 庭への埋葬:自宅の敷地内であれば可能。深めに掘り、他の場所に埋めないよう注意
- 遺骨アクセサリー:ごく少量のお骨や毛を納めて身につける
宗教や宗派による決まりに従う必要はありません。ご家族が心穏やかでいられる形が、その子にとっていちばんの供養になります。すぐに決めなくて大丈夫です。
四十九日にこだわらなくて構いません
「四十九日までに納骨を」と言われることがありますが、これは人の仏事の慣習であり、ペットに当てはめなければならない決まりではありません。区切りとして目安にする方もいれば、何年も手元に置く方もいます。どちらも自然なことです。
気持ちの整理|ペットロスと向き合う
すべきことを終えたあと、静けさとともに悲しみが押し寄せてくることがあります。涙が止まらない、眠れない、食欲がない、後悔ばかりが浮かぶ——どれも、深く愛していたからこそ起きる自然な反応です。

「あのときこうしていれば」と思ってしまうとき
もっと早く気づいてあげられたら、あの治療を選ばなければ、そばにいてあげられたら。多くの飼い主さんが同じ思いを抱えます。けれど、その後悔が生まれるのは、その子のことをずっと考えてきたからです。ご自分を責める気持ちが浮かんだら、「そのくらい大切だった」という事実のほうを、そっと横に置いてみてください。
無理に立ち直ろうとしなくていい
悲しみが薄れる速さは人それぞれで、比べるものではありません。写真をしまえない方もいれば、しばらく見られない方もいます。どちらも間違いではありません。話せる相手がいれば、その子の思い出を声に出して話すことが助けになることもあります。
もし、眠れない日や食事がとれない日が長く続くようでしたら、それは心と体が休息を必要としているサインかもしれません。ひとりで抱え込まず、心療内科や、ペットロスの相談を受けている専門の窓口に相談することも考えてみてください。
よくある質問
※本記事の料金は執筆時点(2026年8月)の各社公式サイト情報です。最新は各公式サイトでご確認ください。手続きの詳細は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の公式ページもあわせてご確認ください。
まとめ
ペットが亡くなった時にすることは、①そばで過ごす、②姿勢を整える、③保冷して安置する、④火葬・葬儀を手配する、⑤役所の手続きをする、⑥供養の形を決める、という順番で考えると迷いにくくなります。急がなければならないのは「体が硬くなる前に姿勢を整えること」と「保冷を始めること」の2つだけで、そのほかは落ち着いてからで間に合います。
犬の場合は、亡くなった日から30日以内に市区町村への死亡届が必要です。猫や小動物は届出の必要がありません。火葬の形式は、お骨を手元に残したいかどうかを起点に選ぶと決めやすくなります。
いま、うまく考えがまとまらなくても、それでいいのだと思います。その子と過ごした日々の温かさが、少しずつあなたの支えになりますように。