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金魚が餌を食べない・口をパクパクさせる原因|まず確かめたい水質と酸素

水槽をのぞいたら、金魚が水面の近くで口をパクパクさせている。餌を落としても見向きもせず、しばらくするとまた水面に戻っていく——そんな様子を見ていると、「お腹がすいていないだけならいいけれど」と思いながらも、胸のあたりがざわつきますよね。金魚は痛みや苦しさを声で伝えてくれません。だからこそ、いつもと違う動きを見つけたときに「何を確かめればいいのか」が分からず、時間だけが過ぎてしまうことがあります。

この記事では、当メディア編集部が観賞魚メンテナンスの専門会社や獣医師監修の解説をもとに、金魚が餌を食べず口をパクパクさせているときに考えられる背景と、家庭で確かめられること、今日からできる対応を静かに整理しました。先にひとつだけお伝えしておくと、この症状はフード(餌)の問題ではないことが多く、まず見ていただきたいのは水そのものです。

飼い主さん
金魚が餌を食べてくれなくて、水面のあたりでずっと口をパクパクさせています。餌が合わなくなったのでしょうか。新しいものに変えたほうがいいですか。
編集部
ご心配ですね。水面で口を動かし続ける様子は「鼻上げ」と呼ばれ、多くの場合は餌ではなく、水中の酸素が足りていないことや水質の悪化が背景にあるとされています。餌を替える前に、まず水の状態を確かめていただきたい状態です。順番に見ていきましょう。

一言でいうと、金魚が餌を食べずに水面で口をパクパクさせているときは、餌ではなく「水」を先に確かめてください。酸素不足・水質の悪化・水温のずれ・エラの病気が主な背景として挙げられており、餌を替えても解決しないどころか、食べ残しでさらに水を汚してしまうことがあります。

まず疑うのは餌より「水」|口をパクパクさせる主な原因

金魚が餌を食べず口をパクパクさせるときに考えられる4つの背景(酸素不足・水質悪化・水温・エラの病気)を整理した図解
まず確かめたいのは餌ではなく水の状態です(当メディア編集部作成)

金魚が水面の近くで口を開け閉めし続ける様子は、アクアリウムの世界で「鼻上げ」と呼ばれています。餌を待っているときにも同じような動きをしますが、餌を与えていないのに水面でのパクパクが続いている場合は、呼吸が苦しい状態のサインとして受け止められています。ここでは、その背景として挙げられるものを並列に整理します。どれか一つに決めつけず、順に確かめる材料としてご覧ください。

水中の酸素が足りていない(酸欠)

もっとも多く挙げられるのが、水中の酸素不足です。エラで水中の酸素を取り込めなくなると、金魚は比較的酸素の多い水面付近に上がってきて、口を動かして水を取り込もうとするとされています。水は温度が上がるほど溶け込める酸素の量が減るため、真夏や暖房の効いた室内では起こりやすくなります。ほかにも、水量に対して飼育数が多い、エアレーション(ぶくぶく)やフィルターの水流が弱く水面が動いていない、水草を多く入れていて夜間は光合成が止まっている、といった条件が重なると酸素は不足しやすくなります。

水質が悪化している(アンモニア・亜硝酸)

見た目が透明でも、水が汚れていることはあります。金魚のフンや食べ残しからはアンモニアが発生し、水槽内のバクテリアによって亜硝酸、さらに硝酸へと分解されていきます。観賞魚メンテナンスを手がける東京アクアガーデンの解説では、この三つはアンモニア、亜硝酸塩、硝酸塩の順に毒性が高く、水質が安定していない水槽では亜硝酸塩がもっとも溜まりやすいと説明されています。アンモニアや亜硝酸の濃度が上がると、酸素が十分にある水槽でも酸欠に似た苦しさが起き、鼻上げにつながると案内されています。立ち上げて間もない水槽、餌の与えすぎ、水換えの間隔があいたときは、とくに注意したい状態です。

水温が金魚に合っていない

金魚は水温への適応力が高い魚とされ、東京アクアガーデンの解説では15〜28℃程度であれば問題なく飼育できると案内されています。ただし、水温が15℃を下回ると餌の食べが悪くなるとされ、10℃未満では消化不良を起こしやすいと説明されています。つまり、秋から冬にかけて食べる量が減っていくこと自体は、必ずしも異常ではありません。反対に、夏場に水温が上がりすぎると溶存酸素が減り、鼻上げが起きやすくなります。水換えのときに温度差の大きい水を一度に入れることも、金魚にとって大きな負担になります。

エラの病気や寄生虫

呼吸そのものが妨げられている場合もあります。獣医師監修のペット情報サイトPECOの記事(オールペットクリニック・平林雅和院長監修)では、金魚のエラ病はカラムナリス菌の感染がもっとも多く、ダクチロギルスやギロダクチルスといった寄生虫が関わることもあると解説されています。同記事では症状として、酸素を求めて水面近くを漂う鼻上げ、エラ蓋の腫れや赤黒い変色、エラが白くなる、餌を食べても吐き出してしまう、底でじっとして動かない、といった様子が挙げられています。水温が不安定になりやすい春先や梅雨、秋口に起こりやすいとも案内されています。

餌そのものが合っていないこともある

ここまでを確かめたうえで、餌の要因が残ることもあります。開封してから時間が経って風味が落ちている、粒が大きくて口に入りにくい、浮上性の餌が苦手で沈下性のほうが食べやすい、といったケースです。ただし、水面でのパクパクが続いているあいだに餌を替えても、食べ残しが増えて水をさらに汚す結果になりかねません。餌の見直しは、水の状態を整えたあとの選択肢と考えてください。

今の状態を確かめる|口の動き・エラ・水の様子のチェック

静かな水面のイメージ
写真はイメージです

原因を家庭で言い当てることはできませんが、「どこを見ておくか」を決めておくと、専門店や動物病院に相談するときの説明がぐんとしやすくなります。次の表は、観察のポイントと、そこから考えやすい背景を整理したものです。あくまで手がかりであり、診断ではありません。

見るところ 気になる様子 考えやすい背景
口の位置 餌を与えていないのに水面で口を動かし続ける 酸素不足・水質の悪化
エラ 片側だけ動く/動きが極端に速い・遅い/エラ蓋が腫れて赤黒い エラの病気・寄生虫
餌への反応 口に入れてもすぐ吐き出す エラの病気・体調不良
体の表面 白い点や綿のようなもの、充血、ヒレが閉じている 感染症・寄生虫
泳ぎ方 底でじっとしている/体が傾く・浮いてしまう 体調不良・消化不良
水と設備 水面に油膜が張る/ぶくぶくが止まっている/においが強い 酸素不足・水質の悪化
水温計 15℃を下回っている/30℃近くまで上がっている 季節による食欲低下・高水温による酸素不足

あわせて確かめておきたいのが、水質検査です。アンモニアや亜硝酸は目で見て分かりませんが、市販の試験紙や試薬を使えば家庭でも測れます。東京アクアガーデンの解説では、pHなど複数の項目を同時に測れる試験紙のほか、アンモニアや亜硝酸を個別に調べられる試薬が紹介されています。「水が透明だから大丈夫」とは限らないという点だけ、覚えておいていただければと思います。

どのくらい様子を見てよい?緊急度の目安

金魚が餌を食べないときの様子と経過時間から見た緊急度の目安を示した図解
様子と経過時間から見た対応の目安(当メディア編集部作成)

「どのくらい待ってよいのか」は迷いやすいところです。判断の軸になるのは日数よりも、呼吸が苦しそうかどうかです。水面での鼻上げが続いている状態は呼吸に関わるサインとされているため、日数を数えて様子を見るよりも、その日のうちに水の状態を確かめていただきたい状況にあたります。一方で、水温が下がる季節に食べる量が減っているだけであれば、それは自然な変化として受け止められています。

様子 緊急度 対応の目安
餌を与えていないのに水面で口を動かし続け、複数匹が同じ様子 高い その日のうちに水換えとエアレーションの確認を。水質検査もあわせて
エラ蓋の腫れ・変色、体表の白い点、餌を吐き出す 高い 病気の可能性を考え、魚を診られる動物病院や購入した専門店へ相談を
水面付近にいる時間が長く、食べる量も落ちてきた 水質・水温・ぶくぶくを確認し、餌はいったん控えて観察を
水温が15℃を下回り、食べる量だけが減っている 低め 季節による変化として、餌の量と回数を調整しながら見守る

迷ったときは、「餌を食べないこと」より「呼吸が苦しそうであること」を優先して考えてください。金魚は環境の変化がそのまま体調に出る生きものです。飼い主さんが気づいた時点で動くことが、いちばん確実な対応になります。

今日からできる対応と、相談できる先

金魚が口をパクパクさせているときに家庭でできる対応の手順を示した図解
家庭でできる対応の順番(当メディア編集部作成)

ここからは、家庭で試せる対応を順番に整理します。いずれも治療の代わりになるものではなく、体表やエラに明らかな異常があるときは、自己流で進める前に専門家へ相談してください。

1水を3分の1ほど換える

まず行いたいのが水換えです。東京アクアガーデンの解説では、1週間から2週間に1回、全体の3分の1程度を換えるのがバクテリアのバランスを崩さず水質を保ちやすい目安とされています。アンモニアや亜硝酸が溜まっていそうなときは、この範囲で早めに水を入れ替えます。一度に全部を換えると水質も水温も大きく変わり、かえって負担になるとされているため避けてください。

2新しい水の温度と塩素を合わせる

足す水は、必ずカルキ抜き(塩素中和剤)で処理し、水槽の水と温度を近づけてから入れます。冬場の水道水は水槽よりかなり冷たく、そのまま入れると急激な水温変化になります。バケツに汲んで室温になじませる、少しずつ足す、といった配慮が負担を減らします。

3エアレーションと水面の動きを確かめる

ぶくぶく(エアポンプ)が止まっていないか、フィルターの水流が水面を揺らしているかを確認します。酸素は主に水面で取り込まれるため、水面が動いていることが大切だとされています。飼育数が水量に対して多いときは、酸素の消費も増えます。エアレーションを追加する、水槽を分けるといった見直しも選択肢です。

4水温を確かめ、急な変化を避ける

水温計で現在の温度を確認します。15〜28℃程度が飼育しやすい範囲とされ、夏場に30℃近くまで上がるときは、直射日光を避ける、部屋を涼しく保つといった対応が必要です。冬場は水温が下がること自体は自然ですが、暖房の入切で1日のうちに大きく上下する環境は負担になります。

5餌はいったん控えて様子を見る

食べない状態で餌を入れ続けると、食べ残しが水を汚し、状況を悪くします。東京アクアガーデンの解説では、1回に与える量は1分程度で食べ切れる量、回数は若い金魚で1日2〜3回、成魚で1日1〜2回が目安と案内されています。体調が戻るまでは量を減らすか、いったん止めて水の状態を整えることを優先してください。

6変化を記録しておく

いつから食べていないか、鼻上げが1日のうちどのくらい続くか、水温と水質検査の値、最後に水換えをした日——こうしたメモは、専門店や動物病院に相談するときに大きな助けになります。短い動画を撮っておくと、泳ぎ方やエラの動きを見てもらいやすくなります。

塩水浴・薬浴を考えるとき

エラの病気が疑われるときの対応として、塩水浴がよく紹介されます。前述のPECOの記事では食塩濃度0.5%(水1リットルに対して食塩5グラム)という数値が示されており、東京アクアガーデンの解説でも同じく0.5%に調整して行い、2日ほど様子を見て改善しなければ薬浴に切り替える方法が案内されています。ただし、濃度や実施期間は魚の状態・体力・水温によって適否が変わり、他の治療と組み合わせる場合の判断も必要です。数値をそのまま当てはめる前に、魚を診られる動物病院や購入した専門店に相談してください。

相談できる先

犬や猫と違い、魚を診療している動物病院は多くありません。まずは購入したアクアリウムショップや金魚専門店に、症状と水質検査の結果を伝えて相談するのが現実的です。近隣に魚を診られる病院があるかどうかは、都道府県の獣医師会の窓口や、通っている動物病院に問い合わせると分かることがあります。日ごろから相談先を一つ知っておくと、いざというときに迷わずに済みます。

なお、同じ「食べない」でも、犬や猫では見ておきたい点や受診の目安が変わります。ほかの子と暮らしている方は、次の記事もあわせてご覧ください。

それでも見送ることになったときに

そっと供えられた小さな花
写真はイメージです

できることを尽くしても、間に合わないことがあります。金魚は体が小さく、変化に気づいたときにはすでに体力が落ちていることも少なくありません。「もっと早く水を換えていれば」と、ご自分を責めないでください。水面の様子に気づいて調べようとしたことは、その子のためにできる行動そのものです。

お別れのあとの弔い方は、いくつかの選択肢があります。自治体では小さな生きものを一般廃棄物として扱う案内をしていることが多く、地域によって受け付け方が異なります。自宅の敷地内であれば土に還す方法もありますが、公園や河川敷など自分の土地でない場所に埋めることはできません。土に還す場合は、掘り返されないよう十分な深さを確保し、鉢植えではなく庭土を選ぶと安心です。また、小動物の火葬を受け付けているペット霊園もあります。

川や海に放す、水洗トイレに流すといった方法は、生態系や水質への影響が指摘されているため避けてください。どの方法を選んでも、静かに手を合わせる時間を持てれば、それがその子への区切りになります。大きさに関係なく、一緒に暮らした時間の重さは変わりません。

よくある質問

Q金魚は何日くらい餌を食べなくても大丈夫ですか?

A日数だけで線を引くことは難しく、水温や体調によって変わります。東京アクアガーデンの解説では、水温が15℃を下回ると餌の食べが悪くなり、8〜10℃を下回る時期は基本的に絶食で、気温が上がった日のみ与えるという考え方が案内されています。健康な金魚が数日食べないこと自体は、必ずしも異常とは限りません。判断の軸にしていただきたいのは日数よりも、水面での鼻上げやエラの異常など、呼吸に関わる様子があるかどうかです。それらが見られるときは、日数を待たずに水の状態を確かめてください。

Q水はすべて入れ替えたほうが早く改善しますか?

A全部を一度に換えるのはおすすめできないとされています。水質を保っているバクテリアが失われ、水温やpHも大きく変わるため、弱っている金魚にはかえって負担になります。東京アクアガーデンの解説では、1週間から2週間に1回、全体の3分の1程度という目安が示されています。水質の悪化が疑われるときは、この範囲の水換えを間隔を詰めて行うほうが、体への負担を抑えやすい方法とされています。新しい水はカルキ抜きを行い、水温を合わせてから足してください。

Qエアレーション(ぶくぶく)は必ず必要ですか?

A飼育数や水量、フィルターの種類によって必要度は変わります。大切なのは装置そのものより、水面が動いて空気に触れているかどうかだとされています。フィルターの吐き出し口で水面が揺れていれば、それだけでも酸素は取り込まれます。反対に、水量に対して金魚の数が多い、水温が高い、水草を多く入れているといった条件が重なると酸素は不足しやすくなります。鼻上げが見られる状況では、エアレーションを足して様子を見ることが対応の一つとして挙げられています。

Q塩水浴は家庭でやってもいいのでしょうか?

A一般的な方法として紹介されており、獣医師監修の解説でも0.5%(水1リットルに食塩5グラム)という濃度が示されています。ただし、症状の見立てを誤ると回復が遅れることがあり、濃度や期間の適否は金魚の状態によって変わります。体表やエラに明らかな変化があるとき、複数匹が同時に弱っているときは、自己判断で進める前に、購入した専門店や魚を診られる動物病院に相談してください。相談の際は、水質検査の値と最後に水換えをした日を伝えると話が早く進みます。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。記載した数値は執筆時点(2026年8月)に公開されている専門メンテナンス会社・獣医師監修記事の情報をもとにした一般的な目安であり、金魚の状態や飼育環境によって適切な対応は異なります。気になる症状は専門店や魚を診られる動物病院にご相談ください。

まとめ|餌を替える前に、水を確かめてください

金魚が餌を食べず、水面で口をパクパクさせているとき、背景として挙げられるのは水中の酸素不足、アンモニアや亜硝酸による水質の悪化、水温のずれ、そしてエラの病気や寄生虫です。餌そのものが合わないこともありますが、順番として先に確かめたいのは餌ではなく水のほうです。まずは3分の1ほどの水換えとカルキ抜き、水面が動いているかの確認、水温計のチェック。そのうえで、餌はいったん控えて水を汚さないようにし、変化を記録しておく——ここまでが、今日のうちにできることです。

体表の白い点やエラ蓋の変色、餌を吐き出すといった様子があるときは、購入した専門店や魚を診られる動物病院へ相談してください。小さな水槽のなかの変化に気づけるのは、毎日その子を見ている飼い主さんだけです。水面をのぞいて「何かおかしい」と感じたその感覚を、どうか信じてあげてください。あなたの水槽に、また静かに餌をついばむ時間が戻ってきますように。

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