大切な家族が、静かに息を引き取った——。その瞬間、頭が真っ白になり、「これから何をすればいいのだろう」と立ちすくんでしまう方は少なくありません。深い悲しみの中で、手を動かすことさえつらいと思います。
この記事は、犬・猫はもちろん、うさぎやハムスター、小鳥など動物の種類を問わず、ペットが亡くなった直後にしてあげたいことを、静かに、簡潔にまとめたものです。ご遺体の安置の基本、犬に必要な届け出、火葬・供養の選び方、そして気持ちの整理まで。あわてなくて大丈夫です。ひとつずつ、そばで確かめるようにお読みください。
なお、記事内の手続きや料金は、各自治体・葬儀社の公式情報や公的機関の情報をもとに、当メディア編集部が調べてまとめています。


一言でいうと、まずは硬直が始まる前に姿勢を整え、頭とお腹を保冷剤で冷やして安置することです。犬の場合は死後30日以内に市区町村への届け出が必要ですが、それも数日のうちに落ち着いて行えば間に合います。
亡くなった直後にすること|安置のやさしい手順
ペットが亡くなると、体は少しずつ硬くなっていきます。犬や猫では死後1〜3時間ほどで手足から硬直(死後硬直)が始まるとされます(出典:EPARKくらしのレスキュー/イオンのペット葬)。そのため、硬くなる前に姿勢を整えてあげることが、はじめの大切な一歩になります。うさぎやハムスターなど小さな動物も、基本の考え方は同じです。

もし動物病院で最期を迎えた場合は、病院のスタッフがご遺体を清め、姿勢を整えてくれることも多くあります。その場合は、ご自宅に連れて帰ってから安置の準備を整えれば大丈夫です。まずは深呼吸を。ここからの手順は、あわてず、心が動くタイミングで進めてください。
順番にご紹介します。無理のない範囲で、できることだけで構いません。触れてあげられるうちに、たくさん撫でて、声をかけてあげてください。
1目と口を、そっと閉じる
体がやわらかいうちに、開いている目や口を無理のない範囲でそっと閉じてあげます。まぶたを指でやさしく撫でるように下ろすと、閉じやすくなります。
2眠るような姿勢に整える
前足・後ろ足を胸のほうへやさしく折り曲げ、体を丸めた自然な姿勢にします。硬直が進むと手足がつっぱり、棺(箱)に収まりにくくなるため、早めに整えるのがよいとされています(出典:太田屋ペット供養)。
3体をきれいに清めてあげる
お湯でぬらしたガーゼや柔らかい布で、全身の毛並みをやさしく拭きます。口や鼻、肛門から体液が出てくることがありますので、ガーゼで静かに拭き取ってあげてください。
4箱に寝かせ、冷やして安置する
段ボールなどの箱に、ペットシーツやビニールを敷き、その上にタオルや毛布を重ねて寝かせます。タオルで包んだ保冷剤やドライアイスで、頭とお腹を中心にしっかり冷やします。保冷剤が直接体に触れないように注意してください(出典:くらしの友)。
安置する場所は、直射日光の当たらない涼しい所を選びます。夏場は特に傷みやすいため、保冷剤はこまめに取り替えてあげてください。姿勢を整える手順は、下の記事でもう少し詳しくご案内しています。
「まだ生きているのでは」と感じたとき
亡くなったあと、体がわずかに動いたり、時間が経って手足がやわらかく戻ったりして、「生き返ったのでは」と感じることがあります。とてもつらく、心が揺れる瞬間です。

これは多くの場合、死後の筋肉の反射的な収縮や、いったん硬直した体が自然にゆるむ「解硬(かいこう)」と呼ばれる現象と考えられています。心肺が完全に停止したあとに蘇生することはないとされています(出典:ペトリィ)。
死後硬直は、犬や猫の場合、亡くなってから半日〜1日ほどで全身に及び、その後2〜4日ほどかけて自然にゆるんでいくとされています。つまり、時間が経って体がやわらかく戻ることは、体の中で起きる自然な変化であって、命が戻ったわけではありません。事実として知っておくと、揺れる気持ちを少しだけ落ち着けられるかもしれません。
それでも、判断に迷うときや、亡くなったのかどうか確信が持てないときは、無理にご自身で決めず、かかりつけの動物病院に連絡して確認してもらうと安心です。特に、体温や呼吸の有無が分かりにくい小さな動物では、ためらわず専門家に頼ってください。
犬は届け出が必要|市区町村への手続き
意外と知られていませんが、犬が亡くなったときは、死後30日以内に市区町村へ死亡の届け出をする義務があります。これは狂犬病予防法に基づくもので、すべての飼い主に共通するルールです(出典:ペットお別れハンドブック/大阪市)。

届け出の窓口は、保健所や生活衛生課、動物愛護センターなど、自治体によって名称が異なります。手続きの際には、登録時に交付された鑑札と狂犬病予防注射済票の返却が必要になることが多いので、手元に用意しておくとスムーズです。詳しい窓口や必要書類は、お住まいの市区町村の公式サイトでご確認ください。
一方で、猫や小鳥、うさぎ、ハムスターなどには、この死亡届の提出は必要ありません。ただし、犬・猫にマイクロチップを装着している場合は、種類を問わず、環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」サイトで登録内容の変更(死亡)手続きを行います(出典:ペットお別れハンドブック)。
| 動物の種類 | 市区町村への死亡届 | マイクロチップの手続き |
|---|---|---|
| 犬 | 必要(30日以内) | 装着していれば必要 |
| 猫 | 不要 | 装着していれば必要 |
| うさぎ・小鳥・ハムスター等 | 不要 | — |
火葬・供養への進み方
お別れの時間を過ごしたら、火葬や供養へと進みます。あわてる必要はありません。適切に冷やして安置していれば、季節にもよりますが数日はお別れの時間を持てるとされています。ここでは選択肢を静かに整理します。

自治体に依頼する場合
多くの市区町村では、ペットの火葬(引き取り)を受け付けています。費用を抑えられるのが特長ですが、他のペットと一緒に火葬され、返骨(お骨のお返し)ができない自治体が多い点は事前に確認しておきたいところです。また、清掃事務所や環境センターが窓口となり、事務的な「廃棄物の処理」として扱われる場合もあります。手厚く見送りたい方には物足りなく感じられるかもしれません。対応は自治体によって大きく異なるため、費用・返骨の可否・持ち込みか収集かなどを、必ずお住まいの市区町村の公式サイトで確認してください。
民間のペット葬儀社に依頼する場合
民間の葬儀社では、火葬の形式を選べるのが特長です。主に次の3つの形式があります。費用は火葬の形式と、ペットの体重によって決まるのが一般的です(出典:EPARKくらしのレスキュー)。
| 火葬の形式 | 費用相場(税込) | お骨の返却 | こんな方に |
|---|---|---|---|
| 合同火葬 | 約8,000円〜60,000円 | できないことが多い | 費用を抑えたい方 |
| 個別火葬(一任) | 約15,000円〜65,000円 | できる | お骨は返してほしいが立ち会いは控えたい方 |
| 個別火葬(立会) | 約17,000円〜70,000円 | できる | 最期まで見送り、お骨上げをしたい方 |
※費用は動物の体重や地域、業者により幅があります。上記は複数社の公表情報をもとにした目安です。
合同火葬は複数のペットを一緒に火葬するため費用が最も抑えられますが、お骨を持ち帰れないことがほとんどです。個別火葬は一頭ずつ火葬し、お骨を返してもらえます。そのうち立会火葬は、火葬前のお別れやお骨上げに立ち会える形式で、人の葬儀に近い形で見送れます。どれが正しいということはありません。ご家族の気持ちに合った送り方を選んでください。
なお、自宅の近くまで火葬炉を積んだ車で来てくれる「訪問火葬(移動火葬)」を選べる業者もあります。自宅の前でお別れできる利点がある一方で、この形態は次に述べるトラブルが起きやすい面もあるため、業者選びは特に慎重に行ってください。
悪質な業者を避けるための確認ポイント
残念ながら、この業界には高額な追加請求などのトラブルも報告されています。次の点を、依頼前に確認しておくと安心です。
・固定の斎場や事務所など、実在の施設があるか
・見積もりの総額が事前に確定するか(当日の追加請求はないか)
・立ち会いや返骨の可否が、はっきり案内されているか
「どこに相談したらいいか分からない」というときは、全国のペット葬儀社を紹介してくれる窓口を頼るのもひとつの方法です。24時間対応で、深夜や早朝でも相談できます。
火葬から供養までの流れ全体を、もう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
お骨をどうする?供養の選択肢
火葬のあと、手元に戻ってきたお骨をどう供養するかも、ゆっくり考えて大丈夫です。決まった正解はありません。代表的な選択肢を挙げます。

- 手元供養 … お骨を自宅の骨壷や仏壇で見守る。そばに置いておきたい方に
- ペット霊園・納骨堂 … 専用の墓地や施設に納める。自宅に置き場所がない方にも
- 庭に埋葬(納骨) … 自分の私有地であれば可能。公園・河川敷など公有地や他人の土地はできません
- 樹木葬・自然葬 … 樹木の根元などに還す。自然に戻したい方に
庭への埋葬について補足します。ペットを自分の敷地内の庭に埋めること自体は法律上問題ありませんが、公園や河川敷、他人の土地に埋めることは軽犯罪法や廃棄物処理法に触れる可能性があります(出典:みんなのペット火葬/生活110番)。ご遺体をそのまま土葬する場合は、においや衛生面、また他の動物に掘り返されるのを防ぐため、十分な深さ(60cm以上を目安に)に埋めるなどの配慮も必要です。賃貸住宅やマンションにお住まいで庭がない場合は、火葬後のお骨を霊園や納骨堂に納める、あるいは手元供養にする方法が現実的です。
近年は、遺骨の一部を小さなカプセルやペンダントに納めて身につける「遺骨アクセサリー」や、写真とお骨をそっと飾れるコンパクトな仏壇など、暮らしに寄り添う供養の形も広がっています。どの方法を選んでも、あの子を想う気持ちに変わりはありません。ご自身が一番安らげる形を、ゆっくり探してみてください。
気持ちの整理|ペットロスと向き合う
すべきことを終えても、心の穴はすぐには埋まりません。涙が止まらない、眠れない、食欲がない——そうした心と体の反応(ペットロス)は、深く愛した証であり、決しておかしなことではありません。

回復のペースは人それぞれです。無理に「元気を出そう」としなくて構いません。悲しいときは思いきり悲しみ、思い出に浸る時間もまた、大切な供養のひとつです。写真を見返す、日記に気持ちを綴る、あの子の名前を呼ぶ——そうした一つひとつが、少しずつ心を整えてくれます。気持ちを話せる人がいれば、そっと打ち明けてみてください。「たかがペット」などと思う必要は、まったくありません。
「もっとできることがあったのでは」と、ご自身を責めてしまう方もいます。けれど、最期までそばにいて、こうして送り方を調べているあなたは、あの子を精一杯愛してきたはずです。どうか、あなた自身を責めないでください。
ただし、強い不調が2週間以上、あるいは1か月以上続き、日常生活に支障が出ている場合は、心療内科などの専門家に相談することがすすめられています(出典:うちの子セレモナビ)。ペットロス専門のカウンセリングも、対面・オンラインで利用できます。つらさを一人で抱え込まないでください。
よくある質問
※本記事の料金・手続きは執筆時点(2026年7月)の各社公式サイト・各自治体の公表情報をもとにしています。最新の情報は各公式サイト・お住まいの市区町村でご確認ください。
まとめ
ペットが亡くなった直後は、まず硬直が始まる前に姿勢を整え、頭とお腹を保冷剤で冷やして安置してあげることが第一歩です。犬は死後30日以内に市区町村への届け出が必要ですが、それも落ち着いてからで間に合います。火葬や供養の方法に、正しい・間違いはありません。ご家族の気持ちに寄り添う送り方を、どうか無理のないペースで選んでください。
そして、悲しみもまた、あの子を深く愛した証です。急がず、あなた自身の心をいたわりながら、少しずつ前へ。あの子との日々が、あたたかな灯として、あなたのそばにいつまでも灯り続けますように。