「最近、お水を飲む量が増えた」「お腹だけがぽっこりしてきた」——シニア期の愛犬にそんな変化を感じて、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。クッシング症候群は高齢の犬に比較的よく見られる病気とされ、名前を聞いて不安になる飼い主さんは少なくありません。
この記事では、クッシング症候群がどんな病気なのか、どんな症状が出るとされているのか、寿命や毎日の付き合い方について、動物病院や獣医師監修の情報をもとに、静かに整理してお伝えします。診断や治療は動物病院で行うものですが、まず全体像を知っておくことは、これからの時間を落ち着いて過ごす助けになるはずです。


一言でいうと、クッシング症候群はホルモンの分泌が過剰になる病気で、適切な管理を続けながら過ごすことが目標とされる病気です。症状や進み方は一頭ずつ異なるため、気になる変化は早めに動物病院へ相談することが大切とされています。
クッシング症候群(犬)とはどんな病気か
クッシング症候群は、正式には副腎皮質機能亢進症と呼ばれる病気です。腎臓の近くにある「副腎」から、コルチゾルというホルモンが過剰に分泌されることで、体にさまざまな変化が現れるとされています(出典:アニコム損保「みんなのどうぶつ病気大百科」)。
コルチゾルはもともと体を守るために必要なホルモンですが、多すぎる状態が続くと、水を飲む量や食欲、皮膚、筋肉などに影響が及ぶと言われています。ゆっくり進むことが多く、「歳のせいかな」と見過ごされやすいのも、この病気の特徴のひとつとされています。

クッシング症候群の3つの原因(タイプ)
クッシング症候群は、原因によって大きく3つのタイプに分けられるとされています。犬では、脳の下垂体の異常による「下垂体依存性」が約80〜85%を占め、副腎そのものの腫瘍による「副腎腫瘍性」が約15〜20%とされます(出典:つだ動物病院ほか)。このほか、治療のためにステロイド薬を長期間使ったことで生じる「医原性」もあると言われています。

どのタイプかによって治療の考え方が変わるとされるため、見分けには動物病院での検査が欠かせません。医原性が疑われる場合でも、ステロイド薬を自己判断で急にやめるのは危険とされているため、必ず獣医師に相談してください。
かかりやすい年齢・犬種の傾向
クッシング症候群は、一般的に中高齢の犬に多く見られるとされ、8歳以上での発症が多いという情報が複数の動物病院で紹介されています。好発犬種としては、プードル、ダックスフンド、ボストン・テリア、ボクサー、ポメラニアン、ビション・フリーゼなどの名前が挙げられることが多くなっています(出典:複数の動物病院の解説記事)。ただし、これらはあくまで傾向であり、どんな犬でも発症する可能性はあるとされています。
クッシング症候群(犬)に見られるとされる症状
クッシング症候群では、次のような変化が見られることがあるとされています。ゆっくり進むため、複数のサインが重なって初めて気づくことも少なくありません。
| 気づきやすい変化 | 具体的な様子 |
|---|---|
| 多飲多尿 | 水を飲む量が増え、おしっこの量・回数も増える |
| 食欲の増加 | よく食べるのに元気が伴わないことがある |
| お腹のふくらみ | お腹だけがぽっこりと膨らむ(腹囲膨満) |
| 皮膚・被毛の変化 | 左右対称の抜け毛、皮膚が薄くなる、傷が治りにくい |
| 筋力の低下 | 足腰が弱る、疲れやすい、呼吸が荒くなる |
これらは加齢による変化と見分けにくいものもありますが、特に「水を飲む量が急に増えた」という変化は、動物病院での相談の目安になるとされています。飲水量やおしっこの様子は、気づいた日からメモに残しておくと、診察の際に役立つと言われています。

診断で行われるとされる検査
動物病院では、血液検査や超音波検査に加えて、ホルモンの状態を調べる「ACTH刺激試験」や「デキサメタゾン抑制試験」などが行われることがあるとされています(出典:つだ動物病院ほか)。似た症状を示す他の病気と区別しながら、タイプを見極めていくと言われています。ここで挙げた検査名は一般的な情報であり、実際にどの検査を行うかは動物病院の判断になります。
クッシング症候群(犬)の寿命・予後について
もっとも気になるのが、寿命ではないでしょうか。クッシング症候群の予後は、タイプや発見の時期、合併症の有無によって大きく異なるとされ、一律に「何年」と言い切れるものではありません。
一方で、複数の動物病院の解説では、適切な治療と管理を続けることで、その後も年単位で穏やかに過ごす犬が少なくないと紹介されています。反対に、糖尿病や高血圧、腎臓の病気などの合併症が進んだ場合には、経過が厳しくなることもあるとされています(出典:動物病院Peco 高輪台分院ほか)。
ここで大切なのは、数字だけにとらわれないことかもしれません。同じ病気でも歩む道は一頭ずつ違います。「うちの子はどうなのか」という不安は、かかりつけの動物病院で、その子の検査結果をもとに相談するのがいちばん確かとされています。

合併症が寿命に関わるとされる理由
コルチゾルが過剰な状態が続くと、糖尿病や感染症、血栓などのリスクが高まると言われています。これらの合併症をいかに防ぎ、早く気づいて対応するかが、その後の時間の質に関わるとされています。だからこそ、症状が落ち着いているように見えても、定期的な検査を続けることがすすめられています。
クッシング症候群(犬)と穏やかに付き合うためにできること
この病気は、完治を目指すというより、うまく付き合いながらその子らしい毎日を守っていくものとされています。飼い主さんが日々できることを、4つの寄り添いとして整理しました。

1お薬と検査を続ける
処方された内服薬と定期的な検査を欠かさないことが基本とされています。薬の量は体の状態に合わせて調整されるため、自己判断で増減・中止しないことが大切とされています。
2水と食事の様子を見守る
飲水量・尿量・食欲は、病気の状態を知る手がかりになるとされています。変化に気づいたらメモに残し、フードの内容は獣医師と相談しながら選ぶと安心です。
3皮膚と体を清潔に保つ
皮膚が弱くなりやすいとされるため、こまめなお手入れと、快適な室温・湿度の管理を心がけます。無理のない範囲で、穏やかな環境を整えてあげましょう。
4いつもと違う変化は早めに相談する
元気や食欲、歩き方など、いつもと違う様子に気づいたら、早めに動物病院へ。小さなサインを見逃さないことが、合併症の早期発見につながるとされています。
頑張りすぎなくて大丈夫です。飼い主さんが穏やかでいることが、その子にとっていちばんの安心になります。
シニア期の変化と向き合う心構え
クッシング症候群と診断された多くの子は、すでにシニア期にいます。病気そのものだけでなく、加齢による変化も少しずつ重なっていく時期です。できることが少しずつ変わっていくのは自然なこととされ、無理に若い頃と同じ生活を求めないことも、寄り添いのひとつと言えるでしょう。
治療がうまくいっているように見える日も、そうでない日もあるかもしれません。うまくいかない日があっても、ご自分を責めないでください。日々の小さなお世話の積み重ねが、その子の穏やかな時間を支えています。

お別れが近づいてきたと感じたら
どれだけ大切に過ごしても、いつかお別れの時は訪れます。病気が進み、その日が少しずつ近づいていると感じたとき、飼い主さんの心には言葉にできない不安や悲しみが押し寄せるかもしれません。
その時間の過ごし方に、正解はありません。できるだけそばにいてあげること、痛みや苦しさをやわらげる方法を動物病院と相談すること、そして「ありがとう」を伝えること——どれも、その子とあなたにとって意味のある時間です。看取りやお別れのあとの流れについて、あらかじめ少し知っておくと、いざというときに落ち着いて過ごせることもあります。

よくある質問
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状は動物病院にご相談ください。記載した内容は執筆時点(2026年7月)に確認できた情報にもとづきます。
まとめ
クッシング症候群は、副腎から分泌されるホルモンが過剰になる病気で、多飲多尿やお腹のふくらみ、皮膚の変化などが見られるとされています。寿命は一律ではありませんが、適切な治療と管理を続けながら、穏やかに過ごしている子も少なくありません。大切なのは、数字に一喜一憂しすぎず、その子のペースに寄り添うことかもしれません。
不安なときは、どうか一人で抱え込まず、動物病院と一緒に向き合ってください。今日という一日が、あなたとその子にとって、あたたかく穏やかなものでありますように。