ペット葬儀・火葬 葬儀の基礎知識・流れ

犬の葬儀の進め方|体格で変わる火葬の選び方と、死亡届・鑑札返納の手続き

長いあいだ一緒に歩いてきた犬を見送るとき、多くのご家族が最初に戸惑うのが「思っていたより、決めることが多い」という点だと思います。犬の葬儀は、猫や小さな動物のお別れと重なる部分もありますが、犬だからこそ先に確かめておきたいことがいくつかあります。体格によって選べる火葬の方法や料金の区分が大きく変わること、ご自宅から施設まで誰がどう運ぶのかを決めなければならないこと。そして、犬にだけ法律で定められた市区町村への届出と、鑑札の返納という手続きがあることです。この記事では、当メディア編集部が葬儀社・霊園の公式サイトと自治体の公式案内を調べ、犬を見送るときの実務だけを静かに整理しました。急いで読み進める必要はありません。今できることから、ひとつずつで大丈夫です。

飼い主さん
昨日、13年一緒にいたラブラドールが亡くなりました。30kgあるので、火葬をお願いできるところがあるのか、何を用意すればいいのかも分からなくて…。
編集部
おつらいなかで調べていらっしゃるのですね。大きな子の場合は、まず「その体重を受けられる火葬炉か」と「ご自宅までお迎えに来てもらえるか」の2つを電話で確認すると、話が一気に進みます。手続きのほうも、犬には死亡届と鑑札の返納がありますが、期限は30日以内なので今日でなくて構いません。順番に整理していきますね。

一言でいうと、犬の葬儀は「体重を伝えて受けられる火葬先を探すこと」と「30日以内の死亡届・鑑札返納」の2つが、ほかの動物と違う実務です。体格が大きいほど選べる依頼先が絞られるため、料金より先に「受けてもらえるか」を確かめると迷いが減ります。

犬の葬儀が、ほかの動物のお別れと違ってくるところ

愛犬にそっと寄り添う飼い主
写真はイメージです

火葬の形式そのもの(合同・個別・立ち会い)や、費用の考え方は、犬でもほかの動物でも大きくは変わりません。それでも犬の場合だけ、事前に考えておいたほうがよいことが3つあります。

1つめは体格の幅が極端に広いことです。1kgに満たないチワワから40kgを超える超大型犬まで同じ「犬」に含まれるため、料金の体重区分も、受け入れられる火葬炉の大きさも、ご自宅からの運び方も、体重によってまったく違う話になります。

2つめは、犬にだけ市区町村への死亡届と鑑札の返納という手続きがあることです。狂犬病予防法にもとづく登録制度があるのは犬だけなので、猫やうさぎを見送ったご経験があっても、この部分は初めてになります。

3つめは、人とのつながりの多さです。毎日の散歩で顔を合わせていた方、預かってもらったペットホテル、かかりつけの動物病院。「いつもの犬がいない」ことに気づく人が周りにいるぶん、どう伝えるかという小さな悩みが生まれます。同じ家にほかの子がいるご家庭では、残された子の様子も気になるところだと思います。

体格で変わる犬の火葬|体重の区分と、大型犬で先に確かめること

犬の体格ごとに確認したいことをまとめた図。小型犬・中型犬・大型犬・超大型犬の4区分
犬の火葬は体格によって確認することが変わる(当メディア編集部作成)

ペットの火葬料金は、ほとんどの葬儀社・霊園で体重によって区分されています。犬は体重の幅が広いぶん、この区分をまたぐたびに金額が上がっていきます。実際にどのくらい変わるのか、全国対応のペット葬儀社「ペトリィ 小さな家族のセレモニー」が公式サイトで公開している料金表から、犬にあたる体重帯を並べてみます。

体重帯 引取り個別火葬(税込) 家族立会火葬(税込) おおよその犬種の目安
5kg〜10kg 25,300円 27,500円 トイプードル・パグなど
10kg〜15kg 30,800円 33,000円 柴犬・ビーグルなど
15kg〜20kg 36,300円 38,500円 ボーダーコリーなど
20kg〜25kg 40,700円 42,900円 ハスキーなど
25kg〜30kg 46,200円 48,400円 ゴールデンレトリバーなど
30kg〜35kg 52,800円 55,000円 ラブラドールなど
35kg〜40kg 59,400円 61,600円 シェパードなど
40kg以上 66,000円 68,200円 グレートデンなど

※ペトリィ公式サイトに掲載されている税込金額です(執筆時点・2026年7月)。犬種の目安は体重帯から編集部が補ったもので、同じ犬種でも個体差があります。最新の料金は公式サイトでご確認ください。

5kg〜10kgの子と30kg〜35kgの子では、同じ「個別火葬」でも2倍以上の開きがあります。犬の場合、料金表のどの行に入るかで負担が大きく変わるため、依頼の電話をかける前に、だいたいの体重を思い出しておくと見積もりが具体的になります。動物病院の診察券やお薬手帳に、最後の受診時の体重が記録されていることが多いです。

体重区分は葬儀社ごとに刻み方が違い、犬種名で区分している施設もあります。たとえば東京都府中市と足立区に施設をもつ慈恵院(東京ペット火葬)の公式料金表は、体重ではなく「小型犬(ヨークシャー、ポメラニアンなど)」「大型犬(秋田犬、シェパード、ゴールデン、ラブラドールなど)」「特大犬(土佐犬、セントバーナード、グレートデンなど)」といった区分で、個別火葬が小型犬38,000円、大型犬65,000円、特大犬74,000円(いずれも税込・執筆時点)と公開されています。同じ「大型犬」という言葉でも、業者によって指す範囲が違う点には注意が必要です。

大型犬で最初に確認したいのは、料金より「受けてもらえるか」

体重が20kgを超えてくると、料金以前にその火葬炉に入るかどうかという物理的な制約が出てきます。特に、ご自宅まで来てくれる訪問火葬(移動火葬車)は、車両に積める大きさの炉を載せているため、対応できる体格に上限があります。車種によって受けられる体重の目安が異なり、超大型犬には対応していない事業者もあります。

公式サイトの料金表に「35kg以上は要相談」「大型犬は事前にお問い合わせください」と書かれている場合、それは断り文句ではなく、炉の大きさや所要時間を確認したうえで案内したいという意味であることがほとんどです。電話口で体重と犬種を伝えれば、受けられるかどうかはすぐに分かります。

また、火葬にかかる時間も体格に比例して長くなります。立ち会いを希望する場合は、待ち時間の見込みもあわせて聞いておくと、当日の予定が立てやすくなります。

大型犬をどう運ぶか|ご自宅からの搬送とお迎えの手配

毛布の上で静かに横たわるシニア犬
写真はイメージです

小型犬であれば、ご家族の車の後部座席にそっと寝かせて施設へ向かうことができます。けれど20kgを超える子を、悲しみのなかで抱えて階段を降り、車に乗せるのは現実的でないことも多いものです。搬送は、犬の葬儀で意外と大きな課題になります。

方法はおおよそ3つあります。

  • 葬儀社にお迎えを頼む/自宅まで来てもらい、そのまま施設へ搬送してもらう。多くの葬儀社が対応しており、料金に含まれる場合と別途になる場合があります
  • 訪問火葬を選ぶ/自宅の前や近隣の静かな場所まで火葬車に来てもらう。運び出す距離が最短で済みますが、体格の上限は事前確認が必要です
  • ご家族の車で運ぶ/大きめのブランケットやシーツを担架のように使い、二人以上で持ち上げる方法。無理をせず、人手が足りないときは頼ることも選択肢です

どの方法でも共通するのは、体の下に厚手のタオルや防水シートを敷いておくことです。時間の経過とともに体液が出ることがあり、それは自然なことですが、事前に備えておくとご家族の負担が減ります。保冷剤やドライアイスを首まわり・お腹に当てて冷やす方法も、葬儀社が来るまでの間に多くの家庭で行われています。

お迎えを頼む場合は、マンションのエレベーターの有無、駐車スペース、玄関までの階段の段数を電話で伝えておくと、当日に人数を増やして来てもらえることがあります。大型犬のご家族ほど、この一言が効きます。

犬の葬儀までに整えること|進め方と当日の持ち物

お供えのために用意された白い花
写真はイメージです

亡くなった直後に、すべてを決める必要はありません。次の順番で進めると、抜けが起きにくくなります。

1安置して、体重と犬種をメモしておく

風通しのよい涼しい部屋に寝かせ、体を冷やして安置します。あわせて、最後に測った体重と犬種をメモしておきましょう。葬儀社に電話したとき、最初に聞かれるのがこの2つです。

2体重を伝えて、受けてもらえる依頼先を2〜3社に絞る

電話やフォームで体重・犬種・お住まいの地域を伝え、対応の可否と料金を確認します。大型犬の場合はここで候補が絞られるため、同じ条件で2〜3社に聞くと比べやすくなります。

3立ち会うかどうか、家族で決める

お骨上げまで立ち会うか、お任せするか。仕事や小さなお子さんの予定もあるので、無理のない形で構いません。立ち会いを選ぶ場合は所要時間もあわせて聞いておきます。

4見積もりを書面かメールでもらう

お迎え・骨壷・返骨・時間外料金などが含まれているかを、口頭ではなく残る形で確認します。追加料金の有無をこの時点で聞いておくと、当日の不安がありません。

5当日の持ち物と支払い方法を確認する

現金のみか、カードや振込に対応しているか。返骨されるお骨をどう持ち帰るかも、この段階で決めておくと落ち着いて過ごせます。

火葬の当日に持っていくもの

施設で火葬する場合、当日に用意しておくと安心なものをまとめました。訪問火葬の場合は、ご自宅にあるもので足ります。

持ち物 用途・ひとこと
支払いのお金・カード 現金のみの施設もあります。事前に決済方法を確認しておくと安心です
大きめのタオル・ブランケット 搬送時に体の下に敷く、寒くないように包む。大型犬ほど厚手のものを
防水シート・ペットシーツ 移動中の体液に備えて、タオルの下に重ねます
保冷剤・ドライアイス 移動の時間が長いときに。直接あてず、タオルで包んで使います
首輪・鑑札・注射済票 金属やプラスチックは炉に入れられないため外します。鑑札は後日の返納に使います
お骨を包む風呂敷やバッグ 返骨がある場合に。大型犬の骨壷は大きく重くなります
お花・お手紙 入れられるものは施設によって異なるため、当日に確認してください

※持ち込みの可否は施設ごとに異なります。ぬいぐるみ・おやつ・ビニール製品などは、燃え残りやお骨への影響を避けるため断られることがあります。

服装は、喪服でなくてかまいません。落ち着いた色合いの普段着で来られるご家族がほとんどです。大切なのは形式ではなく、最後の時間をどう過ごしたいかだと思います。

犬にだけ必要な手続き|死亡届・鑑札の返納・マイクロチップの届出

飼い主の手に重ねられた犬の前足
写真はイメージです

犬は狂犬病予防法にもとづいて市区町村に登録されているため、亡くなったあとに登録を抹消する届出が必要です。これは猫やうさぎにはない、犬だけの手続きです。届出をしないままだと、翌年以降も狂犬病予防注射の案内が届き続けることになります。

期限は、亡くなってから30日以内。世田谷区の公式案内では「亡くなってから30日以内」に届け出るよう案内されており、多くの自治体が同じ期限を示しています。落ち着いてからで間に合う期間ですので、葬儀の当日に急ぐ必要はありません。

マイクロチップの有無で、届出先が変わります

2022年6月以降、犬のマイクロチップ装着と環境省データベースへの登録が広がったことで、届出の流れが2通りになりました。

登録の状況 届出先 返納するもの
マイクロチップ未装着(鑑札で登録) お住まいの市区町村(保健所・生活衛生課など)。窓口・郵送・電子申請に対応する自治体もあります 犬鑑札・狂犬病予防注射済票(紛失時は不要とする自治体が多い)
マイクロチップ装着・環境省データベースに登録済み 環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録」サイトから死亡等の届出 —(世田谷区の案内では、区への届出は不要とされています)

※自治体によって窓口名・受付方法・鑑札の扱いが異なります。お住まいの市区町村の公式サイトで最新の案内をご確認ください(執筆時点・2026年7月)。

手続きそのものは、書類1枚と鑑札の返却で終わることがほとんどで、手数料もかかりません。どうしても窓口に出向く気力が湧かないときは、郵送やオンラインで受け付けている自治体も増えています。ペット保険に加入している場合は、保険会社への連絡も忘れずに。

多頭飼いの子たちと、散歩仲間への知らせ方

窓辺で静かに時間を過ごす飼い主
写真はイメージです

同じ家に別の犬がいる場合、残された子が食欲を落としたり、いつもの場所を探して落ち着かなくなったりすることがあります。「分かっているのだろうか」と感じるご家族は少なくありません。

多くの獣医療の現場では、ご遺体を無理に隠さず、においを確認できるようにすることが、残された子にとって理解の助けになると考えられています。近づきたがるようなら、そっとさせてあげてかまいません。逆に、怖がって離れる子を無理に近づける必要もありません。反応は本当にさまざまで、どちらでも心配しすぎなくて大丈夫です。ただし、食欲不振や元気のなさが数日以上続くときは、体調そのものの問題が隠れていることもあるため、動物病院にご相談ください。

散歩で顔なじみだった方への知らせ方に、決まりはありません。次に会ったときに「先日、旅立ちました」と一言だけ伝えるご家族が多くなっています。話すのがつらければ、無理に説明しなくてもかまいません。犬を通じて知り合った方は、その気持ちを一番わかってくれる方でもあります。

お仕事を休むかどうかも、よく検索されている悩みです。ペットの忌引休暇を制度として設けている会社はまだ多くありませんが、有給休暇を使って葬儀に立ち会うご家族はめずらしくありません。理由を細かく話す必要はなく、「家庭の事情で」と伝えるだけでも十分です。見送りに立ち会えたかどうかは、後の気持ちの整理に長く影響します。可能であれば、その時間を取ることをおすすめします。

依頼先に迷ったときの相談先と、確認しておきたいこと

遺影とお花を飾った小さな供養のスペース
写真はイメージです

ペットの火葬をめぐっては、移動火葬車による高額請求や、遺体が適切に扱われなかった事案が過去に報じられています。数としてはごく一部ですが、悲しみのなかで冷静な判断がしづらいときほど、確認する項目を決めておくと安心です。

依頼前に確認したい5つのこと

  • 会社の所在地・固定の火葬施設や霊園が公式サイトに明記されているか
  • 立ち会いができるか、できない場合はその理由が説明されるか
  • 返骨があるか。骨壷代が料金に含まれているか
  • お迎え・時間外・地域による追加料金の有無を、事前に書面かメールで示してもらえるか
  • その体重・体格を受けられると、電話ではっきり答えてもらえるか

特に大型犬の場合、「まず来てから見積もります」という対応だと、当日その場で金額を提示されることになりがちです。体重を伝えたうえで総額を先に確認することが、そのままトラブルの予防になります。

どこに電話すればよいか分からないときは、全国対応の相談窓口を使う方法もあります。ペット葬儀110番は、東証上場のシェアリングテクノロジー株式会社が運営する紹介サービスで、24時間365日受付に対応しています。公式サイトでは、お引取り霊園供養プランが8,500円〜(税込)、個別火葬一任プランが15,400円〜(税込)、個別火葬家族立会プランが17,600円〜(税込)と案内されており、体重区分は2kg未満から40kg以上まで設定されているため、大型犬・超大型犬のご家族も相談の対象になります(執筆時点・2026年7月)。

\ 詳細・ご相談は公式サイトから /

ペット葬儀110番 公式サイトはこちら

体重と地域を伝えれば、対応できる火葬先と概算を確認できます。最新の料金・対応内容は公式サイトでご確認ください

よくある質問

Q犬が亡くなってから、何日後までに火葬すればよいですか?

A法律上の期限はありませんが、ご遺体の状態を考えると、夏場で1〜2日、冬場でも2〜3日を目安とする葬儀社が多くなっています。保冷剤やドライアイスで冷やして安置すれば、その分ゆとりが持てます。大型犬は体が大きいぶん冷やしきるのに時間がかかるため、お腹まわりを重点的に冷やしてください。ご家族の予定が合わない場合は、葬儀社に安置を頼めることもあります。

Q火葬のとき、喪服を着たほうがよいですか?

A喪服である必要はありません。落ち着いた色合いの普段着で参列されるご家族がほとんどで、施設側も服装を指定していないのが一般的です。ただ、立ち会い火葬では屋外に出る場面や待ち時間があるため、季節に合わせて動きやすく、冷えない服装のほうが過ごしやすいと思います。

Q友人の犬が亡くなりました。香典やお花を渡してもよいでしょうか?

Aペットの葬儀では、人の葬儀のような香典の習慣は一般的ではありません。渡す場合も金額の決まりはなく、お花やお供えのおやつ、メッセージカードを選ぶ方が多くなっています。ご家族が静かに過ごしたい時期でもあるので、まずは短い言葉で気持ちを伝え、必要そうであれば「何かできることがあれば」と添えるくらいが、負担になりにくい形だと思います。

Q大型犬でも、自宅に来てもらう訪問火葬はお願いできますか?

A事業者と車両によります。移動火葬車は車内に火葬炉を積んでいるため、受けられる体格に上限があり、超大型犬には対応していない事業者もあります。一方で、大型犬まで対応できる車両を用意している事業者もあります。体重と犬種を伝えて、対応の可否と料金をあらかじめ確認してください。対応できない場合は、固定の火葬施設をもつ霊園を案内してもらえることもあります。

※本記事の料金は執筆時点(2026年8月)の各社公式サイト情報です。最新は各公式サイトでご確認ください。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状は動物病院にご相談ください。

まとめ|確かめることは、そう多くありません

犬の葬儀で先に決めるのは、突きつめれば「体重を受けてもらえる依頼先を選ぶこと」と「ご自宅からどう運ぶかを決めること」の2つです。料金の体重区分も、火葬炉の大きさも、搬送の人数も、すべてこの2つにつながっています。手続きのほうは、30日以内の死亡届と鑑札の返納。マイクロチップで登録されている場合は、環境省のサイトから届け出れば足ります。

そして、残された子の様子や、散歩で会っていた方への言葉には、正解がありません。無理に整えなくても大丈夫です。今日できたことが1つあれば、それで十分だと思います。長い時間をともに歩いてくれたその子との日々が、これからのご家族を静かに支えてくれますように。

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