大きな体で家じゅうを歩きまわっていた子を見送るとき、飼い主さんは小さな子の場合とは少し違う壁にぶつかります。「うちの子は火葬車の炉に入るのだろうか」「体重が重いと料金はどれくらい上がるのか」「そもそも二階から下ろせない」——悲しみのただ中で、こうした現実的な段取りを一つずつ調べるのは、本当につらい作業だと思います。この記事では、当メディア編集部が火葬炉メーカーと火葬事業者の公式サイト、そして複数の市区町村の公式ページを調べ、大型犬ならではの疑問——受け入れられる体重と大きさの上限、体重帯ごとの料金の上がり方、運び出しと安置、骨壺のサイズ、自治体に頼めるかどうか——を一つにまとめました。急いで決めなくて大丈夫です。落ち着いて読み進めていただければと思います。


一言でいうと、大型犬の火葬は「炉に入る大きさか」「体重帯で料金がどこまで上がるか」「家から運び出せるか」の3つを先に確かめておくと、迷いが少なくなります。体重だけでなく、鼻先からしっぽの付け根までの長さも測っておくと、問い合わせのときにそのまま伝えられます。
大型犬の火葬で、最初に確かめておきたい3つのこと

犬の火葬そのものの流れは、体の大きさが変わっても基本は同じです。安置して、依頼先を決めて、火葬に立ち会うかどうかを選び、お骨を受け取ります。ただ、体重がおよそ25kgを超えるあたりから、小型犬・中型犬では起こらない制約が現実の問題として出てきます。編集部が事業者の公式サイトを調べた範囲では、次の3つが特に大きな分かれ目でした。
1つめは火葬炉に入る大きさかどうかです。自宅の前まで来てもらう訪問火葬は、車に積める大きさの炉を使うため、受け入れられる体重と体長に上限があります。この上限は事業者ごとに違い、超えている場合は固定の火葬施設を持つ動物霊園を探すことになります。
2つめは料金が体重帯で段階的に上がることです。ペットの火葬料金はほぼすべての事業者が体重帯で区切っており、同じ事業者・同じプランでも、小型犬と大型犬では2倍から4倍近い開きが出ます。燃料を使う時間そのものが長くなるためで、割高というより体の大きさに応じた設定です。
3つめは家から運び出せるかです。40kgの体は、成人でも一人で抱えて階段を下りるのは難しい重さです。マンションの上階、エレベーターのない建物、乗用車に載せられない大きさ——この点は、火葬の方法を決めるより前に確認しておいた方が落ち着いて動けます。
大型犬は火葬車の炉に入らないことがある

訪問火葬(移動火葬車)は、火葬炉を積んだ車で自宅まで来てもらう方法です。便利な一方で、炉の大きさは車に載る範囲に限られます。ペット火葬炉メーカーの大和ファーネスが公式サイトで公開している火葬車用の炉の仕様を見ると、最大火葬体重と火葬室の内寸は次のように段階が分かれています(執筆時点=2026年8月)。
| 炉の型式 | 最大火葬体重 | 火葬室の内寸(奥行×幅) | 搭載する車の目安 |
|---|---|---|---|
| PT-311V | 12kg | 650mm×550mm | 軽トラック |
| PT-611V | 30kg | 1,000mm×580mm | バン・ワゴンクラス |
| PT-811V | 45kg | 1,150mm×640mm | バン・ワゴンクラス |
| PT-1200V | 75kg | 1,300mm×760mm | 2トントラッククラス |
この表で注目していただきたいのは、体重の欄だけでなく奥行の欄です。奥行1,000mmの炉であれば、鼻先からしっぽの付け根までが1mを超える子は、体重が30kg以内であっても納まらない可能性が出てきます。体重は軽めでも手足の長い犬種、逆にずんぐりして体重はあるが体長は短い犬種——どちらも実際にあるため、事業者は体重と体長の両方で判断します。問い合わせの際は、メジャーで測った体の長さも一緒に伝えておくと、行き違いが起こりません。
火葬車の販売を手がけるペット火葬車販売うたたねの公式サイトでも、炉は対応体重ごとにラインナップが分かれており、20kgタイプは「コーギー・キャバリア・柴犬程度」、30kgタイプは「ラブラドールレトリバー・ブルドッグ・ドーベルマン程度」と犬種の目安が示されています。さらに大きい35kg・40kg対応は固定炉として案内されています。つまり、40kgを超えるような子は、そもそも訪問火葬で使える炉自体が限られるということです。
事業者側の案内にも、この事情ははっきり表れています。埼玉県川口市のなんさいがーでんは、ゴールデンレトリバーやラブラドールレトリバー、シェパードなどの超大型犬(目安40kg未満)について、公式サイトで「現在、お預かり個別火葬のみの対応とさせて頂いております」と案内しています。大阪の訪問火葬こころみたすの公式料金表は55kg以下まで体重帯が用意されており、それを超える場合は相談する形になっています(いずれも執筆時点)。
受け入れの上限は事業者ごとにまったく違うため、「大型犬は火葬できない」わけでも「どこでも同じように頼める」わけでもありません。愛知県海部郡大治町の東海ペット葬儀社のように、大型の火葬炉を積んだ車で特大犬まで対応していると公式サイトで案内している事業者もあります。電話やフォームでの最初の一言に、体重と体長、犬種を入れておく。これが、大型犬の見送りでいちばん時間を節約できる方法です。
なお、火葬にかかる時間も体の大きさで変わります。なんさいがーでんの公式サイトでは、受付からご返骨までの目安として10kgまで約1時間、30kgまで約1時間45分、45kgまで約2時間30分と案内されています。横浜市・川崎市で霊園を運営する平和会ペットメモリアルパークの公式サイトでも、大型犬は約1.5〜2時間、超大型犬は約2〜3時間以上とされています。立ち会う場合は、半日近くかかることを見込んで予定を組んでおくと安心です。
体重帯で費用はどれだけ上がるのか

料金の話は、他社どうしを並べるより同じ事業者の中で体重帯がどう上がるかを見た方が実感がつかめます。次の表は、体重帯別の料金を公式サイトで公開している2社について、公式表示のまま並べたものです。金額はいずれも税込表示で、幅があるのはプランが複数(合同・個別一任・立ち会いなど)用意されているためです(執筆時点=2026年8月)。
| 体重帯のめやす | こころみたす(大阪・訪問火葬/税込) | なんさいがーでん(埼玉県川口市/税込) |
|---|---|---|
| 5kg前後(小型犬) | 5kg以下 27,500円〜58,300円 | 5kg未満 16,500円〜27,500円 |
| 10kg前後 | 10kg以下 30,800円〜61,600円 | 8kg未満 18,700円〜30,800円 |
| 15kg前後(中型犬) | 15kg以下 36,300円〜67,100円 | 13kg未満 24,200円〜36,300円 |
| 25kg前後 | 25kg以下 47,300円〜78,100円 | 公式に個別の掲載なし |
| 30kg前後(大型犬) | 30kg以下 52,800円〜83,600円 | 公式に個別の掲載なし |
| 40kg前後 | 40kg以下 66,000円〜96,800円 | 公式に個別の掲載なし |
| 50kg前後(超大型犬) | 50kg以下 80,300円〜111,100円 | 50kg未満 62,700円〜77,000円 |
| それ以上 | 55kg以下まで設定あり・以降は相談 | 掲載は50kg未満まで |
こころみたすの料金表で見ると、5kg以下の27,500円に対して40kg以下は66,000円で、同じ事業者・同じ最安プランでも約2.4倍になります。なんさいがーでんも5kg未満16,500円に対して50kg未満は62,700円と、約3.8倍の開きです。小型犬の飼い主さんから聞いた金額や、体重を書かずに紹介している相場記事の数字をそのまま当てはめると、実際の見積もりを見たときに驚くことになります。大型犬の場合は、必ず自分の子の体重帯の欄を見て予算を立ててください。
もう一点、大型犬で見落としやすいのが追加費用です。骨壺が大きくなるぶん骨壺代が上がること、出張範囲を超える地域は出張費が加算されること、深夜・早朝の対応に割増があること。これらは体重帯の料金表の外に書かれていることが多いので、見積もりの段階で「この金額に含まれるものは何か」を一度確認しておくと安心です。
なお、全国対応の紹介サービスであるペット葬儀110番は、公式サイトの見積もりフォームで体重区分を「40kg以上」まで選べるようになっており、税込8,500円からのプランを24時間365日受け付けています(執筆時点)。近くに大型犬対応の事業者が見つからないときの選択肢の一つになります。
家から運び出せないとき、安置が難しいとき

大型犬の見送りで、料金と同じくらい飼い主さんを困らせるのが「動かせない」という現実です。無理に一人で抱え上げようとすると、腰を痛めるだけでなく、体を傷つけてしまうこともあります。次の順序で進めてみてください。
1まず体を涼しい場所へ移し、しっかり保冷する
移動させるより先に保冷を始めます。エアコンで室温を下げ、体の下に防水シートとタオルを敷き、腹部と背中を中心に保冷します。ドライアイスの販売を行う中央冷凍産業の公式案内では、小型(10kg未満)で5kg、中型(25kg未満)で10kg、大型では10kg以上が1〜2日ぶんの目安とされています。3日以上になる場合は2日ごとの追加が必要です。凍傷を防ぐため軍手を使い、タオルなどで包んでから体に当てます。
2運び出しが必要かどうかを、依頼先に先に伝える
訪問火葬なら、玄関から火葬車までの数メートルだけで済みます。固定の斎場に持ち込む場合は、車まで運ぶ工程が発生します。「二階から下ろせない」「乗用車に載らない」と最初に伝えれば、搬送やお迎えに対応できるかを事業者が判断してくれます。人手が何人来られるかも、その場で聞いておきましょう。
3運ぶときは板・毛布・シーツで体を支える
抱え上げるのではなく、大きめのバスタオルや毛布、あればベニヤ板やレジャーシートの上に体を移し、二人以上で四隅を持って水平に運びます。前脚と後脚をやさしく折りたたむ姿勢にしておくと、狭い階段でも通しやすくなります。時間が経つと関節が固まるため、早い段階でこの姿勢にしておくのが実務的なコツです。
4火葬車を停める場所を確認する
訪問火葬は、車を安全に停められる場所が必要です。大型犬向けの炉を積んだ車は一般の乗用車より大きくなります。自宅の駐車スペースに入らない場合は、集合住宅の来客用スペースや近隣のコインパーキングなど、代わりの場所を事業者と一緒に決めます。管理規約で敷地内が使えないケースもあるため、事前に相談しておくと当日あわてずに済みます。
安置できる期間は季節と保冷の状態で変わります。夏場は特に進みが早いため、保冷を始めたうえで、なるべく早めに依頼先の目星をつけておくと、心の準備の時間も取りやすくなります。棺に入れられるものや当日の流れは、犬でも猫でも考え方は同じです。
大型犬の骨壺は何寸?納骨先の対応も先に確認を

返骨のある火葬を選ぶと、当日は骨壺に納めて持ち帰ります。大型犬はお骨の量も多く、骨壺のサイズが小型犬とはっきり変わります。骨壺の大きさは「寸」で表され、1寸はおよそ3cmです。ペット仏具専門店ディアペットの公式サイトが公開しているサイズの目安は次のとおりです。
| サイズ | 直径×高さ | 対応する子のめやす |
|---|---|---|
| 3.5寸 | 10.5cm×12.5cm | 猫、チワワなどの小型犬 |
| 4寸 | 12cm×14.5cm | シーズー、ポメラニアンなど |
| 5寸 | 15cm×18.5cm | 柴犬、ビーグル、コーギーなどの中型犬 |
| 6寸 | 18cm×20cm | ラブラドール、ゴールデンレトリバーなどの大型犬 |
| 7寸 | 21cm×25.5cm | セントバーナード、グレートデンなどの超大型犬 |
横浜市・川崎市で霊園を運営する平和会ペットメモリアルパークの公式サイトでは、大型犬は7寸、超大型犬は7寸以上と案内されており、同じ「大型犬」でも6寸と7寸で見解が分かれます。骨壺には統一規格がなく、同じ寸表記でもメーカーによって内容量が違うためです。頭蓋骨が納まる大きさかどうかが判断の目安になるため、迷うときは一つ大きめを選ぶのが確実です。火葬をお願いする事業者に、当日どのサイズの骨壺を用意してもらえるかを先に聞いておくと、家に帰ってから置き場所に困ることもありません。
もう一つ、大型犬ならではの落とし穴が納骨先です。6寸・7寸の骨壺は直径18cm以上・高さ20cm以上あり、市販のペット仏壇の収納部やロッカー型の納骨壇に入らないことがあります。将来的に霊園の納骨堂へ納めたい、自宅の仏壇に納めたいと考えている場合は、骨壺の寸法を伝えて、その大きさが納まるかを先に確認してください。分骨して一部を小さな骨壺に納め、残りを合同墓や樹木葬に納めるという選び方もあります。
自治体に頼めるか——重量の上限がある市区町村は実在する

費用を抑える方法として、自治体にお願いするという選択肢があります。ただし大型犬の場合、体重の上限を設けていて受け付けてもらえない自治体が実在します。編集部が複数の市区町村の公式ページを確認したところ、扱いは自治体ごとに大きく違いました(いずれも執筆時点=2026年8月)。
| 自治体 | 受け入れの条件 | 火葬の形と返骨 | 手数料の例 |
|---|---|---|---|
| 東京都港区 | 重量25キログラム未満 | 民間の施設に委託して火葬・埋葬 | 1頭につき3,000円 |
| 長野県松本市 | 松本クリーンセンターは体重25kg以上は焼却できない | 焼却処分(返骨なし)/市営葬祭センターや民間施設の利用も案内 | 市の「ごみ処理辞典」に記載 |
| 神奈川県横浜市 | 棺などを含めた総重量が50キログラム未満 | 戸塚斎場で合同火葬・個別火葬を選べる | 個別火葬 25kg以上50kg未満で30,000円 |
| 宮城県仙台市 | 大型犬程度(大人1人で抱えあげることができる程度)まで | 遺骨の引き渡しを希望するかを選べる | 引き渡しを希望する場合 4,600円〜11,400円 |
港区や松本市のように25キログラムで線が引かれている自治体では、大型犬はそもそも対象外です。一方で横浜市は棺を含めて50キログラム未満なら受け入れており、戸塚斎場の個別火葬は25kg以上50kg未満で30,000円と、民間の訪問火葬より抑えられる価格帯です。ただし横浜市の場合、15kg以上50kg未満の個別火葬は13時に1体のみという枠が設けられており、予約が取りにくいことがあります。体重の上限、返骨の可否、予約枠の3点は、お住まいの自治体の公式ページで必ず確認してください。同じ「自治体に頼む」でも、内容はまったく違います。
もう一つ、犬の場合だけ必要な手続きがあります。狂犬病予防法では、登録している犬が亡くなったときは30日以内に市区町村へ届け出ることとされています。火葬の依頼先とは別の窓口になりますので、落ち着いたころに忘れずに済ませてください。鑑札と注射済票を返却する自治体が多く、届出は窓口のほか電子申請を受け付けているところもあります。
大型犬の見送りを相談できる依頼先

大型犬に対応できるかどうかは事業者ごとに違うため、まずは体重と体長を伝えて受け入れの可否を聞くところから始まります。編集部が公式サイトで対応内容を確認できた依頼先を挙げます。実際の可否と金額は、必ずご自身で問い合わせてご確認ください。
ペット葬儀110番は、全国の提携事業者を紹介する窓口です。公式サイトの見積もりフォームでは体重区分が40kg以上まで用意されており、大型犬でも見積もりを依頼できます。プランは霊園供養(8,500円〜・税込)、個別火葬一任(15,400円〜・税込)、個別火葬家族立会(17,600円〜・税込)の3種類で、料金は体重によって変わります。受付は24時間365日で、深夜に見送ることになった場合でも電話がつながります(執筆時点)。
お骨を持ち帰ったあと、納骨先をどうするか迷うときの相談先もあります。小さなお墓KOBOは、遺骨を送って供養してもらう形の墓所を案内しているサービスです。大型犬の骨壺は市販の納骨壇に入らないことがあるため、骨壺の寸法を伝えて納められるかを先に確かめるという進め方は、どの納骨先でも共通です。
依頼先を選ぶときの見方を、大型犬の事情に合わせて整理しておきます。
- とにかく受け入れの可否を早く知りたい → 24時間受付の窓口に体重・体長を伝えて確認する
- 40kgを超える・体長が1mを大きく超える → 訪問火葬にこだわらず、固定の火葬炉を持つ動物霊園も候補に入れる
- 家から運び出せない → 訪問火葬か、搬送に対応してくれる事業者を優先する
- 費用をできるだけ抑えたい → まずお住まいの自治体の受け入れ条件(体重の上限・返骨の可否)を確認する
そして、業者選びで必ず確かめていただきたい点があります。ペット火葬の業界では、料金を後から高額に上乗せされた、返骨されなかったといったトラブルが報じられてきました。実在する所在地と固定の連絡先があるか、立ち会いと返骨ができるか、総額が事前に書面や見積もりで確定するか——この3点を、依頼を決める前に確認してください。大型犬は金額そのものが大きくなるぶん、あとから追加された金額の影響も大きくなります。
よくある質問
※本記事の料金・受け入れ条件は執筆時点(2026年8月)の各社・各自治体の公式サイト情報です。最新の内容は各公式サイトでご確認ください。
まとめ
大型犬の見送りでつまずきやすいのは、気持ちの問題ではなく段取りの問題です。炉に入る大きさかどうかは体重と体長の両方で決まり、火葬車に積める炉は最大12kg・30kg・45kg・75kgといった段階に分かれています。料金は同じ事業者の中でも体重帯で2倍から4倍近く変わり、骨壺は6寸から7寸と大きくなって納骨先の寸法確認が必要になります。自治体に頼む道も、港区や松本市のように25キログラムで線を引いているところと、横浜市のように50キログラム未満まで受け入れているところがあり、まちまちです。
今できることは、体重と体の長さを測っておくこと、しっかり保冷すること、そして体重を伝えて受け入れの可否を確かめること。この3つだけで十分です。あとの判断は、少し落ち着いてからで間に合います。大きな体でそばにいてくれたあの子との時間が、静かなお別れとともにやさしく残りますように。