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犬の癌治療をしない選択と余命|緩和ケアという道と、決める前の判断材料

診察室で病名を告げられたあと、先生の説明はどこか遠くで鳴っているように聞こえて、家に帰ってから「犬 癌治療 しない 余命」と検索窓に打ち込んだ——この記事は、そんな夜を過ごしている方に向けて書いています。

治療をするかどうかで迷っている方もいれば、もう「しない」と決めたあとで、その判断が正しかったのか確かめたくてここにたどり着いた方もいると思います。どちらの方にも、まずお伝えしておきたいことがあります。治療をしないという選択は、あきらめでも、愛情が足りないことの証明でもありません。年齢、持病、麻酔の負担、通院の距離、その子の性格、そして経済的な事情——それらをすべて抱えたうえで出した答えは、その家族にとっての現実的な答えです。

この記事では、当メディア編集部が獣医学の研究論文・大学附属動物病院や獣医師団体の公開資料を調べ、確認できた範囲で整理しました。治療をしない場合に報告されている余命の数字とその読み方、そして「治療をしない」の中身にある緩和ケアという選択肢、費用のこと、決める前に整理しておきたいことを、静かに並べていきます。診断や治療をこの記事が代わりに行うことはできません。かかりつけの先生に何を聞けばよいのかの手がかりとして、そばに置いていただければと思います。

飼い主さん
がんと言われましたが、この年齢で抗がん剤や手術に耐えられるとは思えなくて、治療をしない方向で考えています。ただ、それで余命がどうなるのか怖くて、決めきれずにいます。
編集部
怖いですよね。まず知っていただきたいのは、治療をしない=何もしない、ではないということです。つらさをやわらげるためのケアという道があります。そのうえで、報告されている数字の意味と、決める前に整理しておきたいことを一緒に見ていきましょう。

一言でいうと、犬のがんで治療をしないという選択は「何もしない」ことではなく、痛みや呼吸のつらさをやわらげる緩和ケアを続けるという道でもあります。余命として語られる数字は研究で報告された集団の中央値であり、目の前のその子の予測ではありません。

「治療をしない」は、何もしないことではありません

犬のがんで選べる3つの道(積極的な治療・緩和ケア・見守る)を並べた図解
「治療をしない」の中にある選択肢(当メディア編集部作成)

「治療しますか、しませんか」と二択で聞かれると、しないほうを選んだ瞬間に、その子を放り出してしまうような感覚になります。けれど実際には、その二択のあいだにいくつもの段階があります。がんそのものを小さくする・取りきることを目指す治療と、体に起きているつらさを取り除くためのケアは、目的が違う別のものだからです。

治すことを目的にしない、というケアの考え方

病気そのものを治すことを目的とせず、痛み・呼吸の苦しさ・吐き気・食欲の低下といった症状をやわらげ、残された時間の心地よさを守ることを目的としたケアがあります。獣医療では緩和ケア、そして終末期に寄り添う形をホスピスケアと呼びます。

これは獣医療の周辺にある考え方ではなく、専門団体が指針として整備している領域です。米国動物病院協会(AAHA)と国際動物ホスピス・緩和ケア協会(IAAHPC)が2016年に公表した終末期ケアのガイドラインでは、終末期ケアの目的を「患者の快適さを最大にし、苦痛を最小にすること」と定め、末期の診断を受けた動物や、進行性の慢性疾患を抱える動物などを対象として挙げています。同ガイドラインは、飼い主の希望や生活の事情を聞き取ったうえで、獣医師と飼い主が協働して個別の計画を立てることを勧めています。

つまり、治療をしないと決めたあとにも、先生と一緒に立てられる計画があるということです。「もう来なくていいですよ」で終わる話ではありません。

「経過を見る」ことと「つらさを取る」ことは別のこと

ここは混同されやすいところです。積極的な治療をしない場合、方針としては経過を見ることになりますが、それは痛みを我慢させることと同じではありません。痛みや吐き気に対して何ができるか、呼吸が苦しそうなときにどう環境を整えるか、食べられないときに何を試せるか——こうした相談は、治療をしないと決めた家族にこそ必要なものです。

具体的にどのような方法をとるかは、その子の病状・年齢・体の状態によってまったく異なります。薬の種類や量は必ず獣医師が診察のうえで判断するものですので、この記事では薬剤名や用量には触れません。お伝えしたいのは、痛みをやわらげる手立ては存在し、それは治療を選ばなくても受けられる、ということだけです。

なお、緩和を目的とした処置が結果として時間にも影響することがあります。四肢の骨肉腫では、痛みをやわらげることを主目的とした緩和的な放射線について、これまでの報告で7〜9割程度の犬に痛みの軽減が見られたとされています(Frontiers in Veterinary Science・2022年の165頭の後ろ向き調査より)。目的が「治す」ことでなくても、できることは残っているということです。

治療をしないと決める理由は、どれも間違いではありません

日の当たる部屋で静かに横になっている高齢の犬
写真はイメージです

治療をしないと決めた飼い主さんは、その理由を人に言いにくいと感じることがあります。「お金がないから」「もう年だから」と口にした瞬間に、自分が薄情な人間になった気がしてしまう。けれど、そこで挙げられる理由は、どれも獣医療の現場で実際に治療方針を左右している要素です。

がんは決して珍しい病気ではありません。アニコム損害保険が公開している調査(2011年4月〜2012年3月・犬297,653頭が対象)では、腫瘍疾患は4〜12歳の犬の死因のうち最も多いものとして報告され、8歳では10頭に1頭以上が腫瘍疾患で動物病院を受診していたとされています。多くの家族が、同じ場所で立ち止まっています。

治療を選ばない理由として挙げられるもの

  • 年齢と体力:高齢で体重が落ちている、体力が戻りにくい
  • ほかの病気を抱えている:心臓・腎臓・肝臓などの持病があり、治療が別の負担になりうる
  • 麻酔や検査の負担:診断を確定させる段階から鎮静や全身麻酔が必要になることがある
  • 通院の負担:病院までの距離、待ち時間、車が苦手な子にとっての移動そのもの
  • その子の性格:診察台で震える子、他人に触られることが極端に苦手な子
  • 家族の状況:付き添える人手、仕事、介護や育児との両立
  • 費用:治療を始めたあと、途中で続けられなくなるほうがつらいという判断

このうち麻酔については、数字で語れる材料があります。英国で行われた大規模な調査(Brodbeltら・Veterinary Anaesthesia and Analgesia誌・2008年/犬98,036頭)では、麻酔・鎮静に関連した死亡の割合は犬全体で0.17%と報告されました。ただしこの数字には内訳があり、健康な状態の犬では0.05%だった一方、体調の悪い犬では1.33%と報告されています。全身状態がすでに落ちている子にとって、麻酔が別の重さを持つということが、この差にあらわれています。

もちろん、これは「高齢だから治療しないほうがよい」という意味ではありません。年齢そのものは病気ではなく、同じ12歳でも状態は一頭ずつ違います。ここでお伝えしたいのは逆のことで、体の状態を理由に治療を選ばないという判断には、根拠になりうる背景があるということです。あなたが感覚で「この子には無理だ」と思ったことは、決して思い込みだけではありません。

報告されている余命の数字と、その読み方

診察室で検査結果の説明を聞く飼い主と獣医師
写真はイメージです

「治療しなければどのくらいですか」という質問に、先生が言葉を選びながら答える場面があります。数字を知りたい気持ちと、知るのが怖い気持ちが同時にあると思います。ここでは、出典を確認できたものだけを並べます。

先にお断りしておきたいことが一つあります。「まったく治療をしなかった犬」だけを追いかけた研究は、実はとても少ないのです。研究の多くは何らかの治療を受けた犬を対象としているため、以下の数字も「治療を最小限にとどめた場合」に近いものだとお考えください。

がんの種類 治療をしない・最小限のときに報告されている期間 比較のための参考 出典
多中心型の悪性リンパ腫 ステロイド(プレドニゾン)単独で生存期間の中央値50日 多剤併用の化学療法では中央値6〜12か月と報告 米国15施設・109頭の臨床試験(JAVMA・2021年)/ノースカロライナ州立大学獣医学部附属病院の公開情報
四肢の骨肉腫 断脚を行わず緩和的な放射線のみを受けた犬で中央値111日 断脚を行った犬では中央値203日 165頭の後ろ向き調査(Frontiers in Veterinary Science・2022年)
脾臓の血管肉腫 手術を行わない場合は数時間〜数週間/脾臓摘出のみで中央値1.6か月 摘出+化学療法では4〜7か月と報告 208例の後ろ向き調査(JAVMA・2015年)/米国の動物病院グループの公開情報

これ以外のがんについては、治療をしなかった場合の数字を確かめられる資料が見つかりませんでした。確認できないものを推測で書くことはしません。その子のがんについての見通しは、病理検査の結果や広がりの程度を把握している主治医だけが語れる領域です。

この数字が示していること、示していないこと

表に並んでいるのは、いずれも中央値です。中央値とは、その研究に参加した犬を生存期間の順に並べたとき、ちょうど真ん中にいた子の日数を指します。つまり、半分の子はその日数より短く、もう半分の子はその日数より長く生きたということです。平均でも、上限でも、締め切りでもありません。

そして何より、これは集団の統計であって、目の前のその子の予測ではありません。研究に参加した犬たちの犬種も年齢も体格も、発見された時期も、家での過ごし方も、あなたの子とは違います。数字を見て残りの日数を数え始めてしまいそうになったら、そこで一度手を止めてください。日数を数えることは、今日その子と過ごす時間を守ることには、あまり役に立ちません。

それでも数字に意味があるとすれば、それは「どのくらいの時間軸で考えておけばよいか」の見当をつけられることです。数か月単位なのか、数週間単位なのか。その見当がつくと、会わせたい人に連絡する、行きたかった場所に行く、写真を撮っておくといった、あとから取り返せないことに手をつけられます。

費用のことを、恥じなくていい

ソファで犬を膝にのせて考えごとをしている飼い主
写真はイメージです

費用を理由に治療を選ばないことを、口に出しにくいと感じる方は多いと思います。けれど、これは避けて通れる話ではありません。むしろ最初に整理しておいたほうが、迷う時間を短くできます。

まず前提として、動物医療は公的保険のない自由診療です。公益社団法人日本獣医師会も、獣医師団体が基準料金を定めたり獣医師同士で料金を取り決めたりすることは独占禁止法で禁じられており、動物病院によって料金に差があるのはやむを得ない状況だと説明しています。同会は診療料金の実態調査を定期的に行って結果を公開していますが(直近では令和3年度・全国1,096名の小動物臨床獣医師が回答)、これはあくまで実態の記録であって、標準価格ではありません。

そのため、この記事で「がん治療は◯円です」と書くことはできません。がんの種類、進行の程度、選ぶ治療、通院の回数、地域、病院の体制によって、金額はまったく変わります。代わりにお伝えできるのは、聞き方のほうです。

費用について先生に聞いておきたいこと

  • 診断を確定させるまでに、どんな検査がいくつ必要で、およそいくらかかるのか
  • 提案されている治療は、1回いくらで、何回続く見込みなのか(総額のイメージ)
  • 途中で中止した場合、それまでの費用はどう扱われるのか
  • 緩和を中心にした場合、通院や薬にかかる費用はどのくらいの形になるのか
  • 加入しているペット保険で対象になるもの・ならないものはどれか

「予算がこのくらいなので、その範囲でできることを教えてください」と伝えることは、けっして恥ずかしいことではありません。金額の枠を先に共有したほうが、先生も現実的な提案をしやすくなります。無理をして治療を始め、途中で続けられなくなることのほうが、その子にとっても家族にとっても負担が大きい——そう考える飼い主さんは少なくありません。

緩和を中心にする場合、費用の「形」も変わります。高額な処置を一度に負担するのではなく、診察と薬のための費用が続いていくかたちになることが多く、家計の見通しは立てやすくなります。ただしこれも病状によって幅があるため、実際の見込みは必ず主治医に確認してください。

決める前に、整理しておきたいこと

治療するかしないかを決める前に整理したい5つのステップの図解
決める前に整理しておきたい5つのこと(当メディア編集部作成)

迷いが晴れないとき、その原因は「決断力が足りないこと」ではなく、判断に必要な材料がまだそろっていないことのほうが多いように思います。順番に整理していきます。

1診断がどこまで確定しているのかを確かめる

がんという言葉には、細胞の種類も進み方も違う多くの病気が含まれます。細胞診までなのか、病理組織検査まで済んでいるのか、広がりを調べる検査はどこまで行ったのか。ここが曖昧なまま方針だけを決めると、あとで「本当はどうだったのだろう」という迷いが残りがちです。まずは、今わかっていることと、まだわかっていないことを分けて教えてもらいましょう。

2治療を受けた場合と受けない場合で、暮らしがどう変わるかを聞く

延びるとされる時間の長さだけでなく、通院の頻度、投薬の手間、副作用が出たときの対応、家で過ごせる時間がどのくらい残るのかまで含めて尋ねます。数字と暮らしぶりは別の話です。その子にとっての一日と、家族が支えられる現実の両方が見えて、はじめて比べられるようになります

3迷いが残るなら、別の獣医師の意見を聞く

セカンドオピニオンは、主治医を疑う行為ではありません。多くの動物病院が受け付けており、紹介状や検査データを引き継いでもらえます。がんについて専門的に学んだ獣医師を探したい場合は、日本獣医がん学会が獣医腫瘍科認定医の制度を設け、認定を受けた獣医師のリストを公開していますので、相談先を探す手がかりになります。まずはかかりつけの先生に「別の先生の意見も聞いてみたい」と正直に伝えるところからで大丈夫です。

4家族で、大切にしたいことを言葉にしておく

判断が割れるのは、見ているものが違うからです。ある人は「まだ食べている」と言い、ある人は「歩けなくなった」と言う。どちらも本当のことです。今日その子が痛がっていなかったか、食べられたか、眠れたか、うれしそうにした瞬間があったか——同じ項目を家族で毎日ひとつずつ確かめて、短くメモしておくと、変化の向きが見えてきます。獣医療では生活の質(QOL)を家族で共有するための評価の枠組みも公開されており、その考え方も同じところにあります。

5決めたあとでも変えられることを、先に確認しておく

「一度しないと決めたら、もう戻れない」と思い込んで動けなくなる方がいます。多くの場合、方針は途中で見直せます。始めた治療をやめたいときはどうするか、逆に緩和中心から方針を変えたくなったときに何ができるか。先に聞いておくだけで、決めることの重さが少し軽くなります。

決めたあと、自分を責めてしまう夜に

窓辺で犬に寄り添いながら静かに過ごす飼い主
写真はイメージです

方針が決まっても、気持ちは決まりません。眠る前に「あのとき治療をしていれば」と考えてしまう夜が来ます。逆に、治療を続けている方が「この子を苦しませているだけではないか」と思う夜もあります。どちらの後悔も、同じ愛情から生まれています。

この苦しさは、あなたが弱いから起きているわけではありません。米国の研究チームが、がんが疑われる犬・猫の飼い主を対象に行った調査(Shaevitzら・Journal of Veterinary Internal Medicine誌・2020年)では、診断の初期の段階からすでに介護者としての負担感が生じており、それがストレス・抑うつ・不安の高さや生活の質の低下と関連していたことが報告されています。診断を告げられた時点から、飼い主も同時に支えを必要とする立場になっている——それが研究として確かめられているということです。

安楽死という選択肢について説明を受けることがあるかもしれません。当メディアは、選ぶことも選ばないことも、どちらも尊重されるべき判断だと考えています。それは愛情の深さとは無関係です。ただ一つ言えるのは、追い詰められた深夜ではなく、少しでも落ち着いている時間に、何を大切にしたいかを家族で言葉にしておいたほうが、あとで自分を責めずに済むということです。

そして、看取りのあとに訪れる気持ちの揺れについても、あらかじめ知っておくと少しだけ楽になることがあります。

そのときが近づいたら、静かに整えておけること

写真と花を供えた小さな供養のスペース
写真はイメージです

治療をしないと決めた家族には、少しだけ時間があります。その時間の使い方について、静かにお伝えしておきたいことがあります。

一つは、家の環境を整えておくことです。滑らない床、体の同じ場所に圧がかかり続けないやわらかい寝床、水を飲みやすい高さ、家族の気配が感じられる場所。動けなくなってから慌てて用意するより、今のうちに少しずつ試しておくと、その子も新しい場所に慣れる時間が持てます。

もう一つは、そのあとの段取りを先に知っておくことです。当日になってから調べ始めるより、心にゆとりのあるうちに流れを把握しておくほうが、最期の時間をその子のために使えます。安置の方法、火葬までにできること、そのあとの手続き——知っておくだけで、あの日に判断しなければならないことが減ります。

そして、いちばん大切なことを最後に。治療をしないという判断は、その子との時間を手放すことではありません。むしろ、病院で過ごすはずだった時間を、家で一緒に過ごす時間に置き換える選択でもあります。その時間に価値がないと、誰にも言わせないでください。

よくある質問

Q治療をしないと決めたら、もう動物病院に行かなくてよいのでしょうか。

Aいいえ、通院の目的が変わるだけです。痛みや吐き気、呼吸のつらさをやわらげるための相談は、治療を選ばない場合こそ必要になります。AAHA・IAAHPCの終末期ケアガイドラインでも、終末期ケアは獣医師と飼い主が協働して個別の計画を立てるものとされています。どのくらいの間隔で診てもらうか、状態が変わったときにどう連絡すればよいかを、決めた時点で相談しておくと安心です。

Q余命として伝えられた日数は、その通りになるのでしょうか。

A研究で報告されている期間はいずれも中央値で、半分の犬はそれより短く、半分はそれより長く生きたことを意味します。集団の傾向であって、その子個人の予測ではありません。実際には、報告された期間より長く穏やかに過ごす子も、短い経過をたどる子もいます。日数を数えるよりも、今日の様子を見ておくほうが、判断の役に立ちます。

Q高齢だから治療しない、というのは正しい判断ですか。

A年齢そのものは病気ではないため、年齢だけで決まるものではありません。ただし全身の状態は判断に影響します。麻酔に関する大規模調査では、麻酔・鎮静に関連した死亡の割合は健康な犬で0.05%、体調の悪い犬では1.33%と報告されています。年齢ではなく、その子の今の体の状態を主治医と一緒に評価することが判断の軸になります。

Q一度「しない」と決めたあとで、やはり治療したいと思ったら遅いですか。

A方針は多くの場合、途中で見直せます。ただし、病状の進み方によっては選べる選択肢が変わることもあるため、気持ちが揺れたら早めに主治医へ相談してください。「迷っています」とそのまま伝えて構いません。迷いを打ち明けることも、診察の目的のひとつです。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状や治療方針については動物病院にご相談ください。

まとめ

犬のがんで治療をしないという選択は、何もしないことではなく、つらさをやわらげるケアを続けるという道でもあります。報告されている余命の数字は、多中心型の悪性リンパ腫でステロイド単独のときに中央値50日、四肢の骨肉腫で断脚を行わない場合に中央値111日、脾臓の血管肉腫で摘出のみのときに中央値1.6か月などと研究で示されていますが、いずれも集団の中央値であって、目の前のその子の予測ではありません。

治療を選ばない理由が、年齢でも、持病でも、通院の負担でも、費用でも、それは間違いではありません。決める前に、診断がどこまで確定しているかを確かめ、暮らしがどう変わるかを聞き、迷うなら別の獣医師の意見も聞いて、家族で大切にしたいことを言葉にしておく。それだけで、選んだあとの自分を少しだけ守れます。

どうか、決めたご自身を責めないでください。その子が今日をおだやかに過ごせて、あなたの手のぬくもりを感じていられますように。

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