子どもの頃に捕まえて夢中になった方も、水槽で毎日えさをあげている方も、「うちのザリガニは、あと何年一緒にいられるのだろう」とふと考えたことがあるのではないでしょうか。小さな体で、はさみを一生懸命に動かしながら暮らす姿は、見ているだけで愛おしいものです。
この記事では、アメリカザリガニやニホンザリガニの平均寿命を出典とともに整理し、脱皮のしくみ、飼育で寿命を縮めやすい要因、長く元気に過ごしてもらうための工夫、そしてお別れが近づいたときの向き合い方まで、静かにお伝えします。飼う前に知っておきたい法律のことにも触れました。小さな同居人と過ごす時間を、そっと見つめ直すきっかけになればと思います。


一言でいうと、飼育下のアメリカザリガニの寿命はおよそ3〜5年、ニホンザリガニは約10年とされています。脱皮を繰り返して成長する生きもので、水質や水温の管理が寿命を大きく左右します。
ザリガニの平均寿命は何歳?
ひとくちにザリガニといっても、身近なアメリカザリガニと、日本の在来種であるニホンザリガニとでは、寿命が大きく異なります。ペットとして飼われることが多いアメリカザリガニの場合、飼育下での寿命はおよそ3〜5年とされています(ザリガニ専門メディア・ペット関連情報より)。環境省の資料では、アメリカザリガニの寿命は長いもので4〜5年とされていますが、野生下では外敵が多く、多くの個体は1年以内に亡くなり、大人になって数年生きるのはごく一部だと説明されています(環境省「アメリカザリガニ」)。

ニホンザリガニは約10年と長生き
一方、北海道と東北北部にのみ生息する日本固有種のニホンザリガニは、寿命が約10年とされ、アメリカザリガニよりも長く生きる生きものです(複数のザリガニ専門メディア・水族館情報より)。体長は最大でも7cmほどと小ぶりで、13〜20度以下の低い水温でしか生きられないという、とても繊細な性質を持っています。ゆっくりと歳を重ねる種ほど寿命が長くなりやすい、という傾向がここにも表れています。
ただし、ニホンザリガニは河川環境の悪化や外来種の影響で数を大きく減らし、環境省のレッドリストで絶滅危惧II類(VU)に指定されています。後述するように、法律で捕獲や売買が原則禁止されているため、気軽に飼える生きものではないことも知っておきたい点です。
寿命は飼育環境で大きく変わる
ザリガニの寿命は「何年」と一律に言い切れるものではなく、水質・水温・えさといった飼育環境に大きく左右されます。むしろ飼育下でかえって寿命が短くなりやすいのは、越冬と水質管理の難しさが理由とされています。本来は水温が下がると冬眠に近い状態に入りますが、暖かい水の中で休まず活動し続けると体力を消耗し、寿命が縮みやすいと説明されています。小さな体で私たちのそばにいてくれる時間を少しでも穏やかにするには、その子に合った環境を整えることが何より大切になります。
ザリガニの年齢を人に置きかえると【早見表】
3〜5年という寿命は、人の一生に置きかえるとどのくらいの速さで歳を重ねているのでしょうか。正確な換算式があるわけではありませんが、寿命の割合からおおよその目安を図にまとめました。あくまでイメージとしてご覧ください。

孵化して1年ほどで大人の体になり、繁殖もできるようになります。3年目を過ぎるころには脱皮の回数もぐっと減り、その子なりのシニア期に入っていきます。私たちの時間の流れとは違う速さで、小さな一生を駆け抜けていることが伝わってきます。だからこそ、一日一日をていねいに見守ってあげたいものです。
ザリガニにとって脱皮が命がけといわれる理由
ザリガニの一生を語るうえで欠かせないのが「脱皮」です。ザリガニは硬い殻を脱ぎ捨てることで体を大きくしていきます。脱皮の頻度は、孵化した1年目に約7回、2年目に5〜6回、3年目に3〜4回と、成長するにつれて少なくなり、成体になるころには年1回ほどになるとされています(ザリガニ専門メディアより)。脱皮のペースが落ちてきたら、その子が大人になり、歳を重ねてきたサインとも受け取れます。

この脱皮は、ザリガニにとって「命がけの作業」といわれます。古い殻から体を抜き出す途中で力尽きてしまう「脱皮不全」が起こることがあり、そのまま亡くなってしまうこともあるからです。脱皮不全の一番の原因は、脱皮に入る前の体力の衰弱だとされています。弱っている個体ほど失敗しやすく、また脱皮直後の体はやわらかく無防備なため、同じ水槽の別の個体に襲われて致命傷を負うこともあります。脱皮のサインが見られたら、そっと見守り、必要に応じて隔離してあげることが、無事に乗り越える助けになります。
ザリガニに長生きしてもらうためにできること
限られた時間だからこそ、日々の環境を整えて、できるだけ元気に過ごしてもらいたいものです。ここでは、飼育下のザリガニに長く穏やかにいてもらうために心がけたいことを整理しました。

1水質をこまめに保つ
ザリガニのいる水は汚れやすいため、こまめな水換えで清潔さを保ちます。フィルターを使う場合も、えさの食べ残しやフンはこまめに取り除くと、水質の悪化を防ぎやすくなります。
2季節に合わせて水温を管理する
暖かすぎる水の中で休まず活動し続けると体力を消耗しやすいとされます。本来は水温が下がると休む生きものなので、夏の高水温を避け、季節に応じた水温を意識することが負担の軽減につながります。
3カルシウムを含むえさをバランスよく与える
脱皮不全はカルシウム不足でも起こりやすいとされるため、ザリガニ用の専用フードを中心に、栄養がかたよらないよう与えます。与えすぎは水を汚す原因になるので、食べきれる量を守るのも大切です。
4基本は単独で飼い、隠れ家を用意する
複数で飼うと、脱皮直後の無防備なときに襲われる事故が起きやすくなります。1匹ずつ分けて飼うと安心です。土管や石で隠れ家を作ると、落ち着いて過ごせる場所になります。
特別なことをしなくても、清潔な水と落ち着ける環境、そしてバランスのよい食事を保つことが、その子の元気を支えます。「必ず長生きする」と約束できるものではありませんが、日々のひと手間が、一緒に過ごせる時間をやさしく支えてくれます。
シニア期のザリガニに見られる変化
脱皮の回数がゆっくりになり、動きが穏やかになってきたら、その子なりに歳を重ねているのかもしれません。若いころのように活発にはさみを振り上げることが減り、じっとしている時間が増えていきます。食欲がゆるやかに落ちてくることもあります。これらは、生きものが自然に歳を重ねるなかで見られる変化とされています。

シニア期に入ったら、無理に活動をうながすよりも、水温の急な変化を避け、静かな環境をたもってあげることが寄り添い方になります。急に動かなくなる、体の色つやが変わる、脱皮の途中で動きが止まっているといった様子が見られたときは、体調が思わしくないサインのこともあります。気になる様子が続くときは、水生生物を診てもらえる動物病院に相談するのも一つの方法です。
ザリガニとのお別れが近づいたら
そして、お別れのときが訪れたら。小さな体であっても、確かに一緒に過ごした家族です。動きが止まっているように見えても、脱皮の準備でじっとしているだけのこともあるため、しばらくは静かに様子を見守ってあげてください。そのうえで最期を迎えたときは、感謝の気持ちを込めて、そっと見送ってあげたいものです。
ザリガニなどの水生生物も、ペット霊園での火葬や、プランター葬といった方法で見送ることができます。庭やプランターに土に還す場合は、外来生物を野外に流出させないよう、遺骸の扱いにも配慮が必要です。とりわけアメリカザリガニは、後述のとおり野外に出すことが法律で禁じられているため、密閉して自治体のルールに沿って処理するか、霊園にお願いするのが安心です。どんな形であっても、ありがとうの気持ちを込めてお別れができれば、それがその子にとっていちばんの供養になるはずです。

もしものときに慌てないよう、お別れから供養までの流れをあらかじめ知っておくと、心の準備にもつながります。
また、小さな命であっても、失ったときの寂しさは決して小さくありません。心が沈む日が続くときは、無理をせず、ご自身の気持ちにもそっと目を向けてあげてください。
飼う前に知っておきたい法律のこと
ザリガニをペットとして迎える前に、ぜひ知っておいていただきたいのが法律の話です。環境省によると、アメリカザリガニは2023年6月1日から「条件付特定外来生物」に指定されました。一般家庭でペットとして飼うことはこれまで通り可能で、飼育に申請や許可は必要ありません。少数の相手への無償でのお譲りも許可なくできます。ただし、野外へ放すこと、販売・頒布を目的として飼うこと、売ったり交換したりすることは原則として禁止されています(環境省「日本の外来種対策」)。
また、日本固有種のニホンザリガニは、2023年に施行された改正政令で「特定第二種国内希少野生動植物種」に指定され、販売や頒布を目的とした捕獲・譲渡が原則禁止されています。売買などをした場合は罰則の対象となります。アメリカザリガニ以外の外来ザリガニ(ウチダザリガニなど)も特定外来生物に指定されており、新たにペットとして飼うことはできません。すでにお迎えしている場合を含め、正しい情報を確認したうえで、迎えた子を最後まで責任を持って育てることが、飼い主の大切な約束になります。

よくある質問
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。生きものの体調で気になる様子が続くときは、水生生物を診てもらえる動物病院にご相談ください。法律に関する情報は執筆時点(2026年7月)のものです。最新の情報は環境省などの公式サイトでご確認ください。
まとめ
飼育下のアメリカザリガニの寿命はおよそ3〜5年、日本固有種のニホンザリガニは約10年とされています。ザリガニは脱皮を繰り返して成長する生きもので、脱皮は命がけの作業でもあります。清潔な水と季節に合った水温、カルシウムを含む食事、そして落ち着ける環境を整えることが、その子に元気で過ごしてもらう助けになります。飼う前には、アメリカザリガニが条件付特定外来生物であることも忘れずに確認しておきたいものです。
小さな体で私たちのそばにいてくれる時間は、決して長くはありません。だからこそ、一日一日を大切に、その存在をそっと見つめてあげたいものです。今日もあなたの小さな家族が、澄んだ水のなかで安らかに過ごせていますように。