くしゃっとした表情と、堂々とした立ち姿が愛らしいペキニーズ。長い歴史をもつこの犬種と暮らしていると、ふとした瞬間に「この子はあと何年、そばにいてくれるのだろう」と考えることがあるかもしれません。とくにシニア期に入り、寝ている時間が増えたり、以前より動きがゆっくりになったりすると、寿命のことが気になり始めるのは自然なことです。
この記事では、ペキニーズの平均寿命を出典とともにお伝えしたうえで、鼻の短い「短頭種」ならではのかかりやすい病気や、暑い季節に気をつけたいこと、そして毎日の暮らしのなかでできるケアを、静かに整理していきます。数字におびえるためではなく、一日一日をより穏やかに過ごすための手がかりとして読んでいただけたらと思います。


一言でいうと、ペキニーズの平均寿命は13.2歳(アニコム「家庭どうぶつ白書2023」)とされ、犬全体(14.2歳)よりやや短い傾向です。鼻が短い短頭種のため呼吸器や暑さへの配慮が長生きの鍵になると言われています。
ペキニーズの平均寿命は何歳?
ペット保険大手のアニコム損保がまとめた「家庭どうぶつ白書2023」によると、ペキニーズの平均寿命は13.2歳とされています。同白書では犬全体の平均寿命が14.2歳と示されており、ペキニーズはそれよりわずかに短い傾向にあると言えます。ただし、これはあくまで統計上の数値です。フードや動物医療の進歩もあり、飼育環境やケアによって一頭ごとの経過は大きく変わってきます。

飼育環境による差
寿命は、体重管理や食事、暑さ対策、そして病気の早期発見といった日々の積み重ねに左右されると言われています。とくにペキニーズのような短頭種は、肥満や暑さが体への負担になりやすいため、環境を整えることが穏やかな毎日につながります。反対に、これらの負担が重なると体調を崩しやすくなる面もあると考えられています。統計の数字に一喜一憂しすぎず、目の前の一頭に合った暮らしを整えていくことが大切です。
長生きの傾向と個体差
平均寿命はあくまで中央的な目安であり、実際には15歳前後、あるいはそれ以上まで穏やかに過ごすペキニーズもいます。一方で、持病や体質によってはより早く体調の変化が訪れることもあります。大切なのは「何歳まで生きるか」を予測することよりも、その子のペースに合わせて、今日を心地よく過ごせるよう寄り添うことだと言えるでしょう。年齢を重ねてきた愛犬の変化に気づいたら、次の項目もあわせて確認してみてください。
ペキニーズの年齢を人間に換算すると【早見表】
愛犬が今、人間でいえば何歳くらいなのかを知ると、体の変化の理由が腑に落ちることがあります。小型犬の人間年齢は、一般に「24 +(犬の年齢 − 2)× 4」という式で目安を求められると言われています(SBIペット少額短期保険などが紹介)。最初の2年で人間の24歳ほどに達し、その後は1年ごとにおよそ4歳ずつ重ねていく計算です。下の早見表で、おおよその対応を見てみましょう。

この換算はあくまで目安ですが、7歳ごろには人間でいう40代半ばにあたり、いわゆる「シニア期」の入り口とされています。この時期から、健康診断の頻度を年1〜2回に増やしたり、食事を年齢に合ったものに見直したりすると、体の変化に早く気づきやすくなります。
ペキニーズがかかりやすい病気・寿命に関わりやすい要因
ペキニーズは比較的丈夫な犬種とも言われますが、鼻がぺちゃっと短い「短頭種」ならではの注意点があります。ここでは代表的な病気を整理します。いずれも診断や治療は動物病院で行うものですので、以下は「こんなサインに気づいたら相談を」という受診の目安としてお読みください。

短頭種気道症候群
短頭種気道症候群は、鼻の穴が狭い、のどの奥の軟口蓋が長いといった短頭種の構造が重なって、呼吸がしづらくなる状態の総称とされています。ガーガー・ズーズーといういびきのような呼吸音、少しの運動や興奮での息切れ、暑い日のあえぎなどが見られることがあると言われます。悪化すると体温をうまく下げられず、後述の熱中症にもつながりやすいとされています。気になる呼吸音が続く場合は、動物病院にご相談ください。
熱中症
犬は主に「パンティング(あえぎ呼吸)」で体温を下げますが、短頭種はこの働きが苦手なため、熱中症が重症化しやすいと言われています(PS保険などが解説)。ぐったりする、呼吸が荒く戻らない、よだれが多いといった様子は危険なサインとされ、夏場はとくに注意が必要です。予防の具体策は次の章でまとめています。
椎間板ヘルニアなどの関節・背骨の疾患
ペキニーズは骨格が繊細で、椎間板ヘルニアや膝蓋骨脱臼(パテラ)といった関節・背骨のトラブルが起こりやすいとされています。段差の上り下りを嫌がる、抱き上げたときに鳴く、後ろ足を引きずるといった変化は、背骨や関節の負担のサインである場合があると言われます。ソファなどの高い場所からの飛び降りを控える工夫が、負担の軽減につながると考えられています。
目の病気(眼疾患)
大きくうるんだ瞳はペキニーズの魅力ですが、その分、眼球が前に出ていて傷つきやすい面があります。角膜炎や乾性角結膜炎(ドライアイ)、逆さまつ毛などが起こりやすいとされ、まれに強い衝撃で眼球が飛び出してしまう「眼球脱出」が知られています。目を気にしてこする、白く濁る、涙や目やにが増えるといった様子に気づいたら、早めに動物病院で診てもらうと安心です。
ペキニーズに長生きしてもらうためにできること
寿命そのものを操作することはできませんが、短頭種の体質に寄り添った暮らしを整えることで、穏やかな時間を支えることはできると言われています。ここでは毎日の暮らしでできることを、手順として整理します。

1適正体重を保つ食事にする
肥満は狭い気道への負担を強め、関節にもこたえると言われています。年齢に合ったフードを適量与え、おやつの量にも気を配ることが基本です。体重が気になる場合は、かかりつけの動物病院で適正体重の目安を相談してみましょう。
2夏場の暑さから守る
室温は26℃以下を一つの目安に、湿度もこもらないよう管理します。散歩は地面が熱くなる日中を避け、早朝や日没後の涼しい時間帯に。呼吸が荒く戻らない様子があれば、無理をさせないことが大切です。
3目と関節をいたわる環境をつくる
床が滑らないようマットを敷く、ソファなど高い場所への上り下りに段差を減らす、といった工夫が背骨や関節を守ります。目は毎日そっと観察し、濁りや充血に早く気づけるようにしておくと安心です。
4定期的に健康診断を受ける
シニア期に入ったら、年1〜2回の健康診断が目安とされています。呼吸・歩き方・体重といった小さな変化を早めに拾えることが、穏やかな毎日を支える大きな助けになります。
シニア期のペキニーズの変化と向き合い方
7歳ごろから、ペキニーズは少しずつシニア期に入っていくと言われています。眠っている時間が長くなる、遊びへの反応がゆるやかになる、白髪が増える、といった変化は、加齢にともなう自然な歩みです。若いころと同じ運動量を求めず、その子のペースを尊重してあげることが、この時期の心地よさにつながります。

一方で、食欲や飲水量の急な変化、これまでになかった咳や呼吸の乱れ、歩き方の異常などは、加齢だけでは説明のつかないサインのこともあります。「歳のせい」と決めつけず、気になる変化は動物病院に相談することが、結果として愛犬の負担を軽くすることにつながると言われています。介護が必要になってきたときの暮らしの整え方については、
もあわせて参考にしてください。
ペキニーズとのお別れが近づいたら
どれだけ心を尽くしても、いつかはお別れのときが訪れます。それは飼い主にとって最もつらい瞬間ですが、あらかじめ「そのとき、どうしたいか」を少しだけ心にとめておくことで、慌てずに、その子らしいお見送りができることもあります。

亡くなった直後は、体をきれいにして涼しい場所に安置し、火葬や供養の方法を落ち着いて選ぶことになります。何から手をつければよいか分からないときは、
で全体の流れをご覧いただけます。また、深い喪失感が長く続くこともありますが、それはこの子を大切に想った証でもあります。悲しみとの向き合い方については、
もそっと寄り添えたら幸いです。
よくある質問
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状は動物病院にご相談ください。数値は執筆時点(2026年7月)の各出典に基づきます。
まとめ
ペキニーズの平均寿命は13.2歳(アニコム「家庭どうぶつ白書2023」)とされ、犬全体よりわずかに短い傾向にあります。けれど、それはあくまで目安です。鼻の短い短頭種という体質を理解し、体重管理や夏場の暑さ対策、目と関節へのいたわり、そして定期的な健康診断を重ねていくことが、穏やかな毎日を支えてくれます。
数字を数えるためではなく、今日の一日をいとおしむために。あなたとペキニーズの時間が、どうか穏やかに、長く続きますように。