ペットロスの乗り越え方 ペットロス・心のケア

ペットが亡くなって悲しいとき|眠れない・食べられない最初の数日の過ごし方

家の中が、こんなに静かだったことはありませんでした。いつも足元にいたはずの場所に、もう誰もいない。ドアの音がしても、走ってくる気配がない。食器を洗いながら、洗濯物をたたみながら、ふいに涙があふれてきて、どうしていいか分からなくなる——。

ペットが死んでしまって悲しい。その言葉のまま検索して、このページにたどり着いてくださったのだと思います。まだ何日も経っていない方、今まさに眠れない夜のなかにいる方もいらっしゃるかもしれません。まず、ひとつだけお伝えさせてください。悲しくてたまらないのは、あなたが弱いからではなく、それだけ深く愛したからです。涙が止まらないことも、何も手につかないことも、おかしなことではありません。

この記事は、立ち直り方をお伝えするためのものではありません。今夜と、これからの数日を、どうにか越えていくためのものです。亡くした直後の心とからだに何が起こるのか、眠れない・食べられないときにできること、「自分のせいだ」と責めてしまう気持ちとの向き合い方、そして誰かに話したくなったときの相談先を、静かに整理しました。読める部分だけ、読める速さで目を通していただければ十分です。

飼い主さん
あの子が亡くなってから、涙が止まりません。眠れないし、ごはんも食べられなくて。こんなに取り乱している自分がおかしいのではないかと不安です。
編集部
おかしくはありません。泣く、眠れない、食欲がなくなる——それらは大切な存在を失ったときに多くの方に起こる反応だとされています。今は、立ち直ろうとしなくて大丈夫です。今夜を越えることだけを考えてください。

一言でいうと、ペットを亡くした直後に涙が止まらない・眠れない・食べられないのは、愛情を注いだ人の誰にでも起こりうる自然な反応だといわれています。悲しみに期限はなく、いつまでにどうなるべきという正解もありません。

ペットが亡くなって悲しいのは、あなたが弱いからではありません

窓辺でうつむき、亡くなったペットを想って静かに過ごす人
写真はイメージです

大切な存在を失ったときに生じる深い悲しみと、それに伴うさまざまな反応は「グリーフ(悲嘆)」と呼ばれます。名古屋市精神保健福祉センターは、グリーフについて「人それぞれの感じ方があり、ケアの方法も様々であるため、非常に個別性の高いもの」と説明しています(名古屋市「大切な人・身近な人を亡くされたあなたへ グリーフについて」)。つまり、悲しみ方に「正しい形」はないということです。

ペットを亡くした悲しみも例外ではありません。東京都動物愛護相談センターのコラム「ペットロスを考える」(執筆=日本獣医生命科学大学 濱野佐代子教授)では、ペットロスについて「特別な人が陥る症候群と誤解されがちですが、ペットに愛情を注いでいる誰しもが経験すること」と述べられています(東京都動物愛護相談センター「ペットロスを考える」)。あなたに起きていることは、あなただけに起きている異常事態ではありません。

「たかがペット」と言われても、その悲しみは本物です

同コラムでは、ペットロスが「公に認められにくい悲しみの一つ」であることにも触れられています。人を亡くしたときのように忌引が認められるわけでもなく、周囲から「また飼えばいい」と言われてしまうこともある。それでも、毎日そばで眠り、名前を呼べば来てくれた存在を失った痛みは、他人が決めていいものではありません。

とくにペットとの関係には、日々のスキンシップという身体的なつながりがあります。同コラムでも、そのふれあいの喪失が「心理的な悲しみに加え、身体で感じる喪失感をもたらす」と説明されています。腕の中の重みや体温を覚えているぶん、失われたことがからだで分かってしまう。それが、この悲しみの深さの一因だと考えられています。

「悲しい」以外の感情が出てきてもかまいません

悲しみの渦中では、怒りや、何も感じられない麻痺のような感覚、あるいは「ほっとしてしまった」という気持ちが出てくることもあります。長い介護の末のお別れであれば、なおさらです。それらもグリーフの一部として知られている反応で、あなたの愛情が足りなかったことを意味しません。

亡くした直後に起こりやすい、心とからだの反応

ペットを亡くした直後に起こりやすい心・からだ・暮らし・思考の反応をまとめた図
亡くした直後に起こりやすい反応(当メディア編集部作成)

先ほどのコラムでは、ペットの喪失に伴う反応として「泣く、眠れない、食欲がなくなる、頭痛、腹痛」といった身体面の変化と、「悲しい、落ち込む、怒りがわく、自分を責める」といった心理面の変化が挙げられています。豊中市の案内でも、大切な人を亡くしたあとに疲れやすさ・不眠・食欲低下・持病の悪化、人と会いたくない、集中できないといった変化が起こりうると説明されています(豊中市「大切な人を亡くしたとき -グリーフ(悲嘆)って何だろう?-」)。

今あなたに起きていることの多くは、すでに「起こりうること」として知られている反応です。自分の状態に名前がつくだけで、少しだけ息がしやすくなることがあります。

最初はぼんやりして、涙も出ないことがあります

亡くなった直後は「ショックを受けて呆然とする」時期があり、これは衝撃から心を守るための正常な反応だと東京都動物愛護相談センターのコラムでは説明されています。実感が湧かない、涙が出ない、淡々と手続きを進められてしまう——そうした状態を「自分は薄情なのでは」と感じる方がいますが、そうではありません。少し経ってから悲しみが押し寄せてくることも、よくあることだとされています。

「守ってやれなかった」という気持ちについて

同コラムでは、ペットが子どものような存在である場合、「守ってやれなかった、病気に気づいてあげられなかった」という自責の気持ちが強まりやすいことにも触れられています。この気持ちについては、後の見出しであらためて向き合います。今は、そう思ってしまうこと自体が珍しくないのだ、とだけ知っておいてください。

眠れない・食べられない・涙が止まらない夜の過ごし方

夜明け前の静かな窓辺。眠れない夜を過ごす人の視点のイメージ
写真はイメージです

ここでお伝えするのは、悲しみを消す方法ではありません。悲しいまま、今夜をどうにか越えるための小さな工夫です。できそうなものが一つもなくても、それで構いません。

1眠れないなら、眠ろうとしなくていい

眠らなければと思うほど、眠れなくなることがあります。横になって目を閉じ、からだを休めているだけでも休息にはなります。暗い部屋がつらければ、小さな灯りをつけたままでも、テレビの音を小さく流したままでも構いません。あの子が使っていた毛布をそばに置いて眠る方もいます。

2食べられないなら、まず飲みものから

食欲がないときに無理に食事をとる必要はありません。ただ、水分だけは意識して口にしてください。白湯、麦茶、スープ、経口補水液など、飲み込みやすいもので構いません。食べられそうな気がしたら、果物やゼリーなど負担の少ないものから少しだけ。数日にわたって水分もほとんどとれない状態が続くときは、からだのために医療機関に相談してください。

3涙は止めなくていい

泣くことは、悲しみをやり過ごすための自然な働きだと考えられています。人前で泣けないなら、ひとりになれる場所で。声が出てしまっても構いません。「もう泣かない」と決めることのほうが、あとで苦しくなることがあります。

4気持ちを、言葉にして外に出す

頭の中でぐるぐるしていることを、ノートや携帯のメモに書き出してみてください。文章にならなくても、単語の羅列でも構いません。あの子への手紙という形にする方もいます。声に出して名前を呼ぶ、話しかける——それも、してはいけないことではありません。

5連絡に追われるなら、いったん止める

今日は誰の連絡にも返さない、と決めてしまってかまいません。仕事や周囲への説明も、事情を伝えたうえで先送りにできるものは先送りに。悲しみの渦中に、判断の多い予定を詰め込まないことが、いちばんの休息になることがあります。

それでも夜が長すぎるときは、24時間つながる相談先があります。この記事の後半でご案内します。

今夜、してもいいこと・しなくていいこと

ペットを亡くした直後に、してもいいこと・しなくていいことを対比した図
今夜のための「してもいいこと・しなくていいこと」(当メディア編集部作成)

亡くした直後は、まわりから善意でいろいろなことを勧められます。「早く片づけたほうがいい」「気晴らしに出かけたら」。けれど、急いでしなければならないことは、思っているよりずっと少ないものです。

東京都動物愛護相談センターのコラムには、「ペットのことを忘れなくてもいいですし、ペットに関連する物をむりやり片付けなくてもいい」とはっきり書かれています。ベッドも、食器も、おもちゃも、置いたままで構いません。片づけられるようになるときが来たら、そのときに片づければ十分です。写真を飾るのも、まだ見られないからしまっておくのも、どちらでも間違いではありません。

お別れの段取りだけは、期限があります

「何も決めたくない」というお気持ちのなかで恐縮ですが、ご遺体の安置とお見送りだけは、季節や環境によって時間の制約があります。とはいえ、今すぐ何社も比較して決めなければならないわけではありません。まずは涼しい場所に安置してあげること。それだけできていれば、少し落ち着いてから考えても間に合うことが多くあります。

「自分のせいだ」と責めてしまうあなたへ

そっと差し出された手と、亡くなったペットを想わせる肉球のイメージ
写真はイメージです

あのとき病院に行っていれば。もっと早く異変に気づいていれば。あの日、留守にしなければ。——亡くしたあとに、自分を責める言葉が次々に浮かんでくる方は少なくありません。前述のとおり、東京都動物愛護相談センターのコラムでも「守ってやれなかった、病気に気づいてあげられなかった」という自責感が生じやすいことが指摘されています。

この気持ちを、誰かに「あなたのせいじゃないよ」と言われても、すぐには受け取れないと思います。ですから、ひとつだけ。あなたが今こんなに悔やんでいるのは、あの子のことをずっと見ていたからです。どうでもよかったなら、悔やむことすら起きません。後悔の大きさは、注いできた愛情の大きさとつながっています。

「まだ立ち直れない」と思っている方へ

数日経っても、何週間経っても、以前のように過ごせない。それを「遅れている」と感じる必要はありません。同コラムでは、多くの人が「時間はかかりますが、自身にもともと備わった力で、周囲のサポートを得て、徐々に」回復に向かうとされています。時間がかかることは、はじめから織り込まれているのです。

悲しみは、まっすぐ小さくなっていくものではないともいわれます。落ち着いたと思った翌日にまた泣いてしまう。そんな行きつ戻りつを繰り返しながら、少しずつ日常と共存していく。今日うまくいかなかったことは、失敗ではありません。

誰かに話したいとき・身近な人に話せないときの相談先

供えられた白い花。話を聞いてもらう場を探す人のイメージ
写真はイメージです

家族のあいだでも、悲しみの表れ方は違います。泣き続ける人もいれば、黙って仕事に行く人もいる。そのずれが、かえって孤独につながることがあります。名古屋市の案内でも、周囲からの「何気ない声かけに傷つくことがあるかもしれません」と書かれているとおりです。

身近な人に話しづらいときは、公的な電話相談を頼ってかまいません。ペット専用の窓口ではありませんが、つらさを抱えた人が誰でもかけられる窓口として、厚生労働省が次の連絡先を案内しています(厚生労働省「電話相談」/電話番号・受付時間は執筆時点の同ページ掲載情報)。

相談窓口 電話番号 受付時間 備考
こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556 都道府県により異なる お住まいの地域の公的な相談機関につながります
よりそいホットライン 0120-279-338 24時間 福島県専用番号は0120-279-226
#いのちSOS 0120-061-338 24時間365日 特定非営利活動法人自殺対策支援センターライフリンク

「こんなことで電話していいのだろうか」と思われるかもしれません。けれど、眠れない・食べられない・涙が止まらないというのは、じゅうぶんに相談してよい状態です。話す内容がまとまっていなくても構いません。

専門家に相談することを考えてよいとき

悲しみそのものは治療の対象ではなく、自然な反応です。そのうえで、次のような状態が続いてつらいときは、心療内科・精神科やカウンセラー、お住まいの自治体の精神保健福祉センターなどに相談することを考えてみてください。

専門家への相談を考えたい状態

  • 眠れない状態や、ほとんど食べられない状態が長く続いている
  • 仕事や家事など、日常生活が立ち行かない日が続いている
  • もともとの持病の症状が重くなっている
  • 自分を傷つけたい気持ちが出てくる
  • 誰にも話せず、ひとりで抱え込んでいる感覚が強い

相談することは、悲しみを無理に終わらせることではありません。悲しいまま生活を続けるための、からだと心の支えを借りるということです。豊中市や名古屋市のように、こころの健康相談を無料・匿名で受け付けている自治体もあります。

同じ経験をした人の場に触れる

ペットを亡くした人が集まるオンラインの場や、動物病院・ペット霊園が開いているお話し会などもあります。同じ痛みを知っている人の言葉は、「分かってもらえない」という孤独をやわらげることがあります。ただし、今はまだ人の話を聞く力が残っていないかもしれません。そのときは、無理に参加しなくて大丈夫です。

まだ何も決められなくても、大丈夫です

自宅にしつらえた小さな供養スペース。写真と花が置かれている
写真はイメージです

火葬の形式をどうするか、お骨をどこに置くか、いつまで手元に置くか。決めなければならないことは、これから少しずつ出てきます。けれど、そのすべてを今日決める必要はありません。

東京都動物愛護相談センターのコラムでは、「お別れのセレモニーやメモリアル、葬祭など、家族の希望に合ったお別れをすることも回復に向かうことに有効」とされています。大切なのは、立派なお別れをすることではなく、あなたとご家族が納得できる形でお見送りできることです。次の子を迎えるかどうかについても、同コラムは個々人のペースでよいとしています。考えたくないなら、考えなくていいのです。

今日できることは、あの子の名前を呼ぶことと、あなた自身が少し休むこと。それだけで、十分すぎるほどです。

よくある質問

Q涙が止まりません。いつまで続くのでしょうか。

A悲しみの続く期間には大きな個人差があるとされ、「何日で終わる」という目安はありません。名古屋市の案内でもグリーフは「非常に個別性の高いもの」と説明されています。数日で落ち着く方もいれば、季節がひとめぐりするまで波が続く方もいます。今のあなたのペースが遅すぎるということはありません。

Q家族はもう普通に過ごしています。自分だけおかしいのでしょうか。

Aおかしくありません。悲しみの表れ方は同じ家庭のなかでも異なり、平静に見える人が悲しんでいないとは限りません。ただ、そのずれがつらいときは、無理に合わせず、外の相談先や同じ経験をした人の場を頼ることも選択肢になります。

Qあの子のベッドやおもちゃは、片づけたほうがいいですか。

A急いで片づける必要はありません。東京都動物愛護相談センターのコラムには「ペットに関連する物をむりやり片付けなくてもいい」と書かれています。見ているのがつらければ一時的に見えない場所へ移す、そのままにしておく、どちらもあなたの自由です。

Q何日も眠れず食べられません。病院に行くべきでしょうか。

A眠れない状態や食べられない状態が続いてつらいときは、我慢せず心療内科・精神科やかかりつけの医療機関、自治体の相談窓口にご相談ください。相談すること自体が、悲しみを終わらせなければならないという意味ではありません。まずは、からだを守るためとお考えください。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や公的な相談窓口にご相談ください。相談窓口の電話番号・受付時間は執筆時点(2026年7月)の各公式ページ掲載情報です。

まとめ

ペットが亡くなって悲しくてたまらないのは、あなたが弱いからではありません。泣く、眠れない、食欲がなくなる、自分を責める——それらは愛情を注いだ人に起こりうる自然な反応だといわれています。今は、立ち直ろうとしなくていい時期です。

今夜できることは、横になってからだを休めること、水分だけでも口にすること、涙を止めないこと、そして気持ちを言葉にして外に出すこと。片づけも、次のことも、急がなくてかまいません。ひとりで抱えきれないときは、24時間つながる相談先があります。

悲しみに期限はありません。あの子と過ごした日々が長かったぶんだけ、時間がかかって当たり前です。どうか、あなたの心とからだが、少しずつでも休まりますように。

-ペットロスの乗り越え方, ペットロス・心のケア