安置・ご遺体のケア 死亡直後の対応

愛犬が亡くなった時にすること|安置の手順とお別れまでの過ごし方

愛犬が旅立ったばかりの今、何から手をつければいいのか分からないまま、この記事にたどり着かれたのかもしれません。まだ現実として受け止められないまま、それでも「このままにしていて大丈夫なのだろうか」という不安だけが、そっと胸に残っている——そんな時間ではないでしょうか。

結論からお伝えすると、今すぐ決めなければならないことは、ほとんどありません。していただきたいのは、まず愛犬のそばにいてあげること。そのうえで、お体を清めて涼しく安置してあげれば、火葬や供養の相談は落ち着いてからで間に合います。役所への届出にいたっては、30日という猶予があります。

この記事では、愛犬が亡くなった時に「今この瞬間にしてあげられること」から、お別れまでの過ごし方、火葬の形式の選び方、そして落ち着いてからの手続きまでを、順番に静かにまとめました。急がず、読める範囲だけ読んでいただければ十分です。

飼い主さん
さっき、愛犬が息を引き取りました。頭が真っ白で、何をすればいいのか分かりません。すぐに業者へ連絡しないといけないのでしょうか。
編集部
いいえ、今すぐでなくて大丈夫です。まずはそばにいて、名前を呼んであげてください。そのあとでお体を清めて保冷してあげれば、数日はゆっくりお別れの時間を持てます。順番だけ、ここで一緒に確認していきましょう。

一言でいうと、愛犬が亡くなった時にまずすることは「そばにいる」「お体を清めて姿勢を整える」「保冷して涼しい場所に安置する」の3つです。火葬の手配や役所への届出は、そのあとで落ち着いて進めても間に合います。

愛犬が亡くなった時、はじめの数時間にしてあげたいこと

ペットには、人のような「亡くなってから◯時間は動かしてはいけない」といった決まりはありません。ですので、まずは声をかけ、なでてあげる時間をとってください。それが、愛犬にとっていちばん近い場所にいた方だけができることです。

そのうえで、体が硬くなり始める前にしてあげたいことがいくつかあります。亡くなってからおよそ2〜3時間で死後硬直が始まるとされているため、姿勢を整えるのはその前がよいと、ペット葬儀各社が案内しています。硬直の経過や、硬くなってしまった後にできることは、下の記事で詳しくまとめています。

愛犬が亡くなった時にはじめの一日ですることを4ステップで示した図解
愛犬が亡くなった時、はじめの一日にすることの流れ(当メディア編集部作成)

1そばにいる時間をとる

連絡や手配より先に、まずお別れの時間を持ってください。名前を呼んであげること、いつものようになでてあげること。あとになって「あの時ちゃんとお別れを言えた」と思えることが、これから先の支えになります。

2目と口が開いていたら、そっと閉じる

指の腹でまぶたを下ろし、口はあごの下にタオルを軽く当てて支えると閉じやすくなります。力を入れて無理に閉じようとせず、閉じきらなければそのままでも構いません。

3お体をやさしく清める

ぬるま湯で濡らしてかたく絞ったタオルで、体をそっと拭きます。口や鼻、お尻から体液が出ていることがありますが、これは自然な変化です。ガーゼやペットシーツで拭き取り、必要ならおむつやタオルを当ててあげてください。ブラッシングで毛並みを整えてあげるのもよいと思います。

4手足を胸のほうへ、そっと丸める

硬直が始まると、伸びたままの姿勢で固まってしまい、火葬の際に棺に納めにくくなることがあります。眠っているときのように手足を胸側へ軽く折り曲げ、しっぽも体に沿わせてあげてください。関節が硬くなり始めていたら、無理に曲げず、そのままの姿勢を大切にして大丈夫です。

5箱に寝かせ、保冷して涼しい場所へ

体が入る大きさの段ボール箱やペット用の棺に、ペットシーツ、その上にタオルやいつも使っていたブランケットを敷いて寝かせます。保冷剤やビニール袋に入れた氷を薄いタオルで包み、頭の下・お腹まわり・背中に当ててください。直射日光とエアコンの暖房を避け、家の中でいちばん涼しい部屋に安置します。

お別れまでの日数と、安置を保つためにできること

お別れの支度として花を手に持つ人
写真はイメージです

「いつまで家にいてもらえるのか」は、多くの方が気にされる点です。明確な期限があるわけではありませんが、しっかり保冷できていれば夏場でおよそ1〜2日、冬場で2〜3日ほどを目安にお別れの日を決める方が多いとされています。室温や体格によって変わるため、日数そのものより「お体の状態を見ながら決める」という考え方のほうが実際的です。

保冷は「毎日交換する」のが基本です

保冷剤は数時間から半日ほどで効果が薄れます。ドライアイスを使う場合も同様で、少なくとも1日1回は新しいものに替えてあげてください。保冷剤を直接お体に当てると毛や皮膚が傷むことがあるので、必ず薄いタオルや布で包みます。冷やす場所は、内臓のあるお腹まわりを中心に、頭部・背中も合わせて当てるとよいとされています。

お花や思い出の品は、火葬できるものを選んで

お顔のまわりに好きだったおやつやお花を添えて、写真を撮っておく方もいらっしゃいます。ただし、一緒に火葬できるものには制限があります。プラスチック製の首輪やおもちゃ、金属、ガラス、大量の副葬品はお骨を傷めたり燃え残ったりする可能性があるため、火葬業者から断られることが少なくありません。生花や紙、少量のドライフードであれば納めさせてもらえることが多いものの、判断は業者ごとに異なります。当日になって慌てないよう、予約の電話の際に「一緒に入れられるもの」を聞いておくと安心です。

夏に亡くなった場合の注意

気温が高い時期は、変化が早く進みます。冷房を効かせた部屋に移し、保冷剤の数を増やし、お別れの日を少し早めに設定するのが現実的です。においが気になり始めたら、それは自然な経過であって、あなたのケアが足りなかったわけではありません。どうかご自分を責めないでください。

家族や周囲への伝え方と、仕事を休むかどうか

窓辺で静かに考えごとをする人
写真はイメージです

愛犬を見送った日に、多くの方がもうひとつ悩まれるのが「仕事はどうするか」「誰に、どう伝えるか」という現実的な問題です。

ペットの忌引き休暇は、会社によります

ペットを家族として認めた慶弔休暇制度を設けている企業も少しずつ増えていますが、法律上の定めがあるわけではありません。制度がない場合は、有給休暇として1日いただくのが現実的な選択になります。理由を細かく説明するのがつらければ、「家庭の事情で」と伝えるだけでも十分です。火葬の立ち会いを希望するなら、その時間だけでも休みを取れないか相談してみてください。あとから「仕事を優先してしまった」と悔やむ方は少なくありません。

お子さんへの伝え方

「どこかへ行った」「眠っている」といった言い換えより、年齢に応じて事実をそのまま伝えたほうがよいと考えられています。お別れの場に立ち会わせるかどうかも、お子さん自身に選ばせてあげてください。悲しむ姿を見せることは、大人が悲しんでもいいのだと伝えることでもあります。

知らせを受けた側として、言葉に迷うとき

ご家族やご友人の愛犬が亡くなったと聞いて、この記事を読まれている方もいらっしゃるかもしれません。かける言葉に迷ったときは、無理に励まそうとせず「つらかったね」「いい子だったね」と、相手の悲しみをそのまま受け止める言葉のほうが届きます。「新しい子を飼えば」「寿命だったんだから」といった前を向かせようとする言葉は、まだ早すぎることがあります。

火葬・供養の進め方|形式の選び方と、依頼先の確かめ方

遺影と骨壷に手を合わせる人
写真はイメージです

気持ちが少し落ち着いたら、お見送りの方法を決めます。日本ではペットのご遺体は法律上「一般廃棄物」として扱われるため自治体でも引き取ってもらえますが、多くの自治体では他のペットと一緒の焼却となり、お骨は返ってきません。返骨を望まれるなら、民間のペット火葬・葬儀業者に依頼することになります。

火葬の3つの形式

ペット火葬はおもに次の3形式です。どれが正しいということはなく、お骨を手元に置きたいかどうかが、いちばん分かりやすい選び方の軸になります。

形式 費用の目安(税込) お骨の返却 こんな方に
合同火葬 8,500円〜 返骨なし(提携霊園などで合同供養) 費用を抑えたい/自宅に置かず供養したい
個別火葬(一任) 15,400円〜 返骨あり(火葬は業者に一任) お骨は手元に残したいが、立ち会うのはつらい
立会火葬 17,600円〜 返骨あり(家族でお骨上げ) 最後まで見届けたい/家族全員で見送りたい

※費用はペット葬儀110番の公式サイトに掲載されているプラン料金の下限(税込・執筆時点)です。実際の金額は体重や地域、オプションによって変わります。

依頼する前に、必ず確認したい4つのこと

残念ながらこの業界では、火葬の途中で高額な追加料金を請求されたり、火葬されないままご遺体が不適切に扱われたりする事件が実際に起きています。悲しみの中で冷静な判断は難しいものですが、電話の段階で次の4点だけは確認しておいてください。

  • 会社の所在地と固定の火葬施設があるか(住所・法人名が公式サイトに明記されているか)
  • 立ち会いや返骨ができるか、できる場合の条件
  • 見積もりの総額と、追加料金が発生する条件(体重超過・骨壷・お迎えの距離など)
  • 火葬後にお骨をどのように渡してもらえるか

「電話で総額を答えられない」「所在地が分からない」といった場合は、いったん保留にして別の業者にも問い合わせてよいと思います。急かされても、決めるのはこちらのペースで構いません。

どこに相談すればいいか分からないとき

深夜や早朝で連絡先が分からない、比較する気力が出ない——そんなときの選択肢のひとつが、全国の提携業者を紹介してくれる相談窓口です。ペット葬儀110番は24時間365日受付で、合同火葬8,500円(税込)から、個別火葬15,400円(税込)から、家族立会プラン17,600円(税込)から、と公式サイトに案内されています(執筆時点)。

\ 詳細・ご相談は公式サイトから /

ペット葬儀110番 公式サイトはこちら

24時間365日、深夜でも相談を受け付けています。実際に火葬を行うのは地域の提携業者のため、紹介を受けたら「業者名」「立ち会い・返骨の可否」「追加費用のない総額」を確認してからお決めください。

落ち着いてからの手続き|死亡届・鑑札の返納・マイクロチップ

犬の前足にそっと手を添える飼い主
写真はイメージです

犬の場合は、猫や他の動物と違って役所への届出が必要です。ただし、今日中にする必要はありません。狂犬病予防法第4条第4項は、登録を受けた犬が死亡したときは30日以内に市町村長へ届け出るよう定めています(e-Gov法令検索・狂犬病予防法より)。火葬を終えて、少し息がつけるようになってからで間に合います。

手続き 届出先 期限 必要なもの
犬の死亡届 お住まいの市区町村(保健所・生活衛生課・動物指導センターなど) 30日以内 鑑札、狂犬病予防注射済票
マイクロチップの死亡等の届出 環境省指定登録機関(犬と猫のマイクロチップ情報登録) 遅滞なく 登録証明書に記載の情報
ペット保険の解約 契約している保険会社 契約により異なる 証券番号など

死亡届は郵送・電話・電子申請などで受け付けている自治体も多く、窓口へ足を運ばずに済むことがあります。手数料はかかりません。届け出ないままにしておくと、翌年以降も狂犬病予防注射の案内が自宅に届いてしまい、そのたびに胸が痛むことになります。

マイクロチップを装着していた場合は、環境省の指定登録機関への「死亡等の届出」も必要です。オンラインまたは紙で行え、こちらも手数料はかかりません(環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録に関するQ&A」より)。登録証明書に記載された情報が必要になるので、探しておいてください。

気持ちの整理|ペットロスとどう向き合うか

夕暮れの静かな道を歩く人
写真はイメージです

手続きが一段落したあと、かえって深い喪失感が訪れることがあります。涙が止まらない、食欲がない、眠れない、あの日の判断を何度も悔やんでしまう——どれも、大切な家族を亡くしたときに起こりうる自然な反応です。

回復に「正しい期間」はありません。すぐに元気を取り戻す方もいれば、何年も心のどこかに残る方もいます。悲しみの深さは、その子と過ごした時間の確かさでもあります。無理に忘れようとしたり、早く立ち直ろうと自分を急かしたりしなくて大丈夫です。

気持ちが少し動き始めたら、写真を1枚飾る、名前を呼んでみる、好きだった歌を聴く、お花を供える——そんな小さなことから始める方が多くなっています。同じ経験をした人の言葉に触れることが救いになる場合もあります。一方で、眠れない・食べられない状態が長く続いたり、日常生活に支障が出ていると感じたりする場合は、一人で抱えずに医療機関や専門の相談窓口に頼ってください。

よくある質問

Q愛犬が亡くなった時、動物病院に連絡は必要ですか?

A通院中だった場合や、病院で亡くなった場合は連絡が必要ですが、自宅で看取ったときに義務として報告しなければならない決まりはありません。ただし、かかりつけの動物病院が火葬業者を紹介してくれることもあり、どこに頼めばよいか分からないときは相談先のひとつになります。

Q亡くなってから何日以内に火葬しなければいけませんか?

A法律上の期限はありません。保冷ができていれば夏場で1〜2日、冬場で2〜3日ほどを目安にお別れの日を決める方が多くなっています。お体の状態を見ながら、ご家族が集まれる日を選んで構いません。

Q庭に埋めてあげてもいいのでしょうか?

A自分の所有地であれば土葬は可能とされていますが、浅く埋めるとにおいや衛生上の問題が生じたり、他の動物に掘り返されたりすることがあります。1m以上の深さが必要とされ、小型犬でも現実には難しい場合が少なくありません。公園や河川敷など他人の土地・公有地に埋めることは認められていないため、避けてください。

Qお骨を家に置いたままでも大丈夫ですか?

A手元に置いておくことに問題はありません。期限もありませんので、気持ちが定まるまで一緒にいて構いません。落ち着いてから霊園への納骨や樹木葬、手元供養など、その時のお気持ちに合う方法を選べば十分です。

※本記事の料金は執筆時点(2026年8月)の各社公式サイト情報です。最新は各公式サイトでご確認ください。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状は動物病院や専門の相談窓口にご相談ください。

まとめ

愛犬が亡くなった時にすることを、もう一度だけ整理します。まずはそばにいて、お別れの時間をとること。2〜3時間を目安にお体を清めて手足をそっと丸め、保冷剤を布で包んで涼しい部屋に安置すること。火葬の形式は、お骨を手元に残したいかどうかで選び、依頼先には所在地・立ち会い・返骨・総額の4点を確かめること。役所への死亡届とマイクロチップの届出は、落ち着いてからで間に合います。

今日できたことが、そのうちのひとつだけだったとしても、それで十分です。長いあいだそばにいてくれた愛犬にとって、いちばんうれしいのは、あなたが名前を呼んでくれることだったはずですから。

穏やかなお別れの時間が、あなたとご家族に訪れますように。

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