ペット葬儀・火葬 葬儀の基礎知識・流れ

ペットの火葬が辛いとき|立ち会わない選択と、当日・そのあとの過ごし方

火葬の日取りが決まったあと、あるいは決めようとしている今、「立ち会うのが辛い」「あの子を火葬してしまうことが、どうしても受け入れられない」と感じている方は少なくありません。頭では見送らなければいけないと分かっていても、心のほうが追いつかない。そう感じるのは、あなたの心が弱いからではありません。

この記事では、火葬を前にした「辛い」という気持ちに名前をつけ、立ち会う・立ち会わないという選択のこと、当日に起きやすい心の動き、お骨を見るのが怖いと感じたときのこと、そして火葬を終えたあとの過ごし方を、静かに整理しました。手順や費用の細かい話は別の記事にゆずり、ここでは気持ちのほうに寄り添います。

読み進めるのが辛くなったら、途中でページを閉じていただいて構いません。今日決めなければならないことだけを確認して、あとはどうか、休んでください。

飼い主さん
明日が火葬なのですが、立ち会うのがどうしても怖いんです。最後まで見届けないなんて、あの子に申し訳ない気がして、昨日から眠れません。
編集部
怖いと感じるのは、それだけ深く一緒に生きてこられたからです。立ち会わないという選び方も、ペット葬儀社が「一任」というかたちで用意している、ごく普通の選択肢です。どちらを選んでも、あの子への愛情が減ることはありません。

一言でいうと、火葬が辛いと感じるのは自然な反応で、立ち会わない選択をしても後悔が決まるわけではありません。大切なのは、無理に「きちんと見送る」ことよりも、ご自身が受け止められるかたちを選ぶことだと言われています。

「火葬が辛い」と感じているのは、あなただけではありません

窓辺で静かにうつむいて悲しみに向き合う人
写真はイメージです

アイペット損害保険が2023年9月に、犬・猫を亡くした経験のある1,000名を対象に実施した調査では、約6割の方が「ペットロス」になったと回答しています。現れた症状として最も多かったのは「突然悲しくなり涙がとまらなくなった」で60.3%でした(同社「ペットロスに関する調査」)。強い悲しみは、特別なことではなく、多くの飼い主が通る道です

火葬をめぐる辛さは、ひとつの形ではありません。編集部が寄せられる声や各社の相談ページの記述を整理すると、おおむね次のような形で語られています。

辛さのかたち よく語られる気持ち
立ち会うのが辛い 炉に入る場面を見たら、耐えられない気がする
火葬すること自体が辛い まだ温かい体を手放すようで、自分が終わらせてしまう気がする
終わってしまうのが怖い 火葬が済んだら、本当にいなくなってしまう気がする
決めることが辛い 形式も日取りも、悲しみのさなかに自分が決めなければならない

どれも、その子との時間が長く濃かったことの裏返しです。「まだ受け入れられない」という気持ちのまま火葬の日を迎える方は、たくさんいらっしゃいます。気持ちが整ってから見送れる方のほうが、おそらく少数です。

立ち会う・立ち会わない、どちらを選んでも間違いではありません

火葬のときにしてもいいこと・しなくていいことを整理した図解
「しなくていいこと」を知っておくと、当日の負担が少し軽くなります(当メディア編集部作成)

ペットの火葬には、家族が最期まで付き添う「立会火葬」と、火葬から拾骨までを事業者に任せる「一任火葬(個別一任)」があり、多くのペット葬儀社が両方のプランを用意しています。立ち会わないことは、手抜きでも愛情不足でもなく、あらかじめ用意されている正規の選び方です

実際には、次のように「間の選び方」もできます。事前に伝えておけば、多くの事業者が状況に合わせて配慮してくれます。

  • お別れの時間(炉に入る前のお花入れなど)までは一緒にいて、火葬中は席を外す
  • 火葬には立ち会わず、拾骨だけ家族で行う
  • すべてお任せして、後日お骨を受け取りに伺う
  • 家族のうち、立ち会える人だけが立ち会う

ご家族のあいだで意見が分かれることもあります。「最期まで見届けたい」人と「見たら壊れてしまいそう」な人が同じ家にいるのは、めずらしいことではありません。どちらかが正しいのではなく、感じ方が違うだけです。無理に足並みをそろえず、それぞれが耐えられる距離で見送る方法を、事業者に相談してみてください。

火葬当日の具体的な流れや、火葬までにご自宅でしておく安置の方法は、別の記事で順を追って解説しています。細かい手順を今すぐ確認したい方だけ、開いてみてください。

火葬の当日、こころに起きやすいこと

お別れの支度として花を手にする人の手元
写真はイメージです

当日どうなってしまうのか分からないことが、不安を大きくします。あくまで一般によく語られる範囲ですが、次のような状態になる方が多くなっています。あらかじめ知っておくと、「自分だけがおかしいのでは」と責めずに済むことがあります。

起きやすいこと 知っておきたいこと
涙が止まらなくなる 泣いて構いません。スタッフは日常的に立ち会っています
反対に、涙が出ない 気持ちが追いつかず実感がわかない状態は自然に起こります
時間の感覚がなくなる 当日の記憶が飛ぶことも。大事な連絡は前日に済ませておくと安心です
終わったあと放心する その日は予定を入れず、帰宅後に休める段取りにしておく

涙が出ないことは、悲しんでいないことの証明にはなりません。強い衝撃を受けたとき、感情が一時的に遠くなるのは、心が自分を守ろうとする働きだと説明されています。数日後、数週間後に、堰を切ったように涙が出る方もいます。

当日に向けて、できるとしたら次のくらいのことです。前日の夜に少しでも横になること、水分を用意しておくこと、可能なら誰かに付き添いを頼むこと。運転が必要な場合は、帰り道の運転を家族や送迎に任せられないか考えておくと安心です。気持ちの準備は、しなくても構いません。準備ができる方は、そもそも多くないからです。

お骨を見るのが怖い、拾骨に立ち会えないと感じるとき

遺影と骨壷の前で静かに手を合わせる人
写真はイメージです

「お骨になった姿を見たら、あの子だと思えなくなりそうで怖い」。この気持ちを口にするのをためらう方がいますが、これも自然な感覚です。姿が変わることへの恐れは、その子の身体をずっと愛おしんできた方ほど強く出ます。

怖いと感じるときは、次のようにしていただいて構いません。

1拾骨に参加しない、と先に伝えておく

申し込みのときや当日の受付で「拾骨は難しいかもしれません」と伝えておけば、多くの事業者がスタッフによる納骨に切り替えて対応します。当日その場で言い出せなくなる前に、先に伝えておくほうが楽です。

2途中で席を外してよいと決めておく

最初から最後までいなければ、という決まりはありません。「無理だと思ったら外に出る」と自分に許可を出しておくだけで、当日の緊張はいくらかやわらぎます。

3骨壷はすぐに開けなくてよい

持ち帰った骨壷を、しばらく開けられない方はたくさんいます。何年も開けずに手元に置いている方もいます。見られるようになるまで、待って構いません。

4家族に代わってもらう

拾骨は必ずしも全員で行うものではありません。立ち会える家族に託し、ご自身は別室で待つという分担も、事業者に伝えれば対応してもらえることがほとんどです。

「見られなかった」ことは、あとから後悔として残りにくいと言われています。むしろ心を痛めやすいのは、耐えられないと分かっていたのに周囲に合わせて無理をし、その場面が記憶に焼きついてしまう場合です。ご自身が受け止められる距離を、遠慮せずに選んでください。

火葬を終えたあと、しばらくの過ごし方

自宅の一角に整えられた供養スペースと写真
写真はイメージです

火葬が終わると、多くの方が「気が抜けたようになる」と話されます。やるべきことが一段落し、静かになった家で、あらためて不在を感じる時期です。この時期にできることは、立ち直るための努力ではなく、自分を休ませる工夫です。

1まず、身体を休める

睡眠と食事が乱れやすい時期です。眠れないなら横になるだけでも構いません。仕事の予定は、減らせるなら減らしてください。悲しみは体力を使います。

2気持ちを言葉にして書き出す

誰かに見せるものではないので、整った文章でなくて構いません。「ごめんね」も「会いたい」も、そのまま書いてよいのです。書くことで気持ちが整理されたという声は多く聞かれます。

3写真や思い出の品は、無理のない範囲で

すぐに片づける必要も、無理に飾る必要もありません。見ると辛い時期は、そっとしまっておいて構いません。手をつけられるようになってからで十分です。

4同じ経験をした人の言葉に触れる

ペットを亡くした方の集まりやオンラインの場では、身近な人に言えなかった気持ちを話せることがあります。前述のアイペット損害保険の調査でも、気持ちの整理に役立ったこととして「ペットを悼む気持ちを肯定する」が43.5%(複数回答)と上位に挙がっていました。

5小さなお参りの居場所をつくる

骨壷のそばに写真とお花を置くだけでも、手を合わせる場所になります。仏壇や祭壇でなくて構いません。話しかける場所があると、気持ちの行き場ができるという方もいます。

「火葬が終わってからのほうが辛かった」「三か月ほど経ってから急に涙が出た」という話も、めずらしくありません。悲しみが遅れてやってくることもあります。

「まだ立ち直れない自分」を責めてしまう方へ

窓辺で穏やかに過ごすペットの後ろ姿
写真はイメージです

周囲から「そろそろ元気を出して」と言われたり、自分でも「いつまでも引きずっている」と感じたりして、悲しんでいること自体を責めてしまう方がいます。けれども、悲しみに標準の期間はありません。

先ほどのアイペット損害保険の調査では、ペットロスの症状が続いた期間として最も多かった回答は「1か月未満」(23.9%)でしたが、「1年以上」と答えた方も8.0%、「まだ続いている」と答えた方も4.7%いらっしゃいました。同じ出来事でも、悲しみの長さは人によってまったく違います。長く続いているからといって、向き合い方が間違っているわけではありません。

また、死別の悲しみは一直線に軽くなっていくものではないと考えられています。死別研究では、亡くなった存在と向き合う時間と、目の前の生活に戻る時間のあいだを人は行き来する(二重過程モデル)という考え方が知られており、『遺族ケアガイドライン 2022年版』(日本サイコオンコロジー学会・日本がんサポーティブケア学会編、金原出版)でも悲嘆の理論として紹介されています。笑えた次の日にまた泣けてくるのは、後戻りではなく、行きつ戻りつしながら進む波のようなものだと理解されています。

  • しなくていいこと:早く忘れること/泣かないようにすること/遺品をすぐ片づけること
  • しなくていいこと:新しい子をすぐ迎えて気を紛らわせること/誰かに気持ちを説明して納得してもらうこと
  • していいこと:思い出して泣くこと/名前を呼ぶこと/今日は何もしないと決めること

「あの子が悲しむから泣かないで」という言葉に、かえって傷ついたという声もよく聞かれます。悲しむことは、その子との時間を大切に思っている証しです。どうか、悲しむご自身を責めないでください。

誰かに話したくなったとき、専門家を頼ってよいとき

ペットの前足にそっと手を添える飼い主
写真はイメージです

気持ちを打ち明ける相手は、家族や友人だけとは限りません。かかりつけの動物病院で最期の様子を話せたことが救いになったという方もいますし、ペット葬儀社や霊園がグリーフケアの相談窓口を設けている場合もあります。ペットロスに理解のあるカウンセラーに話を聞いてもらう選択肢もあります。

大切な存在を亡くしたあとに、つらく悲しい気持ちがしばらく続くことは多くの方に見られ、こうした反応は悲嘆(グリーフ)と呼ばれる本来自然な反応だと説明されています(武蔵野大学・中島聡美教授らの研究班「遷延性悲嘆症のための心理療法」サイト)。一方で、嘆き悲しむ気持ちが長い期間にわたって激しく続き、亡くなった事実を受け入れられない状態が続くなど、心身や生活に大きな影響が生じている場合には、専門的な支援が必要になることがあるとも示されています。

眠れない、食べられない、仕事や家事が手につかないといった状態が続いてつらいときは、我慢せずに心療内科や精神科、臨床心理士などの専門家に相談してください。どこに相談すればよいか分からないときは、厚生労働省のサイト「まもろうよ こころ」でも、電話やSNSの相談窓口が案内されています。専門家に頼ることは、弱さではなく、休むための手段のひとつです

よくある質問

Q火葬に立ち会わなかったら、あとで後悔しますか。

A立ち会わなかったこと自体が後悔につながると決まっているわけではありません。多くのペット葬儀社が一任のプランを用意しており、選択肢として一般的なものです。ご自身が耐えられないと感じる場面を無理に選ぶほうが、記憶として重くなることもあります。判断に迷うときは、お花入れまでは一緒に、火葬中は別室で、といった中間の形も相談できます。

Q火葬までのあいだ、してあげられることはありますか。

A体を冷やして安置し、そばで名前を呼んだり、好きだったおやつやお花を用意したりする方が多くなっています。棺に入れられるものは事業者によって決まりがあるため、事前に確認してください。安置の具体的な方法や火葬までの流れは、別の記事にまとめています。

Q子どもを火葬に立ち会わせてもよいのでしょうか。

A年齢や性格によりますし、正解はありません。お別れの場に加わることが受け止めにつながる子もいれば、負担になる子もいます。「途中まで一緒にいて、あとは別室で待つ」など、無理のない範囲で参加できる形を事業者に相談してみてください。

Q涙ばかりで何も手につきません。いつになれば落ち着きますか。

A落ち着くまでの期間には個人差が大きく、数週間の方も、1年以上の方もいます。期限を決める必要はありません。ただ、眠れない・食べられないといった状態が続いて生活に支障が出ているときは、早めに心療内科やカウンセラーなどの専門家に相談されることをおすすめします。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門の相談窓口にご相談ください。

まとめ

火葬が辛いのは、その子と過ごした時間が確かなものだったからです。立ち会う・立ち会わないに正解はなく、拾骨に加われなくても、骨壷をしばらく開けられなくても、愛情が足りなかったことにはなりません。当日は涙が止まらないかもしれませんし、反対に何も感じられないかもしれませんが、どちらも自然な反応だと言われています。

火葬を終えたあとは、立ち直る努力よりも、身体を休めることを先に置いてください。悲しみは行きつ戻りつしながら形を変えていくもので、期限はありません。それでもつらさが重く続くときは、どうか一人で抱えず、専門家の手を借りてください。

あの子と過ごした日々が、いつかあなたを静かに支えるものになりますように。

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