ケージのなかで、いつもの場所にいつもの姿勢のまま動かなくなっている。呼びかけても、そっと触れても反応がない——爬虫類と暮らしてきた方にとって、その静けさは、犬や猫を見送るときとはまた違う戸惑いを連れてきます。もともと動きの少ない子だったから、まだ眠っているだけかもしれない。そう思いたくて、しばらくその場から離れられなかった方もいらっしゃると思います。
そして落ち着いてから、次の心配が浮かびます。「爬虫類でも火葬してもらえるのだろうか」「甲羅や鱗はどうなるのだろう」「この小さな体で、お骨は残るのだろうか」。犬や猫であればすぐ見つかる情報が、爬虫類となると急に少なくなります。周りに同じ経験をした人もなかなかいません。その心細さが、悲しみをいっそう重くしているのかもしれません。
この記事では、編集部がペット霊園・訪問火葬業者の公式料金表と解説、自治体の案内、動物園の飼育情報を調べ、爬虫類の火葬を受け付けている依頼先の見分け方、甲羅や鱗の残り方、体格による費用の考え方、大型・小型それぞれの注意点を静かに整理しました。急いで決めなくて大丈夫です。落ち着いて読み進めていただければと思います。


一言でいうと、爬虫類も火葬で見送ることができ、個別火葬を選べばお骨は手元に残せます。ただし受け入れている業者は犬猫ほど多くなく、鱗や爪は火葬で燃えてしまうため、依頼先選びと事前の確認が犬猫以上に大切になります。
爬虫類も火葬できる。ただし受け入れる依頼先は限られる

まず結論からお伝えすると、カメ・トカゲ・ヘビ・ヤモリといった爬虫類も、犬や猫と同じように火葬で見送ることができます。実際に、爬虫類を料金表や対応動物のページに明記している施設があります。
たとえば東京都府中市の慈恵院(東京ペット火葬)の料金表には「小鳥 その他」の区分があり、その内訳として「ハムスター、フェレット、リス、爬虫類、両生類、魚類(大型種を除く)」と記載されています。東京都大田区の大森ペット霊堂には「兎・フェレット・モルモット・ハリネズミ・小型トカゲ・小型カメ等」という区分があり、小型のトカゲとカメが明記されています。訪問火葬のペット火葬ハピネス(株式会社プログレス)は、トカゲ・カメ・ヘビ・ヤモリ・イグアナ・カメレオン・ワニを対応動物として挙げています。
一方で、料金表の最小区分が「ハムスター・小鳥」までしか書かれていない霊園も少なくありません。ペット葬儀サービスのペトリィ(シェアリングテクノロジー株式会社)は、爬虫類は骨が繊細なため火葬が難しく、爬虫類を専門的に扱う業者は非常に少ないと説明しています。ここが、犬猫の火葬と決定的に違うところです。「近所のペット霊園に電話したら断られた」という経験をされた方がいても、それは決して珍しいことではありません。
問い合わせをするときは、次の4つを最初に伝えると話が早く進みます。
- 動物の種類(できれば種名まで。例:ヒョウモントカゲモドキ、ギリシャリクガメ、ボールパイソン)
- おおよその体重と、体の長さ(ヘビは全長、カメは甲羅の縦の長さ)
- お骨を返してほしいかどうか
- 火葬の場に立ち会いたいかどうか
種名まで伝えると、担当者が体格をイメージしやすく、「その大きさなら対応できます」「その種類は炉の関係で難しいです」という返事が早く返ってきます。断られたとしても、それはあの子が大切にされていないからではありません。設備と経験の問題です。次の候補にそのまま同じ内容を伝えれば大丈夫です。
甲羅・鱗・爪は火葬でどうなるのか

爬虫類を見送る方が、犬や猫の飼い主とはまったく違う心配をされるのが、この点です。順番に整理します。
お骨は残ります。ペトリィは、トカゲやヘビは骨が残り、歯や牙が一緒に残ることもあると説明しています。カメについても骨は残ると案内されています。ただし、個別火葬を選んだ場合の話です。合同火葬はほかの子と一緒に火葬されるため、そもそもお骨は戻りません。
鱗と爪は残りません。ペット葬儀サービスのよりそうペット葬(ビックドラゴン合同会社)は、爪や鱗はタンパク質の一種であるケラチンでできているため、火葬によって燃えてしまうと説明しています。ペトリィも、トカゲやヘビの鱗・爪は残らないと案内しています。あの美しい模様を形として残したいと思われる場合は、火葬の前にどうするかを依頼先に相談しておく必要があります。ヘビやトカゲであれば、生前の脱皮殻が手元にあれば、それを保管しておくという方法もあります。
カメの甲羅は、形は崩れますが残ります。ここは正直にお伝えしておきたい点です。ペトリィは、カメの甲羅はきれいに元の形のまま残すことは難しいと説明しています。福島県の訪問ペット火葬そよふくの解説では、甲羅は細かく割れてドームの形は崩れるものの、白くなってお骨と一緒に残ると案内されています。「甲羅がそのままの形で戻ってくる」と期待して申し込むと、当日に気持ちが揺れてしまいますので、あらかじめ知っておいていただければと思います。
なお、カメの火葬は時間もかかります。そよふくは、小型のカメで40〜60分、大型のカメでは1〜2時間ほどかかると案内しています。甲羅には厚みがあり、熱が内部まで届きにくいためです。当日のスケジュールを立てるときは、犬猫の感覚より長めに見ておくと安心です。
爬虫類の火葬にかかる費用の目安

費用は火葬の形式(合同/個別一任/立会個別)と体の大きさで決まります。爬虫類を受け入れている施設の公式料金をもとに、形式ごとの目安を整理しました。
| 形式・項目 | 費用の目安(税込) | お骨の返却 | こんな方に |
|---|---|---|---|
| 合同火葬 | 5,500円〜13,200円 | 返骨なし(霊園で合同供養) | 費用を抑え、供養は施設に任せたい方 |
| 個別一任火葬 | 13,200円〜25,000円 | 返骨あり(立ち会いはしない) | お骨は残したいが、火葬の場に立ち会うのがつらい方 |
| 立会個別火葬 | 38,500円〜47,000円 | 返骨あり(家族で骨上げ) | 最後までそばにいて、自分の手で骨上げをしたい方 |
| 自治体への引き取り依頼 | 1,700円〜6,500円 | 返骨なし | 費用の負担をできるだけ小さくしたい方 |
金額の根拠は次のとおりです。慈恵院(東京ペット火葬)の「小鳥 その他(爬虫類を含む)」は合同火葬8,000円・個別火葬25,000円・お見送り(立会火葬)47,000円。大森ペット霊堂の「兎・フェレット・モルモット・ハリネズミ・小型トカゲ・小型カメ等」は合同火葬13,200円・個別一任火葬19,800円・お立会火葬38,500円。訪問火葬のハピネスは爬虫類の合同火葬5,500円〜・個別火葬13,200円〜・個別火葬プレミアム16,500円〜・自宅セレモニー葬29,700円〜。いずれも税込・執筆時点の公式サイト表示です。
ここに、送迎やオプションの費用が加わることがあります。大森ペット霊堂ではバスケット棺が6,600円〜11,000円(税込)、お花が3,300円(税込)から、お立会葬儀の自宅送迎が4,000円(税込)と案内されています。総額は「火葬料金+送迎+骨壷やオプション」で考えておくと、当日の想定外が少なくなります。骨壷のサイズは、そよふくの解説によると3寸から6寸(直径およそ9〜18cm)が目安で、体重3kgほどのカメであれば4寸に納まることが多いとされています。
体が大きい子・とても小さい子で、気をつけたいこと

爬虫類がむずかしいのは、同じ「爬虫類」という言葉のなかに、手のひらに乗るヤモリから、抱えきれないほどのリクガメまでが含まれることです。犬猫の料金表がそのまま当てはまらないのは、この体格差が理由です。
大型のリクガメ・大型のヘビの場合
成長する種は、想像以上に大きくなります。愛媛県立とべ動物園の解説によると、ケヅメリクガメは成体で甲羅の縦の長さが約50cm、体重は約50kgに達します。この大きさになると、小動物の区分ではとても収まりません。
訪問火葬のハピネスは、体重40kg以上のペットは火葬炉の構造上、対応が難しい場合があると明記しています。自治体でも同様で、横浜市はペットの合同火葬を6,500円で受け付けていますが、長さ1m×幅60cm×高さ35cm以内の容器に収まり、容器を含めた総重量が50kg未満であることを条件としています。
大型の子を見送るときは、「爬虫類に対応していますか」だけでなく、体重と体の長さを具体的に伝えたうえで、その大きさで受け入れが可能かを確認することが欠かせません。固定の火葬炉を持つ霊園のほうが対応できる幅が広いことが多いため、訪問火葬で断られた場合は、施設のある霊園に相談してみるという順番も覚えておいてください。料金についても、小動物の区分ではなく体重に応じた区分になることが一般的です。金額は必ず事前見積もりで確かめます。
ヤモリ・小型のトカゲ・幼体の場合
反対に、体がとても小さい場合は「お骨が残るか」が心配になります。ペトリィは、ヒョウモントカゲモドキ(レオパードゲッコー)など非常に小型の種類でも、遺骨をきれいに残すことは可能だと説明しています。
ただし、それは炉と技術が伴っている場合の話です。そよふくは、体の小さなトカゲの火葬では遺骨が風圧で飛ばされてしまわないよう細心の注意を払っていると説明しており、体重3gという小さな子でもお骨が残り、ピンセットで拾骨していただいた例を紹介しています。火葬の温度と炉内の風の管理が、そのままお骨の残り方に直結します。ここが「爬虫類の火葬実績があるかどうか」を確かめたい、いちばん実務的な理由です。
お骨が思ったより少なかったとしても、それはあの子が小さかったという、ただそれだけのことです。手のひらに収まる量であっても、そこに10年の日々が詰まっています。
自治体に依頼するという選択肢と、その注意点

お住まいの市区町村に引き取りを依頼する方法もあります。費用はもっとも抑えられますが、知っておいていただきたいことがいくつかあります。
大阪市は、亡くなったペットの引き取りを1頭につき5kg未満1,700円、5kg以上10kg未満2,100円、10kg以上2,800円で行っており、「骨灰のお返し、お参り等はできません」と明記しています。横浜市はペットの合同火葬を6,500円で受け付けていますが、こちらも「お骨はお返しできません」と案内しています。自治体に依頼した場合、お骨は基本的に戻りません。埋葬や供養を希望する場合は民間の動物霊園等へ、というのが各市の共通した案内です。
もうひとつ、爬虫類ならではの確認点があります。自治体の案内は「飼犬・飼ねこ等のペット」といった書き方が多く、爬虫類が対象に含まれるかどうかが明記されていないことがほとんどです。そのため、お住まいの市区町村の担当窓口に、種類と大きさを伝えて受け付けてもらえるかを確認する必要があります。取り扱いは自治体ごとに異なりますので、他の市の情報をそのまま当てはめないようにしてください。
費用と、お骨を残すかどうか。どちらを選んでも間違いではありません。ただ、お骨は一度戻らない形を選ぶとやり直しがききませんので、迷っている段階であれば、返骨のある個別火葬を選んでおくと、供養の形はあとからゆっくり決められます。
依頼先の選び方と、当日までの進め方

ペット火葬の業界では、料金をめぐるトラブルや、移動火葬車による不適切な取り扱いが報じられたことがあります。悲しみのなかで冷静に判断するのは簡単ではありませんが、次の順番で確かめていけば、大きな行き違いは避けやすくなります。
1事業者の所在地と施設を確かめる
公式サイトに運営会社名・所在地・固定電話が明記されているか、火葬を行う斎場や霊園が実在するかを確認します。訪問火葬を専門とする事業者の場合も、拠点の住所と運営会社が分かることが最低条件です。
2爬虫類の火葬実績があるかを尋ねる
「爬虫類は受け付けていますか」だけでなく、「これまでにカメ(またはヘビ・トカゲ)の火葬をされたことはありますか」まで踏み込んで聞きます。お骨をきれいに残せるかは、炉の設備と経験に左右されるためです。
3体重・体長を伝えて、受け入れ可否と料金区分を確認する
爬虫類は体格差が大きく、料金表のどの区分に入るかが施設ごとに違います。大型の子は炉の大きさで断られることもあるため、この確認は早い段階で行っておきます。
4立ち会いの可否と返骨の有無を先に決める
立ち会いたいのか、お任せしたいのか。お骨を持ち帰りたいのか、施設で供養してもらいたいのか。ここが決まると、選ぶプランは自然に絞られます。迷うときは、返骨のある個別火葬を選んでおくと、あとから供養の形を選び直せます。
5総額の見積もりを申し込み前に出してもらう
火葬料金だけでなく、送迎費・骨壷代・オプションを含めた総額を、申し込みの前に提示してもらいます。当日に追加費用の話が出る形は避けたいところです。金額と内訳をメモに残しておくと安心です。
6日程が決まるまで、涼しく暗い場所で安置する
体をやわらかい布などで清潔にし、自然な姿勢(ヘビはとぐろを巻いた形など)で箱に納めます。布で包んだ保冷剤を体のまわりに置き、直接触れないようにして冷やします。ペトリィは、爬虫類は犬や猫より腐敗が進むのが早いため、早めに火葬の日程を決めるよう案内しています。
爬虫類に対応してくれる依頼先が近くに見つからないときは、全国の加盟店から手配する相談窓口に、種類と体重を伝えて聞いてみる方法もあります。対応できるエリアと受け入れ可否を、その場で確認してもらえます。
\ 詳細・ご相談は公式サイトから /
東証上場のシェアリングテクノロジー株式会社が運営する、24時間365日受付の相談窓口です。霊園供養プラン8,500円〜(税込)、個別火葬一任プラン15,400円〜(税込)、個別火葬家族立会プラン17,600円〜(税込)で、いずれも骨壷が料金に含まれると案内されています。爬虫類の受け入れ可否・対応できる大きさは、お住まいの地域の加盟店によって異なりますので、種類と体重をお伝えのうえご確認ください。
よくある質問
※本記事の料金は執筆時点(2026年8月)の各社公式サイト・自治体公式サイトの情報です。最新は各公式サイトでご確認ください。
まとめ
爬虫類も、犬や猫と同じように火葬で見送ることができます。個別火葬を選べばお骨は手元に残せますが、鱗や爪は残らず、カメの甲羅も元の形のままでは残りません。そして受け入れている依頼先は犬猫ほど多くないため、種類と体重を伝えて、爬虫類の火葬実績があるかを先に確かめておくことが何より大切です。
費用は形式によって幅があり、合同火葬でおよそ5,500円台から、立ち会いを選ぶと47,000円ほどまで(税込・執筆時点の公式例)。自治体に依頼すれば費用は抑えられますが、お骨は戻らず、爬虫類が対象に含まれるかの確認も必要です。どの形を選んだとしても、それはあなたがあの子のために考え抜いた選択です。
言葉を返してくれることも、しっぽを振ってくれることもなかったけれど、あの子はいつも同じ場所であなたを待っていました。静かに過ごしたその時間が、これからもあなたのそばであたたかく残りますように。