丸い瞳と、少し困ったような優しい表情。いつもそばで寄り添ってくれるパグと、一日でも長く一緒にいたい——そう願う飼い主さんは多いのではないでしょうか。だからこそ「パグの寿命は短いって本当?」「うちの子はあと何年一緒にいられるの?」という不安が、ふとよぎることもあると思います。
この記事では、パグの平均寿命を公的なデータをもとにお伝えし、人間の年齢に換算した早見表、短頭種ならではのかかりやすい病気、そして毎日の暮らしでできることを、できるだけ静かに、丁寧にまとめました。数字に一喜一憂するためではなく、今日という日を大切に過ごすためのヒントとして、そっとお役立ていただけたら幸いです。


一言でいうと、パグの平均寿命は12〜13歳ほどで、犬全体の平均よりわずかに短い傾向があります。短頭種特有の呼吸・体温・目の負担に気を配ることが、健やかな毎日を支える鍵になります。
パグの平均寿命は何歳?
ペット保険大手のアニコム損害保険が公表した「家庭どうぶつ白書2022」によると、パグの平均寿命は12.6歳です。同白書における犬全体の平均寿命は14.2歳(家庭どうぶつ白書2023)ですので、パグは犬全体の平均と比べると、やや短い傾向にあることがわかります(出典:アニコム損害保険「犬との暮らし大百科」/家庭どうぶつ白書)。
ただし、これはあくまで統計上の平均値です。10歳を待たずに旅立つ子もいれば、15歳を超えて元気に過ごす子もいます。平均という数字にとらわれすぎず、目の前のその子のペースを大切にしてあげてください。
なお、アニコムの家庭どうぶつ白書における犬全体の平均寿命は、2008年度の13.3歳から少しずつ延び、近年は14歳台にまで達しています。獣医療の進歩やフードの質の向上、室内飼育の広がりなどが背景にあるといわれています。パグもまた、飼い主さんの理解とケア次第で、健やかに過ごせる時間を伸ばしていける犬種です。「短命だから」と気持ちを沈ませるのではなく、その子の体の特徴を知ることが、長く一緒にいるための第一歩になります。

飼育環境による差
同じパグでも、暮らし方によって健康を保てる期間には差が出ます。特に影響が大きいと考えられているのが、体重管理と暑さ対策です。パグは太りやすい犬種で、肥満は関節・背骨・心臓への負担を増やし、糖尿病などのリスクにもつながるとされています。また、鼻の短い短頭種は体温調節が苦手で、暑い環境は大きな負担になります。
室内飼育で温度管理がしやすく、適正体重を保ち、定期的に健康チェックを受けている——こうした環境は、パグが健やかに過ごすための土台になります。
長生きしたパグの記録
パグの中には、平均を大きく超えて15歳、なかには20歳前後まで長生きしたと伝えられる子もいます。ギネス世界記録などで「最高齢のパグ」として広く確定された公式記録は確認できませんでしたが、適切なケアのもとで平均以上に長く暮らすパグがいることは、飼い主さんにとって心強い事実です。
長寿の子に共通するのは、特別な秘訣というより「適正体重を保つ」「暑さから守る」「変化に早く気づいて受診する」といった、日々の積み重ねだといわれています。
パグの年齢を人間に換算すると【早見表】
パグの「今」がどんな時期なのかは、人間の年齢に置き換えて考えると実感しやすくなります。小型犬・中型犬は、環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」で紹介されている計算式をもとに、次のように換算できます。

計算式は「24+(犬の年齢−2)×4」。たとえば7歳のパグは人間でいうと44歳ほどで、ちょうどシニア期の入口にあたります。平均寿命の12〜13歳は、人間なら64〜68歳ほど。こうして見ると、日々のケアがどれだけ大切な時間を支えているかが伝わってきます。あくまで目安であり、個体差があることも心に留めておいてください。
パグがかかりやすい病気・寿命に関わる要因
パグの平均寿命がやや短めなのは、鼻の短い「短頭種」という体の特徴と関わりがあると考えられています。ここでは代表的な病気を整理します。いずれも早めに気づいて動物病院に相談することが大切で、以下は診断や治療の代わりではなく、受診の目安としてご覧ください。

短頭種気道症候群・軟口蓋過長症
短頭種気道症候群は、フレンチ・ブルドッグやパグのようにマズル(鼻先)の短い犬に多い病気です。いびきが大きい、「ガーガー」という呼吸音がする、呼吸が苦しそうといった様子が見られ、悪化すると呼吸困難につながることもあります。アニコムの家庭どうぶつ白書でも、パグは軟口蓋過長症に他犬種より罹りやすいとされています。息づかいが荒い、暑さや興奮で呼吸が乱れるといったサインに気づいたら、早めに動物病院で相談しましょう。
目の病気(角膜炎・色素沈着など)
パグは目が大きく前に出ているため、眼球の表面に傷がつきやすく、角膜炎や角膜潰瘍を起こしやすい傾向があります。慢性的な刺激が続くと、黒目に色素が沈着して視界がかすむこともあるとされます。目やにが増えた、しきりに目を気にする、白目が充血している、黒目が白っぽく濁ってきた——こうした変化は、早めの受診が安心です。
パグ脳炎(壊死性髄膜脳炎・PDE)
「パグ脳炎(PDE)」は、その名の通りパグに多く見られる脳の病気(壊死性髄膜脳炎)です。突然のけいれん発作で気づかれることが多く、ふらつき、旋回運動、性格の変化、視力の低下などが現れることもあります。はっきりした原因は分かっていませんが、遺伝素因の関与が示唆されており、完治させる治療法は確立されていません(出典:アニコム損害保険「みんなのどうぶつ病気大百科」)。若い年齢で発症することもあるため、いつもと違う様子に気づいたら、できるだけ早く動物病院を受診してください。
皮膚のトラブル・熱中症
顔や体のしわの間は蒸れやすく、汚れがたまると皮膚炎を起こしやすいため、しわの間をやさしく拭くなどこまめなケアが役立ちます。また短頭種は、開いた口でハアハアと呼吸して体温を下げる「パンティング」の効率が悪く、熱中症のリスクが高いことも知っておきたい点です。夏場はもちろん、室内でも高温多湿の環境は避け、エアコンで温度・湿度を整えるなど、涼しく過ごせる工夫をしてあげましょう。呼吸が荒くぐったりする、よだれが増える、ふらつくといった様子が見られたら、熱中症のサインかもしれません。すぐに涼しい場所に移し、動物病院に連絡してください。
このほか、パグは太りやすい体質から関節や椎間板への負担が大きくなりやすく、加齢とともに歩き方や立ち上がり方に変化が出ることもあります。いずれの病気も「早く気づいて相談する」ことが、その子の負担をやわらげる何よりの近道です。ふだんから食欲・呼吸・目・皮膚・歩き方の様子を見て、小さな変化を書き留めておくと、受診のときにも役立ちます。
パグに長生きしてもらうためにできること
病気の話が続きましたが、飼い主さんが毎日できることは、決して難しいことばかりではありません。パグの体の特徴に寄り添った、無理のないケアを続けることが、健やかな時間を長く支えます。

1適正体重を保つ食事管理
年齢や活動量に合ったフードを選び、量を守ることが基本です。おやつの与えすぎに注意し、締まった体型を保つことが、呼吸・関節・心臓の負担軽減につながります。
2暑さと湿気から守る環境づくり
短頭種は体温調節が苦手です。夏場は室温・湿度を管理し、散歩は涼しい早朝や夜に。車内や締め切った室内への置き去りは絶対に避けましょう。
3定期的な健康チェック
呼吸・目・皮膚・脳など、パグが気をつけたい部分は多岐にわたります。年1〜2回の健診に加え、シニア期に入ったら受診の間隔を見直すと、変化に早く気づけます。
4しわのケアとストレスの少ない暮らし
顔のしわの間は清潔を保ち、皮膚トラブルを予防します。静かで落ち着ける居場所を用意し、穏やかに過ごせる環境を整えてあげましょう。
どれも特別なことではなく、毎日の小さな積み重ねです。「必ず長生きできる」と約束できるものではありませんが、こうしたケアが、その子らしい健やかな時間を支えてくれます。
シニア期のパグとの向き合い方
パグは7歳ごろからシニア期の入口を迎え、10歳を過ぎると少しずつ体の変化が現れてきます。寝ている時間が長くなる、階段の上り下りをためらう、白髪が増える、耳が遠くなる——こうした変化は自然な老いの一部です。

大切なのは、変化を「できなくなったこと」として数えるのではなく、その子のペースに暮らしを合わせてあげることです。段差にスロープを付ける、滑りにくい床にする、食事を食べやすい高さや形に見直すなど、小さな工夫が快適さにつながります。目が見えにくくなってきたら家具の配置を変えない、耳が遠くなってきたら正面からそっと触れて驚かせない——こうした配慮も、シニアのパグが安心して過ごすための支えになります。
そして、いつもと違う様子が続くときは、「歳のせい」と決めつけず動物病院に相談してください。食欲や体重の変化、飲む水の量、呼吸の様子などは、体からの大切なサインであることがあります。シニア期は、これまでの日々をゆっくり振り返りながら、より深く寄り添える時間でもあります。できることを一つずつ整えて、穏やかな毎日を重ねていきましょう。
パグとのお別れが近づいたら
できれば考えたくないことですが、いつかは訪れるお別れのときに、心の準備をしておくことも、その子への優しさのひとつです。旅立ちが近づくと、食欲が落ちる、呼吸が変わる、反応が弱くなるといった変化が見られることがあります。そんなときは、無理に何かをしようとするより、そばで静かに寄り添う時間を大切にしてあげてください。

お別れのあとは、安置やお別れ、火葬、必要な手続きなど、慣れないことが続きます。悲しみの中で慌てないためにも、流れをあらかじめ知っておくと、少し心が落ち着くかもしれません。
そして、旅立ったあとに深い悲しみが押し寄せるのは、それだけ愛情を注いだ証です。無理に元気になろうとせず、自分のペースで少しずつ気持ちと向き合っていくことが大切です。
よくある質問
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状がある場合は、動物病院にご相談ください。
まとめ
パグの平均寿命は12〜13歳ほどで、犬全体の平均よりわずかに短い傾向があります。その背景には、鼻の短い短頭種ならではの呼吸・体温・目の負担があります。けれど、体重を適正に保ち、暑さから守り、変化に早く気づいて受診する——そうした毎日の小さなケアが、その子らしい健やかな時間を確かに支えてくれます。
数字は目安にすぎません。大切なのは、今日という一日を、その子とともに穏やかに過ごすことです。あなたとパグの日々が、これからも優しい光に包まれていますように。