長い時間をともに過ごした家族を見送ったあと、「せめて、いつも見える場所でそばにいてほしい」と願う方は少なくありません。庭のあるお住まいなら、自分の手で小さなお墓を作り、季節の花を供えながら静かに供養したい——そう考えるのは、とても自然な気持ちです。
ただ、庭にお墓を作るときには、守っておきたい約束事がいくつかあります。埋葬できるのは私有地にかぎられること、遺骨と遺体では掘る深さが違うこと、そして将来引っ越すときにどうするか。この記事では、庭にペットのお墓を手作りする方法を、法的な注意点と一緒に静かに整理しました。庭がない方やこれから住まいが変わるかもしれない方に向けた、プランター葬や手元供養という選択肢もあわせてご紹介します。


一言でいうと、ペットのお墓を庭に手作りできるのは「自分の所有する土地(私有地)」にかぎられ、火葬後の遺骨なら30cm前後、土葬なら1m以上の深さが目安です。公園や借地に埋めることは廃棄物処理法や軽犯罪法に触れるおそれがあるため、場所選びだけは慎重に確認しましょう。
ペットのお墓を庭に手作りする前に知っておきたいこと
庭にお墓を作る作業そのものは難しくありませんが、始める前に「作ってよい場所か」「遺体か遺骨か」を確かめておくことが、後悔しない供養の第一歩になります。まずは全体の流れを見てから、ひとつずつ確認していきましょう。

お墓を作れるのは「私有地」だけ
ペットのお墓を庭に作ること自体は、法律や宗教のうえで問題ありません。ただし、これが認められるのは自宅の庭のように自分が所有・利用できる私有地にかぎられます。イオンのペット葬「ペットライフ知恵袋」でも、「賃貸マンションや社宅など私有地ではない土地の場合は、庭にお墓はつくれません」と説明されています(出典:イオンのペット葬コラム)。
思い出の公園や河川敷、他人の土地に埋葬することは避けてください。みんなのペット火葬の解説によれば、公有地や他人の土地への埋葬は軽犯罪法違反として処罰される可能性があり、また廃棄物処理法第16条「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」に抵触するおそれがあるとされています(出典:みんなのペット火葬コラム)。大切な家族を「不法投棄」と扱われてしまわないためにも、場所は必ず私有地を選びましょう。
持ち家であっても、住宅密集地で隣家との距離が近い場合は、においや衛生面への配慮が必要になります。また、いずれ土地を売却したり建て替えたりする可能性がある場所は、埋葬の場所として慎重に考えたいところです。庭の中でも、普段あまり人が立ち入らず、後から掘り返しにくい落ち着いた一角を選ぶと、長く穏やかに手を合わせられます。
「遺体をそのまま」か「火葬後の遺骨」かで方法が変わる
庭への埋葬には、火葬をせずご遺体を土に還す方法(土葬)と、火葬したあとの遺骨を納める方法の2つがあります。どちらを選ぶかで、掘る深さも注意点も変わってきます。
火葬をしない土葬の場合、腐敗の過程で虫やにおいが発生することがあり、浅く埋めると土が下がって遺体が露出してしまうこともあります。イオンのペット葬でも、こうした理由から「できれば火葬にしてから埋葬する」ことがすすめられています(出典:イオンのペット葬コラム)。ご近所への配慮という意味でも、火葬後の遺骨を納める方法のほうが負担は少なくなります。

庭のお墓の作り方・埋め方の手順
ここからは、実際に庭へお墓を作るときの手順を順番に見ていきます。特別な道具は必要ありませんが、深さと埋め戻し方だけは丁寧に行うことが、長く穏やかに手を合わせられるお墓につながります。
1日当たり・水はけのよい場所を選ぶ
お墓を作る場所は、広さと深さを確保できるところを選びます。日当たり・風通し・水はけのよい一角だと、土の環境を良好に保ちやすくなります。将来ものを置いたり掘り返したりしにくい、落ち着いた場所を選ぶと安心です。
2必要な深さの穴を掘る
掘る深さは遺体と遺骨で異なります。火葬後の遺骨なら30cm前後で問題なく、土葬の場合は最低でも1m以上が目安です(出典:みんなのペット火葬コラム/イオンのペット葬コラム)。深さが足りないと、におい・虫・掘り返しの原因になります。
3骨壷から出し、天然素材で包んで納める
遺骨は骨壷に入れたままだと土に還りにくく、カビの原因にもなります。骨壷から出し、木綿・絹・麻などの天然素材の布や紙で包んでから納めましょう。より早く自然に還したい場合は、粉状にする「粉骨」を行う方法もあります。
4土を高く盛り上げて埋め戻す
埋め戻すときは、土を高めに盛り上げるのがポイントです。時間の経過や雨で土は下へ沈んでいくため、30cm以上こんもりと盛っておくとちょうどよくなります(出典:みんなのペット火葬コラム)。最後にやさしく手で押さえ、形を整えます。

火葬から供養までにかかる費用の全体像を知っておきたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
手作り墓標・メモリアルストーンで小さな目印を
お墓が完成したら、場所が分からなくならないよう墓標を置きます。墓標は「ここで眠っている」という目印であると同時に、手を合わせるときの心のよりどころにもなります。
市販のものではプレート型が一般的で、名前や日付、写真を入れられるメモリアルストーンやオブジェ型などさまざまです。ペトリィのコラムでは、プレートを手作りする方も多いと紹介されています(出典:ペトリィ コラム)。平たい石にペイントしたり、庭石を置いたりと、その子らしい形で用意してあげるのもよいでしょう。あわせて季節の花や、生前好きだったおもちゃをそっと添える方もいます。
手作りする場合は、屋外で長く残ることを考えて素材を選ぶと安心です。石やタイルなど雨風に強いものを土台にし、名前を書くときは屋外用の塗料やペンを使うと、色あせしにくくなります。掘り返しやすい土の上に軽い墓標だけを置くと、風で倒れたり位置がずれたりすることがあるため、少し重さのあるものを選ぶか、土台をしっかり固定しておくとよいでしょう。凝ったものである必要はなく、あなたが手を合わせたときに「あの子がここにいる」と感じられれば、それが何よりの目印になります。

庭がない・引っ越しの可能性があるならプランター葬
「庭がないけれど自然に還してあげたい」「いずれ引っ越すかもしれない」という方には、プランター(植木鉢)を使うプランター葬という方法があります。庭がなくても、土葬と同じように自然へ還す供養ができるのが特徴です。
ペット葬儀110番の解説によれば、プランター葬は底穴にネットを敷き、10cmほど腐葉土を入れ、その上に遺骨(または小動物の遺体)を置いて土をかぶせる、という流れで行います。陶磁器製のプランターが適しているとされています(出典:ペット葬儀110番)。犬や猫のように体の大きな子は、火葬後の遺骨にしてから納めるのが現実的です。
プランター葬がおすすめな方
- 庭のない集合住宅にお住まいで、自然に還す供養をしたい方
- 近い将来に引っ越しの可能性があり、お墓を持ち運びたい方
- ハムスターや小鳥など、小さな家族を見送った方
プランター葬でも、においや虫を防ぐため火葬後の遺骨を使うほうが安心です。土が浅すぎるとにおいの原因になるため、深さに余裕のあるプランターを選びましょう。

引っ越しのときはどうする?埋葬と手元供養の選び方
庭にお墓を作るうえで、いちばん考えておきたいのが「もし引っ越すことになったら」という点です。イオンのペット葬でも、「お墓をつくっても引っ越してしまったら、大切なペットを取り残してしまうことになります」と注意が促されています(出典:イオンのペット葬コラム)。一度土葬したご遺体を掘り返すのは心情的にも衛生的にも負担が大きいため、住まいが変わる可能性があるなら、はじめから持ち運べる方法を選んでおくと安心です。
下の表は、庭のお墓・プランター葬・手元供養の違いを、供養の観点から整理したものです。どれが正しいということはなく、暮らし方とお気持ちに合うものを選んでいただければと思います。
| 供養の方法 | 向いている方 | 引っ越し対応 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|---|
| 庭のお墓(埋葬) | 持ち家の庭で、そばに眠らせたい方 | 持ち運びできない | 私有地限定・深さの確保が必要 |
| プランター葬 | 庭がない・引っ越す可能性がある方 | 持ち運びできる | 火葬後の遺骨がにおい対策で安心 |
| 手元供養 | いつもそばに置いておきたい方 | 持ち運びできる | 遺骨の一部を分ける場合が多い |
手元供養は、遺骨を小さな骨壷に納めて自宅に置いたり、一部を粉骨してカプセルやペンダントに入れて身に付けたりする方法です。イオンのペット葬でも、ペット用の骨壷を自宅に置いてそのまま供養する方が多く見られると紹介されています(出典:イオンのペット葬コラム)。庭のお墓と手元供養を組み合わせ、遺骨の大部分は庭に還しつつ、一部だけをアクセサリーにして手元に残す、という選び方もできます。
供養に「こうしなければならない」という正解はありません。毎日声をかけたい方は手元供養が、自然に還してあげたい方は庭のお墓やプランター葬が、それぞれ心にしっくりくることが多いようです。今すぐ決めきれないときは、まず遺骨を骨壷で手元に置いておき、気持ちが落ち着いてから改めて考える、という進め方でも構いません。急がず、あなたのペースで選んでいきましょう。
お墓の種類や費用相場をもっと知りたい方は、こちらの記事も参考になります。

火葬や供養について相談したいとき
「庭に埋葬する前に、まずきちんと火葬してあげたい」「どの供養方法が合うか相談したい」という場合は、ペット火葬・葬儀の専門業者に問い合わせてみるのもひとつの方法です。火葬形式(合同・個別・立会)によって費用や返骨の有無が変わるため、事前に確認しておくと安心です。
業者を選ぶ際は、実在する固定の斎場があるか、立ち会いや返骨ができるか、料金が事前に確定するかを確認しましょう。移動火葬をめぐる高額請求などのトラブルも報じられているため、問い合わせ時にこれらを確かめておくことが、悪質な業者を避けることにつながります。

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よくある質問
※本記事の内容は執筆時点(2026年7月)に各社公式サイト等で確認した一般的な情報です。埋葬の可否や方法は自治体・住居の規約により異なる場合があります。最新の情報は各公式サイトや自治体でご確認ください。
まとめ
ペットのお墓を庭に手作りするときは、作れるのが私有地にかぎられること、遺骨なら30cm前後・土葬なら1m以上という深さの目安、そして骨壷から出して土を高く盛り上げて埋め戻すこと——この3点を押さえておけば、大きく間違えることはありません。庭がない方や引っ越しの可能性がある方は、持ち運べるプランター葬や手元供養という選択肢もあります。
どの方法を選んでも、そこにあるのは「そばにいたい」という変わらないお気持ちです。あなたとあの子が過ごした時間が、これからも庭のひとすみで静かに続いていきますように。