長い時間をともに過ごした家族が旅立ったあと、「いつもそばにいた庭に、自分の手でお墓を作ってあげたい」と考える方は少なくありません。石を積むのか、プレートを置くのか、どのくらいの深さに埋めればいいのか——手を動かして送り出したいからこそ、迷うことも多いと思います。この記事では、自宅の庭に手作りでお墓を作る具体的な手順を、埋葬の深さ・石やプレートの置き方・植樹・気をつけたい点まで、順を追って静かにお伝えします。特別な道具や技術がなくても、心を込めて形にすることはできます。あわてず、できるところから読み進めてください。


一言でいうと、自宅の庭のお墓は「火葬してから、十分な深さに、自然に還る素材で」納めるのが基本です。そのうえで石やプレート、植樹で目印を作れば、手作りでも長く見守れる供養の場になります。
自宅の庭にお墓は手作りできる?まず知っておきたいこと
結論からお伝えすると、自分が所有する庭であれば、ペットのお墓を手作りしても法律上・宗教上の問題はありません。土地の所有者が自分自身であることが前提です。一方で、賃貸住宅やマンションの敷地、社宅、共有地、公園や河川敷などの公共の場所には作れません。他人の土地や公共の場所への埋葬は不法投棄にあたる可能性があります(出典:イオンのペット葬「ペットライフ知恵袋」)。

この記事は、すでに火葬を終えた方も、これから見送る方も読めるように書いています。土に還す「土葬」も方法としてはありますが、庭のように住まいのすぐそばで行う場合は、匂いや害虫、野生動物による掘り返しといった負担を避けるためにも、火葬してから埋葬する方法が現実的です。まずは全体の流れをつかんでから、次の章で一つずつ手を動かしていきましょう。
お墓の種類そのものを比較したい方や、費用の目安を知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
庭にお墓を手作りする手順
ここからは、庭に手作りでお墓を作る具体的な手順です。難しい作業はありません。焦らず、一つずつ進めてください。

1火葬を済ませ、置き場所を決める
まずは火葬を済ませます。そのうえで、庭の中でも日当たり・風通し・水はけのよい場所を選びましょう。じめじめした低い場所や、雨のたびに水がたまる場所は避けます。窓から見える一角など、日々そっと目を向けられる場所だと、後々の心の支えになります。
2十分な深さの穴を掘る
穴の深さは埋葬方法で変わります。火葬後のご遺骨なら30〜50cm、土葬の場合は1m前後が目安とされています。土をかぶせる厚みは、いずれの場合も最低30cm以上を確保してください(出典:八王子下柚木ペット霊園ほか)。深さが浅いと、雨で表面が出てしまったり、動物に掘り返されたりする心配があります。
3自然に還る素材で納め、埋め戻す
穴の底に腐葉土を敷き、ご遺骨や遺体はガーゼや木綿の布、木箱など自然に還る素材で包んで納めます。首輪やおもちゃ、プラスチック・化学繊維の品は分解されずに残るため、一緒に入れないようにしましょう。納めたら、やさしく土をかけて埋め戻します。
4目印を置いて手を合わせる
最後に、プレートや小さな石、植樹などで目印を作ります(詳しい置き方は後述します)。土が落ち着くまで数日は雨で沈むことがあるので、様子を見ながら土を足してください。あとは、季節の花を供えたり、手入れをしたりする時間そのものが、静かな供養になっていきます。
火葬の費用や形式(合同・個別・立会)別の相場を知りたい方は、こちらの記事で詳しくまとめています。
埋葬の深さと素材の注意点
手作りのお墓で最もつまずきやすいのが、深さと素材の選び方です。ここは丁寧に確認しておきましょう。

深さは「動物に掘り返されず、匂いが出ない」ことが基準です。火葬後なら30〜50cm、土葬なら1m前後を確保し、被せる土は30cm以上を目安にします。浅いと、においにつられて野生動物やほかのペットが掘り返してしまう恐れがあります。木の根や配管の位置も事前に確かめておくと安心です。
「大好きだったおもちゃも一緒に」という気持ちはとても自然なものですが、分解されずに残ってしまいます。写真に撮って手元に残す、仏壇やメモリアルスペースに飾るなど、別のかたちで思い出をそばに置く方法も考えてみてください。
石・プレート・植樹で目印を作る
埋め戻したあとは、その場所が分かるように目印を置きます。手作りだからこそ、家族らしいかたちを選べるのが魅力です。

石・プレートを置く
ホームセンターなどで手に入る平たい石や、石製のプレート、手作りのネームタグを置く方法です。名前や日付を刻めば、訪れるたびにその存在を感じられます。屋外に置く以上、風雨で少しずつ劣化していくため、ときどき洗ったり位置を直したりする手入れも、供養の時間として大切にしたいところです。
植樹して見守る(樹木葬のかたち)
お墓の近くに樹木や花を植え、成長を見守る方法もあります。ハナミズキやシマトネリコなど、庭の広さに合う樹種を選びましょう。ただし根が広く張る木や大きく育つ木は、後々の管理が大変になるため、成長スピードや根の張り方、庭との相性も考えて選ぶと安心です。植物とともに季節がめぐることが、少しずつ心を癒やしてくれます。
庭のお墓のデメリットと、迷ったときの考え方
手作りの庭のお墓には温かさがある一方で、あらかじめ知っておきたい点もあります。無理のない選択のために、正直にお伝えします。

特に大きいのが引っ越しの可能性です。転居のたびにお墓をどうするか悩むことになりますし、将来土地を手放す場合にも扱いを考える必要があります。「これから住み替える予定がある」という方は、庭のお墓にこだわりすぎず、次のような選択肢も静かに検討してみてください。
- 持ち運べるお墓にしたい → 骨壷やメモリアルグッズを手元に置く「手元供養」
- ずっと同じ場所で供養したい → 霊園・樹木葬・納骨堂など固定の供養先
- 庭のスペースが限られる → プランターで供養する「プランター葬」
どの方法が「正しい」ということはありません。ご家族の暮らし方と気持ちに合うかたちを、ゆっくり選んでいけば大丈夫です。同じテーマで、自宅での供養全般を扱った記事もあります。
火葬や供養の相談先・依頼先
「庭に埋葬したいけれど、まず火葬をどこに頼めばいいのか分からない」「自分で作るのが難しそうで不安」という場合は、ペット火葬・葬儀の専門業者に相談する方法があります。手作りのお墓と、専門業者による火葬・供養は両立できます。まず火葬だけをお願いし、ご遺骨を庭に納める、という進め方も可能です。

業者を選ぶときは、立ち会いの可否・返骨(ご遺骨をきちんと返してもらえるか)の有無・固定の施設や所在地が確認できるかを必ずチェックしてください。移動火葬車による高額請求や不適切な処理といったトラブルも報じられているため、実在・評判・所在地が確認できる業者を選ぶことが、大切な家族を守ることにつながります。
\ 詳細・ご相談は公式サイトから /
火葬の形式や費用の目安、返骨の可否などを相談できます。急いで決める必要はありません。気になる点を確認するところから始めてみてください
なお、火葬料金は火葬形式(合同/個別/立会)とペットの体重によって幅があります。公式サイトで「執筆時点」の料金を確認し、返骨や立ち会いの条件とあわせて比較するのがおすすめです。当メディアが各社の公式サイト・料金・口コミを調査したところ、同じ体重でも形式によって金額が変わるため、事前の見積もり確認が安心につながります。
よくある質問
※本記事の料金・サービス内容は執筆時点(2026年7月)の各社公式サイト情報です。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
まとめ
自宅の庭に手作りでお墓を作るときは、「私有地であること」「火葬してから納めること」「十分な深さと自然に還る素材」の3つを守れば、特別な技術がなくても心のこもった供養の場を作れます。石やプレート、植樹で目印を添え、手入れの時間を重ねていくことが、静かな見送りになっていきます。引っ越しの予定など暮らしの事情も考えながら、ご家族に合うかたちをゆっくり選んでください。あなたの手で作ったその場所で、大切な家族が穏やかに眠れますように。