ペットロスの乗り越え方 ペットロス・心のケア

犬の仲間ロスの症状|食欲がない・探し回る・鳴く…残された子に見られる変化

一緒に暮らしていた子を見送ったあと、残されたもう一頭が、なんだか元気がない。ごはんを残す。あの子がいつも寝ていた場所を、何度も何度も見に行く。夜になると鳴く。——そんな様子を見ていると、「この子も分かっているのだろうか」「私が泣いてばかりだからだろうか」と、胸がふさがるような思いになるかもしれません。

ご自身の悲しみだけでも抱えきれないなかで、それでも残された子のことを心配して調べていらっしゃる。そのことに、まずそっと寄り添わせてください。この記事では、多頭飼いで仲間を亡くした犬に見られやすい変化(いわゆる「仲間ロス」の症状)と、その続き方、動物病院に相談したほうがよい目安、そしておうちでできることを、静かに整理してお伝えします。医学的な断定はできませんが、いま何が起きているのかを知るだけで、少し呼吸がしやすくなることがあります。

飼い主さん
先月、13年一緒だった上の子を見送りました。残った下の子がごはんをあまり食べなくて、家じゅうを探し回るんです。この子も悲しんでいるのでしょうか……。
編集部
お辛いなかで、下の子のことまで気にかけていらっしゃるのですね。仲間を亡くしたあとの犬に、食欲や睡眠、鳴き方の変化が見られることは調査でも報告されています。まずはその変化を知って、いつもどおりの毎日を静かに続けてあげること。そして食欲不振や下痢が続くようなら、迷わず動物病院にご相談ください。

一言でいうと、仲間を亡くした犬には、食欲が落ちる・探し回る・鳴く・元気がない・寝てばかりといった変化が見られることがあると報告されています。多くは時間とともに少しずつ落ち着いていくとされますが、体調の問題が隠れていることもあるため、続くようなら動物病院に相談してください。

犬にも「仲間ロス」はあるといわれています

同居していた犬を亡くしたあと、残された犬の様子が変わる——これは決して気のせいではないようです。飼い主426名を対象にしたイタリアの調査では、回答者の約86%が、残された犬に何らかの行動や様子の変化があったと答えたと報告されています(出典:Uccheddu et al., 2022, Scientific Reports)。

そばに寄り添う犬と飼い主のイメージ
写真はイメージです

また、オーストラリアとニュージーランドで行われた調査(犬159頭・猫152頭について飼い主が回答)では、犬の74%に甘える・そばを離れないといった行動の増加が、60%に亡くなった子のお気に入りの場所を探すような行動が見られたとされ、食べる量やごはんを食べる速さが落ちた、眠る時間が増えた、といった報告も挙げられています(出典:American Veterinary Medical Association(Walker et al., 2016の紹介))。

「悲しみ」と言い切れるかは、まだ分かっていません

ただし、これらの変化がそのまま人間と同じ「悲しみ」なのかどうかは、まだはっきりとは分かっていないとされています。仲間がいなくなったこと自体への反応なのか、暮らしのリズムが変わったからなのか、あるいは飼い主さんの悲しみや家の空気の変化を感じ取っているからなのか——研究でも、飼い主の悲嘆の強さと残された犬の不安の増加に関連が見られたと報告されています(出典:Uccheddu et al., 2022)。

もしそれを読んで「私のせいだ」と思われたなら、どうかそこで止まってください。悲しむことは、あなたが深く愛していた証拠です。責めるためのデータではなく、「この子も一緒に揺れているんだな」と知るためのものとして受け取っていただければと思います。

仲間ロスで犬に見られやすい症状・変化

報告されている変化のうち、多くの飼い主さんが気づいたものを整理すると、次のようになります。どれか一つだけ出る子もいれば、いくつも重なる子もいますし、まったく変化が見られない子も約13%いたとされています。

仲間を亡くしたあとに残された犬に見られやすい変化を割合で示した図
残された犬に見られやすい変化(当メディア編集部作成)

食欲が落ちる・ごはんの食べ方が変わる

「食べる量が減った」という報告は約32%とされています。食べる速さがゆっくりになる、いつものフードを残す、置いたまま離れてしまう——といった形であらわれることもあるようです。仲間と一緒に競うように食べていた子ほど、食事の場の雰囲気が変わったことに戸惑うのかもしれません。ただし食欲の低下は体調不良のサインでもあるため、「仲間ロスだから」と決めつけないことが大切です。

探し回る・においを嗅いで歩く

亡くなった子が寝ていた場所、いつもの散歩コース、ケージや玄関先を、何度も見に行く。においを嗅ぎながら家の中を歩き回る。名前を呼ぶ声に反応して探しに行く。こうした「探索」の行動は、調査でも比較的多く報告されているものです。切ない光景ですが、その子なりに状況を確かめている時間だと考えられています。

鳴くことが増える・夜に落ち着かない

鳴き声が増えたという報告は約30%とされています。夜間に鳴く、飼い主さんが部屋を出ると鳴く、といった形で気づかれることが多いようです。留守番中の様子が変わることもあります。

元気がない・遊ばなくなる・寝てばかりいる

「遊ばなくなった」が約57%、「動きが少なくなった」が約46%、「寝ている時間が増えた」が約35%と報告されています。おもちゃに反応しない、散歩に行きたがらない、一日中同じ場所で横になっている——という状態は、飼い主さんにとって一番心配になる変化かもしれません。

甘えが強くなる・こわがりになる

もっとも多く報告されたのは「甘える・そばを離れない」で約67%でした。ぴったりくっついて離れない、後をついて回る、留守番を嫌がる。反対に、物音に敏感になったりおびえたりする「こわがり」の増加も約35%に見られたとされています。甘えてくるのは弱さではなく、その子が安心を求めているサインです。できる範囲で受け止めてあげてください。

仲間ロスの症状はいつまで続くのでしょうか

前述のイタリアの調査では、変化が見られた場合の続いた期間について、次のような回答が得られています。期間には大きな幅があり、「◯か月で終わる」と言えるものではないことが分かります。

変化が続いた期間 回答の割合 受け止め方の目安
2か月未満 約29% 比較的早く落ち着いていったケース
2〜6か月 約32% もっとも多い範囲。行きつ戻りつしながら和らぐ
6か月以上 約25% 長く続くこともある。焦らなくて大丈夫

(出典:Uccheddu et al., 2022, Scientific Reports

穏やかな光が差す静かな風景のイメージ
写真はイメージです

獣医師監修の情報でも、同居犬を亡くしたあとの行動の変化が半年ほど続いたという報告が紹介されています(出典:いぬのきもちWEB MAGAZINE(獣医師監修))。一度落ち着いたように見えても、ふとした拍子にまた探し回ることがあります。それは後戻りではなく、揺れながら和らいでいく途中の姿だと考えられています。

動物病院に相談したほうがよい目安

ここがいちばん大切なところです。食欲不振・下痢・嘔吐・ぐったりといった変化は、仲間ロスの反応であると同時に、病気のサインでもあります。「気持ちの問題だろう」と様子を見続けているうちに、治療が遅れてしまうことは避けたいところです。次のような場合は、早めに動物病院にご相談ください。

動物病院で診察を受ける犬と飼い主のイメージ
写真はイメージです
  • 食欲不振が3日以上続く、またはまったく食べない
  • 嘔吐や下痢を繰り返している
  • ぐったりして立ち上がろうとしない
  • 体重が短期間で目に見えて減った
  • 子犬・シニア犬、持病のある子で、食べない状態が1日以上続く

一般に、食欲不振が3日以上続く場合や、嘔吐・下痢などの消化器症状がはっきり出ている場合、ぐったりしている場合は早めの受診がすすめられています(出典:光が丘動物病院グループ)。とくにシニア期の子は、加齢による体調の変化と仲間ロスの影響が重なっていることも少なくありません。受診の際は「同居犬を亡くしてから、いつ・どんな変化が出ているか」を伝えると、獣医師も判断しやすくなります。

飼い主さんにできること

特別なことは必要ありません。むしろ、いつもどおりを静かに続けることが、残された子にとっていちばんの支えになるといわれています。全部やろうとしなくて大丈夫です。今日できるひとつだけで十分です。

残された犬のためにしてあげたいことと、急がなくていいことを対比した図
してあげたいこと/急がなくていいこと(当メディア編集部作成)

1生活のリズムを変えずに続ける

ごはん・散歩・就寝の時間をできるだけ今までどおりに保つことがすすめられています(出典:COCOペットジャーナル)。決まった時間に決まったことが起きるという安心感が、不安定な気持ちを支えてくれます。

2短くていいので、そばにいる時間をつくる

なでる、声をかける、同じ部屋で過ごす。長い時間でなくてかまいません。甘えてきたときに受け止めてあげることが、そのまま安心につながります。ただし無理に遊びに誘って元気づけようとしなくても大丈夫です。

3においの残る物は、少しずつ片づける

ベッドや毛布を急にすべて処分すると、環境の変化が重なって負担になることがあります。反対に、そのままにしておくと探し続けてしまう子もいます。その子の様子を見ながら、少しずつ移動する・洗うといった形で段階的に整えていくのがおだやかです。正解は一つではありません。

4食べた量・便・元気さを毎日メモする

「なんとなく元気がない」より「昨日は半分、今日は3分の1しか食べていない」のほうが、受診時に役立ちます。写真を1枚撮っておくのも記録になります。

5ひとりで抱え込まず、相談先をもつ

かかりつけの動物病院は、体調だけでなく暮らしの変化の相談先にもなります。気になることは小さなうちに聞いておくと、不安が積み重ならずにすみます。

新しい子を迎える判断は、急がなくて大丈夫です

「一頭になってさみしそうだから、もう一頭迎えたほうがいいのでは」——まわりからそう言われることもあるかもしれません。ですが、獣医師監修の情報でも新しいペットを迎えることは犬同士の相性もあるため、安易に決めるべきではないとされています(出典:いぬのきもちWEB MAGAZINE(獣医師監修))。

窓辺で静かに過ごす犬のイメージ
写真はイメージです

新しい家族を迎えることで暮らしに張り合いが戻る場合もありますが、シニア期の子にとっては生活の変化そのものが負担になることもあります。何より、いまは飼い主さんご自身が判断力を発揮しづらい時期です。迎えるにしても迎えないにしても、その決断は落ち着いてからで遅くありません。残された子の様子と、ご自身の気持ちの両方が少し戻ってきてから、ゆっくり考えてください。

飼い主さん自身も、悲しみの渦中にいます

ここまで、残された子のためにできることをお伝えしてきました。けれど、忘れないでいただきたいことがあります。いま、いちばん深く傷ついているのは、あなたご自身かもしれないということです。

そっと供えられた花のイメージ
写真はイメージです

残された子のことが心配で、自分の悲しみを後回しにしている方は少なくありません。泣くのをこらえていたり、「この子の前では明るくしなきゃ」と気を張っていたり。でも、犬は飼い主さんの様子をよく見ているといわれています。無理に元気なふりをするより、静かに一緒に過ごす時間のほうが、きっとお互いに楽なはずです。

悲しみに期限はありません。数か月経っても涙が出る日があって当然ですし、それは弱さではありません。ただ、眠れない日が続く、食事がとれない、日常生活に支障が出ているといった状態が長引くようであれば、心療内科やカウンセラー、ペットロスの相談窓口など、専門家の力を借りることも選択肢のひとつです。誰かに話すことは、あの子を忘れることではありません。

よくある質問

Q犬の仲間ロスの症状は、どのくらいで落ち着きますか?

A調査では、2か月未満が約29%、2〜6か月が約32%、6か月以上が約25%と報告されており、幅が大きいとされています(出典:Uccheddu et al., 2022)。落ち着いたと思っても、ふとした拍子にまた探し回ることがありますが、それは自然な揺り戻しだと考えられています。

Q元気がないのが仲間ロスなのか、病気なのか分かりません。

A見た目だけで区別することは難しいとされています。食欲不振が3日以上続く、下痢や嘔吐がある、ぐったりしているといった場合は、原因を決めつけずに動物病院で診てもらってください。血液検査などで体の状態を確かめておくと、「気持ちの問題だった」と分かった場合も安心につながります。

Q亡くなった子の姿を、残された子に見せたほうがよいのでしょうか。

A見せたほうがよい・見せないほうがよいという定説はありません。においを嗅いで確かめることで落ち着く子もいれば、とくに反応しない子もいます。無理に近づけず、その子が自分から近寄るかどうかにまかせるのが穏やかです。お別れまでの流れそのものに迷われている場合は、次の記事も参考になさってください。

Q新しい犬を迎えれば、残された子は元気になりますか?

A必ずしもそうとは限りません。相性や年齢によっては負担になることもあるとされ、安易に決めるべきではないといわれています。まずは目の前の子の様子と、ご自身の気持ちが落ち着くのを待ってから考えても遅くありません。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状は動物病院にご相談ください。掲載した調査結果は執筆時点(2026年7月)に公開されている情報にもとづいています。

まとめ

仲間を亡くした犬には、食欲が落ちる、探し回る、鳴く、元気がない、寝てばかりいるといった変化が見られることがあると報告されています。多くは時間とともに少しずつ和らいでいくとされますが、その期間はその子ごとに違い、行きつ戻りつしながら進んでいきます。

できることは、特別なことではありません。いつもどおりの時間にごはんを出し、散歩に行き、そばにいる。そして、食欲不振や下痢が続くようなら早めに動物病院に相談する。それだけで十分です。新しい子を迎えるかどうかも、片づけも、急がなくて大丈夫です。

そして、どうかご自身のこともいたわってあげてください。残された子を気づかえるあなたは、それだけあの子を大切にしてこられたのだと思います。

旅立ったあの子の毎日が穏やかであり、いまおそばにいる子と、あなたの日々にも、静かなあたたかさが戻ってきますように。

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