ケージの止まり木の上で、こちらを見ながら小さく鳴いていたデグー。手のひらにのせると、ぬくもりと一緒に細かな鼓動が伝わってきた——その子が動かなくなったとき、頭が真っ白になってしまった方も多いと思います。犬や猫と違って、まわりに同じ経験をした人が少なく、どこに相談すればいいのかも分かりにくい。その心細さが、悲しみをいっそう深くしてしまいます。
デグーは体重が200g前後の、とても小さな生きものです。そのため「火葬をお願いできるのだろうか」「お骨は残るのだろうか」「そもそも料金表のどこに当てはまるのだろう」と、犬や猫の記事を読んでも答えの見つからない疑問が次々に出てきます。迷って当然のことです。
この記事では、編集部がペット霊園・ペット火葬業者の公式料金表、自治体の案内、動物学のデータベースを調べ、デグーの火葬を受け付けている業者の見分け方、お骨の残り方、費用の目安、複数で暮らしていた子を見送るときの確認事項を静かに整理しました。急いで決めなくて大丈夫です。落ち着いて読み進めていただければと思います。


一言でいうと、デグーも個別火葬を選べばお骨を手元に残せますが、体が小さいぶん「小動物の火葬に対応しているか」を先に確認する必要があります。料金表に「デグー」と明記した業者は多くないため、体重を伝えてどの区分になるかを問い合わせるところから始めると迷いません。
デグーが旅立ったあと、まず落ち着いてできること

火葬の手配より先に、その子の体を落ち着いた状態にしてあげることができます。ペット葬儀サービス「ペトリィ 小さな家族のセレモニー」(運営:シェアリングテクノロジー株式会社)の解説では、体をタオルで包んで段ボール箱に納め、保冷剤や袋に入れた氷を用意しておなかのあたりを重点的に冷やす方法が案内されています。夏場は冷房の効いた部屋に安置し、直射日光の当たる場所は避けます。
デグーのように体の小さな子は、体温が下がるのも状態が変わるのも早いといわれます。同社の解説では、亡くなってから1日以内に火葬の手配ができると望ましいとされていますが、これはあくまで目安です。ご家族の予定がどうしても合わないときは、保冷を続けながら日程を相談することもできますので、業者に「あと何日待てそうか」を率直に聞いてみてください。
安置のあいだは、無理に何かをしなくて構いません。いつも食べていた牧草をそばに置く、名前を呼ぶ、写真を一枚残しておく。それだけでも、あとから振り返ったときに支えになることがあります。
デグーの火葬は受け付けてもらえる?「どの区分に入るか」を先に確かめる

デグーの火葬でまず戸惑うのが、「そもそも受け付けてもらえるのか」という点です。犬や猫であればどの霊園でも料金表に載っていますが、小動物・エキゾチックアニマルの扱いは業者によってはっきり分かれます。
米ミシガン大学動物学博物館が運営する動物データベース「Animal Diversity Web」によると、デグー(Octodon degus)の体重は170〜300g、尾を含めた全長は325〜440mmとされています。つまり、ハムスターよりは大きく、モルモットやうさぎよりはかなり小さい——ちょうど料金表の区切りの「あいだ」に入りやすい体格です。
実際に公式料金表を見てみると、区分の書き方は業者ごとに違います。北白川ペット霊園(京都市左京区)は「特小型Ⅰ(文鳥・ハムスター他)」「特小型Ⅱ(モルモット・ハリネズミ他)」と細かく分けていますが、デグーという表記はありません。大蔵動物霊園(東京都世田谷区)は「極小…ハムスター/リス/文鳥/セキセイインコ等」、城南ペット霊園(東京都品川区)は「極小(小鳥等)」という区分で、いずれもデグーの記載は見当たりませんでした。
一方で、訪問火葬サービスのハピネス(運営:株式会社プログレス)はデグー専用の案内ページを設けており、福岡市の動愛園博多斎場も公式サイトでデグーの火葬料金について案内しています。種類名が書かれていないことは「断られる」という意味ではなく、問い合わせて確かめる必要があるという意味です。
電話やフォームで問い合わせるときは、次の3点を最初に伝えると話が早く進みます。
- 動物の種類(デグー。通じにくければ「南米のげっ歯類で、ハムスターより少し大きい子です」と添える)
- おおよその体重(200g前後、など分かる範囲で)
- お骨を返してほしいかどうか、立ち会いを希望するかどうか
この3点を伝えれば、多くの業者はその場で「うちなら◯◯の区分です」と答えてくれます。逆に、体重を伝えても区分や総額がはっきりしない場合は、いったん保留にして別の業者にも聞いてみて構いません。近くに受け入れ先が見つからないときは、地域の対応業者を紹介してくれる相談窓口を使うという方法もあります。
お骨がほとんど残らないことがある——先に知っておいていただきたいこと

これは、申し込む前に知っておいていただきたいことです。デグーのように体の小さな子の火葬では、火力や風量が強すぎるとお骨が崩れたり飛ばされたりして、ほとんど残らないことがあります。ひらかた動物霊園(大阪府枚方市)の小動物向けの案内でも、大型動物用の炉では小さな体には火力・風力が強すぎるため、近年は小動物用の火葬炉が使われるようになってきた、と説明されています。
逆にいえば、火力と温度を細かく調整できる設備と経験があれば、小さな子でもお骨を残せる可能性は高くなります。デグーの案内ページを設けているハピネスは「小さなデグーちゃんのご遺骨もきれいに残せます」と案内していますし、ひらかた動物霊園は特小型の子について個別立会火葬に対応し、火葬時間の目安を約2時間としています。
ただし、どの業者であっても「必ず残ります」と保証できるものではありません。その子の体格や状態によって残り方は変わります。むしろ、問い合わせの段階で「残らないこともあります」と正直に説明してくれる業者のほうが信頼できます。期待だけを持たせて当日を迎えるより、心の準備ができるからです。
また、お骨を残したい場合は、一緒に納める品物にも少しだけ気を配ってください。多くの業者が、金属・ガラス・プラスチック製品は火葬できないと案内しています。牧草やおやつをたくさん入れると燃焼に影響することもあるため、量は当日相談するのが安心です。
デグーの火葬にかかる費用の目安(税込・執筆時点)

火葬の費用は、形式によって大きく変わります。まず、形式ごとの違いを整理しておきます。
| 形式 | 費用の目安(税込・小動物区分) | お骨の返却 | こんな方に |
|---|---|---|---|
| 合同火葬 | 5,500円〜13,200円 | 返骨なし(合同で供養) | お骨は残さず、霊園で供養してもらいたい方 |
| 個別一任火葬 | 8,800円〜16,500円 | 返骨あり(拾骨は業者) | お骨は残したいが、火葬に立ち会うのはつらい方 |
| 個別立会火葬 | 13,000円〜49,500円 | 返骨あり(家族が拾骨) | 最期まで見届け、自分の手で拾骨したい方 |
| 自治体の引き取り | 1,100円〜2,500円 | 返骨なし | 費用を最小限にしたい方(次章で詳述) |
※上記は本記事で調査した各社・各自治体の公式料金の幅をまとめたものです。地域や業者によってこの範囲を外れることもあります。
実在する施設の小動物区分の料金(公式サイト調べ)
具体的なイメージが持てるよう、公式サイトに料金を掲載している施設の小動物区分を並べてみます。いずれも執筆時点の税込表記です。デグーがどの区分になるかは各施設への確認が前提となります。
| 施設・サービス | 区分の名称 | 合同火葬 | 個別一任 | 個別立会 |
|---|---|---|---|---|
| 北白川ペット霊園(京都市左京区) | 特小型Ⅰ(文鳥・ハムスター他) | 6,600円 | 8,800円 | 14,300円 |
| 北白川ペット霊園(京都市左京区) | 特小型Ⅱ(モルモット・ハリネズミ他) | 11,000円 | 13,200円 | 18,700円 |
| 城南ペット霊園(東京都品川区) | 極小(小鳥等) | 13,200円 | 16,500円 | 49,500円 |
| ひらかた動物霊園(大阪府枚方市) | 特小型1(ハムスター等) | — | — | 13,000円 |
| ハピネス(訪問火葬・株式会社プログレス) | デグーのページあり | 5,500円〜 | 13,200円〜 | 16,500円〜 |
このほか、動愛園博多斎場(福岡市)は公式サイトでデグーの火葬について、プラン全体で10,000円〜22,000円程度(税込)と案内しています。
同じ小動物でも、施設によって1万円以上の差が出ることがあります。ただし安さだけで選ぶと、あとで骨壷代・出張費・時間外料金などが加算されることもあります。次章以降の確認事項とあわせてご覧ください。
複数で暮らしていたデグーを見送るとき

デグーは、もともと群れで暮らす動物です。Animal Diversity Webによると、野生ではオス1〜2頭と血縁のあるメス2〜5頭ほどの集団で生活し、主に昼間に活動するとされています。そのため家庭でも複数で飼われていることが多く、見送るときにも犬や猫とは違う悩みが出てきます。
まず、同じ時期に2匹を見送ることになった場合です。「一緒に火葬してあげたい」というお気持ちはとても自然ですが、この扱いは業者によって分かれます。同じ炉で2匹を一緒に火葬できるのか、その場合の料金は1匹分なのか2匹分なのか、お骨は分けて返してもらえるのか——いずれも公式料金表には書かれていないことがほとんどですので、申し込みの前に電話で確かめてください。「2匹を一緒に見送りたいのですが、可能でしょうか」と伝えれば、対応の可否と料金を案内してもらえます。
もうひとつは、残された子のことです。ずっと一緒だった相手がいなくなったあと、食欲が落ちたり、鳴き方や活動の様子が変わったりすることがあります。これは体調の変化なのか、環境の変化によるものなのか、飼い主だけで見分けるのは難しいところです。いつもと違う様子が続くときは、早めに小動物を診てくれる動物病院にご相談ください。ここは自己判断のむずかしい部分ですので、記事の情報で様子を見ようとせず、専門家の目に頼っていただければと思います。
ケージの掃除や配置換えを急ぐ必要もありません。残された子にとっても、においや景色が急に変わるのは負担になることがあります。ご自身の気持ちが落ち着いてから、少しずつで大丈夫です。
自治体に引き取ってもらう場合と、庭に埋葬する場合

火葬業者に依頼する以外の選択肢もあります。どれが正しいということはありません。ご家族の状況で選んでいただいて大丈夫です。
ひとつは、お住まいの自治体に引き取りを依頼する方法です。たとえば町田市(東京都)は、飼い主のいる動物の引き取りを1体2,500円で受け付け、動物霊園で合同火葬・合同埋葬を行うと案内しています。同市の案内ではお骨を返すことはできないと明記され、段ボール箱に入れて封をすること、発泡スチロールやプラスチックの容器は使わないこと、金属類・缶詰・保冷剤・化学繊維の敷材は取り除くことが求められています。さいたま市では処理手数料が1頭あたり1,100円、支払いは現金のみと案内されています。
費用は抑えられますが、返骨がない点と、自治体によって扱いや手数料が大きく異なる点は知っておいてください。お住まいの市区町村の名称に「動物 死体 処理」を添えて検索すると、公式ページを確認できます。
もうひとつは、庭に埋葬する方法です。この場合は自分の所有する土地に限られます。公園・河川敷・山林・借りている土地に埋めることはできません。デグーのような小さな子でも、浅く埋めると雨で土が流れたり、他の動物に掘り返されたりすることがありますので、十分な深さを確保し、土をしっかり戻すことが必要です。集合住宅で庭がない場合は、火葬を選ぶか、鉢に土を入れて埋葬する方法を検討することになります。
火葬をお願いする業者を選ぶときに確認したいこと

ペットの火葬をめぐっては、高額な追加請求や、遺体が適切に扱われなかったという事案が報道されたことがあります。悲しみのなかで冷静な判断をするのは難しいものですが、次の5点をたずねておくだけで、避けられるトラブルは多くあります。
1小動物の火葬実績と、炉の対応を聞く
「デグーくらいの大きさの子の火葬をされたことはありますか」「小動物用の炉はありますか」と直接たずねてください。実績のある業者は具体的に答えてくれます。お骨が残らない可能性についても、あわせて説明を求めておくと安心です。
2総額が事前に確定するかを確かめる
火葬料金のほかに、骨壷代・出張費・時間外料金・お棺代などが加算されることがあります。「当日お支払いする総額はいくらになりますか」と聞き、見積もりを書面やメールで残してもらいましょう。当日になって金額が変わる説明があった場合は、その場で決めなくて構いません。
3立ち会いと返骨ができるかを確認する
立ち会いを希望する場合は、火葬のどの場面から立ち会えるのか、拾骨は自分でできるのかを確認します。個別火葬と説明されていても、実際の運用は業者ごとに違います。「本当にその子だけを個別で火葬していただけますか」と一度たずねておくと安心です。
4所在地・固定施設・運営会社を確認する
公式サイトに所在地と運営会社が明記されているか、固定の火葬施設や霊園を持っているかを見ます。訪問火葬(移動火葬車)を利用する場合も、拠点の住所と運営会社が確認できるかは必ずチェックしてください。連絡先が携帯番号だけ、会社概要が見当たらない、といった場合は避けたほうが無難です。
5その場で決めず、比べる余裕を持つ
急かす言葉をかけてくる業者は、それだけで見送る理由になります。2社ほどに問い合わせて、対応の丁寧さと説明の分かりやすさを比べてください。保冷を続けていれば、半日〜1日ほど考える時間はつくれます。
当日の流れ自体は、犬や猫の火葬と大きく変わりません。お迎え、対面、火葬、拾骨、お骨のお渡しという順に進みます。全体の流れをイメージしておきたい方は、次の記事もあわせてご覧ください。
よくある質問
※本記事の料金は執筆時点(2026年8月)の各社・各自治体の公式サイト情報です。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状は動物病院にご相談ください。
まとめ
デグーの火葬で最初に確かめたいのは、「受け付けてもらえるか」ではなく「どの区分で、どんな設備で火葬してもらえるか」でした。体重は170〜300gほど。料金表に種類名が書かれていなくても、体重を伝えれば多くの業者が答えてくれます。個別火葬を選べばお骨を手元に残せますが、体が小さいぶん残り方には個体差があり、それを正直に説明してくれる業者ほど信頼できます。
費用は形式によって幅があり、小動物の区分では合同火葬で5,500円〜、個別一任で8,800円〜、立会個別で13,000円〜という公式料金の例がありました。自治体に引き取りを依頼する方法もありますが、その場合は返骨がありません。どれを選んでも、間違いということはありません。
複数で暮らしていた子の場合は、一緒に火葬できるかどうかと、残された子の様子の変化にも気を配ってあげてください。そして、急かす業者にだけは従わないこと。保冷を続けていれば、考える時間はつくれます。
小さな体で、毎日いっぱいに鳴いて、走って、あなたのそばにいてくれた子でした。その日々が、これからのあなたの支えになりますように。