ボールを追いかけてどこまでも走り、こちらの気持ちまで見抜いてしまうような澄んだ瞳。ボーダーコリーと過ごす毎日は、そのまなざしと運動量に引っ張られて、いつも少しにぎやかで、あたたかいものだったのではないでしょうか。だからこそ、ふとした瞬間に「この子とあと何年一緒にいられるのだろう」と、胸の奥が静かになる方もいらっしゃると思います。
この記事では、ボーダーコリーの平均寿命を、アニコム損保の調査や獣医師監修の情報などをもとに整理しました。あわせて、人間の年齢に換算するとどのくらいなのか、かかりやすい病気、そして一日でも穏やかに長く過ごしてもらうためにできることを、静かにお伝えします。今この子がそばにいる方にも、見送ったばかりの方にも、少しだけ心が軽くなる時間になりますように。


一言でいうと、ボーダーコリーの平均寿命はおよそ12〜13歳です。アニコム損保の調査では13.2歳、獣医師監修の情報では12.7歳とされ、いずれも中型犬の一般的な寿命に近い範囲です。遺伝性の病気の予防と日々の体調管理が、穏やかな時間を長くする鍵になります。
ボーダーコリーの平均寿命は何歳?
ボーダーコリーの平均寿命は、一般に12〜13歳ほどとされています。ペット保険大手アニコム損害保険の調査では平均寿命は13.2歳とされ、犬種全体では20番目に長い寿命と紹介されています。一方、獣医師監修のいぬのきもちWEB MAGAZINEでは12.7歳とされており、参照するデータによって多少の幅があります。
犬全体の平均寿命は、体格によって傾向が分かれます。一般に小型犬が約14.2歳、中型犬が約13.6歳、大型犬が約12.5歳とされ、体が大きくなるほど寿命が短くなる傾向があります。ボーダーコリーは中型犬に分類されるため、中型犬の平均(約13.6歳)と比べるとやや短めという見方もできます。いずれの数値も執筆時点で確認できた目安であり、同じ犬種でも育つ環境や体質によって差が出ます。

飼育環境による差
同じボーダーコリーでも、寿命には幅があります。差を生む要因として、食事の内容と量、運動量とその質、体重管理、去勢・避妊の有無、ストレスの少なさ、そして遺伝的な体質などが挙げられます。とくにボーダーコリーは牧羊犬として生まれた運動能力の高い犬種で、運動不足による肥満やストレスが体に負担をかけやすい点に注意が必要です。
「同じ日に迎えたきょうだい犬でも、片方は長く元気だった」ということは珍しくありません。寿命の数字はあくまで目安として受け止め、目の前のこの子の様子を第一に見てあげてください。オスとメスで寿命に大きな差はないとされています。
長生きの最高齢記録
ボーダーコリーの長寿記録として広く知られているのは、イギリスで暮らした「ブランブル(Bramble)」の27歳211日です。犬全体のギネス世界記録(歴代最高齢)としても上位に数えられる長寿で、平均寿命の倍以上に相当します。ただしこれは特別な例で、記録を目指す必要はまったくありません。
平均の12〜13歳を穏やかに、痛みや不安の少ない状態で過ごしてもらうこと。それがいちばんの「長生き」だと、私たちは考えています。
ボーダーコリーの年齢を人間に換算すると【早見表】
「うちの子は今、人間でいうと何歳くらいなんだろう」と気になったことはありませんか。中型犬であるボーダーコリーは、環境省のガイドラインで示される換算式をあてはめると、1歳で人間の約16歳、2歳で約24歳、その後は1年ごとに約4歳ずつ年を重ねていく計算になります。下の早見表は、その目安をまとめたものです。

この換算は、環境省が示す小型〜中型犬の計算式(2歳を人間の24歳とし、以降は1年につき4歳を加える)をもとにした目安です。たとえば5歳なら人間の約36歳、7歳で約44歳、10歳で約56歳、そして平均寿命に近い13歳では約68歳に相当します。
数字にすると、私たちが思っている以上に早く大人になり、想像より早くシニア期を迎えることが分かります。ボーダーコリーは体力があり若々しく見えるぶん、つい年齢を忘れがちですが、7歳前後からはシニア期の入り口と考え、体調の変化に気を配ってあげたいところです。あくまで目安であり、個体差が大きい点はご了承ください。
ボーダーコリーがかかりやすい病気・寿命を縮めやすい要因
ボーダーコリーは体力があり、少々の不調では元気にふるまってしまうことも少なくありません。「様子がおかしい」と気づいたときには、すでに病気が進んでいることもあります。ここでは、獣医師監修の情報や専門メディアをもとに、かかりやすい病気と気をつけたい要因を整理します。いずれも診断や治療は獣医師の役割ですので、気になる症状は動物病院にご相談ください。

とくに注意したい病気
ボーダーコリーには、遺伝的に発症しやすいとされる病気がいくつか知られています。専門メディアや獣医師監修記事でよく挙げられるのは、次のような病気です。
- 股関節形成不全……大腿骨が股関節にうまくはまらない発育の異常です。腰を振るような歩き方、後ろ足を引きずる、運動を避けるといった様子が前兆とされ、生後6か月以降にあらわれることがあります。成長期の体重管理や過度な運動を避けることが予防につながるとされます。
- コリー眼異常(CEA)……網膜や脈絡膜の発育に関わる先天性・遺伝性の目の病気です。無症状で一生を終える個体もいれば、重症化して網膜剥離から失明にいたる場合もあります。遺伝子検査で確認できる病気です。
- 進行性網膜萎縮症(PRA)……網膜が徐々に変性していく遺伝性の病気で、初めは夜間の見えづらさから始まり、少しずつ視力が低下していきます。段差や階段を怖がるようになるのがサインの一つです。
- 白内障・水晶体脱臼……目の水晶体が白くにごる白内障や、水晶体がずれる水晶体脱臼も見られます。物にぶつかる、段差でつまずくといった様子があれば注意が必要です。
- セロイドリポフスチン症(CL症)……脳などに老廃物が蓄積する遺伝性の神経疾患です。2歳前後から、突然おびえて震える、歩き方がふらつく、覚えていたはずの場所を忘れるといった変化があらわれることがあります。
このほか、けいれん発作を起こすてんかんなど神経系の不調が見られることもあります。受診の目安として、けいれん・急な視力低下・強い痛みのサイン・ぐったりして動かないといった様子があれば早めに動物病院へ。遺伝性の病気は、信頼できるブリーダーによる親犬の検査や、飼い始めの健康診断で早くに把握しておくと安心です。
寿命を縮めやすい要因
病気そのものだけでなく、日々の暮らし方が体に負担をかけていることもあります。ボーダーコリーでよく挙げられるのが次のような要因です。
- 運動不足による肥満と、それに伴う関節・内臓への負担
- 知的で運動欲求が強いぶん、刺激不足でたまる慢性的なストレス
- フードの与えすぎ・おやつの過多によるカロリー過多
- 健診の間隔があき、病気の発見が遅れること
ボーダーコリーは「体を動かし、頭を使う」ことで心身が安定しやすい犬種です。散歩や運動が足りないと、ストレスから問題行動が出たり、体調を崩したりすることもあります。運動と休息のバランスを整えることが、健康寿命を支える土台になります。
ボーダーコリーに長生きしてもらうためにできること
特別なことは必要ありません。毎日の小さな心づかいの積み重ねが、この子の穏やかな時間を支えます。ここでは、今日から実践できる6つのポイントを紹介します。なお、これらは健康をサポートするための一般的な工夫であり、長生きや病気の予防を保証するものではありません。

1運動と頭を使う遊びを毎日組み合わせる
牧羊犬のボーダーコリーは、十分な運動と知的な刺激の両方を必要とします。1日2回、合わせて1〜2時間ほどの散歩や運動を目安に、ボール遊びやコマンド遊びなど頭を使う時間も取り入れましょう。ただし成長期や関節に不安がある子は、獣医師と相談しながら運動量を調整します。
2年齢と体格に合ったバランスのよい食事を選ぶ
主食は総合栄養食のドッグフードを中心に、年齢(子犬・成犬・シニア)に合ったものを選びます。おやつは1日の摂取カロリーの範囲にとどめ、肥満を防ぎます。新鮮な水もいつでも飲めるようにしておきましょう。
3適正体重をキープする
肥満は関節や心臓への負担になり、寿命を縮める要因の一つです。あばら骨がうっすら触れるくらいを目安に、定期的に体重を量り、増減に早く気づけるようにします。フードの量は体格や運動量に合わせて見直しましょう。
4ストレスの少ない静かな環境を整える
ボーダーコリーは繊細で頭がよいぶん、退屈や不安をためやすい犬種です。落ち着ける居場所を用意し、留守番が長くなりすぎないよう配慮を。運動と休息のメリハリが、心の安定につながります。
5毎日の健康チェックを習慣にする
食欲・便の状態・歩き方・目のにごり・体重・毛づやを、スキンシップのついでにさりげなく観察します。「いつもと違う」に早く気づくことが、病気の早期発見につながります。歯みがきなどの口内ケアも、できる範囲で続けましょう。
6定期的に動物病院を受診する
健康な成犬でも年1回、シニア期(7歳前後)以降は半年に1回を目安に健診を受けると安心です。ボーダーコリーは遺伝性の目の病気などが知られるため、気になる様子があれば我慢させず、早めの受診を心がけましょう。
シニア期のボーダーコリーの変化と向き合い方
ボーダーコリーは、おおむね7歳前後からシニア期に入るといわれます。体力があり若く見えても、体の中では少しずつ変化が始まっています。加齢とともに、次のような様子が見られることがあります。

- 走る時間が減り、散歩をゆっくり歩くようになる
- 寝ている時間が増え、反応がおだやかになる
- 毛づやが少し衰え、白い毛が増えてくる
- 目がにごって見える、段差や暗い場所を避ける
- 食が細くなる、硬いものを食べにくそうにする
これらは老いの自然な過程であることも多いですが、病気のサインが隠れていることもあります。シニア期は、滑りにくいマットを敷く、段差を減らす、食器を食べやすい高さにするなど、体に負担の少ない環境へ少しずつ整えてあげましょう。運動は「量」より「無理のない範囲で続けること」を大切にします。
そして何より、そばで静かに過ごす時間を大切にしてあげてください。走り回っていた頃とは違う、ゆっくりとした時間の中にも、この子との深いつながりが息づいています。
ボーダーコリーとのお別れが近づいたら
どれだけ大切に育てても、いつか必ずお別れの時は訪れます。食事や水をほとんど受けつけなくなる、ほとんど動かなくなる、呼吸が浅くなる——そうした様子が見られたら、残された時間を穏やかに過ごせるよう、そっと寄り添ってあげてください。無理に元気づけようとするより、静かで暖かい環境を保ち、聞き慣れた声でそばにいてあげることが、いちばんの支えになります。

お別れのあとは、火葬や供養という選択肢があります。中型犬のボーダーコリーの場合、個別に火葬してお骨を返してもらう方、合同で見送る方など、ご家族の気持ちに合った見送り方で構いません。慌てて決める必要はありませんが、あらかじめ流れを知っておくと、いざという時に落ち着いて向き合えます。
そして、見送ったあとに深い悲しみが押し寄せてくるのは、それだけ深く愛した証です。涙が止まらない日があっても、どうかご自分を責めないでください。悲しみとの向き合い方に、正しいひとつの形はありません。
よくある質問
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状がある場合は、動物病院にご相談ください。数値は執筆時点(2026年7月)で確認できた各情報源(アニコム損保・獣医師監修メディア等)の目安であり、個体差があります。
まとめ
ボーダーコリーの平均寿命はおよそ12〜13歳。アニコム損保の調査では13.2歳、獣医師監修の情報では12.7歳とされ、中型犬の中ではやや短めという見方もありますが、飼育環境や体質で変わります。人間換算では1歳で約16歳、2歳で約24歳、その後は1年ごとに約4歳ずつ年を重ね、7歳前後からはシニア期の入り口です。股関節形成不全やコリー眼異常などの遺伝性の病気が知られるため、適度な運動と体重管理、毎日の観察、そして定期的な健診が、穏やかな時間を支えてくれます。
走ることが大好きなこの子が、これからもあなたのとなりで、まっすぐな瞳のまま、どうか安らかに、穏やかな日々を重ねられますように。