その日は、たいてい前ぶれなくやってきます。まだ現実として受け止められないまま、それでも「これからどうしたらいいのだろう」と携帯を手にした方も多いのではないでしょうか。ペットの葬儀は、人の葬儀のように決まった作法があるわけではありません。だからこそ、はじめての方は「いつ電話をすればいいのか」「当日は何を持っていくのか」「お骨はその日に返ってくるのか」といった、ひとつひとつの段取りで手が止まってしまいます。この記事では、亡くなった直後の安置から、業者を決めて予約し、当日お別れをして火葬し、お骨を胸に抱いて家に帰るまでを、時系列でたどります。あわせて、それぞれの段階で多くの方が迷うことも、ひとつずつ添えました。当メディア編集部が複数のペット葬儀社の公開情報と、公的機関の案内をもとに整理しています。数字は目安ですので、どうか急がず、ご自身のペースで読み進めてください。


一言でいうと、ペット葬儀の流れは「安置→業者選び→予約・見積→当日のお別れと火葬→お骨上げ・返骨→そのあとの供養と手続き」の7つの段階に分けて考えると迷いにくくなります。立ち会う形式を選んだ場合、当日は受付からお骨を受け取るまで1時間30分〜3時間ほどをみておくと安心です(事業者・体格により幅があります)。
ペット葬儀の流れ|依頼から返骨までの全体像
はじめに、全体をひと目で見わたせるように整理します。ご自宅で安置するところから、お骨を持ち帰り、そのあとの供養と手続きに至るまでを7つの段階に分けました。「今、自分がどこにいるのか」を確かめるための地図として使ってください。

この7段階のうち、時間の勝負になるのは最初の「安置」だけです。業者選びや予約は、落ち着いてからで間に合います。夜中に亡くなった場合でも、まずは体を冷やして安置し、翌朝に電話をするという進め方で問題ありません。多くのペット葬儀社が24時間受付をしていますが、それは「すぐに連れて行かなければならない」という意味ではなく、いつ連絡してもよい、という意味だと受け取っていただければと思います。
①亡くなった直後にすること|安置と姿勢を整える
最初にすることは、火葬までのあいだ、体をできるだけ良い状態で保ってあげることです。ここだけは時間に関係します。複数のペット葬儀社が公開している案内では、亡くなってから2〜3時間ほどで死後硬直が始まるとされています。硬直が進むと手足が伸びたまま固まり、棺に収まらなくなることがあるため、その前に姿勢を整えてあげるのが一般的です。

1体を冷やして、自然な姿勢に整える
やわらかい布やタオルの上に寝かせ、目と口をそっと閉じてあげます。手足は、眠っているときのように胸のほうへ軽くたたんでおくと、棺に納めやすくなります。体液が出ることがあるため、口やお尻の周りをやさしく拭き、ペットシーツを敷いておくと安心です。保冷剤やドライアイスは、お腹・脇・首のまわりに当てるのが基本とされ、冷気は下に降りるため、箱に入れた場合は上にも置くとよいと案内している葬儀社もあります。
迷いやすいのは「気づいたときにはもう硬くなっていた」というときです。無理に曲げようとすると体を傷めてしまうことがあります。多くの葬儀社は、硬直はやがてゆるむため、そのまま安置して当日スタッフに相談するよう案内しています。ご自身を責めないでください。
2安置できる期間の見当をつける
どのくらい家で過ごせるかは、季節と保冷の状況によって変わります。目安として、冷房の効いた涼しい部屋であれば数日、夏場はより短くなり、2日以上安置する場合はドライアイスの使用をすすめる葬儀社が多く見られます。エアコンで室温を下げ、直射日光を避けることが基本です。
迷いやすいのは「何日まで一緒にいていいのか」という点です。ここは体格や気温で大きく変わるため、記事の数字より、依頼先に電話で状態を伝えて聞くほうが確実です。多くの葬儀社は、保冷の方法も含めて無料で相談に応じています。
②業者を決める|電話で必ず聞いておきたいこと
ペット葬儀は、残念ながらトラブルの報道もある分野です。移動火葬車で高額な追加料金を請求されたり、返すと言われたお骨が戻らなかったりといった事例が過去に報じられてきました。だからこそ、依頼先を決めるときは料金の安さより「確認できるかどうか」を先に見ることをおすすめします。次の点は、最初の電話で聞いておくと後悔が少なくなります。

- 固定の火葬施設があるか(住所が公開され、地図で確認できるか)
- 立ち会いができるか。できる場合、どの段階から立ち会えるか
- 返骨してもらえるか。骨壷は料金に含まれるか、別料金か
- 体重を伝えたうえでの総額はいくらか。追加費用が出る条件は何か
- 領収書や火葬の証明書を発行してもらえるか
- お骨を預けたい場合、納骨・合祀の受け入れがあるか
電話口で総額をはっきり言わない、住所や施設の情報を教えてくれない、その場での契約を強くすすめてくる——こうした反応があったときは、いったん電話を切って別の事業者にも問い合わせてよいと思います。見送りの主導権は、いつでも飼い主さんの側にあります。
迷いやすいのは「訪問火葬(火葬車)と、施設に連れて行く火葬のどちらがよいか」という点です。訪問火葬は自宅前まで来てくれるので移動の負担が少なく、外に出るのが難しい状況でも見送れます。一方、固定の施設なら待合室で待つことができ、設備を目で確かめられる安心感があります。どちらが良い・悪いということではなく、体格・立ち会いの希望・移動できるかどうかで選ぶのが現実的です。
③火葬の形式を選ぶ|当日の流れは形式で変わる
ここが当日の過ごし方を決める分かれ道です。火葬の形式は、大きく「合同火葬」「個別火葬(一任)」「立会個別火葬」の3つに分けられます。形式によって、お骨が戻るかどうか、当日どのくらい時間がかかるかが変わります。以下は、複数のペット葬儀社が公開している料金・案内をもとに整理した早見表です(金額は執筆時点の一例で、体重や地域によって変わります)。

| 形式 | 費用の目安(税込) | お骨の返却 | 当日の所要時間の目安 | こんな方に |
|---|---|---|---|---|
| 合同火葬 | 8,500円〜 | 返骨なし(他の子と一緒に火葬し、霊園に合祀) | お預けして解散(立ち会いなし) | 手元にお骨を置かず、霊園で供養してもらいたい方 |
| 個別火葬(一任) | 15,400円〜 | あり(骨壷に納めて返却) | お預けから受け取りまで1〜3時間ほど(後日受け取りの場合も) | お骨は返してほしいが、火葬に立ち会うのはつらい方 |
| 立会個別火葬 | 17,600円〜 | あり(家族でお骨上げをして持ち帰る) | 受付から返骨まで1時間30分〜3時間ほど | 最後まで見届け、自分の手でお骨を拾いたい方 |
※費用の目安は、全国対応のペット葬儀110番が公表している小動物向けの最低料金(税込)を参考にしています。体重が重くなるほど料金は上がり、深夜の対応やオプションで追加費用が発生する場合があります。
迷いやすいのは「立ち会うべきかどうか」です。立ち会いは、最後まで見届けられる一方で、心身への負担も小さくありません。お子さんやご高齢の家族がいる場合、体調がすぐれない場合は、無理をせず一任を選ぶ方も多くいます。どの形式を選んでも、見送る気持ちの深さは変わりません。
④予約と見積|伝えること・確認すること
形式が決まったら予約です。電話やフォームで申し込む際に、次の情報を手元に用意しておくと一度で話が進みます。

1伝える情報を用意する
動物の種類と体重(おおよそで構いません)、亡くなった日時、希望する火葬の形式、希望日と時間帯、訪問火葬なら住所と車を停められる場所の有無を伝えます。体重は料金を左右する大きな要素なので、分かる範囲でできるだけ正確に伝えるほうが、当日の食い違いを防げます。
迷いやすいのは「体重が分からない」ときです。抱いて体重計に乗り、ご自身の体重を引く方法で概算を伝えれば十分だと案内する葬儀社が多く見られます。
2総額と、追加費用が出る条件を確認する
見積で確かめたいのは、提示された金額に骨壷・骨袋・お迎えの出張費・待機時間が含まれているかです。「◯◯円〜」という表示は最低料金であることが多く、体重区分やオプションで変わります。可能であれば、メールやメッセージなど文字に残る形で総額を受け取っておくと安心です。
迷いやすいのは、当日になって追加を提案されたときです。事前に総額を書面で確認しておけば、その場で判断を迫られずに済みます。
3いつ火葬するかを決める
24時間受付の事業者では当日中に対応できる場合もありますが、日程は空き状況次第です。急がなくてよい場合、ご家族が揃う日に合わせて2〜3日先を予約する方も少なくありません。安置の状態と気温を伝えたうえで、いつまでなら待てそうかを相談してみてください。
迷いやすいのは「早くしたほうがいいのでは」という焦りです。保冷ができていれば、少し時間をとってお別れの準備をすることは、けっして悪いことではありません。
⑤当日の持ち物と服装|迷ったら普段着で
当日に特別な用意はほとんど必要ありません。多くのペット葬儀社が「普段着で構いません」と案内しており、喪服の決まりはないのが一般的です。ただし、施設によっては他のご家族と同じ時間帯になることもあるため、極端に派手な服装は避け、落ち着いた色合いにしておくと気持ちが落ち着きます。

- 棺に納めたいもの(お花・手紙・写真など。事前に可否を確認)
- お骨を持ち帰るための袋やバッグ(骨壷が入る大きさのもの)
- 支払いの用意(現金のみの事業者もあるため、決済方法を確認)
- ハンカチ・タオル、ご家族の飲み物
- 写真を残したい場合はカメラ(撮影の可否は事前に確認)
棺に入れるもの(副葬品)は、事業者ごとにルールが違います。公開されている案内で共通しているのは、お花・手紙・少量のおやつは受け入れられることが多く、プラスチック・金属・ゴム製品、厚手の毛布やクッションは断られることが多いという点です。燃え残ってお骨に付着したり、変色の原因になったりするためと説明されています。首輪も素材によっては入れられないことがあります。
迷いやすいのは、いつも使っていた毛布や首輪を「一緒に持たせたい」というお気持ちです。入れられない場合でも、火葬のあいだ棺のそばに置き、お骨と一緒に持ち帰るという形にしている方もいます。可否は必ず予約のときに確認しておくと、当日その場で悩まずに済みます。
⑥当日の進行|受付からお骨上げ・返骨まで
ここからは、立会個別火葬を選んだ場合を例に、当日の進行を追います。訪問火葬でも、火葬車の中や自宅前で同じような順に進みます。所要時間は事業者や体格によって幅がありますので、あくまで目安としてご覧ください。

1受付・説明(10分ほど)
到着したら、当日の流れと注意点の説明を受けます。副葬品の確認、支払い方法、お骨の受け取り方をここで擦り合わせます。分からないことは、この時点で遠慮なく聞いてしまうのが一番です。
迷いやすいのは、待合室でどう過ごせばよいかという点です。多くの施設に待合スペースがあり、静かに待つ以外の作法はありません。
2納棺・お別れの時間(10〜20分ほど)
棺に寝かせ、お花や手紙を添えて、最後の時間を過ごします。声をかけたり、体をなでたりして構いません。ご家族が揃っていれば、ひとりずつお別れをする時間をとる施設もあります。
迷いやすいのは「泣いてしまって、ちゃんとお別れができなかった」と後から悔やむことです。涙が出るのは自然なことで、それ自体が見送りの一部です。うまく言葉にできなくても、そばにいた時間は変わりません。
3出棺・火葬(30分〜2時間ほど)
炉に納め、火葬が始まります。火葬そのものにかかる時間は体格で大きく変わり、公開されている案内では、3kg前後の猫や小型犬で40分前後、7〜15kgの中型犬で60分前後、25kgを超える大型犬では100〜120分程度とする例が見られます。これは炉に火が入っている時間の目安で、実際には炉を冷ます時間なども加わります。
迷いやすいのは、この待ち時間の過ごし方です。待合室で待つのが一般的ですが、外の空気を吸いに出ても構いません。長丁場になることもあるため、飲み物を用意しておくと少し楽になります。
4お骨上げ・返骨(15〜30分ほど)
冷ましたあと、ご家族でお骨を拾い、骨壷に納めます。スタッフが箸の使い方や拾う順番を案内してくれますので、覚えていく必要はありません。納めた骨壷はその場で持ち帰るか、納骨を希望する場合はそのまま預けます。
迷いやすいのは、小さな子や高齢の動物でお骨が思ったより少ないと感じたときです。体格や骨の状態によって残り方は変わると説明されており、決してめずらしいことではありません。気になったときは、その場でスタッフに尋ねてみてください。
⑦見送ったあとに|供養と、役所の手続き
お骨を持って帰ったあとのことは、急いで決める必要はありません。四十九日や一周忌といった区切りに合わせて考える方もいれば、何年も手元に置いてから納骨を決める方もいます。供養の形に正解はなく、いつ決めても遅すぎることはありません。主な選択肢としては、自宅の供養スペースに置く手元供養、ペット霊園への納骨(個別墓・合祀墓)、樹木葬、粉骨してアクセサリーにするなどがあります。

一方で、期限が決まっている手続きもあります。犬を飼っていた場合の死亡の届出は、狂犬病予防法にもとづく飼い主の義務です。自治体の案内では、亡くなってから30日以内に、お住まいの市区町村(保健所や区民窓口など)へ死亡届を提出するよう求められています。届出のときは、交付されている鑑札と狂犬病予防注射済票を返却するのが一般的です(紛失している場合の扱いは自治体により異なります)。窓口のほか、郵送やオンラインで受け付けている自治体もあります。
マイクロチップを装着し、環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」に登録している場合は、そちらにも死亡の届出が必要です。動物の愛護及び管理に関する法律では「遅滞なく」届け出ることとされており、オンラインまたは書面で手続きでき、手数料はかかりません。なお、お住まいの市区町村が狂犬病予防法の特例制度に参加している自治体では、マイクロチップの登録が犬の登録とみなされるため、環境省の登録側に死亡の届出をすれば市区町村への届出が不要になる場合があります。どちらに出せばよいかは自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の案内でご確認ください。猫については、こうした登録・届出の義務はありません(マイクロチップ登録をしている場合を除く)。
迷いやすいのは、手続きをする気力がわかないときです。30日という期間には少し余裕があります。体調が戻ってからで構いませんし、ご家族に代わりに行ってもらうこともできます。
依頼先に迷ったときの相談先
「どこに頼めばいいのか分からない」「近くの葬儀社が見つからない」というときは、全国のペット葬儀社と提携し、窓口を一本化しているサービスを使う方法もあります。当メディア編集部が公式サイトの料金・対応内容を調べたうえで、受付体制と料金の分かりやすさから紹介します。

ペット葬儀110番
東証上場のシェアリングテクノロジー株式会社が運営する、全国対応のペット葬儀紹介サービスです。24時間365日受付で、お引取り霊園供養プラン8,500円〜、個別火葬一任プラン15,400円〜、個別火葬家族立会プラン17,600円〜(いずれも税込・執筆時点)と、プランごとの料金が公式サイトに明示されています。個別火葬のプランには骨壷が含まれ、返骨まで案内されています。対応エリアや加盟店によっては記載の価格・条件で対応できない場合があると公式サイトに注記があるため、依頼前に総額を確認してください。
よくある質問
※本記事の料金は執筆時点(2026年8月)の各社公式サイト情報です。最新は各公式サイトでご確認ください。所要時間・安置期間の目安は複数のペット葬儀社が公開している案内をもとにした一般的な範囲で、実際は事業者・炉の設備・体格・気温によって変わります。届出の要否や方法は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の案内をご確認ください。
まとめ
ペット葬儀の流れは、安置から始まり、業者を決め、予約と見積を確認し、当日お別れをして火葬し、お骨を受け取り、そのあとの供養と手続きへと続きます。時間に追われるのは最初の安置だけで、残りは落ち着いてから決めて間に合います。業者を選ぶときは料金の安さより「固定の施設があるか」「立ち会いと返骨ができるか」「総額を先に示してくれるか」を確かめること、当日は特別な服装も持ち物もいらないこと——この2つを覚えておいていただければ十分です。
そして、どの形式を選んでも、涙で言葉にならなくても、見送る気持ちが足りなかったということはありません。あの子と過ごした日々が、これからのあなたを静かに支えてくれますように。