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ニューファンドランドの寿命は何歳?|平均寿命の目安とかかりやすい病気、シニア期の備え

玄関でゆっくり立ち上がる大きな影、夏になると床に長く伸びて動かなくなる背中、そして水を見つけたときだけ子犬に戻る足取り——ニューファンドランドと暮らす時間は、その体の大きさのぶんだけ、家のなかの空気そのものになっていたのではないでしょうか。だからこそ「この犬種は何歳まで生きるのだろう」という問いは、数字を知りたいというより、これから先の時間の心づもりをしたい気持ちから出てくるのだと思います。

この記事では、当メディア編集部が英国王立獣医大学(RVC)の疫学研究、米国の獣医学専門誌に掲載された調査、米国ケネルクラブ(AKC)や国内のペット保険会社が公表している資料を調べ、出典と調査年、母数が確認できた数字だけを静かに並べました。あわせて、この犬種で名前が挙がることの多い心臓の病気、厚い二重被毛ゆえの暑さの弱さ、シニア期の変化、そして60kg近い体を見送るときの備えまでをまとめています。急いで読む必要はありません。必要なところだけ拾っていただければ十分です。

飼い主さん
ニューファンドランドは寿命が短いと聞いていたのですが、実際のところ何歳くらいなのでしょうか。今できることがあれば知っておきたいです。
編集部
先に調べておこうと思われたのですね。犬種ごとの正確な統計は多くありませんが、英国の225万頭規模の診療記録を解析した研究では、ニューファンドランドの死亡時年齢の中央値は10.3歳と報告されています。超大型犬全体の8.94歳より、実は1年以上長い数字です。そのうえで、この犬種で気をつけたいことを一つずつ見ていきましょうね。

一言でいうと、ニューファンドランドの死亡時年齢の中央値は、英国の225万頭規模の診療記録を解析した研究で10.3歳(対象70頭)と報告されています。米国ケネルクラブ(AKC)は犬種としての目安を9〜10歳としており、超大型犬のなかでは比較的長いほうに位置づけられます。

ニューファンドランドの平均寿命は何歳?

窓辺で静かに横になっている大型犬とそばに座る飼い主
写真はイメージです

先に申し上げておくと、日本国内でニューファンドランドだけを対象にした平均寿命の統計は、編集部が調べた範囲では公表されていませんでした。国内でもっとも規模の大きい犬種別データであるアニコム損害保険の『家庭どうぶつ白書2025』(2025年12月公開)は、犬全体の平均寿命を14.1歳としていますが、犬種別の生命表は契約頭数の上位40品種を対象に作成されているため、飼育頭数の少ないニューファンドランドは対象に含まれていません。統計として成立する母数が国内では集まりにくい、という事情があります。

そのなかで、もっとも母数が大きく出典もはっきりしているのが、英国王立獣医大学(RVC)のVetCompassプログラムによる研究です。O'Neillらの論文「Giant dog breeds under primary veterinary care in the UK: demography, common disorders and mortality」(Companion Animal Health and Genetics誌/2026年6月26日にRVCが公表)は、2019年に英国の一次診療の動物病院を受診した犬2,250,417頭のデータから、超大型犬に分類される29犬種・28,345頭を抽出して解析したものです。ニューファンドランドはこの29犬種の一つとして、2,174頭が対象になっています。

項目 報告された数値 補足
ニューファンドランドの死亡時年齢の中央値 10.3歳 死亡が記録された70頭を対象
超大型犬29犬種全体の死亡時年齢の中央値 8.94歳 死亡が記録された1,068頭を対象
超大型犬全体の性別による差 メス9.31歳/オス8.49歳 統計的に有意な差
ニューファンドランドの成犬時の平均体重 58.8kg 四分位範囲54.6〜62.6kg
超大型犬全体で年間に何らかの病気が記録された割合 73.8% 犬全体では65.8%

この研究で「超大型犬」とされるのは、平均体重が45kgを超える犬種です。英国の純血種全体の平均体重が14.3kgであることを思うと、58.8kgという数字の大きさが分かります。ただ、同じ超大型犬のなかでもニューファンドランドの10.3歳は、全体の中央値8.94歳より1年以上長い数字でした。同じ研究でグレートデンは8.90歳、セント・バーナードは6.76歳と報告されていますから、「超大型犬だから極端に短い」とは一概に言えないというのが、この犬種についてまず知っておきたい点だと思います。

犬種単位の目安としては、米国ケネルクラブ(AKC)が公開している犬種紹介ページに、ニューファンドランドの平均寿命は9〜10歳という記載があります。RVCの研究がイギリスの診療記録に基づく実測値であるのに対し、AKCの数字は犬種団体としての目安に近いものですが、いずれも「10歳前後」という点で大きくは離れていません。

「体が大きい犬ほど寿命が短い」のは、どこまで本当か

体格と寿命の関係そのものは、複数の研究で繰り返し確認されている傾向です。RVCの研究チームも、超大型犬の成長の速さが老化の速さにつながっているという各国の報告と一致する結果だと述べています。

ただ、同じ研究のなかにもう一つ興味深い結果があります。この論文では超大型犬を、頭が大きく口吻が短く骨が重いマスティフ系(モロシアン系)とそれ以外に分けて比較しており、モロシアン系の死亡時年齢の中央値が8.42歳だったのに対し、それ以外は9.97歳と、統計的に有意な差が報告されました。ニューファンドランドは分類上モロシアン系に含まれていますが、その中で10.3歳という数字を示しています。体重だけがすべてを決めているわけではない、ということの一つの表れかもしれません。

長寿の記録として確認できること

「ニューファンドランドの最高齢は何歳か」という点については、編集部が調べた範囲で、公的機関や記録認定団体が認定したこの犬種単独の長寿記録は確認できませんでした。RVCの研究で報告されているのは中央値であり、そこには半数がその年齢より長く生きたという意味も含まれています。実際、同研究の超大型犬全体では最高16.1歳という記録が残されています。

数字はあくまで集団の傾向です。目の前の一頭がどう過ごすかは、そこから外れて構わないものだと思います。

ニューファンドランドの年齢を人間に換算すると【早見表】

ニューファンドランドの年齢を人間の年齢に換算した早見表
AVMAが示す目安による換算(当メディア編集部作成)

犬の年齢を人間に置き換える計算には、統一された公式がありません。米国獣医師会(AVMA)は一般的な目安として、中型犬の場合は最初の1年で人間の15歳、2年目でさらに9歳分、それ以降は1年ごとにおよそ5歳分と説明しています。以下はその考え方をそのまま当てはめたもので、犬種ごとに検証された式ではない点はご承知おきください。

ニューファンドランドの年齢 人間でいうと この時期の位置づけ
1歳 約15歳 体格はまだ大きくなる途中
2歳 約24歳 心身ともに成犬期に入る
3歳 約29歳 体つきがほぼ完成するころ
6歳 約44歳 大型犬が高齢とされはじめる時期
8歳 約54歳 シニア期
10歳 約64歳 RVCの研究での中央値10.3歳のころ
12歳 約74歳 ハイシニア期

この表で覚えておいていただきたいのは、数字そのものよりシニアに入るのが早いという一点です。AVMAは「猫や小型犬は7歳で高齢とされることが多いが、大型犬はより寿命が短く、5〜6歳で高齢とみなされることが多い」と説明しています。ニューファンドランドの6歳は、まだ散歩を喜ぶ年齢に見えても、健康診断の内容を切り替えていい時期にあたります。

ニューファンドランドで知っておきたい病気・寿命に関わりやすい要因

動物病院で獣医師が犬の胸に聴診器をあてている様子
写真はイメージです

ここで挙げるのは「必ずかかる病気」ではなく、この犬種で起こりやすいとされ、気づくのが早いほど選べる手が多いものです。心配になりすぎず、頭の片隅に置いておく程度で十分だと思います。

大動脈弁下狭窄症(SAS)——若い時期に見つけたい心臓の病気

ニューファンドランドの話で、もっとも名前が挙がるのがこの病気です。心臓の左心室から全身へ血液を送り出す出口のすぐ手前が狭くなり、心臓に強い負担がかかり続ける先天性の心疾患で、生まれつきの構造の問題であるため、多くは子犬〜若い時期に心雑音として気づかれます。

どのくらい多いのかについては、米カリフォルニア大学デービス校の獣医教育病院(UCD VMTH)の記録を用いた研究があります。Ontiverosらがフロンティアズ・イン・ベテリナリー・サイエンス誌(2019年)に発表した論文は、2008年1月から2017年12月までの10年間に同病院を受診した犬80,943頭を後ろ向きに調べたもので、SASと診断されたのは259頭でした。犬種別に見ると、ニューファンドランドの有病率は4.46%(オッズ比34.73)で、ブルマスティフの6.59%に次いで2番目に高い数値と報告されています。全体では病院受診犬の0.3%にあたる病気ですから、この犬種での起こりやすさは際立っています。

遺伝的な背景の研究も、この犬種を中心に進んできました。現在までに犬のSASと関連が確認されている唯一の遺伝子変異は、ニューファンドランドで見つかったPICALM遺伝子の挿入変異です。米ノースカロライナ州立大学獣医学部は、この変異について浸透率がおよそ80%と推定されると解説したうえで、変異があっても必ず発症するわけではなく、逆にこの変異がなくてもSASは起こりうると注意を促しています。

そして、飼い主として知っておきたいのが症状の出方です。同大学の解説には、重症型では2歳になる前に突然亡くなることがあると記されています。軽度であれば生涯にわたって症状が出ないこともある一方、重い場合は運動をいやがる、疲れやすい、失神するといった様子が見られることがあります。健康診断で心雑音を指摘されたことがある、あるいは一度も心臓をみてもらったことがないという場合は、年齢にかかわらず、かかりつけの動物病院に一度相談してみてください。確定的な評価には循環器の専門的な検査(心エコー検査)が必要とされています。

股関節形成不全・肘関節形成不全

関節については、この犬種で無視できないデータがあります。オーバーバウアーらがPLOS ONE誌(2017年)に発表した研究は、米国の整形外科財団(OFA)が1970年から2015年までに蓄積した股関節1,056,852件・肘関節275,129件の評価記録をもとに、60犬種を解析したものです。この解析で、ニューファンドランドは股関節形成不全と判定された割合が24.8%と、60犬種のなかでもっとも高い数値でした。肘関節形成不全についても22.7%で、チャウチャウ、ロットワイラー、バーニーズ・マウンテン・ドッグ、シャー・ペイに次ぐ5番目に位置しています。

ただし同じ研究は、選抜繁殖によってこの割合が長期的には改善してきていること、なかでもニューファンドランドは「優(excellent)」評価の股関節の割合が増える傾向を示した犬種の一つであることも報告しています。数字は固定されたものではない、という点は添えておきたいところです。

暮らしのなかでは、体重が増えないようにすること、フローリングにマットを敷いて滑らせないこと、階段や段差の上り下りを減らすことが、関節への負担を減らす基本になります。立ち上がりに時間がかかる、散歩の途中で座り込む、片足をかばうといった様子が続くときは、年齢のせいと決めつけずに一度みてもらってください。

シスチン尿症(尿路結石につながる遺伝性疾患)

あまり知られていませんが、AKCがニューファンドランドの繁殖犬に推奨している検査には、股関節評価・肘関節評価・心臓検査とならんで「シスチン尿症(ニューファンドランド型)のDNA検査」が挙げられています。これは尿中にシスチンというアミノ酸が過剰に排出され、尿路に結石ができやすくなる遺伝性の病気です。

この犬種のシスチン尿症については、SLC3A1という遺伝子のナンセンス変異が原因として同定されており(Henthornらの報告・Human Genetics誌2000年)、常染色体劣性の形式で伝わるとされています。おしっこの回数が増える、排尿に時間がかかる、血が混じる、といった変化に気づいたときは、様子を見ずに動物病院へご相談ください。特にオスは尿道が詰まると緊急の状態になりうるため、早めの受診が安心です。

胃拡張・胃捻転、そのほかに名前が挙がる病気

アニコム損害保険が運営する「みんなのどうぶつ病気大百科」のニューファンドランドのページでは、注意したい病気として胃拡張(胃拡張胃捻転)、股関節形成不全、巨大食道症、肘関節形成不全、眼瞼内反症・外反症、膿皮症の6つが挙げられています。

このうち胃拡張・胃捻転は、胸の深い大型犬で起こりやすく、進行が速いことで知られています。吐こうとしているのに何も出てこない(空えずきを繰り返す)、よだれが大量に出る、そわそわして落ち着かない、お腹が張って硬い——こうした様子が重なるときは、様子を見ずにその場で動物病院へ電話をしてください。夜間・休日に対応してくれる病院の連絡先を、超大型犬を受け入れられるかどうかも含めて先に確認しておくと、いざというときに探す時間を使わずに済みます。

厚い二重被毛と60kgの体——夏の過ごし方が大きく効いてくる

涼しい室内の床に長く伸びて休んでいる大型犬
写真はイメージです

ニューファンドランドは、北大西洋の冷たい海で漁の手伝いや水難救助にあたっていた犬です。AKCの犬種標準の解説によれば、その被毛は水をはじく平坦なダブルコートで、外側の毛は粗くやや長く、内側のアンダーコートは柔らかく密に生えています。足には水かきがあり、生まれながらの泳ぎ手だと記されています。冷たい水のなかで働くために整えられた体、と言い換えることもできます。

裏返せば、この体は日本の夏には向いていません。熱中症のリスクについては、英国の大規模なデータがあります。HallらがScientific Reports誌(2020年)に発表したVetCompassの研究は、2016年に英国の動物病院を受診した犬905,543頭の記録から熱中症(熱関連疾患)395件を特定したもので、体重50kg以上の犬は10kg未満の犬に比べてオッズ比3.42倍(95%信頼区間1.54〜7.57)と報告されました。致死率は14.18%です。

被毛の厚さについても、この研究は示唆的な結果を示しています。もっともリスクが高かった犬種はチャウチャウ(オッズ比16.17)で、著者らは「非常に厚い被毛を持つ犬種」であることに触れています。また、体格も気質も用途も似ているラブラドール・レトリバーとゴールデン・レトリバーを比べると、ゴールデンのほうが2.67倍高く、その違いを分けたのは被毛の厚さかもしれない、と考察されています。

なお、この研究でニューファンドランドが個別に名前を挙げられているわけではありません(症例数の少ない犬種はまとめて集計されています)。ただ、「体重50kg以上」と「厚い二重被毛」という、報告されている二つのリスク要因を同時に備えた犬種であることは確かです。夏の暑さを避ける工夫は、この犬種にとって食事や運動と同じくらい実務的な健康管理だと考えていただいてよいと思います。

夏に気をつけたいこと

  • 散歩は早朝や日没後など、地面が熱を持っていない時間に。アスファルトに手のひらを5秒当てて熱ければ避ける
  • 室内はエアコンで温度を保つ。留守番中も止めない
  • いつでも飲める水を複数の場所に。大きな体は必要な量も多い
  • アンダーコートが密になっているとこもりやすいため、換毛期のブラッシングをこまめに
  • ハアハアが荒く止まらない、ふらつく、ぐったりする——このときはすぐに動物病院へ

被毛を短く刈るかどうかは、皮膚を直射日光から守る役割もあるため一概には言えません。判断に迷うときは、かかりつけの動物病院やトリマーに、その子の状態を見たうえで相談してみてください。

ニューファンドランドに長く元気でいてもらうためにできること

ニューファンドランドと穏やかに過ごすための4つの視点をまとめた図解
厚い二重被毛と大きな体格をふまえた4つの視点(当メディア編集部作成)

「これをすれば長生きする」と言い切れる方法はありません。ただ、リスクを少し下げる、変化に早く気づく、という積み重ねはできます。

1夏の暑さ対策を、一年の中で最優先に置く

体重50kg以上と厚い二重被毛という、報告されている二つのリスク要因を併せ持つ犬種です。真夏の日中の散歩をやめる、留守番中もエアコンを切らない——この二つだけでも、置かれる環境はかなり変わります。

2心臓を、若いうちに一度みてもらう

この犬種では先天性の心疾患であるSASが知られています。健康診断のときに心雑音の有無を確認してもらい、指摘があれば専門的な検査について相談を。どの検査をいつ受けるかは、かかりつけの獣医師と相談して決めてください。

3体重を増やしすぎない、床を滑らせない

60kg近い体を支える関節に、余分な体重は直接響きます。フローリングにマットを敷く、段差を減らす、階段の上り下りを減らすといった環境の調整は、今日から始められることです。

4食事は分けて与え、前後は静かに過ごす

一度に大量に食べさせないこと、食事の前後に激しい運動をさせないことは、胃拡張・胃捻転のリスクに配慮した基本的な工夫として広く案内されています。早食いをする子なら、器の形を変えるのも一つの方法です。

5健康診断は6歳を目安に、内容を切り替える

AVMAは大型犬が5〜6歳で高齢とみなされることが多いと説明しています。血液検査に加えて、心臓や関節をみてもらう回数を増やしておくと、変化に早く気づける可能性が高まります。

6毎日の様子を、短くていいので記録する

食べた量、散歩の距離、立ち上がるときの様子。スマートフォンのメモに一行残しておくだけで、「いつからか」を診察室で正確に伝えられます。厚い被毛は体の変化を隠しやすいぶん、記録が効きます。

シニア期のニューファンドランドに起こる変化と、向き合い方

床に座ってそばにいる大型犬の背中をなでる飼い主
写真はイメージです

ニューファンドランドのシニア期は、5〜6歳ごろから静かに始まります。人間でいえば40代の半ば。まだ十分に元気に見える時期ですが、RVCの研究が示す中央値10.3歳を思うと、そこはすでに折り返しにあたります。

よく見られるようになるのは、立ち上がるまでに時間がかかる、散歩で座り込む回数が増える、フローリングで後ろ足が滑る、寝ている時間が長くなる、といった変化です。どれも「年だから」で片づけられがちですが、関節の痛みや心臓の不調が背景にあることもあります。変化が2週間以上続くようなら、加齢と決めつけずに一度みてもらう——これがいちばん実務的な線引きだと思います。

暮らしの側でできる調整もあります。滑り止めのマットを動線に沿って敷く、水と食事の器を高さのある台に載せる(首と前肢の負担が減ります)、寝床を厚みのあるものに替えて床ずれを防ぐ、車への乗り降りにスロープを使う。どれも大がかりな準備は要りませんが、体の重い犬種では効果がはっきり出やすい部分です。

もう一つ、この犬種ならではの点として、被毛の下は目で見て確かめにくいということがあります。しこり、皮膚の赤み、体重の減少——ブラッシングのときに手のひらを体に沿わせて確かめる習慣をつけておくと、早い段階で気づける可能性が高まります。ブラッシングの時間が、そのまま健康チェックの時間になります。

ニューファンドランドとのお別れが近づいたら、知っておきたいこと

自宅の一角に花とろうそくを添えて整えられた小さな祈りの場所
写真はイメージです

ここからは、少しだけ実務的な話をします。読むのがつらければ、必要になったときに戻ってきていただければ十分です。

ニューファンドランドの見送りには、小型犬・中型犬とは違う準備が要ります。AKCの犬種標準では、体重の目安はオスで130〜150ポンド(約59〜68kg)、メスで100〜120ポンド(約45〜54kg)とされ、RVCの研究でも成犬時の平均体重は58.8kgでした。この体格は、依頼できる火葬の方法そのものを左右します。編集部が火葬炉メーカーや火葬事業者、複数の自治体の公式ページを調べたところ、体の大きさが理由で選択肢が狭まる場面が実際にありました。

超大型犬の見送りで、先に確かめておきたいこと

  • 訪問火葬の炉に入らないことがある:自宅まで来てもらう訪問火葬は、車に積める大きさの炉を使うため、受け入れられる体重と体長に上限があります。60kg前後の体は、対応できる事業者が限られます。
  • 体長も測っておく:炉は体重だけでなく内寸で決まります。鼻先からしっぽの付け根までの長さをメジャーで測っておくと、問い合わせが一度で済みます。
  • 骨壺は7寸以上が目安:ペット仏具店の公表しているサイズ表では、超大型犬は7寸(直径約21cm×高さ約25.5cm)が目安とされています。市販のペット仏壇の収納部や納骨壇に入らないことがあるため、納骨先を考えている場合は寸法を先に伝えて確認しておくと安心です。
  • 自治体には体重の上限があることがある:市区町村に依頼する方法は費用を抑えられますが、25kg未満といった重量制限を設けていて受け付けてもらえない自治体も実在します。
  • 家から運び出せるか:階段のある住まいや、乗用車に載せられない体格の場合、搬送に人手が必要です。依頼先に最初の電話で伝えておくと、当日あわてずに済みます。

安置の方法や当日の流れは、体の大きさが変わっても考え方は同じです。ただ、大きな子は保冷に使うドライアイスの量も多くなりますし、被毛の厚いこの犬種は体の熱が抜けにくいぶん、涼しい場所へ移して早めに保冷を始めることが特に大切になります。

そして、見送ったあとのこと。大きな体がいなくなった部屋は、想像していたよりずっと広く感じられるはずです。ごはんの器がなくなった床、玄関で待っていた場所、夏のあいだ決まって寝そべっていた一番涼しい床の上。悲しみの深さは体の大きさとは関係ありませんが、生活のなかに占めていた面積が大きいぶん、不在に気づく瞬間が多くなります。

そう感じることは、弱さでも大げさでもありません。もし気持ちの整理がつかない日が続くようなら、同じように過ごしている方が大勢いることを知るだけでも、少し呼吸がしやすくなることがあります。

よくある質問

Qニューファンドランドの寿命は、超大型犬のなかでは長いほうですか?

A英国王立獣医大学(RVC)が2019年の診療記録をもとに解析した研究では、ニューファンドランドの死亡時年齢の中央値は10.3歳(対象70頭)で、超大型犬29犬種全体の中央値8.94歳(対象1,068頭)より1年以上長い数字でした。同じ研究でグレートデンは8.90歳、セント・バーナードは6.76歳と報告されています。米国ケネルクラブ(AKC)も犬種の目安を9〜10歳としており、超大型犬のなかでは比較的長いほうに位置づけられます。ただしこれは集団の中央値で、一頭ごとの結果を約束するものではありません。

Q何歳からシニアと考えればいいですか?

AAVMA(米国獣医師会)は、猫や小型犬は7歳ごろから高齢とされることが多い一方、大型犬はより寿命が短く5〜6歳で高齢とみなされることが多いと説明しています。ニューファンドランドの場合も、5〜6歳を目安に健康診断の内容を見直し、心臓や関節の検査を定期的に組み込んでいくとよいと思います。実際にどの検査を含めるかは、かかりつけの獣医師にご相談ください。

Q若いうちに受けておいたほうがいい検査はありますか?

A米国ケネルクラブ(AKC)は、ニューファンドランドについて股関節評価・肘関節評価・心臓検査・シスチン尿症のDNA検査を推奨検査として挙げています。特に心臓は、この犬種で知られる大動脈弁下狭窄症(SAS)が生まれつきの病気で、重症型では2歳になる前に突然亡くなることがあるとノースカロライナ州立大学獣医学部が解説しているため、若い時期に一度みてもらう意味があります。何をどの時期に受けるかは個々の状態によりますので、かかりつけの動物病院で相談してみてください。

Q60kg近い子の火葬は、小型犬と同じように頼めますか?

A依頼先の選択肢が狭くなります。自宅まで来てもらう訪問火葬は炉の大きさに上限があり、60kg前後の体だと対応できる事業者が限られます。固定の火葬施設を持つ動物霊園を含めて探すことになるほか、骨壺も7寸以上が目安になります。また、費用は体重帯で段階的に上がるため、小型犬の相場をそのまま当てはめないほうが安心です。問い合わせのときに体重と、鼻先からしっぽの付け根までの体長を伝えると、行き違いが起こりにくくなります。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状は動物病院にご相談ください。

まとめ

ニューファンドランドの死亡時年齢の中央値は、英国の225万頭規模の診療記録を解析した研究で10.3歳と報告されています。超大型犬29犬種全体の8.94歳より1年以上長く、米国ケネルクラブの目安も9〜10歳。「超大型犬だから短い」と一括りにされがちなこの犬種は、実際には超大型犬のなかで長いほうに位置しています。

そのうえで知っておきたいのは、生まれつきの心臓の病気(SAS)が若い時期に関わることがあること、股関節・肘の負担が大きい犬種であること、そして厚い二重被毛と60kg近い体が日本の夏にはとても不利であることの3つです。どれも、先に知っておけば手の打ちようがあるものだと思います。

数字は、残りを数えるためのものではありません。夏の日中を涼しい部屋で一緒に過ごすこと、ブラッシングの手をいつもより長く動かすこと。その大きな背中が隣にある時間が、一日でも穏やかに続きますように。

-健康・寿命, 寿命・長生き