猫が死んでしまった——。その事実だけが胸にあって、何をどうすればいいのか、頭も体もついていかない。そんな状態のまま、この画面にたどり着かれたのだと思います。
まず、いま何かを急いで決めなくても大丈夫です。ペットのお見送りには、人のような「何時間以内に」という決まりはありません。そばに座って、名前を呼んで、しばらくそっとしていていい時間があります。
この記事では、そのうえで今日のうちにしておきたいことだけを、順番に並べました。①そっと過ごす時間 → ②体を整える → ③保冷して安置する → ④火葬をどうするか決める → ⑤役所の手続き → ⑥そのあとの供養、という流れです。一つずつで大丈夫です。読める分だけ読んでください。


一言でいうと、今日することは「そっと過ごす時間をとる」「体を拭いて姿勢を整える」「保冷して涼しい場所に安置する」の3つだけで十分です。火葬の形式や供養の方法、業者選びは、安置さえできていれば明日以降にゆっくり決められます。
いま、あわてなくて大丈夫です|今日することの順番
ペットが亡くなったときに、法律で「いつまでに火葬しなければならない」と決められていることはありません。ご遺体を涼しく保って安置できていれば、お別れの時間はご家族のペースでとることができます。だからこそ、まずは深呼吸を一つ。今日のうちに必要なのは、次の順番です。

| 順番 | すること | いつまでに |
|---|---|---|
| 1 | そばにいて、そっと過ごす | したいだけ |
| 2 | 体を拭いて、姿勢を整える | 体が硬くなる前(数時間以内が目安) |
| 3 | 保冷して、涼しい場所に安置する | できれば当日のうちに |
| 4 | 火葬の形式と依頼先を決める | 翌日以降でも間に合う |
| 5 | 役所の手続きを確認する(猫は原則不要) | 数日以内でよい |
| 6 | そのあとの供養を考える | 急がなくてよい |
つまり、今日のうちに必要なのは1〜3までです。4以降は、気持ちが少し落ち着いてからで構いません。
- 今日決めなくていいこと① どこの葬儀社に頼むか(複数社の料金を比べてからで大丈夫です)
- 今日決めなくていいこと② 合同火葬にするか個別火葬にするか
- 今日決めなくていいこと③ お骨をどこに納めるか、手元に置くか
- 今日決めなくていいこと④ 使っていた食器やベッドをどうするか
夜中に亡くなった場合も同じです。深夜に電話をかけて業者を探す必要はありません。体を整えて保冷し、涼しい部屋で朝を待ってください。
動物の種類を問わない、そのあとの流れ全体(お別れ・火葬・手続き)については、次の記事にまとめています。
猫の体を整えてあげる|硬くなる前にできること
亡くなったあと、体は少しずつ硬くなっていきます(死後硬直)。猫は体が小さいぶん硬直が早く進みやすく、一般的な室温ではおよそ2〜3時間後から始まり、気温の高い夏場はさらに早まる傾向があるとされています(出典:イオンのペット葬、ペトリィ)。ただしこれは目安で、体格や室温によって前後します。

硬直が進むと関節が曲がりにくくなり、あとから姿勢を直すのが難しくなります。まだやわらかいうちに整えてあげられると、火葬の日まできれいな姿で見送りやすくなります。すでに少し硬くなってきていても、無理に動かさず、できる範囲で大丈夫です。
1体をやさしく拭いてあげる
固く絞ったぬるま湯のタオルや柔らかい布で、体を全体的にやさしく拭きます。口や鼻、おしりのまわりは体液が出ることがあるため、そっと拭き取ってあげてください。そのあとブラシで毛並みを整えると、その子らしい姿を保ちやすくなります。
2目と口をそっと閉じる
目や口が開いているときは、指の腹でまぶたや口元をやさしく押さえ、少し時間をかけて閉じてあげます。力を入れる必要はありません。閉じきらないこともありますが、それで何かが損なわれることはありません。
3手足としっぽを寄せて、眠る姿勢に
手足はやさしく曲げてお腹に寄せ、しっぽも体に沿わせて、丸くなって眠っているような姿勢に整えます。猫はもともと丸くなって眠る子が多いので、その姿にしてあげると、箱にも納めやすくなります。
名前を呼びながら、話しかけながらで大丈夫です。手が震えて思うようにできなくても、それはあなたの落ち度ではありません。できたところまでで十分です。
死後硬直がいつ始まっていつ解けるのか、姿勢を整える手順をもっとくわしく知りたい方は、次の記事もご覧ください。
保冷して安置する|猫は小さいぶん、家で整えやすい
姿勢を整えたら、次は体を涼しく保つ「保冷」です。ご遺体は時間とともに傷みが進むため、亡くなってから数時間以内を目安に冷やしはじめると、生前の姿を保ちやすいとされています(出典:COCOペット、ペトリィ)。

猫は体が小さく、多くの子が体重3〜5kgほどです。そのため、特別な棺を用意しなくても、体より一回り大きい段ボール箱があれば安置できます。大型犬のように運ぶ人手や置き場所に困ることも少なく、家の中で静かに整えてあげやすいのが、猫のお見送りの特徴です。
1箱にペットシーツとタオルを敷く
体より一回り大きい段ボール箱や、ペット用の棺を用意します。安置中に体液が出ることがあるため、いちばん下に防水性のあるペットシーツを敷き、その上にタオルを重ねると安心です。お気に入りだった毛布を添えてあげてもかまいません。
2お腹と頭を重点的に冷やす
保冷剤やドライアイスをタオルや紙で包み、体に直接触れないようにして添えます。傷みが進みやすいお腹まわりと頭を重点的に冷やし、体ごとバスタオルで包み込むようにすると、冷たさが保たれやすくなります。
3涼しい場所に置き、保冷剤をこまめに替える
直射日光の当たらない、家の中でいちばん涼しい場所に安置します。エアコンで室温を下げておくとより安心です。保冷剤はぬるくなる前に取り替えてください。ドライアイスを使うときは、気化した二酸化炭素がこもらないよう、部屋の換気にも気を配ります。
正しく保冷した場合の安置日数の目安は、冬場で2〜3日、夏場で1〜2日ほどとされています(出典:ペトリィ)。ただしこれも目安で、室温や体格、部屋の湿度によって変わります。暖房の効いた部屋では冬でも傷みが早く進むため、においや体液の変化が気になってきたら、早めに火葬の準備を進めてください。判断に迷うときは、相談したペット葬儀社に状況を伝えると、目安を教えてもらえます。
火葬をどうするか決める|形式と依頼先の選び方
安置ができたら、見送り方を考えます。近年は人と同じように火葬してお骨を残す方が増えていますが、どの形式を選んでも、その子への想いに優劣はありません。

| 形式 | 内容 | お骨の返却 | こんな方に |
|---|---|---|---|
| 立会個別火葬 | 火葬に付き添い、お骨上げまで見送る | 返ってくる | 最後までそばにいたい方 |
| 個別(一任)火葬 | 火葬を任せ、後日お骨を受け取る | 返ってくる | 立ち会うのがつらい方 |
| 合同火葬 | 他のペットと一緒に火葬・供養する | 原則返らない | 費用を抑えたい方 |
| 自治体に依頼 | お住まいの市区町村で受け付ける場合がある | 返らないことが多い | 費用を最小限にしたい方 |
費用は火葬の形式と猫の体重によって各社で異なります。自治体に依頼できるかどうかも地域によって違うため、お住まいの市区町村の窓口で確認してみてください。
依頼先を選ぶときに、料金と同じくらい大切な確認事項があります。ペット葬儀の業界では、残念ながら移動火葬車による不適切な取り扱いや、当日になってからの高額請求といったトラブルも一部で報告されています。次の点を、電話や公式サイトで先に確かめておくと安心です。
- 固定の斎場や所在地が公開されているか(会社名・住所・電話番号が確認できるか)
- 立ち会いができるか、お骨を返してもらえるか(返骨の有無)
- 料金が事前に確定するか(追加費用が発生する条件を書面や電話で明示してくれるか)
- 猫の体重に応じた料金表が公開されているか
どこに相談すればよいか分からないときは、全国のペット葬儀社を紹介してくれる相談窓口を利用する方法もあります。
役所の手続き|猫は死亡届が不要です
ここは、猫と犬とで大きく違うところです。

犬は狂犬病予防法に基づく登録制度があるため、亡くなったときは死亡した日から30日以内に、お住まいの市区町村へ死亡の届出が必要です(出典:大阪市「ペットが死亡した場合の手続き」など各自治体の案内)。一方で、猫には登録制度がないため、役所への死亡届は原則として必要ありません。「届け出をしていないけれど大丈夫だろうか」と心配される必要はありません。
ただし、一つだけ確認していただきたいことがあります。マイクロチップを装着し、環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」に登録している猫の場合は、死亡等の届出が必要です。届出は、指定登録機関(日本獣医師会)のウェブサイトまたは郵送で行えます(出典:環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録」)。登録しているかどうか分からないときは、かかりつけの動物病院に尋ねると確認できます。
そのほか、ペット保険に加入していた場合は解約の連絡が必要になります。いずれも数日以内で構いません。今日でなくて大丈夫です。
猫だから、心にかかること
猫と暮らしてきたご家庭ならではの、行き場のない思いがあります。ここでは、よく寄せられる三つについて、そっと触れておきます。

そばにいてあげられなかったとき
猫は、最期が近づくと物陰や押し入れなど、暗くて静かな場所に入っていくことがあります。「気づいたときには冷たくなっていた」「見つけたのが翌朝だった」と、ご自分を責めておられるかもしれません。けれど、猫が静かな場所を選ぶのは、その子にとって落ち着ける場所だったからです。あなたが選ばれなかったわけではありません。
残された猫がいるとき
同居していた猫が、亡くなった子のにおいを探して鳴いたり、食欲が落ちたり、いつもの場所から動かなくなったりすることがあります。生活のリズムをできるだけ変えず、そばにいる時間を少し増やしてあげてください。食べない状態が続く、水も飲まないといったときは、無理に様子を見ずに動物病院に相談してください。
外に出ていた子が、帰ってこないとき
外に出る習慣のあった猫が帰ってこず、確かめられないまま時間が過ぎることもあります。答えの出ないつらさですが、心の区切りをつけたいと感じたときには、その子の写真やお気に入りだったものを前に、手を合わせる時間を持つ方もいらっしゃいます。ご遺体がなくても、供養の形は自由です。
気持ちの整理と、これからの供養
火葬が終わってお骨が戻ると、多くの方が「これで本当に終わってしまった」という空白に直面します。悲しみが遅れてやってくることも、しばらく実感がわかないことも、どちらもよくあることです。

お骨の納め方には、自宅で骨壷を置く手元供養、霊園への納骨、樹木葬や合祀など、いくつかの選択肢があります。どれを選んでも、今すぐ決めなくてかまいません。お骨は自宅に置いたままでも問題はなく、気持ちが定まってから考えても遅くはありません。
「もっと早く気づいてあげられたら」「あの日病院に連れて行っていれば」——そうした思いが繰り返し浮かぶのは、それだけ深く一緒に生きてきた証です。無理に前を向こうとせず、泣きたいときは泣いてください。眠れない、食べられないといった状態が長く続くときは、一人で抱え込まず、専門の相談窓口や医療機関に頼ることも考えてみてください。
よくある質問
※本記事の内容は執筆時点(2026年8月)に確認した各自治体・環境省・ペット葬儀社の公開情報にもとづく一般的な目安です。手続きや料金の詳細は、お住まいの自治体および各社の公式サイトでご確認ください。
まとめ
猫が死んでしまった今日、しなければならないのは三つだけです。そばにいてそっと過ごすこと、体を拭いて硬くなる前に姿勢を整えてあげること、そして保冷して涼しい場所に安置すること。火葬の形式も、業者選びも、お骨の納め方も、明日以降にゆっくり決めて間に合います。役所への死亡届は、猫の場合は原則として必要ありません。
手が震えて何もできなかったとしても、それはあなたの落ち度ではありません。名前を呼んで、そばにいようとしたその気持ちが、なによりの見送りです。あの子と過ごした日々の温かさが、これからもあなたのそばで静かに灯りつづけますように。