ペットロスの乗り越え方 ペットロス・心のケア

ペットが亡くなって辛いとき|その辛さの正体と、今日をやり過ごすためにできること

いま、この文章を読むのもやっとという状態かもしれません。ペットを亡くしてから、時間の流れ方が変わってしまったように感じている方に向けて書いています。最初にお伝えしたいことは、ひとつだけです。その辛さは、当然のものです。大げさでも、弱さでもなく、長く一緒に暮らした相手を失えば、そうなるように人はできています。

この記事では、その辛さがどこから来ているのかを言葉にして、今日いちにちをやり過ごすためにできる小さなこと、そして、ひとりで抱えきれなくなったときに頼れる相談先をまとめました。犬でも猫でも、うさぎでも鳥でも、ハムスターでも、この記事は同じように書いています。順番に読む必要はありません。目次から、気になるところだけ開いてください。読むのがつらくなったら、途中で閉じてかまいません。

飼い主さん
あの子が亡くなってから、何をしていても涙が出ます。ごはんの器も片づけられないし、夜も眠れません。周りには「そんなに落ち込むこと?」という顔をされて、それがまた苦しいんです。私は、いつまでこうしているんでしょうか。
編集部
涙が出るのも、器を片づけられないのも、無理のないことです。悲しみに標準的な長さはなく、必要な時間には大きな個人差があるとされています。分かってもらえない苦しさについても、この記事の中でふれています。いつまで、の答えは急いで出さなくて大丈夫です。今日を越えるためのことだけ、静かにご一緒に見ていきましょう。

一言でいうと、ペットを亡くして辛いのは、あなたの心が弱いからではなく、暮らしの大部分を分け合っていた相手を失ったからです。そのうえで、今日の自分の体を守ることと、ひとりで抱えないことの2つだけを、この記事ではお伝えします。

その辛さは、当然のものです

窓辺で静かにうつむき、悲しみの時間を過ごす人
写真はイメージです

まず、いま起きていることに名前をつけておきます。大切な存在を失ったときの悲しみは「グリーフ(grief)」と呼ばれます。関西学院大学 悲嘆と死別の研究センターは、グリーフを「大切な人やペット、身体の一部や機能、親しみのある環境など、自分にとって重要な何かを失ったときに感じる悲しみや喪失感」と説明しています(関西学院大学 悲嘆と死別の研究センター「グリーフ」)。

ここで大事なのは、その説明の中に、はじめから「ペット」が含まれていることです。ペットとの死別で受ける衝撃は、例外的なものでも、軽く扱われるべきものでもありません。あなたがいま感じているものは、そのまま悲嘆と呼ばれるものです。

体にも変化が出ます

同センターは、グリーフには身体的・感情的・行動的な反応がみられるとし、疲労・不眠・食欲不振といった身体面、悲しみ・怒り・孤独感・無力感といった感情面、人と会えなくなる・集中できないといった行動面の反応を挙げています。眠れない、食べられない、仕事の手が止まる。それは気の持ちようの問題ではなく、体に起きている反応です。

「しっかりしなければ」と自分を叱っている方が多いのですが、いま必要なのは奮い立たせることではなく、消耗を止めることです。

必要な時間は、人によって大きく違います

同センターは、グリーフの期間は人によって大きく異なると説明しています。数日で日常に戻る人もいれば、何か月も強い悲しみが続く人もいます。何日で、何か月で戻るという目安を、この記事では書きません。他人の時間割で自分を採点しないでください。

そして、悲しみは日を追って一直線に軽くなるものでもありません。落ち着いてきたと思った頃に、名前を呼ばれた気がして、また戻ってくる。その波は後戻りではなく、悲しみの通常の形です。

辛さの正体は、家じゅうにある「その子のいない場所」です

朝のごはんの器・昼の寝床・夕方の世話の時間・夜の帰宅の音という、一日のなかで不在を感じる場面を整理した図
不在は決まった時間に、決まった場所で顔を出します(当メディア編集部作成)

「悲しい」という一語では、いま起きていることの半分も言い表せていないはずです。実際に苦しいのは、思い出す瞬間が、一日のあちこちに仕掛けられていることのほうではないでしょうか。

不在は、決まった時間にやってきます

朝、ごはんの器を洗う手が止まる。日が差した寝床にだけ、誰もいない。夕方、散歩や世話をしていた時間になると、手が空いてしまう。玄関を開けても、迎えに来る音がしない。夜、ふとんの足元が軽い。

これらは「思い出」ではなく、生活のリズムそのものです。長く暮らした相手ほど、一日の骨組みがその子と一緒に組まれています。だから、意識して思い出そうとしなくても、時間のほうから何度もやってきます。家にいるのがつらいと感じるのは、薄情だからではなく、それだけその子が暮らしの中心にいたということです。

時間が経ってから、深くなることもあります

お別れの直後は、火葬の手配や連絡でどうしても慌ただしく過ぎていきます。実感が追いつかず、涙が出ないままの方もいます。そして、すべてが終わって静かになった数週間後、あるいは季節が変わった頃に、いない事実がはっきりと形をとって迫ってくることがあります。

「あのときは平気だったのに、今のほうがつらい」と戸惑う必要はありません。前述のとおり、必要な時間には大きな個人差があるとされています。遅れて来ることもある、というだけのことです。

お別れの前後の手続きや流れが気がかりで落ち着かないときは、次の記事に一連の流れをまとめています。今すぐでなくてかまいません。

「たかがペット」——分かってもらえない、もうひとつの辛さ

夕暮れの静かな水辺で立ち止まり、ひとりで時間を過ごす人
写真はイメージです

ペットを亡くした辛さには、二重の層があります。ひとつは喪失そのもの。もうひとつが、その悲しみを、周りに堂々と悲しませてもらえないことです。当メディアが正面から書いておきたいのは、この二つ目のほうです。

悲しむことを認められにくい喪失があります

この現象には名前があります。米国の死生学者ケネス・ドーカが提唱した「公認されない悲嘆(disenfranchised grief)」という概念で、「公にそれと認められず、社会的に容認されず、公然と悼むこともできない喪失に伴う悲嘆」と定義されています。研究のなかでは、ペットの死が、社会から「強い感情に値する現実の喪失」として受け止められにくい例として挙げられています(Death of an Ex-Spouse: Lessons in Family Communication about Disenfranchised Grief(PMC))。

つまり、「たかがペットで」と言われて傷つくのも、職場に忌引がなく翌日から普段どおりの顔で出勤しなければならないのも、あなた個人の不運ではなく、多くの飼い主が同じようにぶつかっている構造です。悲しみが小さいのではなく、悲しむ場所が用意されていないだけです。

話す相手は、選んでかまいません

悪気なくかけられる言葉ほど、深く刺さります。「新しい子を飼えばいい」「もう十分生きたでしょう」「いつまでも悲しんでいたら、あの子が浮かばれない」。どれも、言った本人は励ましたつもりです。

ここで無理に理解してもらおうとすると、消耗するのはあなたのほうです。分かってくれる人にだけ話す。分からない人の前では話題にしない。それは心を閉ざすことではなく、いまの自分を守るための現実的な線引きです。同じ経験をした人の集まりでは、説明しなくても通じます。その選択肢については、後の見出しでふれます。

仕事や家事は、質を落としてかまいません

忌引が使えない以上、休めない方は多いはずです。それでも、いまは「いつもどおりにこなす」ことを目標にしないでください。急ぎでない用件は先送りにする、料理は買ってきたもので済ませる、返事は一件だけ返す。手を抜いているのではなく、消耗を止めているのだと考えてください。

今日をやり過ごすために、できること

水を飲む・少し口にする・横になる・外の空気を吸う・返事は一件だけ、という今日できる小さな行動を並べた図
できそうなものだけで十分です(当メディア編集部作成)

ここからは、立ち直るための方法ではありません。今日を越えるためだけの、小さすぎるくらいのことです。前述のとおり、グリーフでは疲労・不眠・食欲不振といった身体の反応が出るとされています。だからこそ、いちばん先に守るのは気持ちではなく体です。

1コップ一杯の水を飲む

泣いた日、眠れなかった日ほど、体からは水分が失われています。食欲がなくても、水やお茶なら口にできることがあります。まずは一杯からで十分です。

2温かいものを、ひと口だけ食べる

三食きちんと、と考えると動けなくなります。スープでも、汁物でも、白湯に何かを溶かすだけでもかまいません。体が冷えて空腹のままだと、気持ちはさらに沈みます。「ひと口」を目標にしてください。

3眠れなくても、横になる

眠ろうと力むほど眠れなくなります。眠ることではなく、暗くして横になり、体を休めることを目標にしてください。夜中に目が覚めてしまう日が続くようなら、後述の相談先を思い出してください。

4外の空気を、数分だけ吸う

玄関先でも、ベランダでも、窓を開けるだけでもかまいません。散歩をしていた方は、同じ道を歩くのがつらいこともあります。その場合は、別の道を選ぶか、外に出ない日をつくってかまいません。

5連絡は、返せそうな一件だけ返す

すべてに返信しようとすると、それだけで一日が終わります。今日は一件だけ、と決めてください。返せない相手には、落ち着いてから事情を伝えれば十分です。

今日の目標は、これだけで足りています

水を飲んだ。少し食べた。横になった。この3つができた日は、それだけで十分に過ごせた一日です。ひとつもできなかった日があっても、明日また、水の一杯から始めれば大丈夫です。

してもいいこと、しなくていいこと

写真と花を供えた、家の中の小さな祈りの場所
写真はイメージです

「こうすべき」という助言に、いま従う必要はありません。悲しみの過ごし方には、正解が決まっていません。日本サイコオンコロジー学会らの遺族ケアガイドラインで紹介されている二重過程モデルでも、悲しみに向き合うことと、新しい生活に取り組むことの2つを行き来しながら暮らすことが大切だと説明されています(日本サイコオンコロジー学会「遺族ケアガイドライン」)。泣き暮らす日と、普通に過ごせる日が交互に来るのは、おかしなことではないということです。

  • 泣いていい:我慢して止めておくためのものではありません。声を出して泣ける場所(車の中、風呂場など)を確保しておくと少し楽になります
  • 何もしなくていい:一日横になっていた日を、失敗した日と数えないでください
  • 写真を見ても、見なくてもいい:見て落ち着く方も、しばらく見られない方もいます。どちらも自然な反応です
  • 遺品はそのままでいい:器も寝床も首輪も、片づける時期を他人の物差しで決める必要はありません。つらいものだけ、見えない場所に移すのでも十分です
  • 話していい/話さなくていい:くり返し同じ話をしてもかまいませんし、まだ言葉にできないならそれでもかまいません
  • 手を合わせる場所をつくってもいい:写真を一枚立てる、花を一輪置く。形式は問いません

急がなくていいこと

反対に、いま急いで決めなくていいこともあります。遺品の処分、部屋の模様替え、新しい子を迎えるかどうか。どれも、あとから決められることです。とくに新しい家族を迎えるかどうかは、悲しみを埋めるためではなく、新しい関係を始められそうだと思えたときに考えれば十分です。

いま感じている気持ちに名前をつけたい、症状がどのくらい続くのか知っておきたいというときは、こちらの記事もあわせてご覧ください。

専門家に頼っていいサインと、相談できる場所

静かな部屋のテーブルに供えられた白い花
写真はイメージです

ここに書けるのは一般的な情報までで、この記事があなたの状態を診断することはできません。そのうえで、「まだ大丈夫」と思っている段階で相談してかまわないということだけは、はっきりお伝えしておきます。

相談を考えていいサイン

次のような状態が続いているときは、ひとりで持ちこたえようとせず、医療やカウンセリングの窓口に話してみてください。

  • ほとんど眠れない日、あるいはほとんど食べられない日が何日も続いている
  • 仕事や家事、身のまわりのことが立ち行かない状態が続いている
  • お酒や薬に頼る量が増えている
  • 自分を責める気持ちが強く、消えてしまいたいという考えが浮かぶ
  • 時間が経っても苦痛がまったく和らがず、生活が回らない

死別後の強い悲嘆が長く続き、強い心理的苦痛や社会生活の支障をきたしている状態は「複雑性悲嘆」と呼ばれ、遺族ケアガイドラインでも、ICD-11やDSM-5-TRで遷延性悲嘆症として位置づけられた状態として解説されています。これは人との死別を対象とした医療のガイドラインですが、悲しみが長引いて生活が立ち行かなくなったときには支援の対象になる、という考え方はここでも同じです。がまん比べをする必要はありません。

相談できる場所(執筆時点で確認できたもの)

厚生労働省のサイト「まもろうよ こころ」では、次の電話相談窓口が案内されています(厚生労働省「まもろうよ こころ」電話相談窓口)。ペットのことに限らず、つらい気持ちを話す先として使えます。

窓口 電話番号 受付 運営・つながる先
こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556 都道府県・政令指定都市により異なる 電話をかけた所在地の公的な相談機関につながります(厚生労働省)
よりそいホットライン 0120-279-338(通話無料) 24時間 一般社団法人 社会的包摂サポートセンター
#いのちSOS 0120-061-338(通話無料) 24時間・365日 特定非営利活動法人 自殺対策支援センター ライフリンク

こころの健康相談統一ダイヤルは、受付の曜日・時間が地域によって異なります。厚生労働省のページに都道府県ごとの直通番号と受付時間の一覧が掲載されているので、つながらないときはそちらもご確認ください(厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」)。

このほかに、次のような選択肢もあります。

  • 心療内科・精神科・カウンセリング:眠れない、食べられない、生活が回らない状態が続くときの相談先です
  • かかりつけの動物病院:最期まで診てくださった先生は、その子の経過を知る数少ない人です。経過をもう一度聞かせてほしい、という相談に応じてくれる病院もあります
  • わかちあいの会:一般社団法人 日本グリーフ専門士協会は、グリーフケアCafe・ペットロスケアCafeとして、死別の気持ちを打ち明けられる場を各地で開いています。開催地・日程・参加費は同協会の公式サイトでご確認ください。話さずに座っているだけの参加でも責められることはありません

相談することは、あの子との時間を取り上げられることではありません。悲しみをそのまま置いておける場所を、一緒に探してもらうことです。

よくある質問

Q何か月も辛いままです。長すぎるのでしょうか。

A悲しみに標準的な長さはありません。関西学院大学 悲嘆と死別の研究センターも、グリーフの期間は人によって大きく異なると説明しています。ただし、眠れない・食べられない・生活が立ち行かない状態が続いているときは、長さにかかわらず心療内科やカウンセラー、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などにご相談ください。

Q家族に「たかがペットで」と言われてしまいます。

Aペットとの死別は、社会から悲しみを認められにくい喪失(公認されない悲嘆)の例として研究のなかで挙げられてきました。あなたの感じ方が過剰なのではありません。分かってくれる人にだけ話す、同じ経験をした方が集まるわかちあいの会を使う、という形で、説明しなくてよい相手を選んでかまいません。

Q仕事を休めません。どう乗り切ればいいですか。

Aペットの忌引がない職場は多く、休めないこと自体を責める必要はありません。いつもどおりの成果を目標にせず、急ぎでない用件を先送りする、家事の質を落とす、返事は一件だけ返す、といった形で消耗を減らしてください。水を飲む・少し食べる・横になる、の3つを一日の目標にするだけでも十分です。

Q遺品やごはんの器は、片づけたほうがいいのでしょうか。

A片づける時期に決まりはありません。見るたびにつらいものだけを箱にしまって見えない場所に置く、という中間の方法もあります。捨てるか残すかの二択で考えず、いまの自分が耐えられる形を選んでください。あとから決め直しても、まったく問題ありません。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。気になる心身の状態が続くときは医療機関にご相談ください。掲載した相談窓口の番号・受付内容は執筆時点(2026年8月)の各公式サイトの情報です。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

まとめ

ペットを亡くして辛いのは、当然のことです。グリーフの説明には最初から「ペット」が含まれていて、あなたの悲しみは例外でも大げさでもありません。辛さの正体は、朝の器、日なたの寝床、夕方の世話の時間、夜の足元の軽さ——一日のあちこちに残る不在です。そして、それを堂々と悲しませてもらえないという、もうひとつの辛さがあります。

今日の目標は、大きなことでなくて大丈夫です。水を飲む。少し食べる。横になる。外の空気を吸う。それだけできた日は、十分に過ごせた一日です。泣いてもいい、何もしなくてもいい、遺品はそのままでいい。眠れない・食べられない・生活が回らない状態が続くときは、心療内科やカウンセラー、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)、よりそいホットライン(0120-279-338)へ。ひとりで持ちこたえなくていいのです。

あの子がいた場所に、これからも静かに日が差しますように。そしてあなたに、少しずつ眠れる夜が戻ってきますように。

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