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犬が急に徘徊しはじめたら|認知症より先に疑いたい原因と受診の目安

昨日までいつもどおりだったのに、今日になって急に部屋の中を歩き回っている。呼んでも止まらない。壁に沿ってぐるぐる回り続けている——。犬の「徘徊」という言葉から、多くの飼い主さんがまず思い浮かべるのは認知症(認知機能不全症候群)だと思います。ただ、その変化が「急に」始まったのであれば、まず考えたいのは別のことかもしれません。

犬の認知機能の低下は、アニコム損保の獣医師監修記事でも「年月をかけて少しずつ進む」と説明されています。つまり、昨日まで何ともなかった子が今日いきなり歩き回るようになる、という現れ方は、認知機能の変化としてはやや不自然だということです。急に始まった歩き回りの裏には、平衡感覚の異常、脳の血管の問題、痛み、体の中で起きている急なできごとなど、時間をおかずに動物病院で確かめたほうがよい原因が隠れていることがあります。

この記事では、ペットの健康情報に詳しい当メディア編集部が、国内の動物病院・獣医療系メディアが公開している情報を調べ、「急に」という時間軸から原因を絞っていく考え方を整理しました。すぐに連絡したほうがよいサイン、一緒に見ておきたい手がかり、そして診察でとても役に立つ「動画」の撮り方までをお伝えします。原因をご自身で言い当てる必要はありません。落ち着いて材料を集めることが、いちばんの近道になります。

飼い主さん
13歳の犬が、今朝から家の中をぐるぐる歩き回っています。年齢的に認知症かと思ったのですが、あまりに急なので不安です。
編集部
「急に」というのが大事な手がかりです。認知機能の変化はふつう何か月もかけて少しずつ進むとされているので、一日で様子が変わった場合は、別の原因を先に確かめたほうがよいと考えられています。首が傾いていないか、目が細かく揺れていないか、同じ向きにばかり回っていないかを見て、動画を撮ったうえで、できるだけ早めに動物病院へご連絡ください。

一言でいうと、「急に」始まった徘徊は、認知症より先に体の急な変化を疑うのが基本とされています。認知機能の低下はゆっくり進むものとされているため、発症の速さそのものが原因を絞り込む手がかりになります。

「急に」か「少しずつ」かで、考える順番が変わります

同じ「家の中を歩き回る」という行動でも、それがいつから、どれくらいの速さで始まったかによって、まず疑うものが変わってきます。ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

犬の徘徊が急に始まった場合と少しずつ始まった場合で、考える順番が変わることを示した図
発症の速さから原因を絞る考え方の整理(当メディア編集部作成)

犬の認知機能不全症候群について、アニコム損保の獣医師監修記事では、目的なく家の中をうろうろ歩き回ったり、自分を中心に円を描くように歩き続けたりする行動が症状として挙げられています。ただし同記事は、これらの症状は年月をかけて少しずつ進むものだと説明しています。夜鳴きが増えた、呼んでも反応が鈍くなった、トイレを失敗するようになった、といった変化が数か月から数年かけて重なっていく——それが認知機能の低下の典型的な現れ方だとされています。

一方、昨日まで普通だった子が今日から歩き回る、あるいは数時間のうちに様子が変わった、という場合。この現れ方は、認知機能の低下では説明しにくくなります。そのため獣医療の情報では、まず体に何か急なことが起きていないかを確かめるという順序が案内されています。実際、アニコム損保の同記事でも「認知症の症状は他の病気の症状の場合もあります。まずは全身の検査で特徴的な症状の確認と、他の病気の除外が必要です」と述べられており、認知症は他を確かめたうえで考えられるものだという位置づけが示されています。

ここで一点だけ添えておきたいのは、年齢が若い犬でも急な歩き回りは起こりうるということです。「うちの子はまだ若いから認知症ではない」という判断は正しいのですが、それは「何も起きていない」という意味にはなりません。若い犬で急に落ち着かなくなった場合は、誤食や痛み、発作など、年齢に関わらず起こることを疑う場面になります。

その日のうちに動物病院へ連絡したいサイン

急に始まった歩き回りのなかには、時間をおかずに連絡したほうがよい状態が含まれることがあります。以下は国内の複数の動物病院が「早めに」「その日のうちに」と案内している様子をまとめたものです。当てはまるものがあれば、記事を読み進めるより先に、かかりつけの動物病院へお電話ください。夜間であれば、地域の救急動物病院への連絡も選択肢になります。

動物病院で獣医師に犬の様子を相談している飼い主
写真はイメージです

とくに急ぐとされているのが、吐こうとしているのに何も出ず、お腹が張って苦しそうにうろうろしているという状態です。胃拡張・胃捻転症候群では、落ち着きがなくなる、吐こうとしても吐けない、大量のよだれが出る、お腹が急に膨らんで硬くなる、といった様子が見られると説明されており、進行が非常に速く数時間で危険な状態に陥ることがあるとして、一刻も早い受診が呼びかけられています(アニコム損保および国内動物病院の解説より)。大型犬・胸の深い犬種で起こりやすいとされていますが、それ以外の犬で起こらないという意味ではありません。

そのほか、次のような様子がある場合も、早めの相談が案内されています。

一緒に見られる様子 背景として挙げられていること 急ぎ方の目安
吐こうとして吐けない・お腹が張って硬い 胃拡張・胃捻転症候群 ただちに連絡(数時間を争うとされる)
けいれんがあった・そのあと歩き回っている 発作後の混乱、てんかん、中毒など 当日中に連絡
首が傾く・目が細かく揺れる・同じ向きに回る 前庭疾患、脳の病気 当日〜翌日に受診
壁や家具にぶつかる・瞳孔が開いたまま 急な視覚の低下、緑内障など 当日中に連絡
震える・ぐったりする・意識がもうろうとする 低血糖、中毒、痛みなど ただちに連絡
体を丸める・触ると強く嫌がる・呼吸が速い 腹部や背中の痛み、発熱など 当日中に連絡
拾い食い・誤食に心当たりがある 中毒 症状がなくてもただちに連絡

ここに挙げたのはあくまで一般的な目安であり、当てはまらないから安心という意味ではありません。「いつもと違う」と感じたその感覚自体が、いちばん確かな手がかりです。判断に迷うときは電話で様子を伝え、受診のタイミングを相談するのが確実です。

急に始まった徘徊の背景として知られていること

ここからは、急な歩き回りの背景として獣医療の公開情報で挙げられているものを、ひとつずつ見ていきます。いずれも診察と検査を経てはじめて分かるもので、見た目だけで判断できるものではありません。読む目的は「言い当てること」ではなく、診察で伝えるべきことに気づくことです。

平衡感覚の異常(前庭疾患)

急な歩き回り・ふらつきの原因として、高齢犬でよく挙げられるのが前庭疾患です。国内の動物病院の解説によると、主な症状は首を傾けたように頭が斜めになる斜頸、眼球が意思とは関係なく細かく揺れる眼振、一方向に円を描くようにぐるぐる回る旋回などで、吐き気や嘔吐を伴うこともあるとされています。そして突然発症する場合がほとんどだと説明されており、「朝起きたら急にふらつき、歩けなくなった」という現れ方が紹介されています。

前庭疾患は、内耳から前庭神経にかけての異常による末梢性と、脳の異常による中枢性に分けられ、後者には脳腫瘍や脳梗塞など、より重い病気が隠れている可能性があるとされています。高齢犬に多い原因のはっきりしない「特発性前庭疾患(老犬性前庭疾患)」の場合は、数日から1週間ほどでふらつきが徐々に改善し、首の傾きも少しずつ軽くなることが多いと説明されています。ただし、末梢性か中枢性かは見た目だけでは区別できないため、自己判断せず受診することが勧められています。

床の上でじっとしている犬の足元
写真はイメージです

脳の血管に起きた変化(脳梗塞などの脳血管障害)

犬にも脳梗塞をはじめとする脳血管障害が起こることが知られています。国内の動物病院や大学の獣医画像診断の解説によると、症状は障害された部位によってさまざまですが、突然の発作、旋回、頭部の傾き(斜頸)、失明、意識の低下といった形で現れるとされています。発症から24時間から72時間で症状の悪化が止まり、その後は緩やかに改善することが多いとも説明されています。

また、脳梗塞を起こした犬は高齢であるほか、心臓病、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症などを併発していることが多いと報告されているとされます。持病がある子で急に様子が変わった場合は、その持病の情報も含めて伝えると診察の助けになります。診断にはMRIなどの画像検査が用いられることがあり、二次診療施設を紹介される場合もあります。

けいれん発作のあとの状態

「徘徊」に見える行動が、実はけいれん発作のあとの状態だったということもあります。犬のてんかん発作では、発作が収まったあとに混乱した状態(発作後期)になることがあり、うろうろ歩き回る、呼びかけへの反応が鈍い、ふらつくといった様子が数十分程度続くことがあると説明されています。この時間帯の犬は、自分の意思ではっきり歩いているというより、意識がぼんやりしたまま動いていることがあるとされています。

この場合、無理に止めようとして抱きかかえたり体を強く押さえたりしないことが大切だと案内されています。犬自身も状況を理解できていないことがあり、驚いて転んだり、人が噛まれたりするおそれがあるためです。周りの危険なものをどけて、安全な範囲で見守るのが基本とされています。発作が何分続いたかだけでなく、そのあと何分くらい歩き回ったかも大切な情報になります。

痛みがある場合

痛みは、犬にとって「じっとしていられない」状態をつくります。国内の動物病院の解説では、抱っこしたときにキャンと鳴く、段差の上り下りや運動を嫌がる、背中を丸めてじっとしている、震えているといった仕草が痛みのサインとして挙げられています。椎間板ヘルニアは背中から腰にかけての発症が多いとされ、急に動けなくなったり、逆に落ち着かず姿勢を変え続けたりすることがあります。

お腹の痛みも同様です。膵炎では激しい嘔吐と、お腹を丸めて痛がる「祈りのポーズ」と呼ばれる姿勢が特徴として紹介されています。背中を丸めてじっとしている、お腹を地面につけて伏せたまま動かないといった姿勢は、お腹や背中の痛みを示すことが多く、原因によっては命に関わる病気もあるため早めの診察が勧められています。

低血糖や中毒

低血糖では、元気がなくなる、食欲が落ちる、歩き方がおぼつかなくなるといった初期症状のあと、ふらつく、震える、ぐったりする、意識がもうろうとする、けいれんといった症状が見られることがあるとされています。とくに子犬や小型犬、糖尿病の治療を受けている犬では注意が呼びかけられており、進行すると昏睡に至ることもあるため、早急な受診が必要とされています。

中毒も、急な行動の変化として現れることがあります。チョコレート中毒では下痢、嘔吐、発熱、興奮、ふらつき、腹痛、けいれんなど多岐にわたる症状が挙げられ、症状が出るタイミングは早ければ2時間から4時間、遅くとも12時間程度とされています。キシリトールでは、摂取から30分から1時間以内に嘔吐、無気力、脱力、ふらつきなどが見られることがあるとされ、目に見える異常がなくても必ず動物病院に連絡することが勧められています。誤食に心当たりがあるときは、製品そのものと、食べた量が分かるものを持参できると診察がスムーズになります。

急に目が見えにくくなった場合

視覚が急に低下すると、慣れた部屋でも壁づたいに歩く、家具にぶつかる、段差の手前で止まる、といった様子が出ることがあります。同じ場所を行き来しているように見えて、実は現在地を確かめながら歩いていることもあります。国内の動物病院の解説では、壁や物にぶつかる、目の赤みが急に強くなった、瞳孔が大きく開いたまま光に反応しない、痛がって目を開けない、といった症状は当日中の受診が勧められており、とくに緑内障は1日遅れるだけで視覚が戻らなくなる危険があると注意が促されています。

認知機能の低下と、急な原因を見分けるための手がかり

ここまでを踏まえて、認知機能の低下によるものと、急な原因によるものとを、どこで見分けていくのかを整理します。繰り返しになりますが、これは診断ではなく、診察で伝えるべきことを見つけるための整理です。

急に始まった犬の徘徊で一緒に見ておきたい手がかりを6つ挙げた図
急な徘徊のときに一緒に見ておきたい手がかり(当メディア編集部作成)

最大の手がかりは、やはり時間の使われ方です。数か月から数年かけて少しずつ増えてきたのか、それとも数時間から数日で始まったのか。この一点を思い出すだけで、獣医師に伝わる情報は大きく変わります。「いつからですか」と聞かれたときに「先週の火曜の夜からです」と答えられるのと、「最近です」と答えるのとでは、診察の進み方が違ってきます。

次に、歩き方そのものです。認知機能の低下による歩き回りは、目的なくうろうろする、円を描くように歩き続ける、狭いところに入り込んで出られなくなる、といった形が挙げられています。一方、前庭疾患や脳の病気による旋回では、いつも同じ向きにばかり回る、体が傾いている、まっすぐ歩けずよろける、といった特徴が伴いやすいとされています。「左回りばかり」「右回りばかり」という気づきは、そのまま伝える価値のある情報です。

そして、歩き回り以外の変化です。首の傾き、目の揺れ、嘔吐、食欲の変化、排泄の変化、呼吸の様子、体を触られたときの反応。これらが一緒に起きているかどうかで、絞り込みは大きく変わります。認知機能の低下では、昼夜が逆転する、夜鳴きが増える、慣れた人への反応が鈍くなる、覚えていたことができなくなる、といった変化が並行して現れることが多いとされています。

動画を撮って獣医師に見せるという方法

診察室に着いたときには症状が出ていない、というのは、動物病院ではとてもよくあることです。緊張して普段どおりに動かない子もいます。だからこそ、家で撮った動画は診察の大きな助けになると、多くの動物病院が案内しています。「変な仕草をするな」と思ったらスマートフォンで動画を撮っておくとよい、発作の様子を記録した動画があるとより正確な診断につながる、といった呼びかけが複数の病院の解説で見られます。

室内で静かに過ごしているシニア期の犬
写真はイメージです

撮り方に難しい決まりはありません。安全を最優先にしたうえで、次の点を意識すると伝わりやすくなります。

1体の全体が入るように、少し離れて撮る

顔だけ、足だけを大きく撮るよりも、頭から尻尾まで入る距離から撮ったほうが、首の傾きや体の傾き、歩き方の左右差が分かりやすくなります。しゃがんで、犬の目線に近い高さから撮ると、ふらつきの様子が見えやすくなります。

210秒で切らず、30秒から1分ほど続けて撮る

短すぎると、繰り返しのパターンが伝わりません。同じ向きに回り続けているのか、途中で止まるのか、壁に当たってから向きを変えるのか。そうした流れは、ある程度の長さがあってはじめて見えてきます。

3部屋を明るくして、目のあたりが見えるように撮る

眼振(目が細かく揺れる動き)は、暗い映像では写りません。照明をつけた状態で、可能であれば顔まわりを数秒アップで撮った映像も別に残しておくと役立ちます。無理に顔を押さえたり、まぶたを触ったりする必要はありません。

4始まった時刻と、続いた時間をメモしておく

動画の日時は自動で残りますが、「何時ごろから始まって、何分続いたか」「一日に何回あったか」「そのあとどうなったか」は記憶に頼ることになります。スマートフォンのメモに一行残しておくだけで、診察での説明が驚くほど楽になります。

5発作らしき動きがあった場合は、前後の様子も撮る

けいれんのような動きがあったときは、可能な範囲で始まる直前の行動と、収まったあとの様子も記録しておくとよいとされています。手足の動きや体の硬直の具合が分かるように撮ることがポイントとして挙げられています。ただし、犬に近づくのが危険な状況では、身の安全を優先してください。

撮ることに気を取られて対応が遅れては本末転倒です。急ぐサインがあるときは、動画よりも先に電話をしてください。動画は、あくまで受診までのあいだにできる準備のひとつです。

受診までのあいだ、家でできること・控えたいこと

受診の予約が取れるまでの時間、家でできることはいくつかあります。どれも治療ではなく、けがを防ぎ、状態を悪くしないための工夫です。

静かな窓辺に差し込むやわらかな光
写真はイメージです

まず、歩き回る範囲から危ないものをどけることです。階段や段差、ストーブ、家具の角、床に置いた小物。ふらつきがある状態では、いつもなら避けられるものにぶつかったり、落ちたりすることがあります。床がすべる場合は、滑り止めのマットを敷くと転倒を減らせます。円を描いて歩き続ける子には、角のない広めのスペースを用意して、行き止まりで身動きが取れなくならないようにするという工夫も知られています。

一方で、控えたいこともあります。無理に押さえつけたり、抱きかかえて止めようとしたりしないことです。前庭疾患でめまいが起きている状態や、発作後で意識がはっきりしていない状態では、抱き上げられること自体が強い負担になったり、驚いて噛んでしまったりすることがあると案内されています。声をかけながら、そばで見守るほうが安全とされています。

また、自己判断で市販薬やサプリメント、人間用の食べ物を与えることは避けてください。低血糖が疑われる場面での糖分の与え方についても、意識がはっきりしていないときに口に入れるのは誤嚥の危険があるため、まず動物病院に電話して指示を仰ぐことが勧められています。水を飲みたがる場合も、吐き気があるときや胃拡張が疑われるときは注意が必要です。迷ったら、与える前に一本電話を。それがいちばん安全です。

もしものときのために、知っておいていただきたいこと

ここまで受診を急ぐ話が続きましたが、最後に少しだけ、その先のことにも触れさせてください。急な変化のなかには、残念ながらお別れにつながっていくものもあります。そのときになって初めて調べはじめると、悲しみのなかで判断を重ねることになり、心も体もとても消耗します。

そっと寄り添う手のぬくもり
写真はイメージです

いま急いで決めることは何もありません。ただ、安置の仕方やお別れまでの流れをひととおり知っておくだけで、いざというときに「何をすればいいのか分からない」という状態を避けられます。深く読み込む必要はなく、目次を眺めておく程度で十分です。

そして、看病の日々が続くとき、あるいはお別れのあとに、飼い主さんご自身の心が追いつかなくなることがあります。それは弱さではなく、深く一緒に生きてきたことの証です。

また、シニア期に入った犬の体には、徘徊のほかにもさまざまな変化が現れます。年齢とともに何が起こりやすくなるのかを知っておくと、「これは様子を見てよい変化か、急ぐ変化か」の見当がつきやすくなります。

よくある質問

Q急に徘徊しはじめました。夜まで様子を見ても大丈夫でしょうか。

A一概には言えません。吐こうとして吐けない、お腹が張っている、けいれんがあった、ぐったりしている、誤食に心当たりがある、といった場合は、時間をおかずに連絡することが勧められています。そうした様子がなく、食欲や排泄がふだんどおりであれば、記録を取りながら翌日の受診を予約するという進め方もできます。判断に迷うときは、かかりつけの動物病院に電話で様子を伝えて相談するのが、いちばん確実です。

Q同じ向きにばかりぐるぐる回ります。これは認知症でしょうか。

A円を描くように歩き続ける行動は認知機能の低下でも見られるとされていますが、いつも同じ向きにばかり回る、首が傾いている、目が細かく揺れている、といった特徴が伴う場合は、前庭疾患や脳の病気でも見られる症状として説明されています。見た目だけで区別することはできないため、動画を撮ったうえで受診し、獣医師に確かめてもらうことが勧められています。

Qまだ若い犬なのに急に落ち着かなくなりました。考えられることはありますか。

A認知機能の低下は高齢期に多いとされているため、若い犬では別の原因が考えられる場面になります。誤食による中毒、痛み、発作、低血糖などは年齢に関わらず起こりうるものとして案内されています。心当たりのある出来事(拾い食い、留守番中の様子、直前に食べたもの)があれば、必ず受診時にお伝えください。

Q動物病院ではどのようなことを聞かれますか。

A一般的には、いつから始まったか、どれくらいの頻度と長さで起きるか、ほかに変わった様子はないか、食欲や排泄はどうか、持病や飲んでいる薬はあるか、誤食の可能性はあるか、といったことが確認されます。犬の認知症の診断について、アニコム損保の獣医師監修記事では「診断で大切なのは、飼い主様から愛犬の行動の変化を聞き取ること」と説明されており、そのうえで神経学的検査、血液検査、画像検査などを行いながら慎重に進められるとされています。飼い主さんの記録と動画が、その最初の一歩を支えます。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状は動物病院にご相談ください。

まとめ

犬の徘徊というと認知症を思い浮かべやすいのですが、それが「急に」始まったのであれば、考える順番が変わります。認知機能の低下は年月をかけて少しずつ進むものとされているため、数時間から数日で始まった変化は、前庭疾患、脳の血管の問題、発作のあとの状態、痛み、低血糖や中毒、急な視覚の低下といった、別の原因を先に確かめる場面になります。

飼い主さんにできるのは、原因を言い当てることではありません。いつから始まったかを思い出し、一緒に起きている様子を見て、動画を撮って、動物病院に伝えること。この4つで十分です。吐こうとして吐けない、けいれんがあった、ぐったりしている、誤食の心当たりがある——そうしたときは、記録より先にお電話を。

急な変化に気づけたということは、その子のことをよく見ていたということです。今日の異変が、大きな心配なく落ち着く一日でありますように。

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